ワイルドカード (スポーツ)
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ワイルドカード(Wild Card)は、スポーツ競技において特別に競技への参加を認める制度のこと。
メジャーリーグ・NFLなどにおいてはグループリーグから次のラウンドに進むための制度のことを指し、各組の1位が次回戦に進み、1位チーム以外の一部が次回戦に進出する。
- 試合数を増やして収入を上げる
- 各組の1チームが独走した後半にも興味を持続できるようにする
- 組別のレベル差による順位の逆転(ある地区の2位が他地区の1位より勝率が高い時など)を補う
ことを目的に導入されるが、2チームが併走して下位を引き離した場合には逆に後半の盛り上がりが欠けることもある。
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[編集] メジャーリーグ
通常、レギュラーシーズンでアメリカンリーグ、ナショナルリーグの両リーグの東地区、中地区、西地区の1位6チームが自動的にプレーオフに進むが、それに加えて両リーグの3地区の2位になったチームの中で、最も勝率が高いチームがプレーオフに進出する。その2チーム、もしくはそれによるプレーオフ出場権利をワイルドカードと呼ぶ。なお、同勝率で並んだ場合には一発勝負のプレーオフ進出決定戦で出場チームを決める。
両リーグとも地区ごとにレベル差があるため、ある地区の2位チームが別の地区の1位チームより勝率が上回るケースがある。ワイルドカードはそのような場合の2位チームへの救済措置として設けられている。
1997年、ナショナルリーグのフロリダ・マーリンズが初めてワイルドカードからワールドシリーズを制した。また、2002年にはアメリカンリーグのアナハイム・エンゼルス、ナショナルリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツ(新庄剛志が日本人初のワールドシリーズ出場達成)がともにワイルドカードから勝ち進み、2005年現在、NFLその他も含め、史上唯一のワイルドカード同士の頂上決戦となった。
[編集] NFL
NFLではAFC、NFCの両カンファレンスの東西南北の1位チームに加えて、残りのチームのうち勝率上位2チームがワイルドカードとしてプレーオフに進む。このため、同一地区から3チームがプレーオフに進出する場合もある。
NFLの1シーズンは16試合と少ないため、同率となる場合が多く、その場合は以下のようにして順位を決定する(タイブレーキングシステム)。
- 当該チーム同士の直接対決の成績
- 地区内での勝率
- カンファレンス内での勝率
- 共通の対戦相手(4試合以上)に対する勝率
- 当該チームが勝利した相手チームの全体の勝率(ストレングス・オブ・ビクトリー)
- 当該チームが対戦した相手チームの全体の勝率(ストレングス・オブ・スケジュール)
- カンファレンス内での得失点差
- 全試合での得失点差
- 共通の相手に対する総得点
- 全試合での総得点
- 全試合でのタッチダウン数
- コイントス
2005-2006年シーズンには、ピッツバーグ・スティーラーズがワイルドカードの第6シード(最下位シード)から史上初めてスーパーボウル制覇を果たしている(ただし、ワイルドカードからの勝ち上がりは第10回のダラス・カウボーイズ、スーパーボウル制覇は第15回のオークランド・レイダーズが初めてである。当時のNFLは、現在のMLBと同じく3地区制、ワイルドカードは第10回は1チーム、第15回は2チームであった)。
[編集] サッカー
FIFAワールドカップのヨーロッパ予選と欧州選手権の予選で、各グループ1位が本大会に出場できるが、大会によっては各グループ2位の中で、成績上位優秀者がプレーオフに回らず、そのまま各グループ1位と同等に共に本戦に出場することがある。それ以外に「ベスト・ランナーアップ」と呼ばれることもある。 例 2006年ドイツ大会で、その予選のワイルドカードは2チーム…ポーランドとスウェーデン
また1994年アメリカ大会やワールドユースなどは各組の上位2チームと3位の一部が次のラウンドに進むというルールがあるが、これもワイルドカードの一種である。
日本のサッカータイトルのJリーグカップで、予選の同時期のAFCチャンピオンズリーグに参加する2チームがシードとして決勝トーナメントから参戦する。予選リーグは4組に分けて2回総当り戦で、各組の1位が決勝トーナメント進出だが、2位でも成績上位2チームが決勝トーナメントに進出できる。
韓国のプロサッカー(Kリーグ)では、14チームによる年間2回総当り。それを1回ずつに区切って前期と後期に分けて各ステージの1位チームと、それを除く年間通算成績上位2チームが決勝トーナメントに進出できる。
[編集] モータースポーツ、自転車競技
ロードレース世界選手権(MotoGP)やUCIプロツアーなど、一部のモータースポーツカテゴリーや自転車のロードレースでは、本来シーズンフル参戦の選手しか参加を認められないレースについて、各レースの主催者の推薦により特にスポット参戦を認める場合があり、そのことをワイルドカードと呼ぶ(そのため、日本語では「主催者推薦枠」と訳されるのが一般的)。
多くの場合は当該レースを開催する国の選手が選ばれるが(例えばMotoGPの日本グランプリの場合は、通常全日本ロードレース選手権の当該クラスでシリーズランキング上位のライダーが選ばれることが多い)、推薦枠に余裕がある場合は、翌シーズン以降のフル参戦を目指すメーカーや選手がテスト参戦目的でワイルドカードを利用しスポット参戦することもある。
[編集] その他の競技
陸上の100m走などの短・中距離走の決勝戦以外にあり、各組で無条件で自動的に進出できる順位に入れなくても、記録次第で次回戦に進められる。
バスケットボール世界選手権やバレーボールワールドカップでの出場枠は、開催地と各地区予選を勝ち抜いたチームの他、各地区予選で敗退しても、連盟・大会組織委員会から数チーム推薦される。この推薦枠をワイルドカードと呼んでいる。
[編集] 関連項目
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