廉価版
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廉価版(れんかばん)とは、ある製品を普及の促進などの目的のために低価格化した商品のこと。「普及版」(ふきゅうばん)や「低価格版」(ていかかくばん)と呼ばれることもある。廃価と間違えられる事もある。
以下に各分野の具体例を挙げる。
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[編集] パーソナルコンピュータ
パーソナルコンピュータの部品(パーツ)は、低価格化の要求に応えるために性能を一部削って価格を下げたものが多数存在する。例えばCPUにおいてはPentiumの廉価版がCeleron、Athlonの廉価版がSempron、Duronである。
ビデオカードでもメモリ搭載量や帯域幅を削るなどして低価格した廉価版がある。
[編集] ソフトウェア
本格的なアプリケーションソフトウェアは素人には多機能過ぎて使いこなせない上に高価なため、機能を限定して価格を下げたものが多数存在する。これらは「機能限定版」「簡易版」などと呼ぶことも多い。
例
- Adobe Photoshop ⇒ Photoshop LE、Photoshop Elements
- Adobe Premiere ⇒ Premiere LE、Premiere Elements
- Logic Pro ⇒ Logic Express、GarageBand
また、ソースネクスト社から発売されているソフトウェアの中にも、他社からソフトウェアの旧バージョンの提供を受け、低価格で販売しているものがある。
[編集] 家電、AV機器など
同じ系統の製品でも機能の削減・安価な部品を用いるなどして価格を下げたものを廉価版と呼ぶ。この場合は「上位機種」「下位機種」と呼んだり、廉価版のことを「普及モデル」などと呼ぶことが多い。
HDDレコーダーでは、東芝が発売した「RD-X1」「RD-X2」に続き、普及を目的にHDD容量を下げた「RD-XS30」や、携帯電話ではFOMAの普及のため、90xシリーズからコストのかかる機能(FeliCaや高画素カメラなど)を除いた70xシリーズなどの例がある。
[編集] ゲームソフト
発売から一定期間経過した作品を低価格で再発売することが多い。中古ソフトに対抗したり、新たな購買層を獲得するのが目的と思われる。価格は税抜きで2,800円のものが多いが、3,800円や1,500円のものもあり様々である。
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)の場合、『PlayStation the Best』 『PlayStation2 the Best』 『PSP the Best』として廉価版を発売している。またプレイステーション用の名作ソフトを『PS one Books』として再低価格化したり、プレイステーション2で大ヒットした作品は『MEGA HITS!』として、やや価格の高い廉価版を発売する。
これらのブランドには他社製ソフトも含まれるが、コナミの『コナミ ザ ベスト』やスクウェア・エニックスの『アルティメットヒッツ』など一部メーカーは独自に低価格化を行っている。プレイステーションからプレイステーション2への移行がほぼ完了した周辺の時期に、特にプレイステーションソフトの廉価版ソフトが多数発売されていた(定価を税抜き1,500円としたものが多く見られた)。
マイクロソフトも「Xbox プラチナコレクション」として同様の廉価版を発売している(他社製ソフトも含む)。セガの場合も過去に「セガサターンコレクション」(サタコレ)や「ドリームキャストコレクション」(ドリコレ)を発売していた。
任天堂は廉価版の発売に危惧を示していたが、ゲームボーイアドバンス用ソフトの廉価版パッケージ「バリューセレクション」を発売することになった(2006年2月2日より)。
[編集] 主な廉価版シリーズ
- ハードメーカーによるもの
- SCEI
- PlayStation the Best
- PlayStation2 the Best
- PlayStation2 MEGA HITS!(後にPlayStation2 the Bestに統合)
- PSP the Best
- セガ
- セガサターンコレクション
- ドリームキャストコレクション
- マイクロソフト
- Xbox プラチナコレクション
- 任天堂
- バリューセレクション
- SCEI
- 廉価ソフトレーベル
- SIMPLEシリーズ(D3パブリッシャー)
- SuperLiteシリーズ(サクセス)
- Major Wave シリーズ(ハムスター)
- 自社廉価シリーズ
- アトラス・ベストコレクション(アトラス)
- アルティメットヒッツ(スクウェア・エニックス)
- カプコレ(カプコン)
- コナミ ザ ベスト(コナミ/コナミデジタルエンタテインメント)
- ハドソンベスト(ハドソン)
- バンプレストベスト(バンプレスト)
[編集] DVD
日本国内では、ハリウッド映画を中心に期間限定キャンペーンなどの形で頻繁に廉価版が発売される。安いものでは500円から購入できる。
[編集] CD
発売から期間が経過した音楽CDを廉価版として再発売することがある(洋楽に多い)。しかし、直輸入盤に比べるとそれほど安くない場合もある。
また、廃盤になった邦楽LPなどのアルバムを復刻版としてCDで安価で発売することもある。これらのCDを特に「Q盤」(旧盤の「旧」とQuality Musicの「Q」をかけている)と総称することがある。これらの作品を陳列する特別コーナーを設けているレコード店も多い。
[編集] 高速バス
旅行会社による貸切バスを使った主催旅行の形式を取る、都市間(例・東京周辺⇔京阪神周辺)を結ぶ安価なツアーバス(東京⇔京阪神間で片道4,000~5,000円程度、時期によっては3,000円台もある)に対抗するために設定された高速路線バス。座席配置を一般の高速バスの3列配置から、貸切バスと同様の4列配置とし、バス1台あたりの定員を増やして(詰め込み型にして)低運賃で運行するもの。JR以外の民営バス会社では、通常便では運転手2名が交代で乗務するところを1名が全区間を通して運転することにより人件費を抑えることができ、この効果により更に安い運賃で運行することが可能となっている。
など。
[編集] その他
- 武田薬品工業の栄養ドリンク「アリナミンV」の姉妹品「アリナミン7」。