国道308号
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国道308号(こくどう308ごう)は、大阪府大阪市から奈良県奈良市に至る一般国道である。
その経路はかつての暗越奈良街道を踏襲している。バイパス(第二阪奈有料道路)が供用されている区間(大阪府奈良県境および生駒市から奈良市にかけての区間)の旧道は石畳区間を含むなど車両の通行が困難な急勾配・狭隘路となっており、事実上、沿線住民の生活道路および行楽者のハイキング道として機能している。
後述するように、現在は都市間・長距離・高速移動上の実用性はほとんどない(酷道参照)。 第二阪奈有料道路・阪奈道路・国道163号・国道25号・西名阪自動車道への迂回がほとんどのドライバーにとって有益である。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 歴史
[編集] 通過市町村
[編集] 主な接続路線
- 国道25号(大阪市起点)
- 国道479号(大阪市重複区間)
- 阪神高速道路13号東大阪線(大阪市・東大阪市)
- 近畿自動車道(東大阪市)(大阪府道2号大阪中央環状線経由)
- 国道170号(東大阪市)
- 国道168号(生駒市)
- 国道24号(奈良市交点)
[編集] 重複区間
- 国道479号 (新深江交差点 - 深江橋交差点)
- 国道170号(旧道) (東山町交差点 - 箱殿交差点)
[編集] バイパス
- 第二阪奈有料道路(大阪府・奈良県)
- 大宮道路(奈良県・計画中)
[編集] 別名
- 暗越奈良街道
- 長堀通(大阪市)
- 千日前通(大阪市)
- 大阪内環状線(国道479号(大阪市重複区間) )
- 中央大通(大阪市・東大阪市)
- 築港枚岡線(大阪市・東大阪市)
- 生駒市道1号線(生駒市)
- 阪奈道路(奈良市)
[編集] 急坂区間
- 東大阪市の近鉄奈良線ガード下を越えてからは暗峠までの区間 および 榁木峠の西側は急坂区間となっている。
とくに暗峠の西側、東大阪市東豊浦町にある勧成院の海抜が100m、峠の海抜は450mであり、平均斜度は20%、最も急な所では30%を超えており、国道屈指の急勾配となっている。 逆に暗峠から東大阪市の市街地方面へは転げ落ちるような急な下り坂である。 - ただし標高が低めで舗装が良好ということもあり、子供からお年寄りまで楽しめる登山・ハイキングのスポットとして重宝されている。しかしながら、車両も少なからず通行するので事故には充分注意しなければならない。
[編集] 狭隘区間
- 東大阪市から奈良市にかけての区間に、車(軽自動車を含む)同士でのすれ違いができない区間が残っている。このため、東大阪市や生駒市の西側区間(近鉄奈良線ガード下東側から国道168号交点まで)では西行きの一方通行区間が設けられている(東行きは部分的に迂回する必要がある)。峠の周辺など一方通行でない区間で車が出会った場合、どちらかが待避可能な場所まで後退を強いられる。
- 片側が壁で反対側がガードレールのない崖、通行できる幅が車1台分という区間もある。したがってここで脱輪させてしまい走行不能に陥ると即座に国道封鎖となる。
- 現在ではある程度改修工事が進み、軽自動車も通行困難な狭隘区間は解消している。付け替え後の新道の脇に旧道の残っている部分があるが、そこは軽自動車でさえ通行困難なくらい道幅が狭くなっている。
[編集] 車両通行上の注意事項
説明の通り区間の難易度は非常に高い。また、周辺住民にとっては重要な生活道路であり、「通行はご遠慮下さい」の看板もある。したがって安易な挑戦は非常に危険かつ甚だ迷惑である。通過にあたっては次のような点に充分注意しなければならない。
- 充分な整備を実施し、車両の負担を軽減する運転を心がける
この区間の走行は機関(エンジン)・駆動系(トランスミッションおよびシャフト類)・操舵系(ステアリング)・制動系(ブレーキ)のいずれにも負担となり車両にとって過酷な条件であることから、故障などの不測の事態を招きやすいと言える。とりわけ下り坂区間でブレーキにかかる負担は大きくフェード現象やヴェイパーロック現象に陥ったりブレーキ部品が故障したりして制御不能になる恐れがある。降下の際にはフットブレーキだけでなく、エンジンブレーキ(MT車は1速、AT車はLまたは1、CVT車はLまたはBに入れる)や緊急時のパーキングブレーキなど、可能な全ての減速手段を組み合わせなければならない。 - 区間を通過しやすい車両は限られている
出力の小さい車両、外形寸法の大きい車両などはほぼ間違いなく苦戦を強いられる。2輪車の場合、50ccの原付などでは出力不足で坂道を登り切れないことがある。逆に出力の大きなオートバイの場合は登坂時に勢い余って前輪が浮き上がり後方へ転倒する危険性がある。4輪車の場合、全幅や全長の大きな車両では狭隘区間の通過やすれ違いが大変難しい。ちなみに生駒市側に「幅1.8m以内・ロングボディー車不可」の看板があり、狭隘区間でドアミラーを植木に擦ることなどを大目に見れば、幅についてはほぼ妥当な注意であると言える。さらにローダウン車やエアロ仕様車など最低地上高の低い車両では底擦りの危険性がある。多くの人員・荷物を載せている場合やエアコンをONにしている場合なども出力不足の恐れがある。大阪側のうねった急な上り坂では駆動力が路面に伝わらずホイールスピンすることもある。 - 歩行者には充分注意する
特に暖かい時期は枚岡公園・暗峠・生駒山・子供の森などへの散策者・ハイカーがこの路線を歩いている。歩行者優先のルールとマナーを忘れず、より一層安全に留意した運転をしなければならない。 - 夜間・悪天候時の通過は極力避ける
昼間・好天時とは全く異なる悪条件であり、危険度は段違いである。ちなみに区間途中には「積雪時チェーン携行」の看板があるが、積雪時にこの区間を問題なく走破できる車両・積雪に動じない精神力と巧みな運転技術を併せ持ったドライバーは存在してもごく僅かであると考えられる。 - 道幅が狭く、通過車両が少なくないことを肝に銘じる
すれ違いや後退を強いられる局面が平坦路や幅の広い区間だけで起こるとは限らない。したがって心の準備と確かな運転技術が不可欠である。言うまでもなく対向車は早めに発見することが肝腎であり、これにはヘッドライトの点灯が効果的である。また、同じ方向へ走る先行車や後続車にも充分な注意を払わなければならない。車間距離が詰まりすぎると後退を強いられる場合などで非常に厄介である。