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台湾語 - Wikipedia

台湾語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ホーロー語
Hō-ló-oē
話される国 中華民国台湾
地域 東アジア
話者数 約1650万人(台湾全体の74.5%)(行政院文化建設委員会)
順位 21位以下
言語系統 シナ・チベット語族

 シナ語派(シナ諸語)または漢語方言)
  閩語福建語
   閩南語
    ホーロー語

公的地位
公用語 無(中華民国の「国語」の一つとして制定しようとする法案が議会に提出されているが、通過しそうにない)
統制機関 無(中華民国教育省、台湾基督長老教会、その他各種非政府組織(NGO)がある種の影響力を有する)
言語コード
ISO 639-1 zh
ISO 639-2 chi (B) / zho (T)
ISO/DIS 639-3
SIL nan
この記事では、中華民国台湾)で話されているシナ諸語の一つ、あるいは漢語方言の一つとされるホーロー語台湾語とも呼ばれる)について詳述しています。その他の意味での用法は、#その他の意味 を参照のこと。

ホーロー語台湾語) (Tâi-oân-oē または Hō-ló-oē または Tâi-gí ;; 中国語: 台語 or 台灣話; 拼音(ピンイン): Táiyǔ または Táiwānhuà) は台湾人口の74.5%以上にとっての母語。台湾の客家人、外省人の中にもこれを日常的に使っている人も多く、原住民族もこれを理解できる人もいる。台湾語の母語話者 は Holo (Hō-ló) や Hokloと呼ばれる(台湾語より台語と呼ぶ方が一般的)。また、同じ台湾語でも場所により若干の発音や語の違いがある。例を挙げれば、台語のことを台北近辺ではTâi-gí、台中近辺ではTâi-gúと発音するが、その違いは他の言語の方言に比べて大きなものではなく、また相互理解に支障を来たすものでもない。標準的な方言と見做されているものは、台湾語が優勢な台南市とその周辺の台南方言であり、教材の多くはこの方言を用いている。

また、台湾語は歴史的に、日本植民地統治時代、国民党外来政権統治時代に、政治的に抑圧され、長らく制度的に認められてこなかったため(現在でも不十分)、台湾語を話す大多数の人にとって、台語は日常生活において慣れていくものであり、下記のような学問としての知識は持ち合わせていないことが多い。

目次

[編集] 分類

台湾語は、台湾で話されている、 閩南語(Bân-lâm-gú or Hokkien) から派生、独自の発展を遂げた変種である。 伝統的に、台湾語は 中国語という大きなグループ内の 方言 と見なされていた。 しかし近年では、台湾語は シナ・チベット語族 あるいはシナ諸語の独立した言語とされることもある。 "言語か方言か?" という区別にはよくあることであるが、台湾語をどう位置づけるかは当人の政治観に大きく依拠している。(Chinese dialect| Manifestations of language differentiationを参照されたい)。

ただ、伝統的な分類に従えば、以下のような階層構造で表されよう:

シナ・チベット語族 中国語閩語 (広義の福建語) ⊃ 閩南語 (南部福建語) ⊃ 台湾語

台湾人の大半は17世紀 から 19世紀にかけて福建から移住してきた人たちの言葉が基礎になって広まったため、台湾語は閩語(広義の福建語) の南部方言(閩南語)に似ている。台湾語の語彙は、口語音系と文語音系とに分けられる。文語音系は中古漢語に基づくものであり、10世紀に福建語にて発達し、台湾へは知識人がもたらしたものである。この台湾文語音系にもとづく文語文はかつてフォーマルな場面で用いられたが、現在はほとんど廃れている(一部台湾語読みの仏教典、一部古典文芸などに残るのみ)。

Ekki LuSakai ToruLí Khîn-hoāⁿ ( ハーバード大学; Tavokan Khîn-hoāⁿ や 李勤岸としても知られる)などの研究者による最近の業績は 王育徳などの研究者による以前の研究に基づくものだが、深層構造(ノーム・チョムスキー参照)の一部を オーストロネシア語タイ語 語族の口語基礎語彙と関連づける試みがなされるに至っている。そのような主張には伝統的なシナ語学界からは異論が提起されているが、台湾語を漢語方言と決め付けるシナ語学界の定理もまた根拠が薄弱である。台湾語が漢語方言なのか、漢語(シナ諸語)系の独立言語なのか、あるいは異なる語族の混合言語なのか、今のところはまだ結論は出ておらず、今後の議論展開が待たれる。

[編集] 音韻論

音韻的には、台湾語は非常に発達した連続変調(tone sandhi)規則を持つ声調言語である。一音節には頭子音母音、末子音が含まれる。

[編集] 子音

子音には次のようなものがある:

  有声 無声/
無気
無声/
有気
鼻音
    s    
硬口蓋歯茎音 j ch chh  
両唇音 b p ph m
歯音 l t th n
軟口蓋音 g k kh ng
      h  


[編集] 母音

母音には次のようなものがあり、方式によって表記に違いがある。:

POJ(白話字) a e i o u m ng
TLPA a e i o oo u m ng
PSDB(普實台文) a e i oi o u m ng

白話字の母音 o非円唇後舌半狭母音で、あいまい母音シュワー)と類似している。それとは対照的に、ơ円唇後舌半広母音で、やや口を開いて唇をすぼめる。日本統治時代台湾語仮名では「ヲ」、「オ」で表記されている。

加えて、二重母音三重母音が多くある(例えばiau)。 母音 mngは鼻音で、単独で音節となりうる。それ以外の母音は鼻音ではない。非鼻音は鼻音にすることができる。例えば、aは非鼻音だが、aⁿは同じ母音の鼻音化音である。

[編集] 声調

すべての音節に声調がある。声調は7つある。伝統的に1~8と数字で表され、第2声と第6声とは同じ声調を表す。例えば、音節aを声調つきで示すと次のようになる:

  1. a; 高平
  2. á; 降下
  3. à; 低平
  4. ah; 低止
  5. â; 上昇
  6. 第6声は第2声と同じ。
  7. ā; 中平
  8. a̍h; 高止

伝統的な言語分析では、声調を5段階で記述し(声調を表す番号の右の数字は、レベル5が最も高く、レベル1が最も低いことを示す)、それを中古漢語の声調と結び付けている(下記では、その中古漢語の声調名が示されている):

  1. 44; 陰平
  2. 51; 上聲
  3. 31; 陰去
  4. 3; 陰入
  5. 24; 陽平
  6. 第2声と同じ。
  7. 33; 陽去
  8. 5; 陽入

また、(一例として) 参考文献にあるWi-vun Taiffalo Chiung'の現代音韻分析を参照。上記の分類に異議を唱えている。

第4声と第8声では、末子音にhptkが生じる。末子音がptkの場合、その音節が鼻音になることは不可能であり、これらはそれぞれ、他の声調の鼻子音mnngに対応している。 siaⁿhのように、第4声や第8声での末子音がhの場合は、その音節が鼻音になることが可能である。

軽声は、動詞の行為の拡張や名詞句の終わりなどを示す際に現れる。軽声を表記する際は、前の音節とdouble dash (--)を介して表記することが多い。

台湾北部で話される方言では、第4声と第8声の区別がない。いずれも第4声として発音され、後述する連続変調規則も第4声の規則が適用される。

[編集] 音節構造

音節は、子音の間に母音(単母音 or 二重母音 or 三重母音)が必要である。全ての子音は語頭に生じうる。子音p, t, k, m, n, nghを含める人もいる)は音節末に生じうる。故に、ngiau("かゆみ(をかく)")やthng("スープ")などが可能である。第二の例では鼻音ngが音節主音である。

[編集] 連続変調

台湾語には非常に多くの連続変調規則がある。発話の際、最後に発音される音節のみがこの規則の適用を受けない。'発話'とは何かという問題は、この言語の研究では熱いトピックである。概略的に言えば、発話は、短と考えられうる。下記の連続変調規則の記述は伝統的な説明方法にのっとったものであり、教育上記憶しやすい配列をなしている。影響を受ける音節(つまり、発語の最後の音節以外の全て)の声調がどのように変調するかは下記の通りである。

  • 元の声調が第5声ならば、第7声で発音せよ。
  • 元の声調が第7声ならば、第3声で発音せよ。
  • 元の声調が第3声ならば、第2声で発音せよ。
  • 元の声調が第2声ならば、第1声で発音せよ。
  • 元の声調が第1声ならば、第7声で発音せよ。
  • 元の声調が第8声で語末子音がhでなければ(つまりptkであれば)、第4声で発音せよ。
  • 元の声調が第4声で語末子音がhでなければ(つまりptkであれば)、第8声で発音せよ。
  • 元の声調が第8声で語末子音がhであれば、第3声で発音せよ。
  • 元の声調が第4声で語末子音がhであれば、第2声で発音せよ。

音節末が鼻音の場合は? See the work by Tiuⁿ Jū-hông and Wi-vun Taiffalo Chiung in the References, and the work by [http://www.chinesestudies.hawaii.edu/community/faculty/

cheng_robert.html Robert L. Cheng] (Tēⁿ Liông-úi) of the University of Hawaii, for modern linguistic approaches to tones and tone sandhi in Taiwanese.

[編集] 語彙

台湾語の語彙の出自について概観する。近年の言語研究によれば、(by Robert L. Cheng and Chin-An Li, for example) わずかの例外(およそ10%~25%)を除き、大半の台湾語のは他の中国語方言と同系語であるとしている。一方で、同系語であるかどうかよく分からない、漢字形態素による語構成であるとはっきり断定することのできないものも存在する。例えば、有名なものでchhit-thơ(ティッ-トォ,(観光目的で)遊びに行く)がある。その中のいくつかは、最近南方のシナ諸語の周縁言語グループであるタイ・カダイ諸語、ミャオ・ヤオ諸語、オーストロアジア語族、オーストロネシア語族などとの対照研究がすすみ、そうした非漢語系言語の残存であるという指摘もなされている。 こうした漢語起源ではない語をあえて漢字で表記する場合は、意味や発音の似た漢字を当てて表記したり、日本における国字のように新たに創作した独自の漢字で表記する場合もある。最近の台湾語文字化運動では、明らかな漢語部分は漢字で、そうでないものはローマ字で混合表記する「漢羅」という表記方法が提唱され、いくつかの出版物も出ている。

なお、台湾語の語彙には日本植民地時代に流入した日本語起源の語彙がいくつかある。たとえば、ou-ji-sang=「おじさん」から派生して日本語のような軽蔑した意味は少ない; ou-ba-sang=「おばさん」; khong-nia-kuh=「こんにゃく」; lou-lai-bah=「ドライバー」など、また単語ではなくフレーズ単位の kan-ke-nai-ioh(関係ないよ)、u-sou-ba-ka-lih(嘘ばかり)なども、現在でも口語で多用されている。また、日本語の音に似せた「台湾製日本語」のようなものもある。pa-tai(頭がぼけていて、愚かな状態); a-sa-bu-luh(めちゃくちゃな様子)など。

[編集] "我々"を表す特別な代名詞: goánlán

台湾語では"我々"を表すのに2通りの代名詞がある。goánはいわゆる"除外のus [聞き手を含まない]"であり、lánは"包括のus [聞き手を含む]"である。これは英語のそれに似ている。"Let's go!" (聞き手を含む: lánで翻訳)と"Let us go!" (聞き手を含まない: goánで翻訳)。包括のlánは、丁寧さや連帯感を表現する際に使われることがある。

[編集] よく使うフレーズ

Common phrases in different languages: Taiwaneseを参照のこと。

[編集] 文法

台湾語の文法は中国南部の諸方言に似ており、客家語広東語と親戚関係にある。語順は普通話のように「主語 動詞 目的語」 が典型的だが、「主語 目的語 動詞」や 受動態 (語順は 「目的語 主語 動詞」) は不変化詞を伴うと可能である。例えば簡単な文「私は君を抱く」を例に取ろう。 含まれる語はgoá ("私")、phō ("抱く")、 ("君")である。

[編集] 主語 動詞 目的語 (標準的語順)

標準的語順の文はGoá phō lí ("私は君を抱く")となる。

[編集] 主語 目的語 動詞

ほぼ同じ意味で異なる語順の文は Goá kā lí phōである。多少 "I take you and hold" や "I get to you and hold"のような意味が含まれる。

[編集] 目的語 hō· 主語 動詞 (受動態)

そして、Lí hō· goá phō同じ意味を表すが、受動態で"You allow yourself to be held by me" や "You make yourself available for my holding"のような意味を含む。

[編集] まとめ

これを元により複雑な文を作ることができる。Goá kā chúi hō· lí lim ("I give water for you to drink": chúiは "water"、lim は"to drink"の意味)。 この記事では、文法に関してごくわずかしか例を挙げることができない。台湾語の統語論についての言語学の研究は、いまだに検討を要する学問のトピックである。

[編集] 文字と正書法

現在、台湾語の表記における正書法というものは存在しない。これまで多くの研究者によってさまざまな台湾語の表記方法が考案・改良されてきたが、正書法を定めるには至っていない。

中国語方言圏では歴史的に共通語としての文語が存在し、表記はその文語文が模範とされ、話し言葉としての中国語方言をそのまま表記するということはなかった。言文一致が定着した現在でも表記は普通話基調の口語文である。これは台湾でも同様であり、台湾語の話者が実生活において台湾語を表記する必然性はないことに留意する必要がある。

台湾語の表記は主に研究・教育の目的で行なわれ、発音符号としての面が重視されたため、非漢字形態素をどう表記するかという問題よりも、台湾語の発音をいかに正確かつ明瞭に表記するかについて多く議論されてきた。近年は台湾語の地位向上により、台湾語の文書を意識的に作成するケースが見られ、純粋に正書法という観点で台湾語の表記法を模索する動きも見られるようになった。

[編集] 漢字

台湾語を構成する形態素の大半は漢字形態素であり、基本的に台湾語を表記する文字は漢字である。然し語彙の項で前述したように、漢字でどう表記すべきかはっきりしない語があり、その場合は発音の似た漢字を借用して当て字としたり、意味の同じ字を訓読みしたり、新たに方言字を創作したりしたが、近年はローマ字で表記して漢字とローマ字の混ぜ書きを行なう試みもなされている。

[編集] ローマ字

台湾語をローマ字でどのように表記するかについてはこれまで様々な方法が考案され、現在でも更なる改良が進んでいる。台湾語のローマ字表記法の中で最も代表的なのは白話字(Pe̍h-ōe-jī, POJ)である(「教会ローマ字」とも呼ばれている)。白話字は長老派教会宣教師によって考案され、後に台湾基督長老教会(長老派教団)によって改良された。この表記法は19世紀後半以降、台湾語の表記に積極的に用いられた。ウィキペディアの台湾語版もこの白話字で表記されている。

白話字で用いる伝統的な文字は以下の通りである:

a b ch chh e g h i j k kh l m n ng o o. p ph s t th (ts) u

現在は使われていないtsを含めて、全部で24種類である。(tsは現在のchのうち、後に母音のiが立たない場合に用いられていた。)これらに加えて、鼻音を表すn(上添字のn、大文字のNで表記することもある)及び声調符号を付記する。

白話字以外のローマ文字ベースの表記法としては、TLPA(Taiwanese Language Phonetic Alphabet)、通用ピン音、TMSS(Taiwanese Modern Spelling System)なども提唱されたが、現状では白話字が優勢で、中華民国教育部も2006年、白話字に従ったローマ字表記法を公布し、教育の場で普及が図られている。ただし、まだまだ白話字に習熟した教育者が不足していたり、保守的勢力の妨害などもあって、その見通しは必ずしも明るくはない。

[編集] 仮名文字・日本語

日本の植民地時代には台湾総督府によって台湾語の発音を片仮名台湾語仮名)で付記することが試みられた。そのため、現在も少数意見で、仮名文字を応用する意見もある。また、高砂族本省人の高齢者には日本語を母語とするものも存在する。

[編集] 注音符号

普通話のために考案された注音符号を拡張して、台湾語の音声を表記できるようにする方法も考案されている。

[編集] 言語コード

閩南語はRFC 3066においてzh-min-nanとして登録されている。台湾語はzh-min-nan-TWで表記されている。

[編集] Unicode問題

前述したように、既存の漢字で表記するのが困難な台湾語を、任意に創作した漢字で表記することがある。こうした文字はUnicode(及びそれに対応するISO/IEC 10606: 国際文字セット)には収録されていないので、電算処理するときに問題が生じる。

白話字の場合は、声調符号を含め、ほとんど問題なくUnicodeで表記できる。2004年6月以前は、口を広く開ける母音o(oの右上に点を付けて表現する)がエンコードされていなかった。回避策として、中黒(U+00B7)を使うか、組み合わせ文字の上点(U+0307)を使っていた。現在、前者はウィキペディアの台湾語版の表記において使われている。これらは理想からは程遠いので、1997年からISO-IEC 10646を担当するISO/IECワーキンググループ(ISO/IEC JTC1/SC2/WG2)に対し、新しい組み合わせ文字上右点をエンコードするよう提案され、現在U+0358として正式に割り当てられている。フォントでのサポートが今後期待されている。

台湾語の標記に必要な拡張注音符号もUnicodeにU+31A0からU+31B7にエンコードされたが、フォントの普及はこれからである。

[編集] 社会言語学的側面

[編集] 地域によるバリエーション

大まかに区分すると、台湾語には大まかにいって台南方言、台北方言、台中方言(台中周辺)、彰化県の港町・鹿港)に典型的に見られる海口(ハイカウ)諸方言、北部(北東)沿岸方言(特に宜蘭県の宜蘭方言)などのバリエーションが存在する。 制度化されていないこともあって、今のところ「標準的な台湾語」というものは存在しないが、強いて言えば、歴史的に古く、台湾語も日常的に優勢な台南方言が、事実上の標準の地位を占めつつある。また、台東で使われている方言は、音韻体系からいって白話字に最も近い。 台北方言の一部は第八声が無いことと、一部の母音に交換が起こること(例えば'i'と'u'、'e'と'oe')が特徴である。 台中方言は'i'と'u'の中間の母音があり、これを'ö'で表記することがある。 宜蘭方言は母音'ng'が'uiN'に変化することが特徴である。

[編集] 流暢さ

台湾人の大部分は、人によってその流暢さに大きな違いがあるものの、北京語と台湾語の両方を使用する事ができる。そのどちらを用いるかは状況によって異なるが、一般には公式の場では北京語を、非公式の場では台湾語を用いている。

北京語が特に台北のような都市部でより多く用いられているのに対し、台湾語は地方部、特に南部の地方でより好まれる傾向にある。また年齢層別に見た場合では、老年層が台湾語を、若年層が北京語をそれぞれより多く用いる傾向に有る。まお放送媒体では、ドラマバラエティで台湾語を、クイズ番組ドキュメンタリーで北京語をそれぞれ使用する傾向がある。

[編集] 特有の芸術形式

七字仔(Chhit-jī-á)は各行が七言からなる詩格である。

また、「歌仔戯koa-á-hì)("台湾オペラ")」という台湾語で表現するミュージカルもあり、多くの歴史の物語が台本化されている。

布袋戯pò·-tē-hì, 「台湾人形劇」))という人形劇もある。布袋戯は子供だけではなく大人も見る人形劇として有名、台湾では日本の文楽のような存在とも言えよう。1970年代にテレビでドラマのように毎日放送され、97%の視聴率を記録した。国民の過熱を緩和するため放送禁止される事態となった。今もケーブルテレビ専門のチャンネルがあり、毎日一日中放送している。2000年頃に映画「聖石伝説[1]」も製作され、日本でも日本版が販売されている。

[編集] 概念化と歴史

18世紀から19世紀の台湾では、戦乱が続き人心は乱れた。政府(中国及び日本)に対する蜂起に加え、民族同士の戦いも多かった。通常、交戦国は、使っている言語ごとに同盟を組んだ。歴史上、客家語と台湾語を使う民族との間、それらと台湾原住民との間、さらに泉州弁を使う民族と漳州弁を使う民族との間の戦いがあったと記されている。

その後20世紀になってから、台湾語の概念化は、ほとんどの中国語のどの変種よりも大きな物議をかもした。というのも、1949年に台湾に来た外省人と、既に台湾にいた大部分の台湾人(本省人)の間に明確な差が見られたからである。これら二つのグループ間における政治的、言語的な溝はほとんど埋まったにもかかわらず、台湾語に関する政治的問題は、他の中国語の変種にかかる問題よりも、大きな議論となり、また微妙な問題となった。

台湾語の歴史と、標準中国語である北方語(北京語)(Mandarin)との相互関係は複雑で、常に議論の的になっている。台湾語をどう呼ぶかという呼称すらも議論の対象となっている。 一部の者は、台湾語という呼称は、北京語、客家語、台湾原住民族語等のその他の言語の存在を過少評価する印象を与えるとして、反対している。 そういう人たちの多くは、これを中国福建省で使われる言語の変種だとする観点から、閩南語、又は福建語(hokkien)という呼称の方が良いと主張する。しかし、福建省では客家語やショー語など異なる言語も存在するので、閩南語という呼称もまた福建省の多様性を無視するものとなっている。 一方で、台湾は中国ではないとする観点から、閩南語、福建語という呼称は適切ではないとして、また台湾の他の言語集団にも配慮して、より中立的な名称としてホーロー語、あるいは台湾ホーロー語と呼ぶことが増えている。

[編集] 政治

中国国民党政権は、北京官話北京語)を「国語」と呼んで、公用語としていた為、1980年代までは、学校での台湾語使用を禁止や媒体での台湾語の放送の量を制限していた。本省人の若者の間で台湾語よりも「国語」(北京官話)が支配的になっている理由としては教育やこれらの国策の影響がある。ただし現在のところ、特に台湾南部では、まだまだ民間社会のL領域(非公式な場)においては台湾語による会話のほうが「国語」より優勢である。

教育においては相変わらず国語(北京官話)が支配的だが、台湾語、客家語、又は原住民族の言語の教育が必要だとの声が次第に高まってきている。

北京語では無く台湾語を使うという事は、国民党独裁体制への抵抗や台湾独立運動の一環として始まったが、民主化が定着しつつある現在では政治と言語のつながりはかつてほど強くはない。民進党陣営や独立派にとっても国民党陣営にとっても、台湾の政治において、北京語と台湾語の並行使用は、既に当たり前の現実になっている為である。

たとえば、外省人である宋楚瑜は、国民党の要職に就いた当初、メディアコントロールの責任者(新聞局長)を務め、台湾語をはじめとする母語の使用を制限していた。しかし1980年代の民主化以降は、半公式的な場で台湾語を積極的に使おうとする最初の外省人政治家となった。彼を皮切りに、ネイティブスピーカーでなく、台湾独立に反対する政治家も、台湾語を頻繁に使うケースが続々と現れた。

逆に。台湾本土派の政治家でも、現在では公的な場で北京語を用いることも少なくない。たとえば、陳水扁中華民国総統は、就任式や外国からの接客といった公的な場では北京語を用いることも多い。しかし、公的な場面でも選挙戦や民進党関係の集会では台湾語を多用し、新年のあいさつのような非公式あるいは親密さを表す場では台湾語を用いるのが普通である。

現在では、外省人の二世、三世でも、母語並みに台湾語を操る人も増えている。また、日本統治時代以前から、台湾語が台湾社会で人口で優勢だったこともあって、台湾語を母語としない客家人の間でも、商売の必要性などから台湾語が流暢なものも多かった。逆に現在ではホーロー人であっても、都市中産層出身だと台湾語が下手な人も増えている。つまり、「台湾語はホーロー人の言語で、北京語は外省人の言語」などといった言語とエスニックグループの関連付けも崩れつつある。

しかしながら、このように台湾社会の現実では、エスニックグループに関係なく、いろんな言語を混在して使うケースが増えているにもかかわらず、台湾語と北京語の間の関係については、いまだに政治的な対立点にもなっている。

一般的に、保守的な国民党陣営は、国民党一党支配時代以来の北京語優先・強制政策を堅持し、北京語は異なるエスニックグループ間の共通言語としての役割を果たすべきだと主張する傾向がある。この陣営はまた、国語や公用語は一つであるべきだと考えている。

それに対して、民進党陣営や台湾独立派は、台湾語をはじめとしたすべての台湾の言語が同等に尊重されるべきだと主張する傾向が強い。民進党は、1986年の成立時点から「多言語主義」を綱領の中でも主張してきた。

事実、2000年に民進党が政権を獲得してからは、国民党時代の「単一国語主義」ではなく、多言語政策が進められている。客家語を使う客家テレビや原住民族諸語も使う原住民族テレビなどが次々に成立し、政府の広報CMでも、台湾語や客家語も多用されるようになった。現在では台湾語だけを台湾の土着言語として重視するのではなく、客家語や原住民族諸語も国語あるいは公用語にすべきだという意見が強まっている。民進党政権は台湾のすべての言語を尊重して北京語独占を排除する「国家言語法」制定を推進しているが、保守的な勢力はこれに強く抵抗している。

[編集] 参考文献

  • Campbell, William. Ē-mn̂g-im Sin Jī-tián (Dictionary of the Amoy Vernacular). Tainan, Taiwan: Tâi-oân Kàu-hoē Kong-pò-siā (Taiwan Church Press, Presbyterian Church in Taiwan). 1993-06 (First published 1913-07).
  • Iâu Chèng-to. Cheng-soán Pe̍h-oē-jī (Concise Colloquial Writing). Tainan, Taiwan: Jîn-kong (an imprint of the Presbyterian Church in Taiwan). 1992.
  • Tân, K. T. A Chinese-English Dictionary: Taiwan Dialect. Taipei: Southern Materials Center. 1978.
  • Maryknoll Language Service Center. English-Amoy Dictionary. Taichung, Taiwan: Maryknoll Fathers. 1979.
  • Tiuⁿ Jū-hông, Principles of Pe̍h-oē-jī or the Taiwanese Orthography: an introduction to its sound-symbol correspondences and related issues. Taipei: Crane Publishing, 2001. ISBN 957-2053-07-8
  • Wi-vun Taiffalo Chiung, Tone Change in Taiwanese: Age and Geographic Factors.
  • Taiwanese learning resources (a good bibliography in English) [http://66.102.7.104/search?q=cache:yZ3bMOYVUNUJ:lomaji.

com/poj/faq/ITASA_2001_Resources.pdf+taiwanese+learning+resources&hl=zh-TW (Google cache as a web page)]

[編集] 外部リンク


[編集] その他の意味

[編集] フォルモサ語(先住民語)

英語では、台湾語(Taiwanese Languages)とは、台湾島の先住民が使うオーストロネシア語を指すことがときどきある。混同を避けるために、先住民語のことをフォルモサ語(Formosan Languages)ということもある。

[編集] 台湾華語

台湾語という言葉が、誤って北京官話(マンダリン)系の言語のことを指して使われることもある。現在の多くの言語学者は、この北京官話系の台湾方言のことを台湾華語または台湾国語と呼んでいる。

台湾華語は、中華民国(台湾の政府)の事実上の公式言語であり、台湾人の約8割が流暢に話すことができる。ただ、台湾華語は、語彙、文法および発音において、大陸の正式な北京官話(普通話)とはいくぶん異なる。その違いは、イギリス英語とアメリカ英語の違いと同程度のものである。

[編集] 台湾語

差別撤廃の表現として、台湾で普及しているまたは台湾特有の全ての言語を包括して台湾語と呼ぶべきだと提唱している人もいる。つまり、ここでの台湾語とは前述した客家語や先住民語などが含まれる。

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