フォトカプラ
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フォトカプラ(Photocoupler)は電気信号を伝達する素子の一種で、その内部には発光素子と受光素子が収められ、外部からの光を遮断するパッケージに封じ込められている。フォトカプラは入力された電気信号を光に変換し、その光で受光素子を導通させることにより信号の伝達を実現する。一般的に発光素子には発光ダイオード、受光素子にはフォトトランジスタが用いられることが多い。IC製造技術を利用したDIPタイプが開発される以前は、フィラメント電球とフォトレジスタ素子を対向させ封止したものが用いられた。
その構造上、入力端と出力端は電気的に絶縁されるため、主として基準電圧が異なる回路間の信号伝達に用いられるが、素子の応答特性を利用して簡単なフィルタとして用いることもある。
[編集] 用途の例
- 装置の出力電圧の安定化のため、二次側の電圧変化を一次側の制御回路にフィードバックする必要があるが、この駆動回路と制御回路とを絶縁する目的で用いられる。
- FAコントローラ
- 高出力のモータ等が発生するノイズの影響を受けないよう絶縁するために用いられる。
- ミキサーやカフボックスにおいて、スイッチ切り替え時のノイズを防ぐために用いられるほか、電気楽器や電子楽器及び業務用音響機器のエフェクターにおいて、リミッター/コンプレッサーのレベル制御やトレモロの音量変化、フェーズシフターの抵抗制御素子などに用いられる。
- 真空管を利用した機器では発光側にネオン管、電球、EL発光素子を用いる場合がある。
- MIDI規格の信号伝送ではフォトカプラによる絶縁を規定している。
- 医用電子機器
[編集] フォトインタラプタ
類似の構成を持つものにフォトインタラプタがある。発光素子と受光素子を内部に封止せずに露出させ、封止パッケージの外部で対向させてある。素子間の遮光物検出を目的とする素子であり、フォトカプラに構成は似るが使途は異なる。自動販売機などで硬貨の通過検出など、ファクトリーオートメーション分野で多く使用される。受光素子が外光(可視光)に晒されており、その影響による誤動作を防ぐために検出光には赤外線が用いられている。