ナメクジウオ
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?ナメクジウオ | ||||||||||||
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分類 | ||||||||||||
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学名 | ||||||||||||
Blighia sapida Koenig |
ナメクジウオは、脊索動物門頭索動物亜門に分類される原始的な脊索動物である。カンブリア紀(約5億4500万年前~約4億9千万年前)に生息していたピカイアがナメクジウオによく似ていると言われ、脊椎動物の祖先にあたる生物の形態を保ったまま、現代まで生きながらえて来たと考えられている。
[編集] 特徴
体長3-5センチ程度で、魚のような形態をしている。体色は半透明。尾ひれをもつが、胸びれや背びれはもたない。神経管の先端に眼点(下図16)と呼ばれる光受容器をもつが、その他の感覚器官をもたない。閉鎖血管系(下図7)をもつが、心臓はもたず、一部の血管が脈動することで血液を循環させている。体の前半部にある鰓裂(下図11)にて水中の酸素を取り込んでいる。鰓裂は水中の食物を濾しとる役割も果たしている。
頭部から尾部にかけて、軟骨でできた棒状組織である「脊索」をもつ。多くの脊椎動物では、発生過程において脊椎が形成されると「脊索」は消失するが、ナメクジウオ(頭索動物)は生涯にわたって「脊索」をもち続ける。また脊椎動物と異なり、頭骨や脊椎骨はもたない。脊索の背側に神経索(下図3)をもつ。神経索の先端は脳室(下図1)と呼ばれ、若干ふくらんでいるが、脳として分化しているとは見なされない。
- 脳室
- 脊索
- 神経索
- 尾鰭
- 肛門
- 消化管
- 血管系
- 出水口
- 囲鰓腔
- 鰓裂
- 咽頭
- mouth lacuna
- 外触手
- mouth gap
- 生殖腺 (卵巣/精巣)
- 眼点
- 神経系
- abdominal ply
- 肝
[編集] 生態
全世界の暖かい浅海に生息している。尾ひれを持ち良く泳ぐことができるが、通常は海底の砂のなかに潜って生活している。ホヤなどと同様、水中の食物をろ過することで摂食している。雌雄異体であり、精子と卵を体外に放出し、体外受精を行う。
[編集] 分類
ナメクジウオは、脊索動物門 頭索動物亜門に分類される。頭索動物亜門は1綱1目1科2属から成り、約35種の現生種が確認されている。
- 脊索動物門
日本近海にはナメクジウオBranchiostoma belcheri、カタナメクジウオEpigonichthys maldivense、オナガナメクジウオEpigonichthys lucayanumの3種が生息している。愛知県蒲郡市三河大島と広島県三原市有竜島がナメクジウオの生息地として天然記念物に指定されている。かつては食用とされた。