ドラゴンバスター
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『ドラゴンバスター』は、1985年1月にナムコ(現・バンダイナムコゲームス)よりアーケードゲーム用として発売されたアクションゲーム。
タイトル画面には「Copyright 1984」という表示があるが、これは開発及びロケテストが1984年に行われたため。
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[編集] 概要
ドラゴンバスターとは、直訳すれば「竜を退治する者」の意味だが、各ステージのラストに待ち受けるドラゴンを倒すため、旅をする勇者を題材としている。スピード感のあるアクションと、並み居る雑魚敵をなぎ倒しながらダンジョンを駆け抜け、頻繁に現れるルームガーターと呼ばれる中ボス的な敵と一騎打ちになるなど、メリハリの利いた演出が特徴。当時コンピュータRPGやアクションRPGの流行でファンを増やしていたヒロイック・ファンタジー的な内容により人気を博した。
オリジナルアーケード版のプログラマーは現在SF作家である大場惑である。ナムコ自身の手によりファミリーコンピュータをはじめMSX2、プレイステーション、プレイステーション・ポータブルなど数々の家庭用ゲーム機やパソコンに移植された人気作品。ファミコン版はカセットは金色をしており、人目を惹いた。また電波新聞社からはFM77AVシリーズにも原作に忠実に移植されている。
ファミコン版は別物と言ってもいいほど内部処理が異なっている他、アイテムや敵の種類増加や謎解き要素が盛り込まれていた。MSX2版はハードウェアの仕様によりスクロール画面ではなく画面切り替え方式だったが、ファミコン版の移植といえる内容である。
プレイステーションには、同作品をモチーフにした別作品もリリースされている(後述)。
なお、企画段階では『ドラゴンクエスト』もタイトル案のひとつに上っていた。
[編集] ストーリー
ドラゴンに人質にされた王女セリアを助けるため、主人公のドラゴンバスターの青年「クロービス」が冒険をする物語。しかしそこに至るためには何匹ものドラゴンのいる山を抜けねばならず、その山に至る道も洞窟や墓場や塔などに魔物たちが住み着いている。果たしてこれらの苦難を抜けて、主人公は王女を助けられるのだろうか?
[編集] ゲーム内容
ゲーム自体はサイドビュー(横から見た図)アクションゲームで、プレイヤーは主人公クロービスが持つ剣で敵を切って進むゲームである。クロービスは歩く・走る・ジャンプする・しゃがむ・ツタやロープをよじ登るといった動作をし、更に空中でもう一度レバーを上に入れることで「2段ジャンプ」をすることが出来、ジャンプ中にレバーを下に入れて剣を振ると「垂直切り」や「かぶと割り」と呼ばれる攻撃力の大きな技を出す事ができる。この他、巻物を手に入れることで、回数制限があるもののファイアボール(魔法)を使ったり、剣や盾・マッシュルームといったアイテムを取ると、戦いが有利になる要素が組み込まれていた。
各ステージでは、プレイヤーはドラゴン山に辿り着くため、途中の道のりに幾つもある迷路状のダンジョンに潜っては、通路をうろつくモンスター、更には途中の部屋に潜むルームガーダーと呼ばれるモンスターを倒しつつ出口を探し出す。
時間制限があり、出口を探し当てるまでに、もしくは出口出現後に一定時間を過ぎると警告音とともにBGMが替わり、ワニに似たモンスター「ケイブシャーク」が突然現れて主人公に噛み付きバイタリティーを削り取る。これは永久パターン防止の為なのだが、実はケイブシャークは倒せる上に得点もついてしまい、その存在を利用した永久パターンが存在する。永久パターン防止キャラクターとしての役目を果たしていないばかりか、その行為に拍車を掛ける、本末転倒な存在だった。
プレイヤーは一定のバイタリティを持ち、敵の攻撃などを受けることで減少、ダンジョンを抜けるたびに少し回復する。バイタリティが無くなるとゲームオーバー。最後にドラゴン山のドラゴンを倒すと一つのステージクリアとなる。
ステージ開始前には、ドラゴン山までの経路を示すラウンドマップが表示されてドラゴン山までのルートを選択できる(ただし、途中のステージからはマップが大きくなるため、ドラゴン山までの道順は移動しながらでないと分からない)。ルートはプレイヤーの選択で選ぶ事が出来、アイテムが多いがダンジョンが複雑なルートや、比較的攻略しやすいステージなどがあった。全12ステージ。
各ステージ最後のドラゴンには各々、頭・首・腕・胴・足・翼といった弱点があり、これを効率よく攻撃する事が、攻略の鍵となった。なおアーケード版では、セプター(王杓)などのアイテムを持っていないと次ステージのドラゴンに助け出した姫がさらわれたり、王冠を持っていると姫が主人公に接吻したりといったオマケ要素も盛り込まれていた。
[編集] アーケード版とファミコン版の違い
1987年1月にはファミコン用ゲームソフトとして発売された。アーケード版との違いは以下の通り。
- 主人公を含め基本的なアルゴリズムが異なる。
- 主人公のコスチュームの色が異なる。
- マップモードの建物が小さく表示されたことだけでなく扉、森林の障害物が配置されている。
- アイテムの種類が増えた。
- 登場するモンスターも一部変更された。
- 特定のアイテムを取らないとコンティニューができない。
- 裏面があり、ラウンド13からになっている。ちなみに裏面も表面同様12ステージあり、最終面は24面である。マップの色は黄緑。
[編集] 登場キャラクター
- クロービス (CLOVIS)
- セリア姫 (CELIA)
- 侍女(LADY)
- ファミコン版のみ登場。3、6、9ラウンドをクリアすると助けられる。裏面ではセリア姫同様ヌード姿になっている。
[編集] モンスター
- バット (BAT)
- 天井付近に待機している蝙蝠。ときどきクロービスに向かって体当たり攻撃してくる。色違いの物もおり、耐久力が異なる。
- スネーク (SNAKE)
- 地上をはって移動する蛇。ときどきジャンプしたり噛み付いてきたりする。色によって攻撃パターンに違いが見られ、特に赤(マゼンダ)のものは良くはねる。
- リーペン (LEAPEN)
- ピョンピョンと飛び回るヒヨコの化け物。剣の届かない範囲で跳ねてたと思ったら、突然突っ込んで来るため、意外と厄介である。
- テストール (TESTOLL)
- アルマジロのような化け物。体を伸ばしている状態は動きが遅いが、丸まっている状態は高速で突進してくる。
- イノサイ (INOSAII)
- 高速で突進してくるサイ。急に止まったりバックしたり反転したりしてくる。執拗に追いかけてくる事がある。(MSX2版では不具合のため効果音が出ない)
- ゴーレム (GOLEM)
- ケイブシャーク (CAVE SHARK)
- 長時間同じ洞窟にいたり、出口を見つけても脱出しないでいると鋭い嗅覚で執拗に追いかけてきてクロービスに噛み付いてくる。ただし行動パターンに一定の癖があり、永久パターン防止キャラクターなのに永久パターンを生み出してしまっている事も。画面左右の横方向からのみ襲ってくるため、部屋の形状によっては出てこない所もある。
なおこのゲームでは、上記の敵モンスターは放って置くと幾らでも沸いて出るが、得点を稼いでもゲーム進行上のメリット(残機増加など)はないため、永久パターンはランキング登録以外には実質的に何の意味も成さない。
アーケード版のみ登場
- スティングレイ (STINGRAY)
- 地面をすれすれと飛行するエイ。下に通路などがあると落ちてくる。ときどきジャンプしたり噛み付いたりする。
- ウィル・オー・ザ・ウィスプ (WILL-O-THE-WISP)
- 敵を求めて漂い続けるモンスターの邪心。ブロック崩しのボールの動きをするものと、単にまっすぐ飛ぶのもいる。
- スライム (SLIME)
- 宙に浮く不思議な物体。剣では倒せない上に、スーパーソードで切り付けると一定確率で失う事がある。
- アイフル (EYEFUL)
- 暗闇で敵を見つける為の巨大な眼を持つモンスター。リーペンと比べて跳躍距離が長く、また横方向へのジャンプ速度も速い。
- クローラー (CRAWLER)
- 太陽の光を受けることなく幼虫のままで一生を終える巨大昆虫モンスター(イモムシ)。迷路内を動き回り、ときどき上体をそらして触角を伸ばして攻撃してくる。
- コレオ・クローラー (COLEO CRAWLER)
- 金色のクローラー。剣で倒すことができない。上体をそらさないまま触角で攻撃してくる。
ファミコン版のみ登場
- スパイダー (SPIDER)
- 洞窟内の天井をはいつくばって進む毒蜘蛛。近づいてくると襲い掛かってくる。
- シーフ (THIEF)
- 盗人のわりにはスーパーソードしか盗まない変わったモンスター。
- ロック (ROCK)
- 洞窟内を素早い動きで近づいたり遠ざかったりする一つ目モンスター。頭から小石を出して攻撃してくる。
- ゾンビ (ZOMBIE)
[編集] ルームガーダー
- ファフネル (FAFNIL)
- 体当たりや火炎攻撃で襲ってくる凶暴な小型竜。ジャンプすると上斜め方向にまで火炎を放射する。
- スケルトン (SKELETON)
- 剣を振り回して攻撃する骸骨の戦士。ファイアボールで倒すことができない。
- ウィザード (WIZARD)
- 空中を飛び回る魔剣とファイアボールで攻撃してくる魔法使い。剣はこちらの剣ではじき返す事もできる。ただし魔剣の連続攻撃で舞い上げられる事もしばしば。
- ビショップ (BISHOP)
[編集] ボス
- ドラゴン (DRAGON)
- 各ラウンドの最後に待ち構える巨大な竜。倒すとラウンドクリアとなる。
[編集] アイテム
[編集] アーケード版
- スクロール
- 巻物。取るとファイアボールのストックが一つ増える。敵を貫通して倒す事ができる性質を持ち、発射後に走って追いかける事で、序盤ステージの一直線ダンジョンではほとんど剣を使わずにクリアすることもできる。ちなみに4つのファイアボールのものは、回転する性質を持つファイアボールスペシャルという。スペシャルの方は回転しながら画面上の敵をなぎ払え、ドラゴンに接近して発射すると、より大きなダメージを連続して与える事ができる。通常のファイアボールかファイアボールスペシャルのどちらになるかはスクロールを取ってからでないと分からない。
- ジュエリー
- 取ると3000ptsの得点がもらえる。
- 青い薬
- バイタリティが30回復するものと60回復する二種類がある。
- 赤い薬
- 毒薬。バイタリティが30減ってしまう。
- マッシュルーム
- バイタリティの容量が16加算されるキノコ。上限は256まで。
- シールド
- ウィザードの魔剣やファイアボールのダメージを少なくする盾。ただしファイアーボール攻撃では一定確率で失う事がある。(クラウンを消滅させる力もある)
- スーパーソード
- これを取ると剣の威力が二倍になる。ただしウイザードの操る剣に対して振ると、一定確率で失う事がある。(セプターを消滅させる力もある)
- セプター
- セリア姫を助けるのに必要な杖。(スーパーソードを消滅させる力もある)
- クラウン
[編集] ファミコン版
マジックアイテム(MAGIC ITEM)
- スクロール
- ファイアボールを放つ。
- 杖
- サンダーボルトを放つ。目の前のみならず、その奥にいるモンスターにもダメージを与えられる。
- ランプ
- 火柱攻撃でダメージを与える。
- アミュレット
- 画面上のモンスターを石化。
- リング
- 聖杯
- 洞窟の外へ脱出できる。ただしドラゴン山では脱出できない。
- 王冠
- 地震だけでなく雷まで呼び起こす。
即効アイテム (ITEM)
- ジュエリー
- 取ると経験値が加算される。
- 青い薬
- 取るとバイタリティが回復。
- 黄色の薬
- 毒薬。バイタリティが減ってしまう。
- キノコ
- バイタリティの容量が加算される。
ユーティリティアイテム(UTILITY ITEM)
- シールド
- ウィザードの魔剣やファイアボールのダメージを少なくする盾。
- 鍵
- マップモードの扉を開ける。
- 斧
- マップモードの森林を伐採するのに必要。
- 薬草
- バイタリティが0になったときに役に立つアイテム。
- コンパス
- 持っていると出口の場所の方向を教えてくれる。
- 水晶
- マップモードにさら地になった場所に虹をかける。
- 日記帳
- 1冊もっているごとに1回のコンティニューが可能に。
[編集] 関連作品
井沢元彦による小説版『ドラゴンバスター』(1987年、角川文庫)や古川尚美によるゲームブック版(東京創元社)が存在する。
2005年に発売されたナムコのRPG「テイルズオブジアビス」で、ミニゲームの一つとして、この「ドラゴンバスター」が再現されている。