レミントンランド
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レミントンランド (Remington Rand) は、アメリカのコンピュータ製造企業であり、UNIVAC Iの本来の製造元としてよく知られている。現在はユニシス社の一部である。
[編集] 設立前の歴史
1867年、ミルウォーキー港収税官のクリストファー・ショールズはタイプライターを作ることを思い立った。彼はいくつかの特許をとり、これを商売とするために出資者を募って製品化を進めた。これを製造する工場を探してたどり着いたのが、当時、小火器やミシンを製造していたE・レミントン・アンド・サンズ社である。1874年、最初のレミントン製タイプライターが売り出された。このタイプライターは当時としては画期的なタイプ速度を実現していて、その秘密はQWERTY配列の発明にあった。1882年、E・レミントン・アンド・サンズ社はタイプライター部門を分離し、ウィックオフ・ジーマンス・アンド・ベネディクト社に売却してレミントン・スタンダード・タイプライター社とした。1890年には、レミントン・タイプライター社は年間2万台のタイプライターを製造する大企業に成長している。
一方1898年、銀行員だったジェームズ・ランド・シニアはオフィスの書類整理を簡単にするファイリングシステム(仕切り紙やタブや色付き付箋)を考案し、ランド社を設立した。この会社のファイルシステムはすぐさま大企業のファイルシステム市場を独占した。1908年にはランド社はアメリカ全土に支店を持つ大企業に成長し、息子のジェームズ・ランド・ジュニアが始めたカードを使った記録保管システムも大成功を収める。1915年、ジュニアは独立してカーデックス社を設立し、1920年には海外にまで支店を持つ企業に育て上げた。1925年、父の引退を期に両社は合併してランド・カーデックス社となった。
パンチカードによって統計情報を集計するタビュレーティングマシンは、後にIBMの一部となったTMC社が最初である。TMC社はアメリカ合衆国統計局を顧客としていた。しかし、局長が交代するとTMC社は取引を打ち切られ、代わりに統計局はジェームズ・パワーズという技師を1907年に雇ってタビュレーティングマシンの改良をさせた。このパワーズが後にTMC社のライバルとなるパワーズ会計機社を1911年に設立した。
[編集] 設立後の歴史
1927年、ランド・カーデックス社は事務機器の総合企業となる決意を固め、次々と事務機器メーカーを買収していった。そのなかにパワーズ会計機社とレミントン・タイプライター社があり、最終的に社名をレミントンランド社と変更した。
1942年から1945年まで、レミントンランドはアメリカ陸軍で使われた1911A1拳銃を製造した。戦時中の生産量はレミントンランド社が一番多かったという。
1949年、レミントンランドは Remington Rand 409 というビジネス用コンピュータを発売した。さらに翌年にはENIACを作った技術者の会社エッカート-モークリ・コンピュータ社を買収し、1951年に統計局に最初の UNIVAC I を納入した。
レミントンランドは1955年にスペリー社と合併し、スペリーランド社となる(後に単にスペリー社となった)。スペリー社は1986年にバローズ社に吸収合併されユニシス社となった。