富内線
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富内線(とみうちせん)は、日本国有鉄道(国鉄)が運営していた鉄道路線(地方交通線)。北海道胆振支庁管内の勇払郡むかわ町(旧鵡川町)の鵡川駅で日高本線から分岐し、沙流郡日高町(日高支庁管内)の日高町駅を結んでいた。一時は根室本線金山駅と結ぶ計画があったものの、国鉄再建法の施行により第2次特定地方交通線に指定され、1986年に廃止された。
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[編集] 路線データ(廃止時)
- 日本国有鉄道
- 区間(営業キロ):鵡川~日高町 82.5km
- 軌間:1067mm
- 駅数:15(起点駅を含む)
- 全線単線
- 電化方式:全線非電化
- 閉塞方式:タブレット閉塞式
- 交換可能駅:4(旭岡、穂別、富内、振内)
- 簡易委託駅:春日、旭岡、栄、豊田、富内
[編集] 休止区間
- 沼ノ端~豊城 24.1km - 1943年11月1日休止
[編集] 運行形態
一部の列車を除き、日高本線を経由して苫小牧駅まで直通していた。廃止直前は、全線通しの運転が4往復程度あったほか苫小牧・鵡川~富内・振内間の区間列車があった。
[編集] 歴史
沿線から産出されるクロム鉱や石炭、森林資源の開発のため、北海道鉱業鉄道が金山線(沼ノ端~邊富内)として1922年から翌年にかけて開業したもので、1924年に北海道鉄道(2代)と改称。1943年に同社の札幌線(現在の千歳線)とともに戦時買収され、富内線となった。
その際、日高本線と路線が近接していた沼ノ端~豊城間は不要不急線として休止(事実上の廃止)され、豊城~鵡川間に新線を建設して日高本線と接続させている。
鵡川~富内間は、改正鉄道敷設法別表第134号に規定する予定線「胆振國鵡川ヨリ石狩國金山ニ至ル鐵道及「ペンケオロロツプナイ」付近ヨリ分岐シテ石狩國登川ニ至ル鐵道」の一部であり、本来、根室本線の金山駅に接続するはずであった。予定線の後段部分の一部は「紅葉山から占冠を経て金山に至る鉄道(紅葉山線)」に変更し、その一部が石勝線(新夕張駅~占冠駅)として開業している。
富内~日高町間については、同法別表第142号の2に規定する予定線「十勝國御影付近ヨリ日高國右左府ヲ經テ胆振國邊富内ニ至る鐵道」の一部として開業し、残りの区間については、「新得より占冠を経て日高町に至る鉄道(狩勝線)」に変更され、その一部が石勝線(占冠駅~上落合信号場)として開業している。
- 1922年7月24日 【開業】北海道鉱業鉄道金山線沼ノ端~生鼈(いくべつ、後の旭岡) 【駅新設】ニナルカ、上厚真、上鵡川、萠別、生鼈
- 1923年6月12日 【延伸開業】生鼈~似湾(にわん、後の栄) 【駅新設】芭呂沢、似湾
- 1923年11月11日 【延伸開業】似湾~邊富内(へとない、後の富内) 【駅新設】入鹿別、杵臼、穂別、邊富内
- 1924年3月3日 【社名変更】北海道鉱業鉄道→北海道鉄道
- 1924年6月10日 【駅新設】(貨)深牛
- 1926年5月1日 【駅新設】北松田
- 1943年8月1日 【買収・線路名称設定】富内線沼ノ端~富内(66.0km)。【駅名改称】駅一覧参照 【駅廃止】芭呂沢、(貨)深牛
- 1943年11月1日 【延伸開業】鵡川~豊城(3.6km) 【休止】沼ノ端~豊城間(24.1km) 【駅休止】北松田、静川、上厚真、入鹿別 【区間表示変更】富内線鵡川~富内(45.5km)
- 1958年11月15日 【延伸開業】富内~振内(12.9km) 【駅新設】幌毛志、振内
- 1964年11月5日 【延伸開業・全通】振内~日高町(24.1km) 【駅新設】仁世宇、岩知志、日高岩内、日高三岡、日高町
- 1982年11月15日 【貨物営業廃止】全線
- 1984年6月22日 第2次特定地方交通線として廃止承認
- 1986年11月1日 廃止。道南バスにバス転換
[編集] 駅一覧
鵡川駅 - 豊城駅(上鵡川駅) - 春日駅(萠別駅) - (芭呂沢駅) - 旭岡駅(生鼈駅) - 栄駅(似湾駅) - 豊田駅(杵臼駅) - 穂別駅 - ((貨)深牛駅) - 富内駅(邊富内駅) - 幌毛志駅 - 振内駅 - 仁世宇駅 - 岩知志駅 - 日高岩内駅 - 日高三岡駅 - 日高町駅
1943年休止区間:沼ノ端駅 - 北松田駅 - 静川駅(ニナルカ駅) - 上厚真駅 - 入鹿別駅 - 豊城駅
- 括弧書きは、1943年8月の買収時に改称または廃止された駅の旧称
[編集] 接続路線
- 鵡川駅:日高本線
[編集] 廃止後の状況
- 廃止後は道南バスが鉄道代替路線を運行している。ただし後に富内~幌毛志間はバスが全廃されており、元の鉄道路線の系統が分断されている。現在、振内・日高町方面への路線は日高本線の富川駅に接続している。
- 富内駅は駅舎や駅構内がほとんど保存されている。また振内駅も駅舎こそ残っていないものの、ホームや線路が残っており車両も置いてある。