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左右 - Wikipedia

左右

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

  1. さゆう 方向軸(六方)の一つ。本稿で示す。
  2. そう 日本における地名
    1. 高知県南国市左右山。
    2. 福井県丹生郡越前町左右 (越前町)。

左右さゆう、ひだりみぎ)とは、方位六方)の名称の一つで、横・幅を指す方位の総称。この内、アナログ時計で、7 から 11 までの文字盤がある方向を(ひだり)、1 から 5 までの文字盤がある方向を(みぎ)という。

観測者にとって、前後(縦)と上下(高さ)の方向が定まった時に、左右(横)の方向が決まる。前後、上下とは直角に交差し、左と右は互いに正反対である。

日常的には、方向としての左と右を意味するが、次の項目のようにその他の場面においても様々な意味に用いられる。又、日本語では、左右が物事の善悪や成否の意味で用いられる例があり、「日本の将来を左右する」「運命を左右する」などに例が見られるが、この左と右とのどちらが肯定的か否定的かは問題とはされない。

目次

[編集] 左右の定義

x(左右)、y(前後)、z(上下)を人間から見た相対的な方向として示している。この図では右、上、前が正の方向、左、下、後が負の方向となっている。左右はこのボクシング選手から見たものであり、観察者から見たものではない。
x(左右)、y(前後)、z(上下)を人間から見た相対的な方向として示している。この図では右、上、前が正の方向、左、下、後が負の方向となっている。左右はこのボクシング選手から見たものであり、観察者から見たものではない。

は幾何学的に定義できる。互いに直角に交わる3つの軸が、それぞれ前後の軸、上下の軸、左右の軸となる。(または後)および(または下)が定まったときに、左右の軸の2方向に対してをそれぞれ図で示すことで定義できる。

[編集] 地球上での左右の定義

  • を下、を前とした時、の方向が右、西の方向が左となる。

[編集] 左回りと右回り

時計の針と同じ方向の回転を右回りまたは時計回りと呼び、その逆を左回りまたは反時計回りと呼ぶ。

[編集] 自然界の左右

  1. 電流の流れる向きを前、磁力線の向きを上とした場合、は右に向かって働く。
  2. パリティ対称性の破れを利用する方法:素粒子の世界で働く弱い相互作用(例:原子核ベータ崩壊)では、左右の対称性が破れている。
  3. 生物の発生においては、左右の形態の差異を生じるのにレフティ遺伝子が関与していることが示されているが、詳細は未だ解明されていない。
  4. 左右不対称な分子キラルであるという。キラルな分子の鏡像体同士は物性化学反応性がほぼ一致しマクロな方法での分離が困難である。これを実現するのが不斉合成である。
  5. 台風サイクロンハリケーンなど熱帯低気圧の渦の回転方向は北半球南半球で逆である(北半球では反時計回り)。これはコリオリの力による。
  6. 川下に向かってを見た時、左側の岸を左岸、右側の岸を右岸と呼ぶ。

[編集] 政治的・思想的立場と左右

物理的な方向とは別に、は政治的・思想的な立場を表すために用いられる場合がある。右(右翼・右派)は保守的・国粋的な立場を、左(左翼・左派)は急進的・革新的な立場をそれぞれ意味する。これは、フランス革命時の国民議会で、議長席から見て、右に保守派、左に急進派のジャコバン党が座ったことに由来する。→右翼思想・左翼思想

ちなみに、日本の衆議院本会議における政党別の配席については、慣例上、議長から見て右から左に獲得議席数の多い順に並ぶこととされていることから、2004年現在で議長から向かって右側には自由民主党に席が与えられている。

[編集] 文化と左右

民族には、右と左に特別の意味を持たすことがある。中国では主に左を尊んだものの、時代によって左右の優劣が変わり、は左を尊び、戦国は右を尊び、六朝は左を尊び、は右を尊び、は左を尊んだ。しかし、日本は中国の歴代王朝の中でも特に左を尊んだとされる唐から強く影響を受けており、ゆえに日本では左大臣右大臣より高位である。なお、漢の時代に周昌伝が漢書で地位を下げることを左遷と表現したが、この言葉は概して左を尊んだ中国では余り使われない。

[編集] 建物・住居における左右

日本の国会議事堂は、左右対称の建物であり、建物の正面から見て左側が衆議院、右側が参議院である。

襖や障子は通常右側が手前になるようにはめ込む。引き戸やアルミサッシなどでも同様である。

劇場では、演者と観客が対面する形での上演が多く、左右で方向を捉えると混乱してしまう。そのため、観客から見て右側を上手(かみて)、左側を下手(しもて)と統一した呼称を用いる。

[編集] 衣服における左右

日本の着物は、現代では通常、男性用、女性用ともにその着物を着る者からみて左側の部分が右側の部分の上となるように着付ける。これを、「右前(みぎまえ)」という。例外的に、死者に着せる和服のみは「左前(ひだりまえ)」に着せる。

これに対して、洋服では、男性用は「右前」、女性用では「左前」のものが一般的である。

[編集] 食事における左右

日本の和食において、飯茶碗と汁茶碗は、食事をする者から見てそれぞれ左、右に配膳することとされる。また、焼き魚を皿に盛り付ける場合には、食事をする者からみて左側に頭を据えるものとされている。

洋食のテーブルセットは、通常、客からみて右側にナイフ、左側にフォークがセットされている。これはナイフは右手で、フォークが左手で用いるのが一応のマナーとされるからであるが、ナイフを置き、フォークを右手に持ち替えて食べることをアメリカン・スタイルと呼びマナー上も許容されている。

アラブなどイスラム教を信仰する地域や、インドなどヒンドゥー教を信仰する地域では、左手は不浄の手とされ、食事に用いられない。

[編集] 平城京、平安京・京都における左右

平城京平安京の北部にある御所において天皇が南むきに玉座に座ったときに、街の東側は左側に、街の西側は右側にみえることから、東側は左京、西側は右京と呼んだ。京都市左京区右京区は、平安京とは地域的にずれるがこれに倣ったものであり、地図上の左右とは一致しない。しかしながら、京都の五山送り火には西と東に二つの「大文字」があるが、こちらは西側の大文字が「左大文字」と呼ばれる。

[編集] 卜占と左右

卜いや順位においては、左を低い方、右を高い方とする風習が古くから存在する。これは、や横文字において、小さい方を左から書き始め、大きくなるにつれて右へ遷る習慣に由来する。 例えば、英語で「凶運な」を意味する“sinistrous”は、日本語に直訳すると「左向き」である(ラテン語で、左をsinistraという)。これは、ローマ帝国の卜者が、鳥が飛ぶ方角を見て、左に向かったら凶、右へ向かったら吉とした事に由来する。

一方、中国では陰陽五行思想では左がとされ、太極拳気功は左から始まる。

又、「最左翼」は「極左」という意味があるが、「最下位」という意味も持つ。例:「優勝候補の最左翼」(最も優勝しそうにない人)。一方、右は、上位や幸運を意味する方位とされた。戦前の日本の士官学校では、最上位の者を最右に配置し、成績順に右から左に列べた。最右翼が「最上位」を意味し、最左翼が「最下位」を意味するのは、その名残である。

[編集] 文字に関する左右

[編集] 漢字の左と右

漢字の部首において偏(へん)は、左に、旁(つくり)は右に位置する。

[編集] 表記

日本語の表記方法としては、縦書きと横書きがあるが、縦書きの場合には、右列から左列に、横書きの場合には、左から右へと文字が綴られるのが標準である。戦前までは横書きを右から読むことが多かったが、これは1行1文字の縦書きであるとみることができる。また、縦書きを左から書くこともある。

なお、複式簿記の仕訳の表記においては、左側を借方、右側を貸方と特殊な呼び方をする。

[編集] 道具・機械に関する左右

道具や機械によっては、急須などのように右利き専用に作られているものも多い。これについては利き手を参照されたい。

一方、冷蔵庫では、1989年から左右どちらからでも開くタイプのものが発売されている。

[編集] 身体に関する左右

[編集] 脳と左右

動物はほぼ左右対称な形状をしてしており、大脳および小脳は左右の半球に別れて存在している。大脳は反対側の半身の、小脳は同じ側の半身の運動感覚を担当しているが、それぞれの半球の役割は同等ではない(脳機能局在論)。その差は特に大脳で著しく、優位半球と呼ばれる側の大脳が論理思考、言語など主要な精神機能を司る。逆の劣位半球と呼ばれる側は空間認識に関わっているなどが明らかになっているが、まだ十分に解明されてはいない。また、両側大脳にあって短期記憶を司る海馬も優位側は言語的記憶、劣位側は非言語的記憶に関わることが知られる。右利きの人間のほとんど(約95%)で優位半球は左、劣位半球は右である。左利きの人間の場合にはあまり一定していないうえ、優位半球と劣位半球の区別が明確になっていないことも多い。

[編集] 内臓の位置

生物の内臓は、左右に非対称性が見られ、例えば人間の場合、通常は自分から見て、心臓は左側にあり、また、左右の肺は右側の方が大きい。この状態は「正位」と呼ばれる。しかし、稀には臓器が左右逆の位置にある者もあり、これは「逆位」と呼ばれている。全て逆の人もいれば特定の臓器のみ逆転している人もいる。

[編集] 利き手

人間には一般的に日常生活において、左右いずれかの手のほうが器用に動かしやすいことから、これを利き手として用いることが多い。

日本においては、文字を書く場合や食事において、右手に筆記具や箸をもつことが一般的とされ、家庭によっては、左利きの子供を無理やり矯正しようとする場合もある。

[編集] 左足と右足

足にも手と同様に利き足が存在する。利き手のように目立つことはないが、利き足の方がそうでない足より蹴る力が強い。 そのため、砂漠などの広い土地で目印を定めず直進しようとすると、直進することができず、利き足とは逆回り(右利きの場合左回り)の巨大な円を描いてしてしまうことがある。

  • 運動生理学

[編集] スポーツにおける左右

[編集] 野球

野球の打者から見た場合、右打ちの選手は左投手との相性がよく、逆も真というのが一般的なセオリーであるため、リリーフ投手が送られる場合には、打者と同じ利き腕の投手を送ることが多い。もっとも、このセオリーには例外も存在し、例えば城島健司(当時福岡ダイエーに所属)は、右打者でありながら、2003年のリーグ戦で放ったホームラン34本全てが、右投手からのものである。

また、野球の打撃においては、一塁ベースにより近い左打席に立つ左打者が走塁上、若干有利とされる。このため、右投げであっても左打ちとなる者もあり、さらには左右両打ちの選手(スイッチヒッター)がいる。走塁とは関係なく、利き手をスイングの引き手にする方がバットコントロールをしやすいという理由で、右投げ左打ち(または左投げ右打ち)にする選手もいる。

[編集] 武術

[編集] ボクシング

ボクシングにおいては、「左を制するものは世界を制する」との格言がある。これは、左利きの者の方が右利きよりも有利であることを指すものではない。むしろ、右利きであることを前提として、フィニッシュブローの右ストレートを放つ前に、左のジャブにより相手の防御を弱めることが大切であることを説いている。

[編集] ゴルフ

ゴルフにおいては、かつては左用のクラブの入手が困難であったため、左利きであっても右打ちを行う者も多かった。例えば、プロ野球の名球会ゴルフを観戦すると、世界のホームラン王で野球では左打ちの王貞治も、ゴルフでは右打ちをしている。

[編集] 各種レース

陸上のトラック競技は、左回りで行われる。これは利き足が右である人間が多く、その場合右足の方が左足と比べて地面を蹴る力が強いので、左回りの方が速く走れるためである。競馬のレースは、左回りのものと右回りのものの双方がある。

[編集] 交通における左右

[編集] 歩行者

日本において、エスカレーターなどで急ぐ歩行者を優先させる場合のマナーとして、東京では左側に立って右側を空けるが、大阪にいくとこの逆であるとされる。これは1970年の大阪万博の影響である.それまでは、左側に立っていたのだが、このとき以降逆になった。

[編集] 自動車

世界には、自動車が右側通行の国と左側通行の国がある。 日本は、左側通行であり、このことは日本の道路交通法(昭和35年6月25日法律第105号)第17条第4項に定められている。日本と同様に左側通行の国としてはイギリスアイルランドオーストラリアマレーシアなどが挙げられる。(→対面交通を参照)

左側通行では右ハンドルの車が標準的に使用される。なお、日本の自動車メーカーでは輸出向けに、左ハンドルの車も生産している。

[編集] 船舶

船舶は右側航行が原則とされる。海上衝突予防法(昭和52年6月1日法律第62号)第14条では、2隻の動力船が正面から行き会う場合には、原則的に、それぞれ針路を右に転じなければならないとされている。

[編集] 航空機

航空機は、船舶の場合と同様に右側航行が原則とされる。2機の航空機が、互いに正面から接近しつつある場合には、互に進路を右に変えなければならないこととされる。これは、航空法施行規則(昭和27年7月31日運輸省令第56号)第182条に規定されている。

[編集] 鉄道

日本においては鉄道は左側通行である。日本統治時代に鉄道が建設された韓国台湾も同様である。しかしどちらも最近建設された地下鉄などは右側通行である。(ただし、韓国の場合はソウルメトロ1号線と韓国鉄道の一部区間は左側通行である。韓国の地下鉄参照。)

唯一、三重交通神都線が複線区間で右側通行だった。但し、単線区間においてホームに進入する際には、線路の構造や、閉塞取扱(の名残)、ワンマン運転における乗客の取り扱いの利便性から、右側通行になる場合がある。

加筆依頼:この項目「左右」は、加筆依頼に出されており、内容をより充実させるために次の点に関する加筆が求められています。
加筆の要点 - 北朝鮮や、そのほか外国の事情

[編集] 左右の定義は伝達できるか?

宇宙人に通信で左右を伝えることができるか?という、興味深い問題がある。(相手が宇宙人であるのは、ヒト同士のように、心臓のあるほうが左、といった定義が使えない、ということである。)

まず重力に対して上と下を定義し、上下軸に直行する1本の軸を前後軸として定義する。その2本と直行する最後の軸が左右軸であるが、さてどちらが右でどちらが左と伝えればよいだろうか。

  • テレビなど映像通信で伝える
    不可。あらかじめ左右の方向が伝達できていなければ、走査方向が右から左となるか、あるいは左から右となるかが決められない。
  • ガウス平面の虚数軸・実数軸を上下・左右とする
    不可。図を書く際、どちらの方向を正とし、負とするかはまったく暗黙の了解によっているから。
  • 2つのベクトル外積によって得られるベクトルの方向
    不可。これを右ネジの進む方向としているのは約束事にすぎない。宇宙人は左ネジの進む方向として扱っているかもしれない。
  • アンペール右ねじの法則フレミング右手の法則
    不可磁力線の方向の定義(N極とS極の定義)が約束事に過ぎないため。
  • パリティ不変性の破れ
    。ただし、宇宙人(と彼らの環境)が反物質で構成されているわずかな可能性を考慮すると、不可
  • 円偏光で通信する
    。ただし、偏光が乱れずに通信できる相手に限られる。(なお、このような解答は、ネジのように左右の模型となる物を直接送付しているのと同じで、「通信内容によって左右を伝える」という題意を満たしていないため、ふつう排除される)

(stub)

このように、言語で左右を伝える事は、極めて難しいことがわかる。

[編集] 関連項目

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