マーク・リッチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マーク・リッチ(Marc Rich 1934年12月18日 - )はベルギー生まれのアメリカの相場師(現在スイス在住)。
ベルギーのアントワープにてユダヤ人の家庭に生まれる。生まれた時の名前は Marc David Reich。1942年にナチを避けて一家で渡米。ニューヨーク大学に学ぶ。商品取引で成功し、巨億の富を築き上げたが、パートナーのピンカス・グリーンともども違法行為(脱税やイランとの不正な石油取引)について検察から捜査を受け、1983年にスイスへ逃亡。1984年に欠席裁判で有罪判決を受け、永らくFBIに指名手配されていたが、2001年、任期終了数時間前のクリントン大統領から赦免を獲得。これに先立って、リッチの元の妻が民主党に総額100万ドル以上の献金をおこなっていたため、「金で赦免を買ったのではないか」と物議をかもした。クリントンの決定の裏側には、イスラエル政府からの嘆願や、リッチが献金していた名誉毀損防止同盟からの圧力も存在したと伝えられている。
リッチは赦免を獲得するや否や、石油・食料交換計画のスキャンダルに絡む事業でサダム・フセインと協力を始めた。
現在、リッチはスイスのメッゲン市で暮らしている。自らのプライバシー保護には心を砕いているが、一度だけ米国のテレビクルーに捕まってインタビューに応じたことがある。スイスとスペインにスキーリゾートを所有していることも知られている。
リッチの半生を描いた書物に『メタル・トレーダー 地球を売買する男たち』(新潮文庫)がある。