大阪市営地下鉄中央線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中央線(ちゅうおうせん)は、大阪府大阪市住之江区のコスモスクエア駅から大阪府東大阪市の長田駅までを結ぶ大阪市営地下鉄の路線。正式名称は高速電気軌道第4号線、大阪市交通局では大阪市高速鉄道第4号線と称し、鉄道要覧では4号線(中央線)と記載されている。1961年に一部区間が開通して以来、大阪市を東西に結ぶ動脈になっている。
路線愛称の由来は中央大通の地下を走ることから。ラインカラーは大阪城公園の木々をイメージした緑(スペクトリウムグリーン)である。直通運転している近鉄けいはんな線との総称として「ゆめはんな」という愛称がつけられている。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄・路線距離(実キロ):全長17.9km(営業キロ(運賃計算キロ)も同じ)
- 大阪市交通局(第二種鉄道事業)・大阪港トランスポートシステム(第三種鉄道事業)
- コスモスクエア~大阪港間 2.4km
- 大阪市交通局(軌道事業)
- 大阪港~長田間 15.5km
- 大阪市交通局(第二種鉄道事業)・大阪港トランスポートシステム(第三種鉄道事業)
- 軌間:1435mm
- 駅数:14駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線電化(直流750V・第三軌条方式)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 保安装置:WS-ATC
- 最高速度:70km/h
- 最大編成両数:6両(1984年~)
- ホーム最大対応編成両数:8両
- 車内案内装置設置率:100%
[編集] 概要
大阪市中心部では緑豊かな大阪城公園の南側や繊維問屋街のある船場を通る中央大通に沿って走り、大阪市の東西の交通を担っている。地下区間はコスモスクエア~大阪港間の大阪港咲洲トンネルと阿波座~長田間で、大阪港~阿波座間は高架区間となっている。
コスモスクエア~大阪港間では道路併用トンネルの大阪港咲洲トンネルを通る。このトンネルは箇体部分を先に地上で造り、それを海底に沈めて繋ぎ合わせる沈埋工法で建設された。当初は海底トンネルの構想であったが、それだと高架駅である大阪港駅から海底までの勾配がきつくなる(現在の沈埋トンネルでも40‰の急勾配である)ため、沈埋トンネルに変更された経緯がある。
大阪港~阿波座間が高架区間とされた理由は、周囲の地盤沈下と塩分を大量に含む土質のため地下に建設することが困難であったためである。[1]
2006年末の時点では大阪市営地下鉄では唯一、ホームの列車案内表示装置がコスモスクエア駅(この駅のみLED式)を除いて行灯式のままだったが(御堂筋線・谷町線・四つ橋線・堺筋線・長堀鶴見緑地線の各駅はLED式。千日前線・今里筋線各駅はフルカラーLCD式。)、2007年1月に入って各駅で列車案内表示装置の更新工事が始まり、2007年3月に比較的新しかったコスモスクエア駅の列車案内表示装置も交換され、全駅の更新が完了した。更新された列車案内表示装置は、千日前線と今里筋線でも採用されたフルカラー液晶式である。また、2007年1月10日~12日に発車ベルが作動する駅のみに発車メロディが導入されたが、2007年3月24日に発車ベルがなかった駅にも発車メロディが導入され、これによって全駅に発車メロディが導入された。この日、同時にホームの自動列車接近放送が御堂筋線タイプに英語放送を追加したものに更新され、さらに列車案内表示装置はあらゆる文字情報が表示されるようになった。
ニュートラムを含めた大阪市交通局の全ての路線との乗り換えが可能な唯一の路線である。なお、近鉄線と当線との連絡切符(長田駅経由指定)を購入した場合、両社(局)が乗り入れている鶴橋駅・谷町九丁目駅(上本町駅)・天王寺駅(大阪阿部野橋駅)・日本橋駅(近鉄日本橋駅を含む)・難波駅(近鉄難波駅を含む)の各駅の直接乗り継ぎはできない。
大阪市営地下鉄では5番目に利用者が多い(2004年度)。
2009年春に予定されている阪神西大阪線の延伸が完成し近鉄奈良線と直通するようになれば、九条~生駒間で競合することとなる。
[編集] 運行形態
長田駅から近鉄けいはんな線学研奈良登美ヶ丘駅まで相互直通運転を行っている。運転間隔は昼間時間帯で7分30秒毎で、約半数の列車はけいはんな線生駒駅で折り返す。
近鉄けいはんな線生駒~学研奈良登美ヶ丘間が2006年3月27日に開業し、運転区間が延びたことから、所要時間の短縮のため近鉄けいはんな線では最高速度が70km/hから95km/hに引き上げられた。これは第三軌条方式を採用している日本国内の鉄道路線では最高速度である。なお、快速列車の運転も検討されていた[2]がこれは見送られた。
また、けいはんな線との相互直通運転実施を機に、当線とけいはんな線の統一愛称が制定された。これは、利用者に生駒駅でけいはんな線から東大阪線に乗り換えることなく本町方面と行き来できることをアピールするためである。愛称は公募によって2005年10月26日に「ゆめはんな」と決定した。
乗務員の交代は森ノ宮駅と長田駅で行われる。
[編集] 車両
[編集] 自局車両
[編集] 乗り入れ車両
[編集] 歴史
- 1961年(昭和36年)12月11日 4号線 大阪港~弁天町間(3.1km)が開業。車両はクレーンによって直接高架に搬入された。[3]
- 1964年(昭和39年)10月31日 弁天町~本町仮間(3.7km)が開業。
- 1967年(昭和42年)9月30日 谷町四丁目~森ノ宮間(1.3km)が開業。
- 1968年(昭和43年)7月29日 森ノ宮~深江橋間(2.3km)が開業。
- 1969年(昭和44年)7月1日 本町駅本駅完成(+0.2km)。
- 1969年(昭和44年)12月6日 中央線と愛称が決まる。本町~谷町四丁目間(1.7km)が開業。
- 1985年(昭和60年)4月5日 深江橋~長田間(3.2km)が開業。
- 1986年(昭和61年)10月1日 近鉄東大阪線(現・けいはんな線)と相互直通運転開始。
- 1997年(平成9年)12月18日 OTSテクノポート線大阪港~コスモスクエア間(2.4km)が開業し、現在の中央線が全通。相互直通運転開始。
- 2005年(平成17年)7月1日 OTSテクノポート線を中央線に編入。
- 2006年(平成18年)3月27日 相互直通運転区間を近鉄けいはんな線学研奈良登美ヶ丘駅まで延長。
- 2007年(平成19年)3月24日 全駅発車メロディー導入。自動接近放送を御堂筋線タイプのものに更新。英語放送の機能も追加。
※上記のキロ数は実キロ
[編集] OTSテクノポート線の編入
コスモスクエア~大阪港間は大阪港トランスポートシステム(OTS)の南港・港区連絡線(テクノポート線)として1997年に開業した。
WTCやATCなどがある南港コスモスクエア地区と大阪市中心部を結ぶ役割を担っているが、運賃体系が別立て(2005年6月時点で大人全線230円均一)のため通算運賃が割高となり、利用者数が開業当初見込みより低迷していた。そこで、大阪市営地下鉄と運賃体系を統一することで運賃を値下げして利用者増加を図ることになり、大阪港トランスポートシステムは2005年2月9日に鉄道事業廃止届を提出するとともに、テクノポート線大阪港~コスモスクエア間の線路以外の施設・車両などを大阪市に売却し、第三種鉄道事業者として線路を大阪市交通局に貸与する形をとり、同年7月1日から大阪市交通局は第二種鉄道事業者として同区間を中央線の一部として運営することになった。
なお、それまで弁天町と南港を結び、OTS線に比べ運賃が安いため利用者もそれなりにいた大阪市営バスの44・44A系統(弁天町バスターミナル~ポートタウン東駅前)が、上記のOTS線移管に伴う運賃の値下げにより乗客が減少することが見込まれるため、2005年8月16日から運行経路と区間が変更され、本数もこれまでより削減された。詳細は当該バス路線記事を参照。
乗務員は大阪市交・OTS両社局ともコスモスクエア~長田間を通しで乗務していた。
[編集] 駅一覧
駅番号 | 駅名 | 駅間キロ | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|
C10 | コスモスクエア駅 | - | 0.0 | 大阪市交通局:■南港ポートタウン線(P09) | 大阪市 | 住之江区 |
C11 | 大阪港駅 | 2.4 | 2.4 | 港区 | ||
C12 | 朝潮橋駅 | 1.5 | 3.9 | |||
C13 | 弁天町駅 | 1.6 | 5.5 | 西日本旅客鉄道:大阪環状線 | ||
C14 | 九条駅 | 1.3 | 6.8 | 阪神電気鉄道:西大阪線(2009年春開業予定) | 西区 | |
C15 | 阿波座駅 | 1.5 | 8.3 | 大阪市営地下鉄:■千日前線(S13) | ||
C16 | 本町駅 | 1.1 | 9.4 | 大阪市営地下鉄:■御堂筋線(M18)・■四つ橋線(Y13) | 中央区 | |
C17 | 堺筋本町駅 | 0.7 | 10.1 | 大阪市営地下鉄:■堺筋線(K15) | ||
C18 | 谷町四丁目駅 | 1.0 | 11.1 | 大阪市営地下鉄:■谷町線(T23) | ||
C19 | 森ノ宮駅 | 1.3 | 12.4 | 大阪市営地下鉄:■長堀鶴見緑地線(N20) 西日本旅客鉄道:大阪環状線 |
||
C20 | 緑橋駅 | 1.2 | 13.6 | 大阪市営地下鉄:■今里筋線(I20) | 東成区 | |
C21 | 深江橋駅 | 1.1 | 14.7 | |||
C22 | 高井田駅 | 1.4 | 16.1 | 西日本旅客鉄道:大阪外環状線(2008年開業予定) | 東大阪市 | |
C23 | 長田駅 | 1.7 | 17.9 | 近畿日本鉄道:けいはんな線(直通運転) | ||
近畿日本鉄道けいはんな線学研奈良登美ヶ丘駅まで直通運転 |
[編集] 脚注
- ^ 岩村潔 (1981).大阪の地下鉄 : 発展を支えた遺風と建設技術開発. 日刊建設産業新聞社大阪支社.
- ^ 「大阪市交通局、地下鉄中央線に快速運行検討」(Inetrnet Archive) 日本経済新聞 2005年3月19日朝刊・日経ネット関西版
- ^ 大阪市交通局 (1981).大阪市地下鉄建設五十年史. 大阪市交通局.
[編集] 関連項目
- 日本の鉄道路線一覧
- 東大阪電気鉄道(森ノ宮-四条畷-奈良間未成線)
- 大阪電気軌道四条畷線(桜ノ宮-住道-額田間未成線)
- 船場センタービル