新しい単純性
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新しい単純性(あたらしいたんじゅんせい 英:New Simplicity 独:Neue Einfachkeit)とは作曲技法上の反動様式の一つで、現代音楽におけるポストセリエル以後の展開の一つであるだけではなくクラシック音楽史には常に見られた傾向である。
[編集] 概要
「単純性」といったキーワードで音楽史を見渡すと、古くはJ.S.バッハの後に来たシュターミッツらのマンハイム楽派などの前古典派の音楽。近代ではR.ワーグナーやリヒャルト・シュトラウスのトリスタン和音や極度の偶成和音等によってもたらされた調性崩壊の危機の後にやって来た、C.オルフやその弟子のW.キルマイヤー等の音楽によるミュンヘン様式。単純性と複雑性が交互にやってくるのが音楽史の常、という常識を押える必要がまずある。
[編集] 潮流
現代の多くはポスト・セリエルの反動もしくは理解の難解さから来る「飽き」とも言われる。
- トニー・コンラッド、ラモンテ・ヤング、テリー・ライリー、によってその楽派のきっかけが開始されたミニマル楽派は微分音や特殊な調律を施す為に、当時のヨーロッパではあまり広まらなかったが、近年のヨーロッパは彼らを客寄せの為に十分に評価している。
- フィリップ・グラス、スティーヴ・ライヒ、ジョン・アダムスの各氏は平均律を使用し、規則的なパターン反復で成立している為に、ヨーロッパの音楽シーンにも影響を与えることになる。ジョン・ホワイト、平石博一、近藤譲もこの傾向にはいる。現在両者のミニマリズムは新しい単純性とはみなされておらず、後者は商業音楽の効率を上げたとみなされることが多くなった。
- ニューヨークのケージ・グループのジェイムス・テニーはミニマル音楽とはまったく違った角度から新しい単純性による音楽をタムタム・ソロの為の”Having Never Written a Note"や「クリティカル・バンド」などで創作している。そういう意味ではモートン・フェルドマンのピアノ曲等は新しい単純性への傾向の一つと見てよい。
[編集] 世界の傾向
また地域的な傾向として、アルヴォ・ペルトなどのバルト海諸国の音楽や、ジョン・ターヴナーのイギリス独立派の音楽、吉松隆の新調性的音楽があるが、これらはすべて純粋な芸術的追求よりも商業的傾向が遥かに優先されている。ポーランド楽派のグレツキの第三交響曲や弦楽オーケストラの為の『古風な様式の作品』の単純な書法は一時的な例外であって、他の多くの作品は「単純性」とは言い切れない。なおヴォルフガング・リームは良くその筆頭に挙げられる事が多いが、ミニマル楽派等とは全く別のもので、セリエルを意識しているものの、見かけの書法や作曲技法が古典的であるという意味にしかすぎない。