あらいぐまラスカル
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『あらいぐまラスカル』は、フジテレビ系の世界名作劇場枠で放送されたテレビアニメ。放映期間は、1977年1月2日から12月25日で全52話。11才の少年、スターリング・ノースとあらいぐまの「ラスカル」の友情物語とされるが、その一方で、自然と人間の共存の難しさに関しても触れている。尚、2007年4月3日よりテレビ神奈川(tvk)の、火曜~金曜8:00~8:30にて再放送。
世界名作劇場 | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第2作 | 母をたずねて三千里 | 1976年1月 ~1976年12月 |
第3作 | あらいぐまラスカル | 1977年1月 ~1977年12月 |
第4作 | ペリーヌ物語 | 1978年1月 ~1978年12月 |
目次 |
[編集] 作品概要
同アニメーション作品では、そのラスカルとの出会いから別れまでの1年間を1910年代(原作では1918年~1919年)のアメリカ農村地域を背景に、同時代の少年の日常を牧歌的に・または淡々と描写しつつ、同時に動物と人間との共存の難しさを、成長したラスカルを通して描いている。
- 原作は、スターリング・ノース(Sterling North)が1963年に少年時代を振り返って書いた「はるかなるわがラスカル」(Rascal)であり、ほとんどが実話である。この作品はダットン動物文学賞、アメリカ図書館協会オーリアンヌ賞を受賞。1969年に映画化されている(Rascal_(film))。なお「ラスカル」は「やんちゃ坊」という意味である。
- このアニメの影響で、本来日本にはいない北米原産のアライグマがペットとして持ち込まれた。その後飼えなくなったアライグマが山などに捨てられて野生化し、農作物への被害や既存の野生動物の生息を脅かすなどして問題となってしまった。現在、各自治体で駆除活動が行われている。
- パイロット版では、ラスカルの色設定は実際のアライグマにより近いものであった。しかし可愛くないためか、放映版では目のまわりが白くなり、レッサーパンダに近い色合いとなった。本放送当時発売されていたラスカルのグッズには、このパイロット版の絵柄に準じているものがある。もっとも原作のラスカル自体、レッサーパンダであるという説もあるが、この時代の北米大陸に野生のレッサーパンダが生息する可能性は低いと思われる。
- 2006年には本作を幼児向きにアレンジしたアニメ作品「ぽかぽか森のラスカル」が放送された。本編とは関係のない外伝的作品である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
動物の大好きな11歳のスターリングはある日、友人のオスカーや飼い犬のハウザーと一緒に、森の奥へ釣りに出かけ、そこで猟師が母親のアライグマを仕留める場面に遭遇する。そのアライグマには、まだ目も開かない幼い子供がおり、スターリングは猟師に頼んでこれを譲り受け、家に連れ帰って「ラスカル」と名付けミルクを哺乳瓶で与えるなど、大切に育てる。
やがて無事育ったラスカルは、親友のオスカー、隣家の少女マーサと馬のドニイブルックとも良く遊ぶようになり、「スターリングの変ったペット」として近所でも知れ渡るようになる。雑貨屋の息子でいじめっ子のスラミーは、人気者のラスカルをうらやみ、事ある毎にラスカルを譲り渡すよう強硬に迫るが、スターリングはボクシングでこれに対抗したため、一躍、近所の少年らから一目置かれる事と成る。鉄道駅の新駅長で越して来た家のお婆さんを助けた事で、この家のアリスという女の子と仲良くなれたりといった事件も起こったりしている。
だが仲がよく聞き分けもあり、イタズラも程度が知れていたラスカルも、大きくなってくると次第にその行動がエスカレート、近所の畑を荒らしたりするようになり、近所のサーマンさんにひどく憎まれ、射殺すると脅かされる。スターリングは大きな檻を作ってラスカルをその中で飼うことにするが、その後もサーマンさんはラスカルを目の敵にする。
ラスカルとの暮らしが1年になった時、父親の事業が失敗し、ミルウォーキーの姉の家に行くことになる。スターリングは泣く泣くラスカルを森に返す決心をし、手作りのカヌーを使って、人里へ二度と戻って来られないよう・また猟師に狙われなくて済むよう、森の奥深くにラスカルを連れて入っていった。
[編集] アライグマに関して
北米の山林地域を原産とするアライグマという動物は、その丸々としてユーモラスな容姿や餌を洗うという興味深い習性からは、想像もつかない程に気性の荒い動物だとされている。特に成獣となる頃には、同作品中でも触れられている通り、人間との共存は極めて困難であり、実際に飼育している愛好家筋によれば、噛まれたり引っ掻かれたりといったケガは日常茶飯事(しかも猫よりはるかに力が強い)だという。
ただ、飼育者らの弁に拠ればアライグマは臆病な動物であるため、犬や猫のように構うと非常に嫌がって暴れるのだという。無闇に触って刺激するのは止めた方がいいようだ。
また頭がよく閂程度なら前足を使って器用に開ける事も出来てしまうため、前出の野生化問題では様々な被害防止用の仕掛けも徒労に終わるとする報告も出ており、結果的に駆除(捕獲後に誰かに飼われるケースは稀である)する以外では被害を予防する方法は無いとされている。作中でも、周囲の畑にある作物を荒らしたりする被害が出た。
[編集] 関連事象
同作品は、アメリカ児童文学を格調高く映像化した事で極めて評価が高く、またラスカルの愉快な行動もあって、初放映から後四半世紀以上過ぎた今尚再放送されている通り、長く愛されている作品である。
このため日本国内で販売されている関連製品(キャラクターグッズ)は多く、2005年9月現在でも多数販売されており、また2003年、2004年にはセブンイレブンが販売促進のためにラスカル絵皿などのプレゼントを行っている。販促品としてそれらプレゼントグッズを特別生産して提供しても、充分に利益(弁当などの食品売り上げ拡大)に成るという点で興味深い。
また最近では、それぞれの県や観光地ごとに「御当地ラスカル」が発売されている。
その一方、単なる地上波テレビ放送だけではなく、有償で作品を視聴する事に成るレンタルビデオ店やビデオ販売店でも、必ずと言って良い程にビデオやDVDのシリーズが置かれており、店頭を占有するコストを超えて、一定の利益をそれら有償メディア提供側に発生させている。かつて同作品を見て育った世代が、安心して子供に見せられる作品として、自分達の子供に視聴させているようである。
2005年11月、日本アニメーション公認のキャラクターグッズとしてバンプレストから、アニメの最終話に登場するメスのアライグマをモチーフとした「ラスカル&ガールフレンド」がリリースされた。
[編集] 余談
同作品で、ラスカルの声(鳴き声)を担当することになった野沢雅子は、役作りのために動物園に行き一日中アライグマを観察したというが、その時学んだことは“アライグマは鳴かない”という事であった。しかしその後TVにおいて鳴き声をようやく聞くことが出来たため、それを真似たという。
また、アリスは原作には登場しないアニメオリジナルのキャラクターである。その他、アニメオリジナルのエピソードが追加されていたり、物語の展開が細部で若干異なっている。例えば冒頭では猟師は登場せず、スターリングとオスカーは母親アライグマとラスカルの「兄弟」たちの捕獲に失敗し、彼らは逃走している。スターリングのボクシングや、父親の事業の失敗と引越しなどもアニメオリジナルの要素である。
[編集] 登場人物(声の出演)
- スターリング・ノース(声:内海敏彦)
- ラスカル(声:野沢雅子)
- ウィラード(声:山内雅人)
- オスカー・サンダーランド(声:鹿股裕司)
- アリス・スティーブンソン(声:冨永み~な)
- クラリッサ(声:京田尚子)
- カール(声:野島昭生)
- フローラ(声:阪本真澄)
- スラミー・ステルマー(声:滝雅也)
- サーマン(声:永井一郎)
- ナレーション(声:坪井章子)
[編集] スタッフ
- 製作:本橋浩一
- 脚本:宮崎晃、佐藤嘉助ほか
- 監督:遠藤政治、斉藤博(第1話~第29話)、腰繁男(第30話~最終話)
- レイアウト:坂井俊一
- キャラクターデザイン:遠藤政治
- 絵コンテ:富野喜幸、奥田誠治、森光、御厨恭輔 他
- 作画監督:櫻井美知代
- 作画:宮崎駿他
- 動画チェック:前田英美、吉田十色
- 美術監督:井岡雅宏
- 背景:スタジオアクア、ムクオスタジオ
- 彩色:スタジオロビン
- 音楽:渡辺岳夫
- 録音監督:浦上靖夫
- 整音:中戸川次男
- 効果:石田サウンド(現:フィズサウンド)
- 撮影監督:黒木敬七
- 撮影:トランスアーツ
- 編集:瀬山武司
- 現像:東洋現像所(現:IMAGICA)
- 協力:アバコスタジオ、オムニバズ・プロモーション、APU(オーディオプライニングユー)
- 演出助手:横田和善、馬場健一、小園井常久
- 制作デスク:遠藤栄
- 製作担当:高桑充(日本アニメーション)別所孝治(フジテレビ)
- プロデューサー:中島順三、加藤良雄
- 企画:日本アニメーション株式会社
- 制作:日本アニメーション フジテレビ
[編集] 主題歌
- OP「ロックリバーヘ」(歌:大杉久美子、セントメリーチルドレンコーラス、コロムビアゆりかご会、作詞:岸田衿子、作曲:渡辺岳夫、編曲:松山祐士)
- ED「おいでラスカル」(歌:大杉久美子、作詞:岸田衿子、作曲:渡辺岳夫、編曲:松山祐士)
[編集] LPレコード
日本コロムビア1977年7月発売
歌とおはなしが、交互に収録されていた。
作詞:岸田衿子、作曲:渡辺岳夫、編曲:松山祐士
歌:大杉久美子、セントメリーチルドレンコーラス(1・8・10のみ)
- 1(歌)ロックリバーヘ
- 2(おはなし)ウェントワースの森で
- 3(歌)つりびより
- 4(おはなし)ノース家の裏庭で
- 5(歌)いたずらっこポー
- 6(おはなし)墓地のある丘で
- 7(歌)もえるゆうひ
- B面
- 8(歌)おはようドニイブルック
- 9(おはなし)ノース家の居間で
- 10(歌)すてきなカヌー
- 11(おはなし)ノース家の食堂で
- 12(歌)さよならをいうときがきたね
- 13(おはなし)コシュコノングの湖で
- 14(歌)おいでラスカル
後年同一内容のCDが発売された。
[編集] サブタイトル一覧
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[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- あらいぐまラスカル(日本アニメーション)
- あらいぐまラスカル(東京MXテレビ)
- 大好きなラスカルの部屋(「あらいぐまラスカル」ファンサイト)
世界名作劇場 | |
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カルピスまんが劇場: | どろろと百鬼丸 - ムーミン - アンデルセン物語 - 山ねずみロッキーチャック - アルプスの少女ハイジ |
カルピスこども劇場: | フランダースの犬 - 母をたずねて三千里 - あらいぐまラスカル |
カルピスファミリー劇場: | ペリーヌ物語 |
世界名作劇場: | 赤毛のアン - トム・ソーヤーの冒険 - 家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ - 南の虹のルーシー - アルプス物語 わたしのアンネット - 牧場の少女カトリ |
ハウス食品世界名作劇場: | 小公女セーラ - 愛少女ポリアンナ物語 - 愛の若草物語 - 小公子セディ - ピーターパンの冒険 - 私のあしながおじさん - トラップ一家物語 - 大草原の小さな天使 ブッシュベイビー - 若草物語 ナンとジョー先生 |
世界名作劇場: | 七つの海のティコ - ロミオの青い空- 名犬ラッシー - 家なき子レミ |
ハウス食品世界名作劇場(BSフジ): | レ・ミゼラブル 少女コゼット |
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