攻撃ヘリコプター
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攻撃ヘリコプター(こうげきヘリコプター:attack helicopter)とは、武器を搭載し対地攻撃を主任務とする軍用のヘリコプターである。対戦車ヘリコプター、戦闘ヘリコプターなどと呼ばれることもある。主に機関砲やロケット弾・対戦車ミサイルなどの対地攻撃兵器を装備、自衛用対空装備として短距離空対空ミサイルを搭載する機種も存在する。
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[編集] 歴史
1960年代のベトナム戦争においては、アメリカ陸軍は、ヘリボーン作戦を多用していた。その際に兵員を搭載した輸送ヘリコプターの護衛には、輸送ヘリコプターに武装を施した「武装ヘリコプター」が用いられていた。しかし、武装ヘリコプターはその速度が護衛すべき輸送ヘリコプターより遅く、運用に困難な面があったため、護衛専用の機体が求められた。
アメリカ軍は、いくつかの機体の検討を行ったうえ(AH-56"シャイアン"が有名)、1965年にベル社のAH-1 ヒューイコブラを採用した。このAH-1が世界初の攻撃ヘリコプターである。その特徴は、大量の武装を搭載しても輸送ヘリコプターに追随できる速力・地上攻撃のための高い機動性・重武装搭載能力にあった。とくに錯綜する地形でも使い勝手がよく、敵の拠点を襲撃したり、敵機甲部隊を攻撃するのには非常にむいた兵器となった。
しかしながら攻撃ヘリコプターには弱点もあり、ひとつは戦場において携行式地対空ミサイルによる攻撃によって撃墜される事が多い点である。また、遍在性には欠け、常にある特定の地域を確保するといった任務にはむいていない。天候にもある程度その活動は左右されることになる。
1980年代のアフガニスタンにおいては、ソ連軍が山岳地帯の対ゲリラ攻撃や輸送機等の護衛にMi-24を多用した。1991年の湾岸戦争においては、アメリカ陸軍のAH-64A アパッチがイラク軍の戦車を多数撃破。2003年のイラク戦争でもAH-64D アパッチやAH-1W スーパーコブラが戦果を上げている。
なお、武装ヘリコプターは攻撃ヘリコプターの登場後も広く使用されており、特に冷戦終結後はより汎用性の高い武装ヘリコプターを攻撃ヘリコプターより好んで採用している国も多い。
[編集] 主な攻撃ヘリコプター
- ベル AH-1 コブラ (アメリカ合衆国)
- ヒューズ(現ボーイング) AH-64 アパッチ (アメリカ合衆国)
- ロッキード AH-56 シャイアン ※開発中止(アメリカ合衆国)
- ミル Mi-24 (NATOコードネーム:ハインド) (ソ連・ロシア)
- ミル Mi-28 (NATOコードネーム:ハヴォック) (ソ連・ロシア)
- ウラーン・ウデー Mi-8AMTSh チェルミナートル (ソ連・ロシア)
- カモフ Ka-50 チョールナヤ・アクーラ (NATOコードネーム:ホーカム) (ソ連・ロシア)
- カモフ Ka-52 アッリガートル (ソ連・ロシア)
- PZL-シフィドニク W-3W/WAソクウ、W-3WBフザル (ポーランド)
- アグスタ A129 マングスタ (イタリア)
- ユーロコプター ティーガー (ヨーロッパ)
- デネル AH-2 ローイファルク (南アフリカ)
- MBB PAH-1
- アエロスパシアル SA341 ガゼル (フランス)
- ボーイング RAH-66 コマンチ※開発中止(アメリカ合衆国)
- 武直-10 ( 中華人民共和国)
[編集] 偵察・軽攻撃ヘリコプター
- 川崎 OH-1 ニンジャ (日本)
- ベル OH-58 カイオワ (アメリカ合衆国)
- ヒューズ OH-6 カイユース (アメリカ合衆国)
- ボーイング・シコルスキー RAH-66 コマンチ (アメリカ合衆国) 2004年に開発計画中止
- PZL-シフィドニク Mi-2US/URN (ポーランド)
- PZL-シフィドニク Mi-2URP/URP-G/URS (ポーランド)