愛少女ポリアンナ物語
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『愛少女ポリアンナ物語』(あいしょうじょポリアンナものがたり)は、フジテレビ系列「ハウス世界名作劇場」の枠で放映されたテレビアニメである。放映期間は1986年1月5日から同年12月28日までの全51話。
原作はエレナ・ホグマン・ポーターの『少女パレアナ』および『パレアナの青春』。
どれだけ苦しい状況でも父親の教えである「よかった探し」をするポリアンナが印象的で前年の『小公女セーラ』に続くヒット作となった。 『[[小公女セーラ』と対照的に、この作品は明るくプラス思考なのがヒットした要因である。
なお、この作品から採られた心理学用語に「ポリアンナ効果」「ポリアンナ症候群」がある。
世界名作劇場 | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第11作 | 小公女セーラ | 1985年1月 ~1985年12月 |
第12作 | 愛少女ポリアンナ物語 | 1986年1月 ~1986年12月 |
第13作 | 愛の若草物語 | 1987年1月 ~1987年12月 |
目次 |
[編集] 作品概要
- 父を亡くして孤児となったパレアナ(ポリアンナ)が貧しさや不幸に負けずにがんばっていくという話。第一部が『少女パレアナ』、第二部が『パレアナの青春』を原作としている。但し、第二部は原作と年齢設定が異なるだけでなく、大幅に希望のある展開になっている(下記参照)。
[編集] 原作からの変更点
- 人物改変
- アニメ化する際の視聴者への受けや、放送時間の都合に合わせた改変は付き物である。まず名前の響きを理由にポリーの発音をパレーに変わっている。そのためポリーとアンナの姪だからポリアンナという設定が消滅した。また労働者サディは近所のお嬢様という役どころに変更になった。
- シナリオ改変
- 第1部は原作に忠実だったが、第2部後半からが半オリジナルになる。
- 原作ではボストン編終了後に登場人物が成長し、複雑で笑える恋愛ドラマに変化するのだが、アニメでは子供のまま家族愛についての展開を継続する。
- 最大の違いとしてはパレーに救いがあるという事である。原作での彼女は再婚したチルトンの死によって、前以上に歪み、なおかつ心が癒されないまま終了してしまう。ジミーとポリアンナの恋愛に関しても、元浮浪者であった彼を差別し結婚を許さないほどである。
- そして原作の場合、成長した彼らは就職もし様々な難関や優雅な生活を披露するが、アニメではチルトンの死後から非常に短い期間で終了する。
- また、原作で見られたギャグ小説的な奇抜な文章も影を潜め、監督のアレンジで泣かせ演出に変化した。
- 原作ラストではパレーを除く主要人物の結婚で盛り上がるのだが、例によって子供のままであったため、非常に煮え切らない終わり方で終了した。そのためこのアニメは第1部のみ紹介される事が多く、第2部の評価はあまり芳しくない。
[編集] その他
番組終了に使われる数秒程度の静止画アイキャッチ(「おわり」の文字を表示)では、長いことボロ着のメイド姿でバケツの水を運ぶポリアンナの画像が使われた。これは前年度の『小公女セーラ』を強く彷彿とさせるが、アニメ本編内で実際にこのシーンが使われた箇所はパレーおばさんの家を訪ねた初期などごく一部に過ぎず、無論メイドもののストーリーでもない。
[編集] 登場人物:キャスト
- ポリアンナ・フィティア:堀江美都子
- 「よかった探し」(どんな事が起きてもその中からよかったと思える事を探し出して明るく振る舞う事)が得意な天真爛漫な少女。しかし、周りの人の心配事を本気で考えられるやさしくしっかりした性格。幼くして両親と死別し、パレーに引き取られる。嬉しい事があるとドアを思いきり開け閉めする癖がある。よく走り回ってるせいか跳躍はバツグンである(OP最後のパレーに飛び込んで抱きつくシーンでは数メートルは飛んでいる)。放送終了後も愛の若草物語のエイミーと角川版世界名作アニメ全集のCMをした。
- ジョン・フィティア:田中秀幸(青年期:関俊彦)
- ポリアンナの父で牧師。「よかった探し」をポリアンナに教えるが、ポリアンナが8歳の時に病気で亡くなる。
- ジェニー・フィティア:渡辺菜生子(青春期:土井美加)
- ポリアンナの母親。ポリアンナが4歳の頃に亡くなる。2人姉妹のハリントン家の長女として莫大な財産を継ぐ事が約束されていたが、貧乏なジョン牧師と駆け落ちする。以後、ハリントン家では次々と不幸が訪れてしまったため、妹のパレーから恨まれる事となる。
- カレン:工藤夕貴
- ポリアンナが西部にいた頃の友人。
- ホワイト:阪脩
- ポリアンナの隣に住んでいる優しいおじさん。ジョン牧師亡き後、ポリアンナを引き取ろうとするが…。
- ホワイト夫人:寺島信子
- ホワイトの奥さん。ポリアンナにはいつも厳しくお行儀や裁縫などを学ばせようとする。しかしそれはポリアンナの事を思って言っているのであって、本当は優しい人。
- ルイス
- 教会の婦人会のおばさん。ジョン牧師が倒れた時にポリアンナの世話をしてくれる。
- カー牧師
- ジョン牧師亡き後に教会の牧師としてやってきた牧師。
- パレー・ハリントン:野沢雅子(青春期:室井深雪→岡本麻弥)
- ジェニーの妹であり、ポリアンナの叔母。義務を感じてポリアンナを引き取る。ジェニーの事が好きだったが、ジョン牧師が姉と結婚して以来、ハリントン家に不幸が訪れるようになり、ジョン牧師の事をたいそう憎んでいる。その為ジョン牧師の娘であるポリアンナの事もいじめていたが、ポリアンナの明るさに次第に心引かれていく。
- ナンシー・ハートレー:潘恵子
- ハリントン家で雇われているメイド。1年前に父親が亡くなり病気の母と弟と妹の生活費を稼ぐ為にメイドとして働きに出る。足で蹴ってドアを閉めたりとメイドとしては失格だが、とても心の暖かい人で、ポリアンナがパレー夫人にいじめられるのが可哀想でたまらず、いつもポリアンナの味方をしてくれる。田舎育ちで、言葉が訛っている。
- ティモシー・ペイソン:堀秀行
- ハリントン家で御者として雇われている青年。トランペットが得意。
- トム・ペイソン:緒方賢一
- ティモシーの父親で、息子と同じくハリントン家で庭師として働いている。多少頑固なところはあるがとても心の優しいおじいさん。ハリントン家に長年仕えているため、ハリントン家に起きた悲劇を知る数少ない1人。
- ダルギン・ペイソン:近藤高子
- ティモシーの母親で、息子と同じくハリントン家で働いている。
- ジョン・ペンデルトン:銀河万丈
- ベルディングスビル一番の大金持だが誰とも口をきかず1人でひっそりと生活している。それを気にしたポリアンナにつきまとわれているうちに、しだいに心を開いていく。
- エツラ:京田尚子
- ペンデルトン屋敷で働く家政婦のおばあさん。とても耳が遠いが、自分の悪口を言われた時だけは聞こえる。
- スノー夫人:中西妙子
- 病気で寝たきりのおばさん。見舞いに来てくれた人にいつも愚痴ばかり言っているのでみんなから嫌われている。しかし、ポリアンナが教えたよかった探しをするうちに、馬車で外出できるまでに回復。愚痴っぽい性格もなくなっていった。
- ミリー:荘真由美
- スノー夫人の娘。内職をしながらスノー夫人の世話をしている。
- ジミー・ビーン:山田栄子
- 父親に先立たれて孤児院で生活している元気な少年。ポリアンナの親友で、多少怒りっぽい性格だが、とても思いやりがある。
- トーマス・チルトン:田中秀幸
- ペンデルトンの主治医。ジョン牧師と容姿や声が似ているため、ポリアンナは父の面影を感じ、慕っている。昔パレーと恋人同士だったが、些細な事でケンカ別れしてしまう。以来14年間、2人は独身を続けるが…。
- ハロルド
- チルトン先生の助手兼看護人。
- ウォーレン:辻村真人
- ベルディングスビルの町医者。ポリアンナを診察し、ニード先生を紹介する。
- ニード
- ニューヨークの偉い医者。しかし、彼もポリアンナの怪我を治す事はできなかった。
- メリー
- ボストンの病院でポリアンナとほぼ同じ時期に手術を受けた女の子。手術をとても恐がっていたが、ポリアンナに励まされる。
- エームス:村松康雄
- ポリアンナの手術を担当した先生。チルトンの大学の先輩。
- デラ・ウェザビー:吉田理保子
- ポリアンナを担当した看護婦。少しおせっかいなところはあるが、ポリアンナを姉の特効薬としてボストンに送り込む。
- ルース・カリウ:池田昌子
- デラの姉。ポリアンナと知り合った時の年齢は29歳。大都会ボストンに1人で住んでいる大金持。しかし両親や主人、子供に先立たれ、生きる望みを失って不幸な毎日を過ごしている。甥のジェミー・ケントを探している。
- メアリ:安達忍
- カリウ家に雇われているポリアンナ専属のメイド。とても親切でポリアンナにも暖かく接する。
- パーキンス:キートン山田
- カリウ家で雇われている運転手。
- ブリジット:佐久間なつみ
- カリウ家でメイドとして雇われているおばさん。料理や給仕、洗濯をしている。
- スージィ:高田由美
- カリウ家でメイドとして雇われているお姉さん。料理や給仕、洗濯をしている。
- サディ・ディーン:佐久間レイ
- ちょっとわがままなお嬢様育ちの女の子。カリウ家の隣に住んでいる。
- ベス
- サディーの家のメイド。
- ミッキー・モルフェイ:頓宮恭子
- ボストンの新聞売りの少年。ポリアンナがボストンの町で迷子になった時に助けて以来、ポリアンナと友達になる。原作ではジェリーという名前である。
- ジェミー:渡辺菜生子
- モルフェイ横丁に住む若君。ミッキーにはジェームスと呼ばれている。足が悪くていつも車椅子で生活している。5年前に父を亡くしている。嬉しいことがあった時は、ノートに記録している。
- カーヤ:片岡富枝
- ミッキーの母親。リウマチに苦しみながらも一生懸命働いている。父親に先立たれて1人になってしまったジェミーの面倒も見ている。クレジットでは何故か「ベティー」となっている。
- ハリー
- カリウ家の顧問弁護士。ジェミー・ケントの消息を調べている。
- チップマック
- ポリアンナの飼っているシマリス。西部から連れてきた。一応冬には冬眠するらしい。
- タリム
- ペンデルトンの飼っている犬。種類はラブラドール・レトリーバー。飼い主に似てちょっと恐い顔をしているが、性格は優しい。
- コニー
- チルトン先生の飼っている馬。
- マック
- ジミーの乗っている馬。
- ナレーター:中西妙子
[編集] スタッフ
- 製作:本橋浩一
- 製作管理:高桑充
- 企画:佐藤昭司、久保田栄一(フジテレビ)
- プロデューサー:中島順三、石川泰平
- 監督・演出:楠葉宏三
- 脚本:久貴千彩子
- キャラクターデザイン/作画監督:佐藤好春
- 美術監督:川井憲
- 撮影監督:森田俊昭
- 撮影:トランスアーツ
- 音楽:小六禮次郎
- 整音:田中英行
- 効果:松田昭彦
- 録音監督:山田悦司
- 特殊効果:義山正夫
- 録音システム:音響映像システム
- 現象:IMAGICA
- スタジオ:太平スタジオ、アバコスタジオ
- 企画制作:日本アニメーション、フジテレビ
[編集] 主題歌・挿入歌
- OP
- し・あ・わ・せカーニバル(歌:工藤夕貴)
- 作詞:岩里祐穂、作曲:芹澤廣明、編曲:和泉一弥
- 微笑むあなたに会いたい(歌:工藤夕貴)
- 作詞:浅見純、作曲:鈴木キサブロー
- し・あ・わ・せカーニバル(歌:工藤夕貴)
- ED
- 愛になりたい(歌:工藤夕貴)
- 作詞:岩里祐穂、作曲:芹澤廣明、編曲:和泉一弥
- 幸福(歌:工藤夕貴)
- 作詞:三浦徳子、作曲:小杉保夫
- 愛になりたい(歌:工藤夕貴)
- 挿入歌
- 星屑のシャンデリア(歌:堀江美都子)
- 夢色天使(歌:堀江美都子)
- 作詞・作曲・編曲:小坂明子
[編集] 放映のリスト
- 教会の小さな娘 (1月5日)
- 死なないで父さん (1月12日)
- 丘の上の讃美歌 (1月19日)
- 見知らぬ町へ (1月26日)
- ナンシーの約束 (2月2日)
- 新しい服騒動 (2月9日)
- うれしいおしおき (2月16日)
- 不思議な紳士 (2月23日)
- 放っておけないわ (3月2日)
- 何とかしなくちゃ! (3月9日)
- ペンデルトンの森で (3月16日)
- スノー夫人の驚き (3月23日)
- おば様はお気の毒 (3月30日)
- 手鏡の思い出 (4月6日)
- 不思議な特効薬? (4月13日)
- 怒らないで!おば様 (4月20日)
- チルトン先生大好き! (4月27日)
- ペンデルトンの謎 (5月4日)
- 驚くべき秘密 (5月11日)
- 危ない!!ポリアンナ (5月18日)
- 恐ろしい宣告 (5月25日)
- 足が動かない!! (6月1日)
- よかったが探せない! (6月8日)
- もう一度歩きたい! (6月15日)
- 危険な手術 (6月22日)
- 死なないでポリアンナ (6月29日)
- 第一部完 愛になりたい (7月6日)
- 忍びよる影 (7月13日)
- さよなら!ベルディングスビル (07月20日)
- 大都会ボストンの生活 (7月27日)
- チップマックがいない! (8月3日)
- 迷子のポリアンナ (8月17日)
- チップマックはどこ? (8月24日)
- カリウ夫人の悲しい秘密 (8月31日)
- 若君ジェームス (9月7日)
- 路地裏の天使 (9月14日)
- 本当のジェミーが欲しい!! (9月21日)
- どうして幸福になれないの? (9月28日)
- さよならパーティ事件 (10月5日)
- たのしいボストン見物 (10月12日)
- 嵐のはじまり (10月19日)
- 失われた帰り道 (10月26日)
- 死なないでチルトン先生! (11月2日)
- 悲しみをのりこえて (11月9日)
- 荒れた花園 (11月16日)
- ジェミー=ケントの謎 (11月23日)
- 危険な遊び (11月30日)
- 助けて!ジェミー (12月7日)
- 解きあかされた過去 (12月14日)
- 僕がジェミーだ! (12月21日)
- 幸福はすぐそばに (12月28日)
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カルピスまんが劇場: | どろろと百鬼丸 - ムーミン - アンデルセン物語 - 山ねずみロッキーチャック - アルプスの少女ハイジ |
カルピスこども劇場: | フランダースの犬 - 母をたずねて三千里 - あらいぐまラスカル |
カルピスファミリー劇場: | ペリーヌ物語 |
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ハウス食品世界名作劇場: | 小公女セーラ - 愛少女ポリアンナ物語 - 愛の若草物語 - 小公子セディ - ピーターパンの冒険 - 私のあしながおじさん - トラップ一家物語 - 大草原の小さな天使 ブッシュベイビー - 若草物語 ナンとジョー先生 |
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