ワンボックスカー
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ワンボックスカー(1BOXカー)は、自動車のボディスタイル用語の一つ。
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[編集] 概要
ワンボックスとはボディの空間を箱にみたて空間がひとつだけのものという意味であり、ワンボックスカーとはそのボディスタイルをもつ車を指す言葉として使用される日本発祥で日本で用いられる用語。主に販売系で使用される。
日本自動車工業会では同様のボディスタイルをキャブオーバーとよびこちらのカテゴリー名で統計がとられる。これらは、いずれも他のボディスタイルを持つ車に比べボンネット部分がないものを表すが、キャブオーバーは世界的にはトラック用語である。(例en:Cab over)
トラックベースであるが、その屋根つき車両、つまりパネルパンタイプの車両の積載量を乗員確保に振った車両として開発されたモデルは、貨物をバン、乗用をワゴン(初期にはコーチの方が主流だった。「バン」と「ワゴン」は類義語であるため)として自動車メーカーは呼称していた。一方でステーションワゴンという名前が一般化してくるにに従い、一般にワンボックスカーとして紹介されるようになっていった。
その発祥は1966年に登場したトヨタ・ハイエースといわれる。だが、同形態の車種としてはそれより以前の1961年にスバル・サンバーが登場している。
ワンボックスカーという呼称は一般化し、メーカー自身も使用するようになり、一般化したため、乗用モデルだけではなく、その形をもつ貨物タイプまで指す場合もある。たとえば、貨物ではあるが個人使用のようなトランポモデルはワンボックスカーに含まれる。
ホンダ・オデッセイが消費者に受け入れられブームとなったことに商機を見たその他の自動車メーカーはセダンベースの車輌でワンボックスカーの機能を提供するミニバンを開発することに向かう。ワンボックスカーの購入者は、衝突安全性の観点や、乗用車ベースでの乗り心地などから、ボンネットなしのワンボックスカーから1.5ボックスともいわれるミニバンに移る。ミニバンが定着するにともない、ワンボックスカーという呼称も販売におけるカテゴリー区分から姿を消しつつある。このため、ワンボックスカー相当の車に対して、2006年現在は自動車メディアの提案を契機に箱車という用語も使われはじめている。ただし、壮年期以上の世代は今でも「ワンボックス(タイプ)」の呼称をこれらの車に対して使うことが多い。
[編集] 機能と販売
箱型なのでボディの見切りが良く、同サイズの自動車に比べて居住性や積載性に優れる。
反面、商用車と同じプラットフォームで乗用タイプをデザインしているため、車高は高く、乗用車として評価した場合、カーブなどでのロールが大きく、その乗り心地は通常の乗用車専用モデルには劣っていた。また、ボディデザインは重視されていなかった。
市場性が認められると、乗用タイプの新型車では専用設計のモデルが誕生し、乗用車としての快適性能、走行性能向上に力が入れられ、居住性も大幅に改善、デザインもより乗用車的になった。また、3リットル以上のエンジンや最新の技術を投入したミニバンに近いタイプとしての高級モデルも存在する。
Aピラーは車の最前面にあり、Aピラーがほぼ直立に近い構造である。かつてはこのAピラー上部にウィンカーをつけていることが多かったが、現在は見られなくなった。
エンジンはガソリンエンジンが乗用車のものを低回転向けに改修、ディーゼルエンジンは専用に開発されることが多かったが、モデルスパンが長く、どちらも古く、性能的に旧式化したものがほとんどだった。
5ナンバーの乗用モデルはトップクラスの販売実績がある。
[編集] 使用例
- 1981年 徳大寺有恒著、三推社刊の「間違いだらけのワンボックスカー選び」で書名として使用されている。
[編集] 注意
- 「箱型」とは車検証表記では、硬い屋根のついた車を示す表記でセダンやクーペに使用される。ワンボックスは、日本発祥の用語で、ボディの空間を箱にみたて空間がひとつだけのものという意味で使用される。
- フランスでは似た表現fr:monocorpsがあるがミニバンタイプ(1.5box)やカウンタックタイプまで含んでしまう。
[編集] 余談
- 最大の重量物であるエンジンを低位置に搭載している為、ボンネットにエンジンを搭載した海外のミニバンと比した場合、ロール特性が極端に良いという結果が出たことがある。
[編集] 「ワンボックスカー」と呼ばれた車種
[編集] 軽自動車
[編集] 関連項目
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