トヨタ・クラウンマジェスタ
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クラウン マジェスタ (CROWN MAJESTA) はトヨタ自動車で生産・販売されている大型の高級自動車。トヨタのオーナーズカーとして最高級車である。
トヨタが想定している競合車種は、国産では日産のシーマ、ホンダ・レジェンドなど。 輸入車ではメルセデス・ベンツ Cクラス、BMW・3シリーズ、アウディ・A4等のDセグメント車が価格的に相当する。一方ボティサイズ・排気量では、メルセデス・ベンツ Eクラス、BMW・5シリーズ、アウディ・A6などのEセグメント車が相当する。 2005年よりトヨタ系列の高級車ブランドとして、日本国内でレクサスが販売開始されたこともあり、想起されるイメージが高級車的なものからから、大衆車のなかの大型高額車種という要素に変化してきている。
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[編集] 概要
初代より全シリーズでフロントガラス上に情報を表示する機能を持ったヘッドアップディスプレイを標準装備している唯一の車。これにより他の自動車との差別化が図られている。ナイトビジョンを除くとヘッドアップディスプレイはレクサス全車種、センチュリー、セルシオを含め、高級車でも他の日本の乗用車には装備されていない。
「クラウン」のネームを冠しているが、俗に「マジェスタ」、「マジェ」と呼称されている。クラウンオーナーからはクラウンマジェスタ、クラウンと呼ばれることが多い。
[編集] 歴史
[編集] 初代(S140系:1991年~1995年)
9代目クラウンと同時に登場し、セルシオ(レクサス・LS)の間に位置する車種として投入された。キャッチコピーは「すべては、クラウン。-この上ない満足のために-」。
エンジンはクラウンの直6・3リッターとセルシオに搭載されているV8・4リッターの2種類。また当時セルシオにも搭載されていなかったエレクトロマルチビジョンが採用され91年の登場時にはセルシオより先進技術をたくさん搭載していたといってもよい。アリストと姉妹車種の関係にあり、一部共有していた。トランクリッドとテールライトの配置関係はこれ以降のクラウンマジェスタの伝統となり、クラウンとの決定的な違いとなる。クラウン36年の歴史で初となるフルモノコックボディを採用。ピラードハードトップの形をとった。
1993年、マイナーチェンジを実施。フロントグリル、リアコンビランプの意匠を一部変更する。
初期のCM曲には、9代目クラウンデビュー時のCMと同様にベートーヴェン「交響曲第九番二短調 第一楽章」(第一主題)が使われた。
[編集] 2代目(S150系:1995年~1999年)
このモデルよりテールランプが縦型になり、クラウンを象徴する横長テールランプからクラウンマジェスタ独特のスタイルが継承されるようになった。だが、この2代目の場合、一部からキャディラックと似ているという声が上がっていた。
初代のアリストベースの丸いイメージを一気に払拭し、クラウン伝統のいかにも日本の高級車といった角形ベースのデザインに変わる。 また、ベースカラーも明るいツートンからダーク系のツートンに変更になり、より高級志向なイメージへ変化している。
デビュー時には、CM曲に久石譲「フレンズ」が使われた。
キャッチコピーは「この車は、まずオーナーを誇りたい。」。
[編集] 3代目(S170系:1999年~2004年)
このモデルよりボディー形状がかつてのハードトップから安全性のためセダンとなった。歴代のクラウンマジェスタの中で最も保守的でかつ、儀礼的であり、クラウンの歴史と伝統を象徴するようなデザインであるため、ハイヤー及び公用車として多く用いられている。セルシオのような国際的な高級車というイメージとは違い、純国産の伝統的な高級車というスタイルを貫いている。
縦型テールランプは幅が広くなったが継承されている。クラウンマジェスタ専用のオプションでフードクレストマークを装着できるようになり、全体に大きくなった車幅に対して目安を付け運転しやすくなったほかに、オーナーの優越感を醸し出すことが出来るようになった。ベースカラーはホワイト・ベージュベースのツートンと、ダークブルー系のツートンが主に使用されている。
エンジンには4リッターモデルでは1UZ-FE・V8DOHCを搭載し280馬力と当時の自主規制ぎりぎりまで向上させている。それでいて大口径ホイール等は採用せず、とにかく静音、乗り心地にこだわった作りはクラウンが代々持つ「おもてなし」を表すものである。
クラウンエレクトロマルチビジョンのナビタイプが従来のCDからDVD方式に変更された。後期型ではオットマン機構などの特殊装備も追加され、ドライバーよりもパッセンジャーシートやリヤシートの居住性を最大限に確保する仕様になっている。
CMにはベートーヴェン「交響曲第九番二短調 第二楽章(モルト・ヴィヴァーチェ)」が使われた。
キャッチコピーは「21世紀へ、人生の新しいドアを。」。
[編集] 4代目(S180系:2004年~2008年)
「「ダイナミック&マジェスティック」セダン」をコンセプトとして新プラットフォームで製作された。 2004年7月6日登場。セルシオが2006年9月19日よりレクサスに移行したため、クラウンマジェスタがトヨタブランドの最上位車種となった(センチュリーは公用車・法人車として扱われることが多いため除外)。セルシオから発したトヨタマークを受け継ぎ、フロントをはじめとするすべての「クラウン」のエンブレムを廃止し、トヨタのエンブレムとなった。これに関して、古くからクラウンを乗り継いできたクラウンオーナーからは、クラウンという車でなくなってしまっていると言うことに残念がる声も多い。現在でもディーラーやAMLUX、MEGA WEB等でクラウンエンブレムを付けられないか交渉しているユーザーを見かけることがある。理論上はホイールやサイドのエンブレム等は換装することが可能であるが、ハンドル及びエレクトロマルチビジョンのエンブレムは仕様上不可能で、フロントエンブレムはプリクラッシュが装備されているとレーダーに誤作動が出るため換装できないとのことである。 もちろん保証外であるが、3代目のフードクレストマークを装備した4代目クラウンマジェスタが都内で走っていることがあるため、クラウンエンブレムの公式オプション化の要望はかなり高いものと思われる。
「ZERO CROWN」として大胆なモデルチェンジを果たしたクラウンと同様に、歴代の中では最もアグレッシヴでスタイリッシュなデザインとなったが、縦型テールランプは継承された。キャッチコピーは「drive, MJ」。CMにはアストル・ピアソラ「リベルタンゴ」をCM用にアレンジした物が使われた。
エンジンはセルシオなどと共通のV8・4.3リッター(3UZ-FE)のみとなった。 トランスミッションは6速シーケンシャルシフトマチック(スーパーインテリジェント6速オートマチック<6 Super ECT>)のみ。 グレードは4WD仕様のi-Fourをあわせ、CタイプとAタイプの3グレードのみ。 ターゲット年齢層を下げるため、高級感のあるツートンカラーの設定が無くなり、スポーティーさを強調した単色のみの設定とした。ベースカラーはホワイト・ホワイトシルバー系。 全車にエレクトロマルチビジョンとバックガイドモニターやETCを標準装備し、ナイトビュー、インテリジェントAFS、プリクラッシュセーフティーシステム、レーンキーピングアシストなどの最新鋭の安全装備も搭載している。 天然木を使用したり、特殊な防音材を使用するなど内装も高級な作りになっている。
2006年7月3日、マイナーチェンジがなされ、キャッチコピーは「至高の走りが、ここに極まる。」及び「drive, MJ」。セルシオが6月に製造中止となり、トヨタブランドとして、ショーファードリブンであるトヨタ・センチュリーなどを除いてオーナーズカーとして最上級車種となった。2代目からの伝統として、モデルチェンジ後はフロントグリルが横桟から縦桟グリルに変更された。2006年よりクラウンマジェスタという名称を廃止して“マジェスタ”に名称変更してクラウンから独立し、別の車種になる説もあったが、マイナーチェンジ後もクラウンマジェスタを名乗っている。
マイナーモデルチェンジに伴い、トヨタモデリスタより「クラウンマジェスタ・スーパーチャージャー」が発売されている。 340馬力など数々のチューンや、エアサスペンション、6速トランスミッション、マフラー、スタビライザー等も専用に設計されたものになっている。エンブレムも専用のものが付き、差別化が図られている。 大幅にチューンアップされているため、持ち込み車検となるほか税金の減免処置が受けられなくなるなどの注意も必要。
[編集] 5代目(S200系:2008年-)
[編集] 車名の由来
- MAJESTAはイタリア語で威厳と言う意味があるが、英語のMAJESTIC(威厳)からの造語とされている。威風堂々と訳すこともある。