Jリーグカップ
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Jリーグカップは、Jリーグが主催するサッカーのリーグカップ戦である。2007年現在、ヤマザキナビスコが冠スポンサーとなりJリーグ・ヤマザキナビスコカップと称する(通称ナビスコカップ)。
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[編集] 歴史
1992年、Jリーグのプレ開幕戦として開催されたのが第1回大会である。それ以前のJSL時代のリーグカップとしては1・2部の全チーム出場のJSLカップと、1990年から2年間だけ行われた1部リーグのみによるコニカカップがあったが、Jリーグカップでは初めて冠スポンサーとしてナビスコを頂き、JSLカップではシーズン開幕直前の前哨戦という位置付けであった性格からも大きく変わってリーグ戦と並ぶ、もう一つのタイトルというポジションを確立した。以来Jリーグと日本代表の試合日程の調整などから開催されなかった1995年を除く毎年、原則的にリーグ戦と並行して開催している。
[編集] 人気面
2001年までは、決勝戦を除き全国的なテレビ中継がないことと、年によっては試合スケジュールが代表の日程と重なり控えクラスの選手で試合が行われたことが原因で地味なイメージが拭えず、決勝戦においてすら2~3万人台の観客の年が多かったが、2002年に決勝戦が鹿島アントラーズ対浦和レッズという組み合わせとなるに及んで、チケットが発売開始わずか数十分で完売し、チケット難民が多く発生するという事態になった。56,064人という同カップ決勝で最多の観客が集まったが、ホームとアウェイの区割りが明確でなかったこと、サポーターの誘導がスムーズにいかなかったことなど、運営側の手落ちが多く発生した。2003年、2004年においても、同様にチケットは即完売となったが、2002年の反省を活かし、入場門を厳格に分ける、並びの列を作る場所を明確に示すなど、運営面が大きく改善された。2005年はジェフ千葉、ガンバ大阪という、動員力が必ずしも高くはないチーム同士の決勝だったため、完売とは至らなかったが、それでも45,039人が詰めかけた。過去3年、超人気クラブの浦和が決勝進出しスタンドを超満員にしたことでナビスコ杯の知名度・注目度が上がったこと、決勝進出した2チームがJリーグ初年度参加チームの中で唯2つタイトルのないチーム同士だったことが原因と見ることが出来よう(なお、決勝戦は千葉が勝利した。G大阪は同年のJリーグの年間王者となり、Jリーグ初年度参加チームの中でタイトル経験のないチームはなくなった)。2006年もチケットは前売りで完売した。近年は、11月3日の文化の日に行われる決勝戦は日本サッカー界のカレンダーに定着したといえる。
[編集] テレビ中継
- 地上波では1992年-1998年はテレビ東京、1999年-2001年はTBSがそれぞれ決勝戦を、衛星放送ではWOWOWがこの10年間ほぼ全試合をフォローしていたが、2002年以後はフジテレビが中継しており、決勝戦の地上波およびBSフジによる全国放送の他、フジテレビ739(編成の都合でフジテレビ721で放送されることがあるが、フジテレビ739のみを契約されている場合でも視聴可能)、PPV等で準々決勝以上の全試合をフォローしている。
[編集] 大会方式
大会方式は必ずしも毎年一定ではなく、オリンピックやワールドカップといった国際的スケジュールに大きく左右される要素が多い。
- リーグ戦形式の大会実施の場合はいずれも、勝ち点(勝ち星)が同じ場合は当該チームの得失点差→総得点→直接対決の成績→決定戦(必要とした場合。行わない場合は抽選で決定)の順で順位を決定する。
- リーグ戦と並行開催の場合、3~11月にほぼ月1回行う。
- 1993・1994・1997・1998年は正会員の他にJFLに在籍していたJリーグ準会員チーム、1999~2001年はJ1・J2全チームがそれぞれ参加、2002年以降はJ1チームのみで開催している。
- なお、1996年は予選リーグがJリーグの中断期間(6-8月)を利用して行われ、JFLとの日程の都合などからJリーグ準会員勢の参加は見送られた。
- また、J2勢は1999-2001年に出場していたが、J2は4回戦総当たりとなっており、かつチーム数の増加(2001-2005年: 12チーム、2006年-: 13チームで開催)により試合日程が過密になったことから出場することが困難になったため、2002年度以後は出場していない。
なお、1992年は日本サッカーリーグからJリーグへの移行期間だったため、レギュラーリーグが行われなかった。その為、通常は国内リーグ戦優勝チームに与えられるアジアクラブ選手権の第13回・1993-1994年日本代表枠は当大会の優勝クラブ(ヴェルディ川崎)が出場するという特例があった(第14回・1994-1995年の大会以後はレギュラーリーグ=Jリーグチャンピオンシップの年間優勝クラブが出場している)。また「A3チャンピオンズカップ」では開催地推薦枠が設けられているため、2003年と2006年に日本で開かれた大会ではそれぞれ前年度のJリーグカップの優勝クラブが出場した。
年 | 開催時期 | 参加 | 試合方式 |
---|---|---|---|
1992年 | 9~11月 | 10 | 10チームによる1回総当り。Vゴール延長→PK戦(PK合戦も1人目からのサドンデス)方式を採用した完全決着制で行い、勝ったチームに一律勝ち点4を、また正規の90分以内で2得点挙げるごとに特別賞のボーナス1点が加算。総当り終了時の上位4チームが決勝トーナメント(1試合制)に進出。 |
1993年 | 9~11月 (ワールドカップアメリカ大会のアジア最終予選によるリーグ戦中断期間) |
13 | 13チーム(JFL所属のJリーグ準会員3チーム含む)を7:6に分けてそれぞれの組で1回戦総当りのリーグ戦を行った。順位決定方式はリーグ戦と同じで勝ち星の多い順に決定。各組の2位までの4チームが決勝トーナメント(1試合制)に進出。 |
1994年 | 7~8月 (第1、2ステージの中間) |
14 | 14チーム(準会員2チーム含む)による一発勝負のトーナメント戦 |
1995年 | 開催せず | ||
1996年 | 6~9月 (アトランタ五輪によるリーグ戦中断期間) |
16 | 16チームを8チームずつに分けてホーム・アンド・アウェー方式の2試合をひとくくりとした変則総当りリーグ戦。2試合のスコア合計で勝ったチームに3点、負け0点、引き分け双方1点を加算。リーグ戦終了時の成績上位各組2チームずつの4チームが決勝トーナメント(1試合制)に進出。(日程編成の関係で準会員チームは参加せず) |
1997年 | 予選リーグは3月 (ワールドカップフランス大会の1次予選によるリーグ戦中断期間) 決勝トーナメントは10~11月 |
20 | 20チーム(準会員等3チーム含む)を4チームずつ5組に分けて行い、各組2回総当りのリーグ戦(今回は1試合単位で90分間の勝ち点制-勝ち3、負け0、引き分け1)を行い、各組1位の5チームと2位のうち成績の最もよい3チームが決勝トーナメント(10~11月 ホーム&アウェーの2試合で争う)を行った。 ※サガン鳥栖は鳥栖フューチャーズ時代の運営法人破綻に伴って準会員資格を取り消されたため本来は出場できないが、救済処置によりサガン鳥栖FCとして出場が認められた。 |
1998年 | 予選リーグは5月 (ワールドカップ強化中断期間) 決勝トーナメントは7月 |
20チーム(準会員2チーム含む)を5チームずつ4組に分けての1回総当りの予選を行い、各組の1位チームのみ4チームが決勝トーナメント(7月 1試合制)に進出。 | |
1999年 | 特に定めず | 26 | J1、J2の全チームによるホーム&アウェー2試合の成績で決定するトーナメント方式。(決勝のみ1試合制) |
2000年 | 27 | ||
2001年 | 28 | ||
2002年 | ワールドカップ強化中断期間 | 16 | 予選リーグは4チームずつ4組に分けての2回総当りを行い、各組の2位までの8チームが決勝トーナメント(1試合制)に進出。(この大会よりJ1のチームのみ出場) |
2003年 | 特に定めず | 予選リーグは同時期にAFCチャンピオンズリーグに参加する鹿島と清水の2チームをシードし、14チームを4チームずつ2組と3チームずつ2組に分けてそれぞれに2回総当たりリーグを行い、各組1位の4チームと、4チームグループの場合は2位の2チーム加えた6チーム、及びシード2チームの計8チームが決勝トーナメント(ホーム&アウェイ2試合。決勝戦のみ1試合)に進出。 | |
2004年 | ワールドカップアジア1次予選・アジアカップ期間 | 予選リーグは4チームずつ4組に分けての2回総当りを行い、各組の2位までの8チームが決勝トーナメント(1試合制)に進出。 | |
2005年 | ワールドカップアジア最終予選・東アジア選手権期間 | 18 | 予選リーグは同時期にAFCチャンピオンズリーグに参加する横浜Mと磐田の2チームをシードとし、他の16チームを4チームずつ4組に分けての2回総当りを行い、各組の1位と2位の成績上位2チームとシード2チームを加えた8チームが決勝トーナメント(ホーム&アウェー2試合。決勝だけは1試合制)に進出。 なお、この大会から決勝トーナメントでの延長戦が前後半15分を必ず最後まで行う方式に変更され、ゴールデンゴール方式は廃止された。 |
2006年 | ワールドカップ強化中断期間・アジアカップ最終予選期間 | 予選リーグは同時期にAFCチャンピオンズリーグに参加するG大阪のみがシード(J2の東京Vもチャンピオンズリーグ出場)となり、他の17チームを4チームずつ3組と5チーム1組に分けてそれぞれ2回総当り(但し5チームの組については一部1試合のみで行う)を行い、各組1位と2位の成績上位3チーム、並びにG大阪を加えた8チームが決勝トーナメント(ホーム&アウェー2試合。決勝のみ1試合)に進出。 なお、この大会から決勝トーナメントの試合(決勝を除く)はアウェーゴール方式を採用するが、延長戦となった場合はアウェーゴールを適用しない。 |
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2007年 | アジアカップ期間 | 予選リーグは同時期にAFCチャンピオンズリーグに参加する浦和と川崎Fの2チームをシードとし、他の16チームを4チームずつ4組に分けての2回総当りを行い、各組の1位と2位の成績上位2チームとシード2チームを加えた8チームが決勝トーナメント(ホーム&アウェー2試合。決勝だけは1試合制)に進出。 |
[編集] 表彰・賞金
- 優勝チーム 1億円、Jリーグカップ、ヤマザキナビスコカップ、優勝メダル
- 準優勝チーム 5000万円、Jリーグ盾、準優勝メダル
- 3位チーム(2チーム) 各クラブにそれぞれ2000万円、Jリーグ盾
- 個人賞としてMVPとニューヒーロー賞(23歳以下の選手対象)がある。(表彰方法は後述)
[編集] 歴代優勝チーム
・決勝戦は特記なき場合国立霞ヶ丘陸上競技場で開催
年 | 優勝チーム | 決勝スコア | 準優勝チーム | 備考 |
---|---|---|---|---|
1992年 | ヴェルディ川崎 | 1 - 0 | 清水エスパルス | |
1993年 | ヴェルディ川崎 | 2 - 1 | 清水エスパルス | ヴェルディ川崎 連覇 |
1994年 | ヴェルディ川崎 | 2 - 0 | ジュビロ磐田 | 決勝戦は神戸ユニバーで開催 ヴェルディ川崎 3連覇 |
1995年 | 開催せず | |||
1996年 | 清水エスパルス | 3 - 3 延長 1 - 1 PK戦 5 - 4 |
ヴェルディ川崎 | |
1997年 | 鹿島アントラーズ | 2試合通算7 - 2 第1レグ 2 - 1 第2レグ 5 - 1 |
ジュビロ磐田 | ホーム&アウェーの2試合制 (第1戦は磐田、第2戦はカシマで開催) |
1998年 | ジュビロ磐田 | 4 - 0 | ジェフユナイテッド市原 | |
1999年 | 柏レイソル | 2 - 2 延長 0 - 0 PK戦 5 - 4 |
鹿島アントラーズ | |
2000年 | 鹿島アントラーズ | 2 - 0 | 川崎フロンターレ | |
2001年 | 横浜F・マリノス | 0 - 0 延長 0 - 0 PK戦 3 - 1 |
ジュビロ磐田 | |
2002年 | 鹿島アントラーズ | 1 - 0 | 浦和レッドダイヤモンズ | |
2003年 | 浦和レッドダイヤモンズ | 4 - 0 | 鹿島アントラーズ | |
2004年 | FC東京 | 0 - 0 延長 0 - 0 PK戦 4 - 2 |
浦和レッドダイヤモンズ | |
2005年 | ジェフユナイテッド 市原・千葉 |
0 - 0 延長 0 - 0 PK戦 5 - 4 |
ガンバ大阪 | |
2006年 | ジェフユナイテッド 市原・千葉 |
2 - 0 | 鹿島アントラーズ | ジェフ千葉 連覇 (同大会での連覇は13年ぶり史上2チーム目) |
[編集] ニューヒーロー賞
- 表彰方法
- 各年度とも準決勝までの試合について最も活躍した23歳以下の選手に贈られる賞。ナビスコ杯の新人王と位置づけられるこの賞の受賞者は後に代表に選ばれるなど、日本サッカー界にとって欠かすことのできない選手に成長することが多いことから、この賞は若手選手の登竜門と一般に捉えられている。
- 条件は大会開幕日に満年齢23歳以下で、過去の同賞を獲得したことのない選手。マスコミによる投票集計を基に決勝戦前日の前夜祭で表彰される。受賞者には記念トロフィー(オーナメント)と賞金50万円。副賞としてナビスコ製品1年分が贈呈される。
- 受賞者
年 | 受賞者(当時の所属チーム) |
---|---|
1996年 | 名波浩(ジュビロ磐田) |
斉藤俊秀(清水エスパルス) | |
1997年 | 三浦淳宏(横浜フリューゲルス) |
1998年 | 高原直泰(ジュビロ磐田) |
1999年 | 佐藤由紀彦(FC東京) |
2000年 | 鈴木隆行(鹿島アントラーズ) |
2001年 | 曽ケ端準(鹿島アントラーズ) |
2002年 | 坪井慶介(浦和レッドダイヤモンズ) |
2003年 | 田中達也(浦和レッドダイヤモンズ) |
2004年 | 長谷部誠(浦和レッドダイヤモンズ) |
2005年 | 阿部勇樹(ジェフ千葉) |
2006年 | 谷口博之(川崎フロンターレ) |
[編集] MVP
- 受賞者
年 | 受賞者(当時の所属チーム) |
---|---|
1992年 | 三浦知良(ヴェルディ川崎) |
1993年 | ビスマルク(ヴェルディ川崎) |
1994年 | ビスマルク(ヴェルディ川崎) |
1996年 | サントス(清水エスパルス) |
1997年 | ジョルジーニョ(鹿島アントラーズ) |
1998年 | 川口信男(ジュビロ磐田) |
1999年 | 渡辺毅(柏レイソル) |
2000年 | 中田浩二(鹿島アントラーズ) |
2001年 | 榎本達也(横浜F・マリノス) |
2002年 | 小笠原満男(鹿島アントラーズ) |
2003年 | 田中達也(浦和レッドダイヤモンズ) |
2004年 | 土肥洋一(FC東京) |
2005年 | 立石智紀(ジェフ千葉) |
2006年 | 水野晃樹(ジェフ千葉) |
[編集] 外部リンク
- ヤマザキナビスコカップ - Jリーグ公式サイト内
Jリーグカップ |
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1992 | 1993 | 1994 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 |
Jリーグ 2007 | |
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J1 | |
鹿島アントラーズ | 浦和レッドダイヤモンズ | 大宮アルディージャ | ジェフユナイテッド市原・千葉 | 柏レイソル | FC東京 | 川崎フロンターレ | 横浜F・マリノス | 横浜FC | ヴァンフォーレ甲府 | アルビレックス新潟 | 清水エスパルス | ジュビロ磐田 | 名古屋グランパスエイト | ガンバ大阪 | ヴィッセル神戸 | サンフレッチェ広島 | 大分トリニータ |
|
J2 | |
コンサドーレ札幌 | ベガルタ仙台 | モンテディオ山形 | 水戸ホーリーホック | ザスパ草津 | 東京ヴェルディ1969 | 湘南ベルマーレ | 京都サンガF.C. | セレッソ大阪 | 徳島ヴォルティス | 愛媛FC | アビスパ福岡 | サガン鳥栖 |
|
過去に存在したクラブ | |
横浜フリューゲルス | |
ナビスコ杯 | オールスターサッカー | チャンピオンシップ | 入れ替え戦 | アウォーズ |