ホンダ・ベンリィ
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ベンリィ(Benly)とは、本田技研工業(ホンダ)が製造販売しているオートバイのシリーズ車種である。2006年5月現在の現行生産車種はビジネスモデルのCD50と、ロードスポーツモデルのBenly50Sの2車種がある。
なお本項では派生車種などについても記述する。
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[編集] 系譜
1951年(昭和26年)発表のドリームE型、1952年(昭和27年)発表のカブF型によって急成長を遂げたホンダは、それらに続く汎用エンジンやスクーター・『ジュノオK型』等の機種開発が行われた。それらとほぼ同時期に開発されたオートバイとして、『ベンリィJ型』が開発され、1953年(昭和28年)に発表された。
『ベンリィJ型』は空冷4ストローク単気筒・OHV89cc・最高出力2.7949kw(3.8ps)/6000rpm・キック始動・3速ミッションのエンジンをリアフォーク一体式とした「シーソー式リアクッション」を採用し、乾燥重量95kgのオートバイで、手軽に扱える便利さにちなみ『ベンリィ』と名付けられた。
その後はホンダから発売されるオートバイの細分化により、『ベンリィ』の商標は各種の小排気量一般車につけられていった。
[編集] 「ベンリィ」の商標がつけられたオートバイ
- SS50
- CS65/90
- CB50/90/125S
- CB92(ベンリィスーパースポーツ)
- CR93(ベンリィレーシング)
- CB125JX
- CB125T
- CM125T
- CS125
- CB135
- CB160
- CL50/65/70/90/125
- SL90/125S/175
- CD50/65/70/90/125T/175
2006年において『ベンリィ』の名を受け継いでいるのはビジネスタイプのCDシリーズとBenlyシリーズに限られており、その中でもCDシリーズについては現在および近年まで発売された50/90/125Tを指すのが一般的になっている。
[編集] CD50・Benly50S
CD50は1968年2月に発売された。オーソドックスな車体に4ストローク単気筒50ccのエンジンを搭載し、タイヤはパンク対応策としてタフアップチューブを採用。また、盗難抑止のためのアラームキットが取り付けられるようになっている。ビジネスに特化したCD50は、大型のリアキャリア、ドライブチェーン全体を覆うようなチェーンカバーが装備され、車体色は黒一色である。
長い間一般的なビジネスバイクのスタンダードとして発売され続けていたが、1990年代にレトロバイクブームが起こり、元から古典的なスタイルでありカスタム車種としての需要が発生したため、ホンダもこれに応じる形でBenly50Sを1996年3月に発売した。これはCD50をロードスポーツ向けにカスタマイズした車両であり、車体色は現在シルバーメタリックの一色のみとなっている。
[編集] 主要諸元
※CD50の主要諸元を示す。
- 全長 :1.805m
- 全幅 : 0.700m
- 全高 : 1.020m
- 最低地上高 : 0.130m
- シート高 : 0.740m
- 車両重量 : 81 kg
- 乾燥重量 : 76 kg
- 乗員定員 : 1 人
- 最小回転半径 : 1.9m
- エンジン種類 : 空冷4ストロークOHC単気筒
- 総排気量 : 49 cc
- 最高出力 : 2.8[3.8]/7,000 kW[PS]/rpm
- 始動方式 : キック式
- 燃料タンク容量 : 5.5 L
- 変速機形式 :4段ロータリー
- タイヤ :(前後とも) 2.25-17 33L
- ブレーキ形式 :(前後とも) 機械式リーディング・トレーリング
- 懸架方式 : 前 テレスコピック式 / 後スイングアーム式
- フレーム形式 : バックボーン式
[編集] CL50
CL50は1997年に発売された。ベンリィシリーズの派生車種であるが、外見は往年のスクランブラー(オフロード)CL50を復元したような外見となっており、アップマフラーやバーハンドルが大きな特徴となっていた。しかし市場の評価は芳しくなく数年間で生産終了となっている。
[編集] CD90・Benly90S
CD90は1967年に発売されたが、発売以前に存在していたC200というオートバイからのモデルチェンジ車であったことから、50よりも発表は早かった。発売時には65ccや70ccの車両もあったが、50とほぼ共通の車体と装備を持つ中で排気量が最も多かったことから、パワーを必要とされるスタンダードバイクとしての需要が長年あり続け、1996年には50同様にBenly90Sも発売されている。
しかし90の両車種は2001年に発売が終了となった。これはこの年に排気ガス規制が強化された為だが、同じエンジンのスーパーカブ90は規制に対応して販売され続けたことから、CDに対しファンが惜しむ声は大きかったとされている。
[編集] CD125・CD125T
CD125は1966年に発売された。ビジネス車でありながらCB92の流れも汲む直列2気筒エンジンを搭載していたが、扱いやすさの点から2気筒を同時に点火させる仕様となっている。1977年よりCD125Tに車名が変更され、1987年に5速ミッションへの改良を受けてからは、十数年間そのままの仕様で販売され続け、最終的には125ccクラス唯一のビジネス車両としての地位を確立させた。2001年の排気ガス規制では浄化装置を導入してクリアを果たしたが、2003年の加速騒音規制にはエンジンの構造から対応させることが出来ず、惜しくもこの年で販売終了となってしまった。
[編集] 関連項目
- ホンダ・CD250U - ベンリィと同じCDシリーズだが位置付けが異なる