新東京タワー
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新東京タワー(しんとうきょう-)とは、東京都墨田区押上に建設される予定の電波塔のことである。
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[編集] 概要
新東京タワーは、都心部での高層ビルの増加に伴う電波障害を低減すること(特に受信機が小型で影響を受けやすいワンセグ放送に対応すること)、アナログ放送と同規模のエリア確保を目的に、600m級のタワーが必要であるため、東京タワーの代わりに建設される地上デジタル放送用の電波塔である。高さは約610mを予定しており、展望台が450mの高さに建設される。
東京都墨田区の東武伊勢崎線の押上駅と業平橋駅の間に挟まれている東武鉄道の本社の隣接地で所有地でもある貨物駅跡に建設される。そのため、事業主体は、東武鉄道が全額出資する新東京タワー株式会社であり、約500億円の事業費を東武鉄道が出資。建設費は約400億円。経済効果は毎年、約480億円が見込まれている。テレビ局からの賃貸料及び観光客からの入場料などで収益を得る見込みである。
2011年7月24日に予定の地上アナログテレビ放送の終了に備え、2008年半ば着工、2011年半ば竣工予定である。また、着工に先立ち、2006年11月24日にデザインが公表された。現在公表されているデザインは、五重の塔を参考にした地震などによる揺れを抑える構造で、概観は日本刀の緩やかな曲線をイメージしている。今後決まる色は、隅田川にマッチするよう、シルバーとブルーを基調とする予定である。
建設されれば高さでは、現在世界一であるカナダ(トロント)のCNタワー(1976年完成)を越し、中国の広州にできる同じ610mの広州テレビタワー(2009年完成)に並ぶ。しかし、自立式建造物としては2010年に先に完成するモスクワのモスクワシティタワー(ロシアタワー)に越される見込み。また展望台の高さも、472mの上海環球金融中心(2008年完成)や、最低でも808mのブルジュ・ドバイなど、続々と海外で建設されている超高層ビルの展望台には及ばない。そのため、高さの「世界一」では無冠のタワーとなる。
[編集] 構造など
[編集] 誘致活動
「在京6社新タワー推進プロジェクト」は、新タワーの建設地を第一候補地は「墨田・台東エリア」、第二候補地は「さいたま新都心」としていたが、2005年3月25日に「墨田・台東エリア」に決定した。
決定までには、東京の各地でいくつもの誘致活動が行われた。
[編集] 墨田区(すみだタワー)
第一候補地になっていた東京都墨田区「業平橋・押上地区」は、東武伊勢崎線の業平橋駅と押上駅の間に在る貨物駅跡を中心とした地域である。貨物駅跡を所有しているのは東武鉄道であり、東武鉄道は事業主体として建設費約500億円を負担するとしている。
2005年8月25日、東武鉄道がNHK・在京6社と墨田区との間で建設決定を協議するための「三者間確認書」を交わし、12月末に最終決定することで合意したため、墨田区を候補地として決定することが有力となった。しかし、現在の東京タワーを改修して使う案も消えていないことと、放送事業者側と東武鉄道の間で新東京タワーにおける賃貸料を巡る交渉が難航しているため、12月26日に年内決定を断念し2006年3月末までの決定に変更した。決定時期が延期となった理由について墨田区と東武鉄道は、協議時間が不十分だったためと説明した。
2006年3月25日にNHK・在京6社は墨田区に建設することを正式に決定、3月31日に報道発表がなされた。
[編集] さいたま市(さいたまタワー)
埼玉県とさいたま市が提案した「さいたまタワー」は在京6社新タワー推進プロジェクトにより、東京の震災時のバックアップ機能が優れているとして、「さいたま」は「墨田・台東エリア」に次ぐ候補地となっていた。現在「さいたまタワー」の建設予定地だった場所は暫定的に駐車場として使われている。電波の混信世帯が約14万世帯と、墨田区の場合よりも7倍多くなるという理由から落選となった。
[編集] 港区(東京タワーの改修)
東京タワーの運営会社である日本電波塔は2004年夏に、放送事業者に対し、送信アンテナを現在より30メートルほど伸延し現在のアンテナのある高さより約90m高い地上350mに設置するとの案を示した。この案の場合、新東京タワーの建設費約500億円に比べ、改修費用約40億円と割安であり、各局の新タワーに比べ放送施設賃貸料に大きく差がつくといわれている。日本電波塔は収入の約6割を放送関連設備などの賃貸料から得ており、新東京タワーができた場合、放送事業者の設備が全て新東京タワーへ移ってしまうなど、大幅な収入減となる。
[編集] 練馬区(東京ワールドタワー)
高さ1,008mの東京ワールドタワーを、新東京タワーとは別に練馬区の誘致団体「東京ワールドタワー推進協議会」(奥田則男会長)が、西武鉄道系列の遊園地としまえんの敷地約2万m2に建設を目指し活動していた。
[編集] 豊島区
東池袋のサンシャインシティの隣接地にある独立行政法人造幣局の東京支局の敷地に高さ600m級のタワーを誘致する活動を、特定非営利活動法人東京アーバンクリエイト21が行っていた。また、サンシャインの広場とあわせて、防災用の広場ともなる。
[編集] 台東区(台東ワールドタワー)
台東区の商店街や観光連盟など民間主導による「台東ワールドタワー」の誘致活動もあった。場所は、台東区立隅田公園や区民会館の周辺地区。高さ600mのタワーを建設する計画だった。
[編集] 足立区
足立区にも、東六月のニッポン放送アンテナ跡地、舎人の都立舎人公園の敷地内、と2箇所のタワー誘致計画があった。いずれも高さ600mのタワーを建設する計画だった。
[編集] 千代田区(秋葉原タワー)
秋葉原駅前の駐車場(後の秋葉原クロスフィールド付近)に高さ800mの帆型のタワーを建設する計画があった。オフィスやアミューズメント施設も入居する複合施設として計画されていた。なお、当初は線路をまたいだ600m級のタワーという報道がされていた[1]。
[編集] 問題点
- 新東京タワーが建設されると、電波の送信場所が変わるため、視聴者は設置しているアンテナの向きを変えなければならない。また、アナログ放送時と比べ電波障害の発生場所も変わってしまううえ、仮に受信障害(特に山梨県内での地元局との混信の可能性がある)が発生した場合、どこが対策費用を負担するのか決まっていない。
- 地上デジタル放送ではゴースト障害などが減り、今と比べ電波障害の範囲が減ると言われている。それでも、ある程度の電波障害が発生してしまうが、どの程度になるのか現在のところ不明であり、NHKと在京6社が実施したシミュレーション結果は公表されていない。
- 新東京タワー建設は地元の商業を活性化させるとの声が圧倒的だが、一部事業者からは治安悪化・周辺交通状態の悪化などを不安視する声もある。また、観光客からの入場料などで収益を得る見込みであるがその入客数の読みが甘くこの数字を達成、維持できるかどうかは全く不明。
- 新タワー建設資金面の目処が不透明。
- 新タワーの建設場所ばかり話題になったが、タワーのデザインなど詳細について公開ヒアリングも、また世界では常識の設計コンペ等も一切行われておらず、公表されたデザイン決定へのプロセスが不透明。民間主導のプロジェクトとはいっても、これだけ公共性のある高層建造物の建設でありながら設計コンペすら行わないというのは異常である。
- 現在の東京タワーよりもはるかに高額になるであろう放送設備賃貸料の問題。
[編集] 批判
建設には様々な理由から都の関与が必要不可欠であるが、石原慎太郎都知事は定例会見で幾度となく新東京タワー建設を批判した。石原都知事は『巨大タワー自体が必要ない、建設業者の思うつぼだ』『オリンピックの方が優先すべき事業』とも述べている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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