プーアル茶
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プーアル茶(普洱茶、Pu'ercha)は中華人民共和国雲南省南部を原産地とする中国茶(黒茶)の一種。チャコールグレー(暗褐色)に近い独自の色と香りがあり、美容にも良いとされている。
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[編集] 原産地
雲南省は茶樹そのものの原産地とされるが、プーアル茶も雲南省南部の少数民族ハニ族などの間で古くから伝わっていた。普洱市寧洱ハニ族イ族自治県の1500メートル以上の山間部を原産地とし、雲南省最南部のシーサンパンナタイ族自治州でも栽培されている。なお、普洱市は2007年4月8日に思茅市から改名された。
[編集] 製法
加熱によって酸化醗酵を止めた緑茶を、高温多湿の場所に置き、コウジカビで半年から2年醗酵させる。醗酵期間が長くなるほど、味はまろやかになる。原則として醗酵期間の長いものほど値段は高くなっていく。6年物、12年物などもある。一方でこの後醗酵によって独特の風味が生じるため、好まれないことも多い。
[編集] 効用
脂肪分解作用があるので、脂っこい中華料理を食べた後に飲むのがよいとされる。
天然サポニンとミネラル類を豊富に含み、肥満、脂肪の溶解、ダイエット効果、消化促進、整腸作用、二日酔い、胃のむかつき改善、血糖値の上昇を抑制、血行促進に効果がある。さらに、増強免疫力(免疫力を強める効果)、抗老化(老化予防)、癌予防、歯を強くする効果もある。
漢方薬としても飲料される。
[編集] 歴史
唐代には南詔の銀生城(現・普洱市)付近の山地で取れる茶として中国にも知られていた。中国が雲南を領有した明代には普洱茶として広く知られるようになり、清代には雲南からの進貢品に指定され、朝廷でも愛飲された。ラスト・エンペラー愛新覚羅溥儀も愛好したという。
しかし、文化大革命によってその手間のかかる製造方法が『大躍進政策』にそぐわないと否定され、一時は中国本土での生産が断絶するほどであった。このとき、多くのプーアル茶が香港、台湾に持ち出されており、現在もビンテージものと呼ばれるプーアル茶の多くは台湾に存在している。現在では中国でも生産が再開されており、東南アジア、欧米、日本などにも輸出されている。