水の戯れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
![]() |
クラシック音楽 |
---|
作曲家 |
ア-カ-サ-タ-ナ |
ハ-マ-ヤ-ラ-ワ |
音楽史 |
古代 - 中世 |
ルネサンス - バロック |
古典派 - ロマン派 |
近代 - 現代 |
楽器 |
鍵盤楽器 - 弦楽器 |
木管楽器 - 金管楽器 |
打楽器 - 声楽 |
一覧 |
作曲家 - 曲名 |
指揮者 - 演奏家 |
オーケストラ - 室内楽団 |
音楽理論/用語 |
音楽理論 - 演奏記号 |
演奏形態 |
器楽 - 声楽 |
宗教音楽 |
メタ |
ポータル - プロジェクト |
カテゴリ |
『水の戯れ』(みずのたわむれ、Jeux d'eau)は、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルが1901年に作曲したピアノ曲である。
1901年11月11日に作曲され、作曲者のパリ音楽院時代の師、作曲家ガブリエル・フォーレに献呈された。
モーリス・ラヴェルがフランス印象派の作曲家の範疇に入るかどうか様々な議論が従来より繰り返されてきているが、ラヴェルが印象主義の作曲家の範疇に入ると主張する人々は、
- 「『水の戯れ』が音楽の分野におけるフランス印象主義の幕開けとなった作品」
と主張し、また、
としている。
[編集] 曲の特徴
曲自体は全体としてソナタ形式に近いものがあるが、循環形式をも採っている。属九和音とよばれるC,E♭,G,B,Aの音階(この曲ではそれより半音上の嬰ハ短調が基調)を多用していて旋律、和声等々極めてシンプルである。テンポ、リズムも一定なのが望ましいとラヴェルもそのように指示していた。しかし、曲の骨組みは簡素であるが、その肉付けが精巧且つ変化に富む神業的なものであり、水の態様を完璧に描き切っているという評価も存在するほど優美な作品に仕上がっている。ラヴェルの父親の出身地になぞらえたあだ名「スイスの時計職人」の資質はこの頃からあったと推測できる。
また、アルペッジョという同じ音の繰り返しが多く見られ、弾きこなすには相応のピアノの腕前が必要となる。曲の中盤に出てくるグリッサンドは全て半音の黒鍵によるものである。64分音符まで出てくる程の非常に音符の多く、機械的に描かれたラヴェルの書法は、後の彼の多くの超絶技巧作品に通ずる所を持つ。
この曲はリストの『エステ荘の噴水』(Les Jeux d'Eaux à la Villa d'Este )から影響を受けていると言われる。実は、ドビュッシーの方も『エステ荘の噴水』から影響を受けた曲を作曲している。『映像』第1集の『水に映る影』または『水の反映』と日本語訳される曲である。ラヴェルとドビュッシーは比較されることの多い2人であるが、このことからも理解できる。ラヴェルの『水の戯れ』は制御された噴水のような美しい水の動きを描いているのに対し、ドビュッシーの『水に映る影』はありのままの自然な水の動きを描いている。
[編集] 備考
この曲の原題(フランス語)“Jeux d'eau”は日本では『水の戯れ』と直訳され、これが定着している。それ自体は決して誤訳ではないが、jeu d'eau(複数形でjeux d'eau)はフランス語の熟語で「噴水」を意味する。