天保山
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天保山 | |
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標高 | 4.53 m |
位置 |
北緯34度39分29秒東経135度25分58秒(世界測地系)、北緯34度39分17.1秒東経135度26分8.1秒(日本測地系)
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所在地 | 大阪市港区 |
山系 | (独立峰) |
種類 | 築山 |
初登頂 | -- |
天保山(てんぽうざん)は大阪市港区にある日本一低い山。ここで言う「山」の定義は「国土地理院発行の地形図に山名と共に載っていること」である。ただし天保山が築山(人工の山)であることなどから、「日本一低い山」ではないという意見もある。
標高4.53メートルの二等三角点があるが、実態は丘でしかない。周囲は、港の海面が近いので、わずかに盛り上がっている天保山公園となっている。
目次 |
[編集] 歴史
1831年(天保2年)より2年間、洪水防止と大坂への大型船の入港をしやすくする目的で安治川の河口を浚渫した際、その土砂を河口に積み上げて作られた人工の山である。当時は20mほどの高さがあり、大坂の町へ遡るため安治川に入ろうとする船にとって目印となっていた。海岸べりに高灯籠(灯台)が設けられ、山には松や桜の木が植えられて茶店なども置かれ、その当時から既に現在同様の観光スポットであったという。当時の舟遊びをする人々の姿は歌川広重などによって浮世絵に描かれている。
その後幕末以降、河口を守る砲台が天保山に建設されたため山土の削り取りが行われ、さらに工業地帯化された大正から昭和にかけて、地下水のくみ上げ過ぎで一帯の地盤沈下が起こり標高が下がり、一時は地形図からも山名が消されていた。これに対し、地元からの復活要望によって1996年に再掲載された。
[編集] 所在地と周辺
大阪市港区築港3丁目2番。水上消防署の北側。大阪市営地下鉄中央線大阪港駅北約400メートル。
[編集] 天保山公園
周囲一帯は天保山公園となっている。高い防潮堤防が公園を取り囲むように設けられているほか、公園内には土を盛り上げ木を植えて作られた見晴台のある丘(地下鉄のトンネルを掘ったときの土で作られた)など、「山頂」よりはるかに高い場所が多数存在する。
「山頂」の二等三角点隣には、明治天皇が慶応4年3月26日(1868年4月18日)15歳7ヶ月に電流丸(咸臨丸型)、万里丸、千歳丸、三邦丸、華陽丸、万年丸の六隻(合計2452トン) フランス艦1隻で日本初の観艦式を行った行幸記念碑が立つ。また天保山公園にある時計台は、1988年に、関西テレビ放送で当時放送されていた深夜番組「エンドレスナイト」の企画で設置し、大阪市に寄贈されたものである。ほか、公園奥には、明治の頃天保山付近に海に面した港(現在の大阪港)を建設しようと苦闘した西村捨三翁の銅像があるほか、公園入口両脇の防潮堤防には上記の歌川広重等による江戸期の天保山舟遊びを描いた浮世絵が陶板に写されてはめ込まれている。
[編集] 周辺地域
周辺には大観覧車、海遊館(水族館)、サントリーミュージアムなどで構成される天保山ハーバービレッジがあり、レジャーゾーンとなっている。
天保山の名を冠するものとしては他に阪神高速道路天保山出入口・天保山ジャンクション・天保山大橋、天保山渡船などもある。天保山渡船の築港乗り場は天保山公園のすぐそば。
[編集] 天保山山岳会
山岳会を結成し、登山認定書が発行されている。登山認定書は、現在は天保山マーケットプレイスに移転している「山小屋」という喫茶店において発行されている。
喫茶店「山小屋」では、閉店中も登山者に対し、手数料100円と、送付先・登頂日・登頂者等を記載し郵便受けに入れておけば、後日証明書を送付してくれる。その旨書いた紙と、メモ、鉛筆がシャッター前に貼り付けてある。
[編集] 他の「日本一低い山」
- 大潟富士(秋田県大潟村) - 海抜0メートル(ただし周囲は海面以下。地平面からは3.776メートル)。1995年6月3日(測量の日)に観光目的で作られた富士山風の円錐形の「山」だが、地形図への掲載は保留されている。
- 日和山(仙台市) - 6.05メートル。天保山が地形図から消えていた頃より「日本一低い山」を称している。明治時代の築山。
- 弁天山(徳島県徳島市) - 6.08メートル。「自然の山として日本一低い山」を称している。登山証明書あり。
- 蘇鉄山(大阪府堺市) - 6.80メートル。一等三角点のある山としては日本一低い。登山証明書あり。
[編集] 関連項目
- 富士山 - 日本一高い山。3776m。
- 北岳 - 日本で二番目に高い山。3193m。
- 山
- 築山
- 天保山10デイズわくわく宝島
[編集] 外部リンク
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