フランダースの犬 (アニメ)
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世界名作劇場 | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第1作 | フランダースの犬 | 1975年1月 ~1975年12月 |
第2作 | 母をたずねて三千里 | 1976年1月 ~1976年12月 |
『フランダースの犬』(フランダースのいぬ)は、1975年1月5日から同年12月28日までにフジテレビ系列の「世界名作劇場」枠で放映されたテレビアニメシリーズ。原作は同名の小説『フランダースの犬』。オープニングでの原作のクレジットはウィーダの本名ルイス・ド・ラ・ラメー。制作は日本アニメーション。
目次 |
[編集] 概要
ストーリーが悲劇的になるにつれ、テレビ局に主人公ネロが助かるよう嘆願する手紙が殺到した。最終回の視聴率はビデオリサーチ・関東地区調べで30.1%を記録。これは「世界名作劇場」枠内アニメの視聴率の最高記録である。現在でもラストシーンは悲劇の代表格として語られ、「なつかしのアニメ名場面特集」の特番では定番シーンとなっている。原作とアニメではネロやアロアの年齢設定に若干差異がある。原作ではネロは15歳、アロアは12歳だった。従って、当時ではネロは自活しようと思えば十分出来る年だったので、アニメにある必然性はなく、選択の余地があり、天に召されることを選択したようである。副題も”クリスマスの話”となっている。
なお、原作はストーリーが風車小屋の火災前くらいからスタートしているため、第42~43話まではアニメオリジナルストーリーという異質の作品である。(主人公の性別が変えられたりすることはあってもここまでオリジナルストーリーが続く世界名作劇場の作品は少ない。) しかも、原作ではジェハンじいさんはネロが小さいころにもうすでに動ける状態ではなかった模様。パトラッシュを拾ってきた経緯は変わらないものの、拾ってきた年代が異なる。 原作ではパトラッシュはネロが2歳のころにジェハンじいさんが金物屋から譲ってもらったもの(厳密には法外な取引をしたと思われるが、その内容については作中にない。) 下記でも説明しているが、この金物屋についての処遇も異なる。原作では酔っ払った勢いで起こした喧嘩によって殺されている模様。原作では風車は、大火事ではなく、しかも保険金が支払われている。アニメオリジナルキャラクターが沢山登場していることも有名。これは次回作「母をたずねて三千里」でも同様である。
世界名作劇場唯一、主人公が字を書けた、読めたという立証性がない作品。(作中では読んだり、書けたりしているシーンもあるがそれを裏付けるシーンがない。)
ちなみに現在調査中ではあるが、世界名作劇場の主人公の中では各話の最終画面に最も多く登場している主人公である。(全52回中、43回最終画面に登場している)
[編集] 登場人物
- ネロ・ダース:喜多道枝
- 両親を幼くして亡くし、祖父のジェハンと2人で生活している10歳の少年。ジェハンに似て素直で正直な働き者である。また不幸な境遇や他人を恨まない、心優しい少年でもある。死にかけのパトラッシュを助け、以後一緒に生活する。絵を描く事が好きで才能もあるが、芸術に理解の乏しい一部の村人からは「絵ばかり描いて仕事をサボる怠け者」と思われている。ちなみに"ネロ"というのは愛称であり、原作では「ニコラス・ダース」で古い本では「ネルロ・ダース」と表記されていることがある。アニメでは第49話で下の名前が「ダース」だとわかる。
- 第30話にて貴婦人から手紙を受け取ったジョルジュとポールがネロにその手紙を渡すシーンがあるが、ネロはそこに書かれていた文字をすらすら読んでいるように見える。しかし、第37話で絵のコンテストが行われる際に掲示された内容に関しては全く読めない状態で、後にこのコンテストで優勝することになるキースリンガーよりどんなことが書かれてあるのかを教えてもらうシーンがある。ネロが字が読めたのかどうか?という点では、読めなかったという説が強く、どうして貴婦人から渡された手紙は読めたのか?謎のままである。さらには第52話のアロアにあてた手紙に関してもジェハンじいさんより字を習っていたわけではなく、ましてや字を覚えたというシーンもないため、いったいどうやって覚えたのか謎のままである。
- ジェハン・ダース:及川ヒロオ
- ネロの祖父。ネロの両親が死んでしまった後、ネロを引き取って一緒に生活している。若い頃軍隊に行っていたため、帰ってきてから仕事がなく、村の人の善意で牛乳運びをして、わずかな収入で生活を営んでいる。ネロの良き理解者。
- パトラッシュ
- 原作では「ブーヴィエ・ド・フランドル」という種類の労働犬で色は通常黒であるが原作は黄色となっている。頭が大きく耳は狼の様である。アニメではセント・バーナード。金物屋で酷使されていたが、死にかけたところをネロに助けられ、以後ネロやジェハンと一緒に毎朝荷車を引いて牛乳缶をアントワープまで運ぶ。
フランドル犬とセント・バーナードではかなり外見上イメージが異なる。子供になじみやすい外見にするためアニメでは犬種を変えたようである。 - アロア・コゼツ:麻上洋子(講談師名:一龍斎春水)→桂玲子
- 白い頭巾が愛らしい8歳の少女。とてもネロと仲が良くいつも一緒に遊んでいる。
- 第39話で一人でアントワープからブロッケン村まで初めて帰ったとされているが、それ以前(第4話)にネロと一緒にアントワープまで行っているため、この話に関してもかなり疑問の余地が残ったままである。
- コゼツ:大木民夫
- アロアの父親。村一番の金持ち。悪い人ではないのだが、娘がネロと付き合うのを好ましく思っていない。ネロに対して冷たくあたる。
- エリーナ・コゼツ:中西妙子
- アロアの母親。とても思いやりがあり、両親のいないネロに対しても親切を惜しまない。が、その親切をいつも夫のコゼツにとがめられるため、こっそりとネロを支援する。
- ハンス:村松康雄
- ネロの家の大家。靴屋の店主でもある。村で2番目に金持ちだが、いつもコゼツ旦那にはペコペコしその他の村人には威張りちらしている。アロアと仲良くしているネロを気に入らず、村で悪い事が起きる度にネロの仕業だと言いまわっている。風車小屋の火事の真の原因は彼の過失である。
- グレタ
- ハンスの妻、第24話のアロアの誕生日のみ登場している。
- ジョルジュ:駒村クリ子
- アニメオリジナルキャラクター。12歳。アントワープで知り合ったネロの親友。とても面倒見がよくネロの良きアドバイザーでもある。後に鍛冶屋の見習いとして働きに出る。
- ポール:菅谷政子
- ジョルジュの弟で、同じくアニメオリジナルキャラクター。6歳。ネロの友達で、いつもジョルジュにぴったりくっついている。元気で明るく、頑張りやだが、張り切りすぎて失敗することもある。
- アンドレ:白川澄子
- ハンスの1人息子。内気な性格で少し無責任。が、それほど悪い奴ではなく、仕事の無くなったネロを慰めてくれる。
- ノエル:永井一郎
- 風車直しの老人。頑固でたいそう変わり者だがネロには理解を示す。
- ミシェル:雨森雅司
- 森の中で一人で生活している木こり。ネロの数少ない理解者の一人で、ジェハン亡き後、ネロを引き取ろうとする。字幕ではミシェルになっていたり、ミッシェルになっていたりと統一していない。
- ヌレット:遠藤晴
- ネロの家の隣に一人で住んでいるおばさん。とても人がよく、ネロに対しても母親代わりとなるが、娘夫婦に引きとられて遠くに引っ越してしまう。
- 金物屋:飯塚昭三
- パトラッシュをこき使っていた前の飼い主。パトラッシュが死にそうになると捨ててしまったが、後にネロがパトラッシュを元気に回復させた事を知ると、パトラッシュの所有権を主張し、パトラッシュを譲る代わりに3フランもの大金を奪い取ってしまう。しかも金を奪っておきながらパトラッシュを盗もうともした。視聴者からの「彼に天罰が下るストーリーを入れるべきだった」という声も多い。 原作では金物屋は酔った勢いで起こした喧嘩が原因で死亡している。
- 第19話以降全く登場していない点も謎のまま。その後ジェハンじいさんがパトラッシュの代金を金物屋に支払い続けたのかどうかも謎のままである。
- ミレーヌ:藤田淑子
- ヌレットの娘。クロードと結婚し、今は馬車で3日もかかる遠方に住んでいる。母親思いだが、娘というよりは既にミレーヌ自身がおばさんに近い。
- クロード:富山敬
- ミレーヌの主人。優しそうな人だが何となく頼りなさそうに見える。
- ソフィア
- コゼツの妹でイギリスに住んでいる。
- アニー:岡本茉莉
- ソフィアの娘。ネロの絵を見て「遠近法がなっていない」と否定する。
- ダントン
- アントワープに住む商人、コゼツと取引をしている模様で、アロアの誕生日に大きな人形を送り届けている。第24話のみ登場。
- バートランド:田村錦人
- アロアが病気になった時に主治医をしていた先生。アロアの病気が薬や医者の力ではなく、ネロがアロアを力づける事で治ると見抜いていた偉大な先生。
- セルジオ:矢田耕司
- ヌレットおばさんが引っ越した後、隣の家に引っ越して来た人。悪い人ではないのだが結果的にネロの牛乳運びの仕事を奪ってしまう。
- ジェスタス:水鳥鉄夫
- ネロの村に住む農夫。ネロをいつもかわいがっているとても親切な人。字幕では最初に登場した時にはジェフタフと表示されていたが、次に登場したときはジェスタスに修正されている。
- イザベル:鈴木れい子
- ジェスタスの妻。ジェスタスと同様にとても親切な人のようだ。
- ヘンドリック・レイ:家弓家正
- ネロがおじいさんの絵を応募したコンクールの審査員。彼だけはネロの絵を一等に薦めたが、他の審査員の反対にあい惜しくもネロの絵は落選する。しかしネロの才能が捨て切れずネロを引き取って絵の勉強をさせようとするが…。
- クロ
- ヌレットの家で飼われているイタズラ好きなアヒル。いつもヌレットに迷惑ばかりかけている。後に、ポールが預かることになる。
- ダックス
- アンドレの飼っている犬。ハンスがアンドレのために購入している模様。
- ロバ公
- ノエルの飼っているロバ。
[編集] 主題歌
- よあけのみち(オープニングテーマ・エンディングテーマ1)
- どこまでもあるこうね(エンディングテーマ2)
- 歌:大杉久美子、作詞:岸田衿子、作曲:渡辺岳夫、編曲:松山祐士
[編集] 各話タイトル
- 第01話 少年ネロ
- 第02話 アロアと森へ
- 第03話 アントワープの町へ
- 第04話 新しい友達
- 第05話 パトラッシュ
- 第06話 がんばれパトラッシュ
- 第07話 スープをおのみ
- 第08話 ほえたよおじいさん
- 第09話 おもいでの鈴
- 第10話 アロアのブローチ
- 第11話 エリーナの花畑
- 第12話 おじいさんの小さな壺
- 第13話 ナポレオン時代の風車
- 第14話 夜空に描いた絵
- 第15話 古い帳簿
- 第16話 10サンチームの写生帳
- 第17話 丘の上の木の下で
- 第18話 いたずらっ子のクロ
- 第19話 金物屋が村に
- 第20話 どこまでも
- 第21話 船で来たお客さま
- 第22話 イギリスからの贈り物
- 第23話 アロアの誕生日
- 第24話 アロアの絵
- 第25話 アロアがいない
- 第26話 さようならアロア
- 第27話 アロアのいないクリスマス
- 第28話 親切な貴婦人
- 第29話 ルーベンスの2枚の絵
- 第30話 雪の中の約束
- 第31話 ネロの決意
- 第32話 大きなカシの木
- 第33話 こころの手紙
- 第34話 ヌレットおばさん
- 第35話 お帰りアロア
- 第36話 アロアのくすり
- 第37話 うれしい知らせ
- 第38話 ネロの大きな夢
- 第39話 心をつなぐ二つの旗
- 第40話 おじいさんの口笛
- 第41話 なつかしい長い道
- 第42話 となりに来た人
- 第43話 アロアのおてつだい
- 第44話 おじいさんへのおみやげ
- 第45話 ひとりぼっちのネロ
- 第46話 おじいさんの顔
- 第47話 風車小屋の火事
- 第48話 なくなった仕事
- 第49話 描けたよおじいさん
- 第50話 発表の日
- 第51話 二千フランの金貨
- 第52話 天使たちの絵
[編集] アニメ映画版
1997年に、日本アニメーションによってリメイクされ松竹配給により全国公開された。キャストはテレビ版とは異なる。
キャスト
- ネロ - 津村まこと
- ジェハン - 八木光生
- アロア(少女期) - 丹下桜
- アロア(成人期) - 鈴木保奈美
- コゼツ - 山本圭
- エリーナ - 岡江久美子
- ハンス - 平野正人
- ジョルジュ(少年期) - 亀井芳子
- ジョルジュ(青年期) - 森川智之
- ポール(少年期) - 渕崎ゆり子
- ポール(青年期) - 鳥海勝美
- アンソール(金物屋) - 富田耕生
- ヌレットおばさん - 中西妙子
- ミレーヌ - 八木亜希子
- アイク - 露木茂
- ステファン - 安達忍
- ジェスタフ - 峰恵研
- ジェスタフ夫人 - 竹口安芸子
- ホランド - 名取幸政
- ヘルモンド - 城山堅
- ネロの母 - 佐々木優子
- 審査員 - 大山高男、松尾貴史、伊集院光
- 画材店店主 - 緒方賢一
[編集] パロディ
- 同じフジテレビ系で放映された「ヤッターマン」では、本作のパロディ「フラダースの猫だコロン」(第23話、1977年6月4日放送)が作られた。奇しくも初代アロア役だった麻上洋子が同役のパロディ、ラロアを演じている。麻上の後を継いだ桂玲子は同作のレギュラーメンバーでもある。
- また、のだめカンタービレでは、マッチ売りの少女と共に、千秋の貧乏のイメージとして現れた。なお、原作もドラマも、その後のシーンでのだめがお風呂に入りながら「よあけのみち」を歌っている。
[編集] 外部リンク
世界名作劇場 | |
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カルピスまんが劇場: | どろろと百鬼丸 - ムーミン - アンデルセン物語 - 山ねずみロッキーチャック - アルプスの少女ハイジ |
カルピスこども劇場: | フランダースの犬 - 母をたずねて三千里 - あらいぐまラスカル |
カルピスファミリー劇場: | ペリーヌ物語 |
世界名作劇場: | 赤毛のアン - トム・ソーヤーの冒険 - 家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ - 南の虹のルーシー - アルプス物語 わたしのアンネット - 牧場の少女カトリ |
ハウス食品世界名作劇場: | 小公女セーラ - 愛少女ポリアンナ物語 - 愛の若草物語 - 小公子セディ - ピーターパンの冒険 - 私のあしながおじさん - トラップ一家物語 - 大草原の小さな天使 ブッシュベイビー - 若草物語 ナンとジョー先生 |
世界名作劇場: | 七つの海のティコ - ロミオの青い空- 名犬ラッシー - 家なき子レミ |
ハウス食品世界名作劇場(BSフジ): | レ・ミゼラブル 少女コゼット |
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