ドムトルーパー
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ドムトルーパー (Dom Trooper) は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の兵器(モビルスーツ・略称はMS)。(型式番号:ZGMF-XX09T)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ドムトルーパー
[編集] 機体解説
ドムトルーパー | |
型式番号 | ZGMF-XX09T |
所属 | クライン派 →オーブ軍第二宇宙艦隊 |
建造 | クライン派秘密工場 「ファクトリー」 |
基本設計 | ザフト |
生産形態 | 少数量産機 |
全高 | 17.48m |
重量 | 79.44t |
武装 | ・MMI-GAU25A 20mmCIWS×2 ・MX2351 "ソリドゥス フルゴール" ビームシールド発生装置×2 ・JP536X ギガランチャーDR1マルチプレックスバズーカビームハイブリッドガン ・MA-X848HD 強化型ビームサーベル ・G14X31Z スクリーミングニンバス |
ウィザードパック | ・EX-EZ1200 イージーウィザード |
搭乗者 | ヒルダ・ハーケン(003) ヘルベルト・フォン・ラインハルト(004) マーズ・シメオン(009) |
ラクス・クラインが指揮する第3勢力の秘密工場「ファクトリー」にて開発途中の機体が数体確認されたモビルスーツ。型式番号末尾の「T」は、ZGMF-X56Sインパルスなどのセカンドステージシリーズの次に来るであろう第3次MS開発計画、サードステージシリーズでの復活を望んだ開発陣の願いを込めたものだと言われているが、その真相は不明。ちなみに作中唯一型式番号がZGMF-XXの機体である。オリジナルは前大戦終結後にザフトのMSコンペティションにおいて、ZGMF-1000ザクウォーリアが次期主力MSに決定する前にその候補に挙がっていたMSである。
当初、ZGMF-X999Aザク量産試作型をベースに、ミラージュコロイドとウィザードシステムを搭載した機体として設計されたが、ユニウス条約によりミラージュコロイドが使用不能となった上、この機体のもう一つの特徴である陸戦を想定した脚部のホバリング推進システムが問題視された。このシステムによって同機は地上では他のモビルスーツを圧倒する機動力を得たが、これを使いこなすには特殊なテクニックを必要とし、ジンやゲイツなどに乗り慣れたザフト軍兵士の中でこの機体を乗りこなせるパイロットはごく少数しかいなかった。
この機体は生産ラインまで具体的なプランが出来上がりつつあったが、惜しくも次期主力MSの候補から外されてしまう(この他に脱落の理由としてザフト中枢に潜入していたクライン派又はそれに加担する非政府組織『ターミナル』の人間による工作との謀略説もある)。そして、ウィザードシステムを受け継ぎ、かつ多くのザフト兵が操縦しやすいザクが次期主力MSに採用された。この経緯から考えると、グフイグナイテッドと同時期かあるいはそれよりも旧式のMSであると推測される。しかし、その機体データが記録されたコンペティション用と思われるプレゼンテーション資料がクライン派の手に渡り、エターナル艦載MSとして前大戦を生き残ったエースパイロットにより運用される事になる。
ウィザードシステムには当初のコンセプト通り対応しているため、背部にウィザードパックを装備可能だが、クライン派の物資調達ルートではそのウィザードパックの入手が困難であったため、2基の小型スラスターとビームサーベル1本がマウントされた簡易型ウィザード(イージーウィザード)を装備している。また、ZGMF-X20Aストライクフリーダム開発の際に培ったノウハウを生かし、両腕部にX42Sデスティニーにも装備されているビームシールド「ソリドゥス・フルゴール」を新規で標準装備した。
なお、「ドム」という名称は、ドム=DOM=Dauntless Obliterator Magnificent(壮大なる不屈の抹殺者)と言う意味を持つ。この名はクライン派によってではなく、開発当初に付けられたものである。尚後に続くトルーパー=TROOPER=は英語で、"兵士"(より正確には部隊に所属する"隊員"のこと)の意。
[編集] 機体番号に関して
この機体にはナンバリングが施されており、その最も大きな数字が「009」である事から本機は最低でも9機を製造予定だったのではないかと言われているが本編では最後まで3機しか確認する事ができなかった。一般的な説では「製造・調整が劇中の攻防戦に間に合わなかった」からではないかと言われているが番号が飛び飛びである事や、搭乗するパイロットが果たして居たのかどうかについては最終話の放送が終了した現在でも疑問が残る。
また、別の説として「3人が過去に所属していた部隊で使用していた番号」というものがある。ヒルダ、マーズ、ヘルベルトの過去については「旧クライン派」だったという以外ほとんど語られていないが、その旧クライン派時代、もしくはザフト軍の特定の部隊に所属していた時代にナンバーを与えられており、現在でもその時のナンバーに思い出(誇り?)があるのでドムトルーパーにも当時と同じナンバリングを施すよう頼んだのではないかというのがこの説である。(ナンバリングが飛び飛びなのは抜けているナンバーのパイロットがクライン派への転向を拒んだ、もしくは既に戦死または退役しているからという内容で説明が可能である。)
なお、この機体のモチーフとなったMS-09ドムのパイロットである黒い三連星の面々も、かつて自らが所属していた部隊での番号を引き続き使用していたという可能性が、バンダイから発売されている模型・『MG(マスターグレード)・高機動型ザクII(黒い三連星仕様)』の取り扱い説明書内の解説文に記されており、本機がドムをオマージュしたものならば、この説の有力性は決して低くはないといえる。
[編集] 武装
- MMI-GAU25A 20mmCIWS
- 両肩部に装備された近接防御バルカン砲。ZGMF-X56SインパルスやX23Sセイバーに装備されたものと同型。
- MX2351 "ソリドゥス・フルゴール" ビームシールド発生装置
- 先述の通り、ストライクフリーダム製造時の技術を流用して製造されたものであり、本来のドムにはない装備である。
- しかし、実体型のシールドを必要としなくなったため、機体重量の軽減と、シールド用部材の節約などの運用面での効率化を実現し、そしてC.E.世界の量産機としては破格の防御力を獲得した。なお、(宇宙世紀から通して)ドム系列の機体でシールドを装備したのは本機が初めてである。
- JP536X ギガランチャーDR1マルチプレックスバズーカビームハイブリッドガン
- 砲身上部に実体弾、下段にビーム発射口がある連装式構造の大型バズーカ砲。
- 設計段階では専用ウィザードとの連動を想定していたらしく、さらに大型であった。
- 腰部にマウント可能。
- G14X31Z スクリーミングニンバス
- 左胸部に装備されているコロイド技術を応用した攻性防御装置。
- ビームと同じ性質を持つ特殊な粒子を散布することで、敵にダメージを与える攻性の防御フィールド(ビームサーベルを幕状に展開したようなもの)を形成する。
- これにより敵を撹乱し、攻撃のチャンスを生み出す事ができる。
[編集] イージーウィザード
- MA-X848HD 強化型ビームサーベル
- 背部イージーウィザードに1本装備されているビームサーベル。
- インパルスなどのセカンドシリーズMSに装備されたものよりも旧式だが、出力を強化したことにより同等以上の性能を発揮できるようになっている。
[編集] 劇中での活躍
劇中にて数機の機体が組み立て中の状態で登場。しかしエターナル出航の際にはまだ最終調整が終わっておらず、「ファクトリー」で極秘裏に調整が進められていた。
ロゴス盟主ロード・ジブリールの身柄引き渡しを名目にしたザフト軍のオーブ侵攻作戦(オペレーション・フューリー)の最中、ヒルダ、ヘルベルト、マーズの乗る3機が宇宙から降下ポッドによりザフト軍勢の真っ只中に降下、参戦。複合バズーカや腹部ビーム砲、ビームシールドを駆使した『ジェットストリームアタック』(三位一体の連携攻撃)をはじめとした絶妙なチームワークと強力な武装、その重量感からは想像も出来ないほどの高い機動力により圧倒的な戦闘力を発揮、戦場を嵐の如く駆け抜けザフトのザクウォーリアやグフイグナイテッド、アッシュ等の新鋭MS隊を怒涛の勢いで葬り去った。
クライン派のオーブ編入に合わせて本機もオーブ軍の所属となり、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルの提唱する『デスティニープラン』を巡る月面での決戦においては、ルナマリア・ホークの乗るX56S/αフォースインパルスをジェットストリームアタックにより一時的に追い詰めた(撃破には至らなかったので「追い払った」と言える)。最終話でもザフトのグフイグナイテッドやザクウォーリアを連携攻撃で多数撃破、この三機やオーブ軍アカツキ等の活躍で月面付近のザフト艦隊は壊滅した。結果的に三機共損傷らしい損傷もせずにパイロットも生存している事が確認されている(キラ・ヤマトとアスラン・ザラはそれぞれ、序盤戦ではミーティアとの合体状態で多数のMSを撃破したものの、途中からはレイ・ザ・バレルやシン・アスカとの直接対決に集中していた為、この攻防戦におけるモビルスーツ撃破数は彼等より遥かに上と思われる)。ちなみに、特別編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY FINAL PLUS~選ばれた未来~』ではヒルダ機が激戦の中、被弾している(ヒルダ自身は無事だった)。
余談ではあるが、このジェットストリームアタック、及びそれに類する戦法は専ら、敵役もしくはそれに相当する機体が主役機に向けて仕掛けられることが多い。そのため、決まった、即ち目的を完遂した図は殆ど描かれていなかった。その意味で本作では、主に雑魚役相手とはいえ「ジェットストリームアタックは、キマれば凄い」という図をこれまでのガンダムシリーズを通して“初めて、といってもいいほどに”描ききった事になる(※『ジェットストリームアタック及びそれに類する戦法』と『目的を完遂した』という点をどうとらえるかにより、意見は分かれるであろう)。
[編集] バリエーション
[編集] オリジナル仕様ドムトルーパー
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSV』に登場するMS。(型式番号:ZGMF-XX09T)
[編集] 機体解説
クライン派及びオーブ軍のMSとして活躍したドムトルーパーの本来の姿で、コンペティションの段階では、この姿となっていた。ファクトリーで生産されたドムトルーパーとは違い、ビームシールドではなく、通常の実体シールドを装備しており、ナイトウィザードと呼ばれる専用の換装パックを装備されている。
なお、クライン派の工作によるものか、現時点で開発データは失われているが、ザフトの開発セクションには試作されたXX09Tが2機現存しており、この機体をリバースエンジニアリングしてデータを再構築する提案もなされたが、実行には移されていない。
[編集] 武装
- JP536X ギガランチャーDR1マルチプレックス
- 砲身上部に無誘導ロケット砲弾、下段にビーム発射口がある連装式構造の大型バズーカ砲。
- 無誘導ロケット砲弾は、ウィザード内の弾倉から引き出されたベルトリンクにより供給される。
- 毎分100発の高速連射が可能である。
- 砲身下部のビーム砲は、同時にデジネーター兼アンチセンサー用ダズラーとしても機能する。
- ドリルランスMA-SX628フォーディオ
- XX09T専用に開発された白兵戦用兵器で、いわゆる奇想兵器に分類されるもの。
- 超硬合金製のドリル状弾頭部は標的に貫入すると同時に基部のロケットモーターの推力により高速回転し、標的内部に侵入。その後、グリップから切り離され、標的内部で爆発する。
- 残されたグリップには新たな弾頭を装着し、繰り返し使用することが可能。
- G14X31Z スクリーニングニンバス
- 左胸部に装備されている攻性防御装置。
- 設計段階からこの装備は健在であった。
- 対ビームシールド
- 対ビーム微細トレッド処理を施されたオーソドックスなシールド。
- 中央に穴が空けられており、そこにドリルランスを通した状態で標的に突撃することが可能。
[編集] ナイトウィザード
型式番号EX-G1。ドムトルーパーの運用のために設計された専用ウィザード。ザクに見られるウィザードのような追加武装ではなく、武装コンテナとしての役割を持つ。
ギガランチャーの弾丸と、ドリルランスの弾頭部を多数収容することができる。
以上で、作品の核心的な内容についての記述は終わりです。
[編集] 関連項目
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