ビーバー
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ビーバー科 | ||||||||||||
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属・種 | ||||||||||||
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ビーバーは、ネズミ目(齧歯目)、ビーバー科に属する哺乳類の総称である。
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[編集] 生態
水辺の木をかじり倒し、そこに泥や枯枝などを加えることで大規模なダムを作る。ダムの中央部に巣があり、出入り口は水中にある。このような習性から、「自分の生活のために周囲の環境を作り替える、人間以外の唯一の動物」だとも言われる。
ビーバーは体重30kgにも及び、ネズミ目のなかでも大型の部類に属する。水中の生活に適応しており、後ろ足には水かきがあり、平たく大きな尾はオールのような形をしており、舵の役割をする。ネズミ目では唯一、直腸・排尿口・生殖口を兼ねる器官である総排出腔をもつ。また、オスの睾丸は体内にあり、交尾期のみ外に出てくるため、外見でオス・メスの区別をするのは難しい。
ビーバー科にはビーバー属 Castor の1属のみが含まれ、北アメリカ大陸に生息するアメリカビーバー C. canadensis とヨーロッパ北部、シベリア、中国北部に生息するヨーロッパビーバー C. fiber の2種が属している。
[編集] 人との関わり
ビーバーの毛皮は柔らかいため、帽子の材料に用いられた。現在シルク・ハットと呼ばれる円筒型の帽子(材料にかかわらず「トップ・ハット」と呼ばれる)は、元はビーバーの毛皮で作られていた。ビーバー・ハットbeaver hat 、ビーバー・ハイ・ハット beaver high hat 、あるいは俗にカスター castor とも呼ばれたこの帽子は、17世紀以降作られ、長い間紳士には必携の帽子だった。このためビーバーの乱獲が進み、19世紀前半には年間10~50万頭が殺され、ビーバーの生息数は絶滅寸前まで減少した。
19世紀初頭、供給が減少したビーバーの毛皮の代わりに、表面をけば立たせて毛皮風に仕立てたシルクを用いた「シルク・ハット」がイタリアで考案されると、トップ・ハットの主流はシルクに移ったため、ビーバーの需要は衰え、アメリカやカナダで保護法が成立したこともあって、ビーバーの乱獲時代は終了した。
また、ビーバーの肉は食用にされた。 最も有名なビーバーの毛皮の供給元は、アラスカ中部のユーコン川に面したビーバー村であった。
また別の説としてキリスト教がビーバーを故意に魚類とし、乱獲されたという説もある。
[編集] 雑学
- そのダム作りの様子から、ビーバーはしばしば勤勉の象徴とされる。英語には、work like a beaver (ビーバーのように働く)という言葉がある。
- 日本のボーイスカウトでは、最少年代(幼稚園・保育園の年長~小学2年生)の隊をビーバースカウト(通称・ビーバー隊)と呼んでいるが、このビーバーから名づけた。
- 漢字では、『海狸』と書く。
[編集] ビーバーをモチーフにした作品
- 文学
- ベントリー・ビーバーのものがたり(絵本、文/マージョリー・W・シャーマット、絵/リリアン・ホーバン)
- キャラクター
- ゼンダビーバー…(ゼンダマン)
- アリストテレスとドン・チャック…(ドン・チャック物語)
- Toothy(トゥーシー)・Handy(ハンディー)…(HAPPY TREE FRIENDS)
- ビーバーさん…(ナルニア国物語)
- ボーズくん、ヤマビー…(ぼのぼの)
- ビッパ、ビーダル…(ポケットモンスター)
- うおまさ…(どうぶつの森)
- エアコン
- ビーバーエアコン(三菱重工業)