トヨタ・スープラ
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スープラ(SUPRA)はトヨタ自動車で生産されていたクーペである。 トヨタ最強のクーペとして長年君臨していたが、排ガス規制と販売低迷により現在では絶版となっている。生産終了後もJGTC(現:SUPER GT)やD1グランプリといったモータースポーツにおいて第一線で活躍し続けたが、D1グランプリは2005年の1年限り、SUPER GTは2006年をもってSC430に主役の座を譲り引退となり、モータースポーツの第一線から姿を消した。 かつて日本国内ではセリカXXという名前で販売されていたため、スープラとしての歴史は3代目からとなる。
スープラという名前は、ラテン語で「上へ」「超えて」(スーパー)と言った意味を持つ。
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[編集] 歴史
[編集] A70系(1986-1993)
かつてのセリカXXからスープラへ車名を変更。
アメリカでは成人指定を意味する「X」を嫌い、国内でのセリカXX(XXはとても卑猥なイメージ)はスープラという車名で販売されていた。A70系よりセリカとは独立し「SUPRA」という車名を採用・販売することになった。発売当時のキャッチコピーは「TOYOTA 3000GT」。
ソアラと同じプラットフォーム(ただし補強は少ない)を使用し、当初の主なエンジンは、2.0Lの1G-GEU、そのツインターボ版1G-GTEU、3.0Lターボの7M-GTEUであったが、モデル末期の1990年8月にはマークIIなどにも搭載された、2.5Lツインターボで280psの1JZ-GTE型が追加された。搭載エンジンは、初代から一貫して、直列6気筒のみである。
グループAのホモロゲモデルとして7M-GTEにターボAタービンを搭載した3.0Lターボ車「ターボA」が台数限定で販売された。特徴はフロントバンパーセンター部の3連ダクト。このダクトの形はターボAダクトと呼ばれ、汎用社外パーツとなり人気を博した。その他にボディカラーは黒のみの設定でホイルもブラックアウトされていた。
グループAではデビューウィンこそ飾ったものの、フォード・シエラや日産・スカイラインの前に苦戦した。
搭載エンジンについて詳細を以下に示す。
形式 | 項目\年代 | 1986年2月~ | 1987年1月~ | 1988年8月~ | 1990年8月~ |
---|---|---|---|---|---|
1G-EU | 排気量 形式 最高出力 最大トルク |
2000cc(1988cc) OHC-自然吸気 105ps/5200rpm 16.0kg/4000rpm |
← ← ← ← |
||
1G-FE | 排気量 形式 最高出力 最大トルク |
2000cc(1988cc) DOHC-自然吸気 135ps/5600rpm 18.0kg/4400rpm |
|||
1G-GEU | 排気量 形式 最高出力 最大トルク |
2000cc(1988cc) DOHC-自然吸気 140ps/6400rpm 16.5kg/4800rpm |
← ← ← 17.6kg/4800rpm |
← ← 150ps/6400rpm 18.6kg/5600rpm |
← ← ← ← |
1G-GTEU | 排気量 形式 最高出力 最大トルク |
2000cc(1988cc) DOHC-ツインターボ 185ps/6200rpm 24.5/3200rpm |
← ← ← ← |
← ← 210ps/6200rpm 28.0kg/3800rpm |
← ← ← ← |
7M-GTEU | 排気量 形式 最高出力 最大トルク |
3000cc(2954cc) DOHC-ターボ 230ps/5600rpm 33.0kg/4000rpm |
← ← ← ← |
← ← 240ps/5600rpm 35.0kg/3200rpm (※1) |
|
1JZ-GTE | 排気量 形式 最高出力 最大トルク |
2500cc(2491cc) DOHC-ツインターボ 280ps/6200rpm 37.0kg/4800rpm |
(※1)最高出力270ps/5600rpm/最大トルク36.5kg/4400rpmのターボA仕様有り
[編集] A80系(1993-2002)
エンジンはすべて直6の3000ccになり、2JZ-GE型の230psと先にアリストに搭載されていた2JZ-GTE型ツインターボの280psの2種類となった。また国内販売された国産乗用車としては初となる、ゲトラグ製6速MTの設定があった。キャッチコピーは「THE SPORTS OF TOYOTA」。アメリカ専売モデルのみ、17インチ・タイヤと、それに対応した大型ブレーキキャリパー&ローターを装備するが、日本国内モデルは、認可の都合上、翌年まで待たなければならなかった。
1997年には同じエンジンを積むアリストが2代目へとフルモデルチェンジする際、スープラも主にエンジンが同じくVVT-i化されるなど改良されてその恩恵を受けた。しかし、スポーツカーの需要の低下、ミニバンおよびワゴンブームなど時代の波を受けて、この頃から販売実績が鈍りだし、トヨタ自体も2ドアスポーツカーの開発・販売には積極的でなくなっていった。
2002年の排ガス規制をクリア出来ず(同系エンジンを搭載するアリストは対応したものの採算の取れないスープラでは見送られた)、ライバル車種のスカイラインGT-R等と共に生産終了となり、姿を消した。
空気抵抗が少ないが大柄なボディ、ハイパワーなエンジンを備えていることから、ドラッグレースや最高速に特化したチューンドカーが多い。また、グラマラスなボディスタイルから、ドレスアップベースにも使われる。
なお、搭載エンジンの2JZ-GTEは日産のRB26DETTと共に国産最高級の性能のエンジンとして知られている。特に走り屋層などからは、その高い馬力や太いトルクを買われ、RB26DETT同様、エンジンスワップのベースとしてもよく使われる(主にチェイサーやソアラなどのトヨタ製スポーツモデルに移植される例が多い)。
逆にエンジンスワップされるケースも多く、上記のRB26DETT(ガレージザウルス、トップシークレット等)やシルビアに搭載されるSR20DET(ガレージライズアップ)、GTスープラよろしく3S-GTEを乗せたチューンドカーがある。2007年に行われた東京オートサロン2007では、トップシークレット制作のセンチュリーに搭載されるV型12気筒エンジンをツインターボ化して積んだ80スープラが最優秀賞を受賞した。
搭載エンジンについて詳細を以下に示す。
形式 | 項目\年代 | 1993年5月~ | 1997年8月~ |
---|---|---|---|
2JZ-GE | 排気量 形式 最高出力 最大トルク |
3000cc(2997cc) DOHC-自然吸気 225ps/6000rpm 29.0kg/4800rpm |
← ← ← ← |
2JZ-GTE | 排気量 形式 最高出力 最大トルク |
3000cc(2997cc) DOHC-ツーウェイ(シーケンシャル)ツインターボ 280ps/5600rpm 44.0kg/3600rpm |
← ← ← 46.0kg/3600rpm (※2) |
(※2)vvt-i搭載
[編集] スープラが登場する作品
- ワイルドスピード - 映画の後半でかなり出番が多い。
- ワイルドスピードX2 - 序盤でバトルをした際に看板に衝突するが後に復活。
- ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT - リアが映るだけで出番は特になし。