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成年後見制度 - Wikipedia

成年後見制度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

成年後見制度(せいねんこうけんせいど、成年後見ともいう[1])とは、判断能力(事理弁識能力)の不十分な成年者を保護するため、一定の場合に、本人の行為能力を制限すると共に、本人のために法律行為をおこない、または本人による法律行為を助ける者を選任する制度。ドイツの世話法、イギリスの持続的代理権授与法を参考にして、2000年4月、旧来の禁治産・準禁治産制度にかわって設けられた。

裁判所の審判による「法定後見」と、本人が判断能力が十分なうちに候補者と契約をしておく「任意後見」とがある。

未成年後見については「後見」の項を参照。

目次

[編集] 法定後見

法定後見は、本人の判断能力が不十分になった場合に、家庭裁判所の審判により後見人(保佐人・補助人)が決定され開始するものである。本人の判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助の3類型がある。

[編集] 根拠法

制度は民法に基づく。実際の手続は、家事審判法および家事審判規則に基づき、家庭裁判所が行う。後見登記は、後見登記等に関する法律による。市区町村長申立の根拠は、老人福祉法知的障害者福祉法精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)である。

[編集] 3類型

[編集] 後見

精神上の障害により判断能力を欠く常況にある者を対象とする。家庭裁判所の後見開始の審判により、後見人を付すとの審判を受けたものを成年被後見人、本人に代わって法律行為を行う者として選任された者を成年後見人とよぶ。

成年後見人は、成年被後見人について広範な代理権取消権をもつ。ただし、日常生活に関する行為については取り消すことが出来ない。また、遺言婚姻などの身分行為や、治療行為などの事実行為に関する同意など、本人だけで決めるべき(一身専属的)事項についても、同意や取消はできないと考えられている。

[編集] 保佐

精神上の障害により判断能力が著しく不十分な者を対象とする。家庭裁判所の保佐開始の審判により、保佐人を付すとの審判を受けたものを被保佐人、保佐の事務を行う者として選任された者を保佐人とよぶ。

保佐人は、民法第13条1項に定める重要な財産行為について同意権および取消権を有し、さらに、当事者が申し立てた特定の法律行為についての代理権を有する。ただし、代理権の付与は、本人の申立てまたは同意に基づく別個の審判が必要である。(家庭裁判所での手続上は、同時に並行して進められる。)

[編集] 補助

精神上の障害により判断能力が不十分な者のうち、後見や保佐の程度に至らない軽度の状態にある者を対象とする。家庭裁判所の補助開始の審判により、補助人を付すとの審判を受けたものを被補助人、本人の行う法律行為を補助する者として選任された者を補助人とよぶ。

補助人は、特定の法律行為について、審判により定められた代理権又は同意権・取消権の一方又は双方を有する。ただし、自己決定の尊重の観点から、本人の申立て又は同意を審判の要件とする。

[編集] 法定後見開始の手続

  • 判断能力が低下した場合、4親等内の親族、検察官や市区町村長等の申立権者が、本人の住所地の家庭裁判所に対して、後見、保佐または補助開始を申し立てる。法律上は、本人の申立ても可能である。
  • 本人の財産が親族等の第三者により勝手に処分されるおそれがある等、必要がある場合には、裁判所の審判が出るまでの間に、裁判所の命令により、財産の管理人をおくなどの「審判前の保全処分」が行われる場合がある。
  • 申立ての際に、申立書、財産目録、判断能力に関する医師診断書等の書類の提出が求められる。弁護士による代理申立ても認められる。ただし、申立書などの書式は定型化されており、申立人が手続きについて分からないような場合でも、家庭裁判所の職員(裁判所書記官等)の助言を得ながら、書類を作成することは可能である。申立ての費用としては、申立て自体に1,600円分程度の収入印紙の貼付(申立て類型の組合せ等によって異なる)と、裁判所により若干異なるが、郵便切手を4,000円分程度、登記費用4,000円程度の予納が必要となる。
  • 申立てが受理された後、家庭裁判所が、本人や後見人等候補者(いる場合)の面接などによる調査を行う。必要に応じて、家庭裁判所の職員(家庭裁判所調査官等)は、裁判所外での面接を行う場合もある。調査が簡略化される場合もあるが、本人の知らないところで勝手に申し立てられるなどの濫用を防ぐため、必ず本人の陳述を聞かなければならないと規定されている。実際には、調査官等の面談によって、本人の意向が確認されている。東京家裁では、申立時に本人及び後見人等候補者を同行させれば、申立と同時に面接が行われる扱いになっており(即日面接)、日程の短縮が図られている。
  • いわゆる植物状態にある場合や、幼少時からの重い知的障害者など、明らかに鑑定が必要でない場合(家裁によって若干基準が異なる)、又は、補助の場合を除いて、調査が終了後、必ず本人の判断能力について医師の鑑定が行われる。
  • 鑑定の結果を踏まえて、家庭裁判所の裁判官(家事審判官)の判断で、開始の決定、又は申立ての却下決定が行われる。裁判官の判断によって、たとえば、後見開始の申立てであっても、本人の状況に応じて、保佐、補助等、申し立てた内容よりも能力制限の少ない類型で開始決定されることもある。開始決定がされた場合、必ず本人にも通知される。
  • 開始決定は、裁判所からの嘱託によって、特別な登記がされる。登記事項は登記事項証明書に記載される。この証明書は、本人、後見人等、相続人公務員以外は、交付請求できないとされ、プライバシーに配慮されている。
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[編集] 鑑定

後見、保佐の場合、申立て後に、原則として全例、本人の判断能力についての鑑定が行われる。鑑定医は、本人の主治医等がいれば、まずはその主治医等に家庭裁判所から依頼される。しかし、主治医が専門ではない場合など、鑑定をすることができない場合には、専門の医師を探す必要があり、家庭裁判所が鑑定医を探し依頼する。鑑定費用は、東京家裁で10万円程度、横浜家裁では5万円~10万円とされるが、医師の設定による。

[編集] 報酬の付与

後見人の報酬は、家庭裁判所の審判で特に定められない場合は、無償である。第三者が後見人に就任する場合などは、1年程度経過後に、報酬付与の申立に基づき、裁判所が本人の財産の状況、事務量や内容を総合的に勘案して、報酬額を決定する。成年後見監督人がついている場合の監督人の報酬についても同様である。 

[編集] 任意後見

任意後見は、将来の後見人の候補者を本人があらかじめ選任しておくものである。法定後見が裁判書の審判によるものであるのに対し、任意後見は契約である。後見人候補者(受任者)と本人が契約当事者である。この契約は、公正証書によって行われる。

将来後見人となることを引き受けた者を「任意後見受任者」という。任意後見が発効すると、受任者は「任意後見人」となる。任意後見人の行為は、定期的に、裁判所の選任する任意後見監督人により監督を受ける。任意後見監督人は裁判所に報告することで、国家は間接的に監督するものである[2]

[編集] 根拠法

法定後見が民法上の制度であるのに対し、任意後見は民法の特別法である「任意後見契約に関する法律」に定められた制度である。 (同法の仕組み等は「任意後見契約に関する法律」の項を参照)

[編集] 優先劣後

任意後見契約は、法定後見に優先する。任意後見契約が締結されているときに法定後見の開始申立てをしても、原則として受理されない(任意後見契約に関する法律第10条)。成年後見の理念は本人意思の尊重であり(民法第858条)、本人意思により締結された契約を、国家(裁判所)による行為である審判に優先させるという考えに基づくものといわれている。

[編集] 任意後見契約の発効

本人の判断能力が不十分となった場合に、親族、任意後見受任者等が、裁判所に対し「任意後見監督人」の選任を申し立てる。任意後見監督人の選任がなされたときに、当該任意後見契約は発効する。

[編集] 任意代理との違い

任意後見契約は、後見人が、常に判断能力を欠く状況にある本人を代理して法律行為を行うことを規定して、事前に契約しておくものであるが、通常の委任契約と異なるのは、公正証書によるという要式契約であるという点、任意後見監督人が後見人を監督する点、が挙げられる。

とくに後者は、任意代理契約との比較上重要な差異である。任意代理では、本人の判断能力が十分な場合は、代理人の行動を本人が監督でき、もし代理人の行動に権限ゆ越等の問題があれば、原則としていつでも解除できる。しかし、任意代理契約発効後に本人が判断能力が不十分となった場合は、当然本人からの監督は期待できないにもかかわらず、判断能力を欠くことは委任契約終了の事由ではないから任意代理契約は継続し、代理人は代理権を有するまま監督者不在で法律行為を行うことができてしまい、本人の保護が十分になされないのである。

任意後見契約では、その発効のために、任意後見監督人の選任が必要である。つまり、本人の判断能力が不十分となった場合には、裁判所におり選任された任意後見監督人が後見人を監督するのである。任意後見監督人は裁判所に状況報告を行うこともあり、裁判所が間接的に後見人を監督する。これにより本人保護が図られるのである。

[編集] 法定後見との違い

法定後見では、一定の場合を除き、必ず、本人の判断能力に関する鑑定が必要であるのに対して、任意後見では鑑定は不要である。

任意後見には、本人の行った行為の取消権はない。クーリングオフ等については、日本成年後見法学会等で、民法120条に基づいて取消権を行使しうるとする意見が出されている[3]

[編集] 任意後見契約の態様

任意後見契約は、通常3種別に分類される。

  • 将来型
  • 移行型
  • 即効型

[編集] 将来型

将来、本人の判断能力が不十分となったときに任意後見契約を発効させるものである。親族が受任者である等の場合に利用される。

[編集] 移行型

本人の判断能力が十分な間は、任意代理契約(又は「見守り契約」)とし、判断能力が落ちた場合に、任意代理契約を終了させ任意後見契約を発効させるものである。弁護士等の士業が契約に関与する場合にはこの方式が好まれる傾向にある。理由としては、いつ判断能力が落ちるか不分明であること、任意代理契約や見守り契約の間に、本人の生活状況など(QOL,ADL)を把握することができること、「任意後見監督人選任申立の時期を的確に把握しやすい」ということが挙げられる。任意代理契約・任意後見契約の両方に、受任者の義務として的確な時期に監督人選任を申し立てるという条文が挿入される[4]。士業は、同居の親族と異なり、定期的に本人の状況を把握するよう努力しないと、本人の判断能力の低下等の状況について把握しづらく、結果として申立て時期を徒過してしまうこともありうるからである[5]

[編集] 即効型

任意後見契約を締結したあと、すぐに任意後見監督人選任申立てをして、任意後見契約を発効させるタイプの契約である。早期に発効させたい場合には利用される。しかし、判断能力の不十分であるから任意後見を発効させるのだから、任意後見契約を締結したときに契約内容を理解する十分な能力があったのかどうかが問題となることもある。

[編集] 後見人の報酬

後見人の報酬は、任意後見契約において支払額や方法を取り決めない限りは、民法第648条に基づき無報酬である。

[編集] 後見人の養成とその課題

[編集] 後見人の担い手

後見人となる者は、2005年の最高裁判所事務総局家庭局編成年後見事件の概況によれば、家族・親族が77.4%であり、残余は第三者後見人である。第三者後見人の内訳は司法書士が8.2%、弁護士が7.7%、社会福祉士が3.3%、法人が後見人に選任される法人後見は1.0%、友人・知人名義が0.5%、その他1.9%となっている。 また、法定後見において、財産管理や遺産分割等の法律事務中心と見込まれる場合は法律職が、身上監護を重視すべき事案と裁判所が判断した場合には、社会福祉士等福祉専門職が選任されるといわれている。身上監護を家族後見人、財産管理を第三者後見人が担うなど、様々な事情によって、複数の後見人を選任して役割分担することもある。

[編集] 職業後見人

専門職従事者(いわゆる士業)による第三者後見人を、とくに「職業後見人」と呼ぶことがある。

団体として後見人活動に取り組んでいる例としては、社団法人成年後見センター・リーガルサポート(司法書士)、日本社会福祉士会の成年後見センター・ぱあとなあ等が著名である。リーガルサポートは、本制度発足前より、後見制度の先進国であるドイツ、英国等を視察し、2000年4月の本制度発足以降も積極的に提言をしてきた。弁護士は、弁護士会日弁連としての統一的な実務的な取り組みはないが、日弁連として提言をまとめる等の活動は行われている。また、当分野で著名な中山二基子弁護士を中心とした有限責任中間法人が2005年に発足している。ほかに、行政書士が行政書士会もしくは特定非営利活動法人として成年後見活動を行っており、とくに神奈川県では取り組みが顕著である。税理士も、全国女性税理士連盟等によって成年後見活動に参画している例がある。

しかし、こうした職業後見人の数は、現在ではまだ必要とされる数に比して少ないといわれているのが現状である。例えば、成年後見分野に積極的に取り組んでいる弁護士の数は、弁護士総数からみれば決して多くなく、制度発足時よりこの制度の推進に大きな役割を果たしてきた司法書士[6]にしても、司法書士登録者総数は弁護士、行政書士、税理士等に比して少ないうえ、中心的な業務は登記であり成年後見に取り組む司法書士が決して比率的に多いわけではないのである。

近年では、税理士が個人レベルで関与する事例も見られるほか、一部の行政書士会でも後見人養成を行っており、今後の職業後見人の増加は見込まれているところである。

[編集] 市民後見人

とはいえ、職業後見人に対しては、月額およそ3~5万円の報酬を本人の財産から支払う必要がある。このため、成年後見制度を利用すべき状態にある高齢者であっても、後見人となるべき家族等がおらず、または、家族から財産侵害(経済的虐待)を受けているために家族を後見人にするのが不相当な場合などは、一定の資力がないと職業後見人を付することができないという問題が生じていた。

こうしたなかで、都道府県や日本成年後見法学会等では、後見人の養成が急務であると考えており、東京都では、市民後見人の養成講座が開催され、世田谷区でも同様の取り組みが行われる予定であると発表されている。また、一般の市民の中にも、第三者後見人の担い手になる動きが広がっている(「市民後見人」)。滋賀県大津市特定非営利活動法人「あさがお」、岐阜県多治見市の「東濃成年後見センター」などの民間機関による活動の例がある。

[編集] 後見人の資質向上

このように後見人の担い手は広がりつつあるが、一方で、家族が後見人となり財産管理をする傍らで本人の財産を侵奪したり、悪徳リフォーム業者が認知症高齢者の任意後見人になり高額の契約を結んだりする等の事例があるのも事実である。年金生活である知的障害者の家族が、年金収入を家族の生計に充てている事例があるとの指摘もされている。監督人がいない場合、後見人を家庭裁判所が監督する建前だが、裁判所の人的資源の限界もあって、十分な監督ができていないのが実情である。他方、任意後見の移行型については、任意後見受任者が監督を忌避して監督人選任申立てを懈怠する可能性も、学会や新聞紙上等において指摘されている[7]

具体的な事例としては、親族による後見人による金銭の着服が刑事事件となるケース[8]や、専門職による職業後見人が不当な報酬額を取得し財産を侵奪したりするケース[9]が、全国各地で報告されている。

このようななかで、後見人としての資質の向上や倫理観、懲罰制度についての議論が起こっており、とくに裁判所では、士業者団体による後見人候補者名簿の作成に当たっては、名簿提出をする団体の研修内容や組織体制を重視してきた。また、士業者団体に対し、裁判所が適切な懲罰制度を設けることなどを求める例もでている。また、民間団体による市民後見人が後見業務を行う場合には、複数の法人で相互に活動をチェックする体制をとるなど、権限の濫用を防止するための試みも行われているとの報道がなされている[10]

[編集] 実務上の問題点

[編集] 医的侵襲に対する同意

医療の現場では、手術、輸血、人工呼吸器装着などの高度な延命措置など、侵襲的または高度・不可逆的な医療行為の前に、本人に代わって説明を受け、その同意を後見人に求めるケースがある。しかし、法的には、後見人等は、遺言婚姻などの身分行為や、治療に関する同意など、本人の一身に専属する行為を代理して行う権限はないと考えられている[11]

[編集] 成年後見制度発足の経緯

従来の禁治産・準禁治産制度には、差別的であるなどの批判(後述)が多かった。こうした中で、平成7年に法務省内に成年後見問題研究会が発足して以来、成年後見制度導入の検討が重ねられてきたが、従来の制度への批判とともに、制度導入時期決定の契機となったのが、介護保険制度の発足である。

福祉サービスの利用にあたって、行政処分である措置制度から、受益者の意思決定を尊重できる契約制度へと移行が検討されていた(いわゆる「措置から契約へ」)。高齢者の介護サービスについては、2000年平成12年)から、介護保険制度の下で、利用者とサービス提供事業者の間の契約によるものとされることとなったが、認知症高齢者は契約当事者としての能力が欠如していることから、契約という法律行為を支援する方策の制定が急務であった[12]

そこで、厚生労働省における介護保険法の制定準備と並行して、法務省は1999年平成11年)の第145回通常国会に、成年後見関連4法案[13]を提出、平成11年12月に第146回通常国会において成立した。その後、政省令の制定を経て、2000年(平成12年)4月1日、介護保険法と同時に施行されることとなったのである。

こうした経緯から、介護保険制度と成年後見制度はしばしば「車の両輪」といわれる。[14]

[編集] 禁治産・準禁治産制度への批判

  • 制度が作られたのは明治時代であり、本人の保護・家財産の保護は強調されても、本人の自己決定権の尊重や身上配慮など、本人の基本的人権は必ずしも重視されていなかった。
  • 禁治産という用語は、「(家の)財産を治めることを禁ず」という意を持ち、家制度の廃止された現行の民法(親族・相続法)に合致しない。また、国家権力により私有財産の処分を禁ぜられ無能力者とされること、また禁治産・準禁治産が戸籍に記載されることが、人格的な否定等の差別的な印象を与えがちであった。これらにより、禁治産制度の利用に抵抗が示されやすかった。
  • 裁判所の受理件数が少なく、処理が定型化していなかったこともあり、鑑定を引き受ける医師が少なく、時間とコストの負担が少なくなかった。
  • 比較的軽度の判断能力の低下の場合であっても、一律に行為能力を制限する準禁治産者の宣告を受けることになるため、制限が過剰である場合があった。特に、浪費者の場合に、裁判所の運用によって、鑑定なしで準禁治産宣告を行うなど、やや無理が目立っていた。
  • 配偶者がいる場合に、法律上当然に配偶者が後見人となる旨の規定があり、実情に即した弾力的な運用が困難であった。
  • 保佐人の取消権について、法律の明文の規定を欠いていたため、その行使の可否について解釈上の争いがあった。

[編集] 禁治産・準禁治産制度との相違点

  • 身上配慮義務の明文化(b:民法第858条
  • 本人の保護と、自己決定権の尊重との調和をより重視
  • 禁治産という用語を廃止
  • 戸籍への記載を廃止。代わりに後見登記制度を新設
  • 「補助」の新設(旧来の禁治産は後見、準禁治産は概ね保佐にあたる)
  • 準禁治産の事由に含まれていた「浪費者」を、後見制度の対象から除外
  • 鑑定書の書式を専門医向けに配布することなどにより、鑑定を定型化・迅速化
  • 配偶者が当然に後見人、保佐人となるという規定を削除
  • 複数成年後見人(保佐人・補助人)の導入
  • 法人後見の導入
  • 保佐人、補助人の取消権の明文化

[編集] 精神保健福祉法との関係

精神保健福祉法第20条は、後見人又は保佐人を、精神障害者の保護者になる者の第1順位としている[15]。これにより、精神障害者の後見人及び保佐人は、当然に「保護者」となり、精神保健福祉法上の義務も負う。

職業後見人が単独で後見人に就任した場合、実際には、家族親族がいて身の回りの世話などを行っている場合でも、法律上は、職業後見人が当然に精神保健福祉法上の保護者となる。つまり、受療義務など保護者としての法的な義務は、家族・親族ではなく、後見人が負うことになる。

[編集] 後見に関する証明書

登記事項証明書
法定後見・保佐・補助が発効、もしくは任意後見契約が成立すると、裁判所、公証人の嘱託により、東京法務局後見登録課で後見登記がされる。その登記事項は、登記事項証明書により証明される。
登記なきことの証明書
この証明書は、後見登記がされていないことを証明するものである。法務局・地方法務局戸籍課(東京は後見登録課)で発行される。従来の禁治産者・準禁治産者でないことは、市町村役所で発行される身分証明書にて、破産者でないことと一括で証明されていた。2000年4月以降の成年後見制度では、成年被後見人・被保佐人・被補助人でないことは、登記されていないことの証明書にて証明されるようになった。対して、破産者でないことは身分証明書で証明される。

[編集] 注釈

  1. ^ 保健・医療・福祉の分野で、当初、成人後見と表現されたことがある。[要出典]
  2. ^ 法定後見では、成年後見監督人の選任は必須ではなく、多くの事例が裁判所の直接監督である。任意後見が間接監督であるのは、民法第858条の具現化のひとつである。
  3. ^ 論者として、新井誠(日本成年後見法学会理事長・筑波大学法科大学院院長)が挙げられる。日本成年後見法学会編・『成年後見法研究』第3号182ページ。
  4. ^ 公証人会のモデル等を参照
  5. ^ 任意後見受任者が、適切な時期に監督人選任申立てをしなかった場合、監督能力を喪った本人の代理人として、監督を受けないまま行動できてしまうという問題点がある(任意代理における、本人の判断能力喪失後の監督者不在の問題と同様である)この点は、日本成年後見法学会のシンポジウム及び『成年後見法研究第3号』155ページ以下等。
  6. ^ 社団法人成年後見センター・リーガルサポートとして活動している。
  7. ^ 平成17年開催の日本成年後見法学会のシンポジウム及びその内容を記録した『成年後見法研究第3号』155ページ以下等。
  8. ^ 福岡県で知的障害の実兄2人の成年後見人であった実弟が、ヤミ金業者らと共謀して多額の預金を引き出したとして、親族相盗例を排除して業務上横領罪を適用し、福岡地方検察庁特別刑事部によって逮捕起訴されたことが、毎日新聞2006年10月5日によって報じられている
  9. ^ 社団法人成年後見センター・リーガルサポート東京支部の元副支部長である司法書士が、任意後見契約において設定された報酬額に加えて日当等を請求し、結果的に年間500万円程度の多額の報酬額を不当に取得したとして問題となった。この司法書士は、2006年春に成年後見に関する書籍を発行するなどの活動を行っていた。
  10. ^ 日本経済新聞2006年10月19日夕刊などによる
  11. ^ 診療契約、介護契約締結は法律行為なので代理できる点は争いない。医的侵襲については、
    A)診療・介護契約の締結が、治療・介護行為への同意と不可分一体のものであると考えれば、診療契約締結の代理権に付随して、治療行為への同意権があると解するとする立場
    B)包括的な診療契約の締結(法律行為)と、医的侵襲を伴う治療方法(事実行為)の選択とは性質が異なることに基づき、同意権は認められないとする立場
    がある。この論点については、後見人業務を行う職業後見人及び医療関係者双方の実務家から、現実にインフォームド・コンセントがますます重視され、また、輸血を行う際には必ず文書での同意が必要となっていることなどからも、形式的な法理論だけでは実務が成り立たないという声が上がっており、法改正により同意権を明文化すべきとする意見が、学会や職域団体における議論の中で提示されている。現状は、十分な議論が尽くされている状況ではなく、引き続き関連諸団体において議論中である。(『成年後見法研究』第3号等)
  12. ^ 2003年平成15年)からは、身体障害者知的障害者障害児の利用する福祉サービスについても契約制度が導入されている(支援費制度)。2006年(平成18年)からは、精神障害者も含めた障害者自立支援法の下での障害福祉サービスに衣替えした。
  13. ^ 民法の一部を改正する法律案、任意後見契約に関する法律案、民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、後見登記等に関する法律案
  14. ^ 介護サービス契約のために後見人等が契約代理を行うことが想定されているが、現実には、介護サービスを利用している認知症高齢者等のすべてに後見人がついているわけではなく、家族・親族等が代理権ないまま契約を代行している例が少なくない。
  15. ^ 保護者になる者の第2順位以下の配偶者親権者扶養義務者については、本人保護のために特に必要であると家庭裁判所が認めた場合、利害関係人の申立てにより、保護者となる者の順位を変更できる。しかし、後見人と保佐人に関しては、順位変更の規定から除外されている。

[編集] 関連項目

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