幇助
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幇助(ほうじょ)とは実行行為以外の行為で正犯の実行行為を容易にする行為一般を指す。幇助犯の処罰を規定する刑法第62条は次のように規定している。「正犯を幇助した者は、従犯とする。」
例えばAがB殺害の凶器となった拳銃を犯人Cに交付した行為や、勤め先に強盗が入ることを知ったDが店の金庫の鍵を開けておく行為などがこれにあたる。手段、方法は問わない。上に挙げた例のように物理的に実行行為を促進する行為はもとより、行為者を励まし犯意を強化するなど心理的に実行行為を促進した場合も幇助となる。
幇助の概念は曖昧であり、あらゆる行為を犯罪としかねない危険性があるため幇助犯の成立を安易に認めることは避けなけれならない。例えば強盗に使用された包丁を売り渡したホームセンターの店員の行為や、海賊版DVDの作成に使用されたコンピューターやメディアなどを供給した電器店の行為など、本来、犯罪行為とは無関係な法的に否認されていない中立的行為による幇助について、どのように処罰範囲を限定するか、近時、議論が高まっている。
なお実際の運用では幇助犯として処罰される場合は極めて少なく(1/10程度)、複数人が犯罪に関与した場合、大半は共同正犯として処理されている。幇助として処罰されるのは賭博開帳の見張りがほとんどである。
目次 |
[編集] 実行従属性
幇助犯が処罰されるには正犯者が実行に着手したことを要する。上の例で言えば、拳銃を交付したけれどもCが殺人に着手しない時点で犯意を放棄して犯罪を中止した場合や、結局、勤め先に強盗は入らなかったという場合には幇助犯は成立しない。このような性質のことを実行従属性という。
実行従属性が求められる理由は主に二つある。第一に幇助という概念は正犯の実行行為の存在を前提とし、正犯者の実行行為がいまだ存在しない段階では行為は幇助行為と言えないという理由(形式的根拠)、第二に幇助犯の処罰根拠は正犯の実行行為を通じて、法益侵害の危険性を高めた点にあるが正犯が実行に着手しない段階では法益侵害の危険性を高めたとは言えないという理由(実質的根拠)である。
ただし共犯独立性説に立った場合には、実行従属性は不要となり、幇助行為が行われた時点で犯罪は完成する。
[編集] 幇助の因果関係
実行行為と結果との間に条件関係が存在する必要があることは当然であるが、幇助行為と実行行為との間にも同様の条件関係を要求するかについては争いがある。判例・通説は幇助は正犯の実行行為を促進する行為であるから、実行行為を通じて結果発生を促進したといえればよく、条件関係は不要とする。
例えば、上の例で、拳銃を交付したが実際は毒で被害者を殺害したという場合には、交付行為と実行行為との間に条件関係は存在しないことになるが(交付行為がなくても被害者は殺されていた。)拳銃の受領によって犯人が犯意を強化されるなどして心理的に実行行為を容易にし結果発生は促進されているから、交付行為は幇助犯として可罰的であるということになる。
その他、共犯独立性説に立ち因果関係自体を不要とする説や、結果を個別的に捉えて条件関係の存在を肯定する説(交付行為がなくても殺されたかもしれないが交付行為があったことによって殺害時間等に変更が生じたのならば、そのような意味で、現に生じた殺害行為は交付行為がなければ生じなかった実行行為として捉えることが出来る。)などがある。
[編集] 片面的幇助
[編集] 関連項目
- 共犯従属性説
- 共犯独立性説
- 要素従属性
- 実行従属性
- 罪名従属性
- 制限的正犯概念
- 拡張的正犯概念
- 統一的正犯概念
- 共同正犯
- 間接正犯
- 教唆犯
- Winny - 幇助に該当するかなどについて係争中(2006年12月現在)の例
[編集] 幇助行為を独立の罪とするもの
など