ヴァンテージ・マスター
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『ヴァンテージ・マスター』(Vantage Master)は1997年に日本ファルコムより発売されたWindows対応のシミュレーションRPG。略称は『VM』、『ヴァンマス』。1998年には続編の『ヴァンテージ・マスターV2』が、2002年には最新作となる『VM JAPAN』が発売された。また、廉価版も発売されており、オンライン対応版が公式サイトから無料でダウンロードできる。(オンライン対応版に関しては後述)
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[編集] 概要
『ネイティアルマスター』(以下、マスター)と呼ばれる精霊使いの戦いを描いたゲームである。マスターは18人いるが、自分で選ぶことはできない。スタート時に選択肢が表示され、いくつか回答してマスターが選ばれる仕組みになっている。各マスターは『ネイティアル』と呼ばれる精霊たちを召喚しながら戦っていく。先にネイティアルマスターを倒した方が勝ちとなる。
[編集] モード
- Scenario Mode
- 登場するマップを順番にクリアしていくモード。難易度は「Easy」と「Normal」から選択できる。「Easy」では敵マスターのレベルが低く設定される。
- Expert Mode
- 「Scenario Mode」と同様、登場するマップを順番にクリアしていく。自身と敵のレベルは同じに設定される。マップは基本的に自分が不利なマップが用意される。
- Free Battle
- 好きなマップで、好きなマスターを使用して好きな相手と戦えるモード。1台のパソコンでの対戦も出来る。マスターのレベルや使用できるネイティアルも設定できるので、ハンデをつけて対戦することもできる。「Free Battle」専用のマップもある。
- Network Battle
- ネットワーク対戦を行うモード。「TCP/IP接続」「IPX/SPX接続」「モデム接続」「シリアル接続」の4種類の接続方法がある。TCP/IP接続の場合は、事前に対戦相手のIPアドレスを知っておく必要がある。
[編集] ネイティアルマスター
スタート時に選ぶ選択肢によって作成されるマスターは以下の18人である。標準の名前はあるが、変更することが可能。マスターによって得意・不得意な分野がある。
- ファイター
- 攻撃力と素早さがやや高い。防御力は標準だが、魔力がやや低め。
- デューク
- 魔力と素早さがやや高い。防御力と魔法防御力は標準だが、移動力が低い。
- ソードマン
- 攻撃力が高い。反面、防御力が低い。
- ナイト
- 攻撃力と防御力が極めて高い。魔法防御力は標準だが、素早さと魔力は低め。
- パラディン
- 攻撃力と防御力、魔力がやや高い。反面、素早さが低い。
- シャドウ
- 素早さと移動力が極めて高い。防御力、魔法防御力は低め。攻撃は射程4の手裏剣。
- レンジャー
- 全てにおいて平均的な能力を持つ。攻撃は射程6の弓。
- サベージ
- 攻撃力と防御力、素早さと移動力が極めて高い。反面、魔力や魔法防御力は極めて低い。攻撃は射程4の投石。
- シーフ
- 素早さと移動力が極めて高い。魔力は低め。攻撃は射程5の投げナイフ。
- バード
- 魔力と魔法防御力は標準だが、攻撃力と防御力、魔法防御力が低い。
- シスター
- 魔力と魔法防御力、防御力は高いが、攻撃力と素早さは低い。
- ソーサラー
- 魔力と魔法防御力が極めて高い。攻撃力と防御力、素早さと移動力は低い。
- ウィッチ
- 魔力と魔法防御力が極めて高い。攻撃力と防御力、素早さが低い。
- モンク
- 攻撃力と防御力がやや高い。他の能力は平均的。
- スピリット
- 魔力と魔法防御力、移動力が極めて高い。攻撃力と防御力は極めて低い。
- ビースト
- 攻撃量と防御力、魔力と移動力が高い。魔法防御力は極めて低い。
- ナイトメア
- 魔力と魔法防御力は高いが、防御力は低い。
- フロイライン
- 魔法防御力と素早さがやや高い。防御力が低い。
- 魔法使い
- 魔力が極めて高いが、防御力と素早さが低い。
- デフォルト名はドーラ。
- 賞金首
- 攻撃力と防御力が高く、魔力もやや高い。
- デフォルト名はアレス。
- 賞金稼ぎ
- 攻撃力と素早さ、移動力が高い。魔力がやや低め。
- デフォルト名はメイル。
- 怪獣
- 素早さが極めて高い。防御力も高いが魔力が低め。
- デフォルト名はガウ。
- 巡礼の旅人
- 魔力と素早さがやや高い。移動力は低い。
- デフォルト名はジュリオとクリス。
- 暁の巫女
- 攻撃力が極めて高く、魔力もやや高め。
- デフォルト名はクレール。
- 冒険家
- 攻撃力が極めて高く、防御力と魔法防御力、素早さもやや高め。魔力はやや低い。
- デフォルト名はアドル。
- 女神さま
- 魔力が極めて高いが素早さは低い。
- デフォルト名はレア&フィーナ。
- 珍獣
- 素早さと移動力が高い。
- デフォルト名はチュウチュウ。なお、この珍獣はVM JAPANにも出演している。
[編集] ネイティアル
ネイティアルはネイティアルマスターによって召喚される。召喚時にはマスターのMPが消費される。ネイティアルには維持コストが設定されており、一時間ごとにマスターのMPから維持コストを支払っていく。コストが支払えないと、ネイティアルは消滅する。また、ネイティアルが使用する魔法は、マスターのMPを消費して使用される。
なお、ネイティアルにはそれぞれ『地』『水』『火』『天』の属性が振られており、それぞれ優劣関係を持っている。地は水に強く、水は火に強い。火は天に強く、天は地に強くなっている。また、ネイティアルには『昼型』と『夜型』のものも存在し、昼型は昼には強くなるが夜には弱くなり、夜型は夜には強くなるが昼には弱くなる。
[編集] 地属性のネイティアル
- パ・ランセル
- 地属性の最下級ネイティアル。最初から召喚できる。素早さと移動力がやや高い。水中移動が可能。意外と打たれ強く、上級ネイティアルの足止めなどにも使える。召喚コストも維持コストも高くないので、魔力の少ないマスターには重宝する。
- エ・フェリオン
- 遠距離攻撃ができる。高い場所で攻撃すると射程が延びる。防御力と魔法防御力、素早さが低い。水中移動はできない。魔法攻撃を受けると即死することも多い。
- ダ・カーム
- 地属性の上位ネイティアル。攻撃力と防御力が極めて高く、移動力も高いが魔法防御はあまり高くない。水中移動が可能。
- ギア・ブロ
- 魔法攻撃ができる地属性のネイティアル。魔力が高いが、攻撃力と防御力、素早さは低い。水中移動が可能。高い場所で魔法攻撃を行うと射程が延びる。
- ディ・アルマ
- 回復魔法が使用できる地属性のネイティアル。昼型。移動力が極めて高いが、魔法防御力はかなり低い。水中移動は不可能。
- バ・メード
- 地属性ネイティアルの中では唯一飛行できるネイティアル。夜型。防御力が低い。魔法で敵を長時間動けないようにできる。
[編集] 水属性のネイティアル
- レキュー
- 水属性の最下級ネイティアル。最初から召喚できる。全ネイティアル中最も素早さが高いが、攻撃力以外の能力は平均より低め。水中移動が可能だが、陸上では移動力が減少する。
- マーム
- 回復魔法が使用できる水属性のネイティアル。夜型。魔力と魔法防御が高い。水中移動が可能だが、陸上では移動力が減少する。
- ザミルペン
- 硬直タイプの魔法を持つネイティアル。昼型。防御力が高い。水中移動が可能だが、陸上では移動力が減少する。
- ターブス
- 長射程攻撃を持つネイティアル。攻撃力がやや高い。防御力は並みなので、地属性ネイティアルの攻撃には打たれ弱い。陸上移動はできない。
- ネプトジュノー
- 水属性の上級ネイティアル。攻撃力と防御力、素早さと移動力が高い。陸上では移動力が半減する。苦手とする地属性ネイティアルともそこそこ戦えるが、エ・フェリオンやダ・カームは苦手。魔法攻撃もできる。
- テンターク
- 水属性の最上級ネイティアル。全ネイティアル中最強のステータスを持つ。防御力と魔力が極めて高く、苦手とする地属性ネイティアルともまともに戦える。陸上では移動力が半減する。
[編集] 火属性のネイティアル
- ヘピタス
- 火属性の最下級ネイティアル。最初から召喚できる。攻撃力がやや高く、上級の天属性ネイティアルとも戦える。素早さは低いので、機動力の高いネイティアルは苦手とする。水中移動はできない。
- ダルンダラ
- 範囲魔法攻撃を持つ火属性ネイティアル。夜型。魔力が極めて高く、有利な属性である天属性はもちろんのこと、地属性にも大ダメージを与えられる。水中移動はできない。
- ブリックス
- 遠距離攻撃ができる火属性ネイティアル。高い場所で攻撃すれば射程が延びる。攻撃力がやや高いが、攻撃後に再行動するまでの時間が長い。水中移動はできない。
- オーンヴィーヴル
- 攻撃力と防御力が極めて高いネイティアル。下級の水属性ネイティアルとも戦える。水中移動はできない。
- グリオン
- 飛行できる火属性ネイティアル。昼型。移動力が高い。反面、魔法防御はかなり低く、ギア・ブロやゼノスブリードの魔法攻撃でも大ダメージを受けてしまう。水中移動はできない。
- ゼノスブリード
- 火属性の最上級ネイティアル。長射程の魔法攻撃を持つ。魔力と素早さが高い。水中移動はできない。
[編集] 天属性のネイティアル
- ペリット
- 全ネイティアル中、唯一治癒魔法が使用できる下級ネイティアル。飛行移動できる。魔力と魔法防御、素早さは高いが、他のステータスは軒並み低い。
- ギュネ・フォス
- 下級ネイティアル。最初から召喚できる。昼型。飛行移動ができる。魔力と移動力が高い。
- キュリア・ベル
- 攻撃力と魔法攻撃力が高い天属性のネイティアル。飛行移動できる。魔法防御力は低い。平地であれば、エ・フェリオンなどの魔法防御の低い地属性ネイティアルを一撃で倒せる。
- アモルタミス
- 遠距離攻撃ができる天属性ネイティアル。夜型。飛行移動できる。高い場所で攻撃すると射程が延びる。攻撃力が高いが、移動力はやや低め。
- フィフネル
- 全ネイティアル中、最も回復量の多い回復魔法が使用できる天属性ネイティアル。飛行移動できる。魔力と魔法防御力、素早さが高いが防御力は低いため、火属性ネイティアルの攻撃には非常に打たれ弱い。
- レグナ・クロックス
- 最上級の天属性ネイティアル。飛行移動できる。攻撃力と移動力が高く、範囲の広い魔法攻撃も持っている。防御力と魔法防御力は低め。
[編集] アジア最強決定戦
1998年9月26日に、台湾において『アジア最強決定戦』が開催された。日本・韓国・台湾の代表者が参加した。
- 日本における代表者選出
- 日本においては、月刊『ログイン』との共同企画で大会を行い、参加者を選出した。選出方法は、雑誌『ログイン』の付録CDに入っているヴァンテージ・マスターV2体験版(マップは体験版オリジナルのもの)を使用し、自身のマスターのレベルを低く設定し、コンピュータのマスターのレベルを高く設定。レベル差が最も広く、クリア時間が最も短い上位12名が予選通過となった。1998年7月25日に予選突破者がトーナメント形式で対戦を行い、優勝者がアジア大会の出場切符を手にする仕組みとなっていた。優勝者には賞金10万円が送られた。
- 韓国における代表者選出
- 台湾における代表者選出
- 台湾においては、アジア最強決定戦当日に代表者決定戦が行われた。(予選はアジア最強決定戦前に行われている)
大会ではヴァンテージ・マスターV2が使用された。台湾では大会当時はヴァンテージ・マスターV2が発売されていなかったので、この大会が台湾におけるヴァンテージ・マスターV2のお披露目となった。
大会は1試合目は日本対韓国で日本が勝利を収め、2試合目の韓国対台湾で韓国が勝利を収めた。決勝戦は日本対台湾となり、日本が勝利を収め、日本が優勝した。
[編集] オンライン対応版について
オンライン対応版のソフトが、公式サイトから無料でダウンロードできる。なお、販売されているソフトとは仕様に違いがある。仕様の違いは以下の通り。
- オンライン対応版はヴァンテージ・マスターV2仕様となっている。
- マスターやネイティアルの名前、説明文などは全て英文となっている。
- 市販されているヴァンテージ・マスターV2のセーブデータを読み込ませることができる。
- オンライン対応版はMIDIでBGMを流す。ヴァンテージ・マスターV2のCDがあれば、挿入してオプション画面で音源をCD-DAにすることで、CDから曲を再生できる。
- シナリオモードで挿入されるデモ画面は文字化けする。
- 市販されているヴァンテージ・マスターV2とのオンライン対戦が可能。ただし、オンライン版では全角文字が使用できないため、対戦相手の名前やチャットが文字化けする。