映像 (ドビュッシー)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クラシック音楽 |
---|
作曲家 |
ア-カ-サ-タ-ナ |
ハ-マ-ヤ-ラ-ワ |
音楽史 |
古代 - 中世 |
ルネサンス - バロック |
古典派 - ロマン派 |
近代 - 現代 |
楽器 |
鍵盤楽器 - 弦楽器 |
木管楽器 - 金管楽器 |
打楽器 - 声楽 |
一覧 |
作曲家 - 曲名 |
指揮者 - 演奏家 |
オーケストラ - 室内楽団 |
音楽理論/用語 |
音楽理論 - 演奏記号 |
演奏形態 |
器楽 - 声楽 |
宗教音楽 |
メタ |
ポータル - プロジェクト |
カテゴリ |
『映像』(えいぞう、Images)はクロード・ドビュッシーが作曲したピアノ曲および管弦楽曲。
目次 |
[編集] 概要
全部で4集があり、第1集と第2集はピアノ曲、第3集は管弦楽曲である。ただし、第3集は単に「管弦楽のための映像」という呼ばれることが多い。この他に、生前には出版されなかったピアノのための1集があり、『忘れられた映像』と呼ばれている。また別のピアノ曲集『版画』も企画段階では『映像』と名づける予定であったなど、ドビュッシーが曲集のタイトルとしてこだわりを持っていたことが覗える。
[編集] もう森へは行かない
ドビュッシーには全作品中4曲「もう森へは行かない、嫌な天気だから」というフランスの童謡に基づく曲がある。一つは『忘れられた映像』第3曲『“もう森へは行かない”による諸相』である。これは後に『版画』第3曲『雨の庭』において、同じ童謡の主題を用いながらももっとピアニスティックな技巧がずっと映え、また主題の展開が『諸相』よりも散文的ではなくよりまとまりのある曲に書き改められた。さらに『管弦楽のための映像』第3曲『春のロンド』にも同じ童謡の主題が出てくる。もう一つは若い頃に書かれた歌曲『眠りの森の美女』で、これは歌の合間に出てくる対旋律中でやはりこの童謡が用いられている。
この童謡については他にも、ジャン・アランによる子供のためのピアノ教材用の2声カノンが出版されている。
[編集] ピアノのための『映像』
[編集] 映像 第1集 (Images I)
1904-05年作曲。
- 水に映る影(Reflets dans l'eau)
- 『水の反映』とも訳される。ドビュッシーが数多く作曲した、水を題材にした曲の中でも最も有名なもの。
- ラモー賛歌(Hommage à Rameau)
- 『ラモーをたたえて』とも訳される。
- 動き(Mouvement)
- 『運動』とも訳される。
[編集] 映像 第2集 (Images II)
1907年作曲。
- 葉ずえを渡る鐘(Cloches à travers les feuilles)
- 『葉蔭を漏れる鐘の音』とも訳される。
- 荒れた寺にかかる月(Et la lune descend sur le temple qui fut)
- 『そして月は廃寺に落ちる』とも訳される。
- 金色の魚(Poissons d'or)
- 金魚ではなく、机の上に飾ってあった日本の漆器盆に金粉で描かれた錦鯉の方から触発された作品。
[編集] 忘れられた映像 (Images oubliées)
1894年作曲。
- レント(Lent)
- ルーヴルの思い出(Souvenir du Louvre)
- 『ピアノのために』第2曲「サラバンド」に転用された。
- いやな天気だから「もう森には行かない」の諸相(Quelques aspects de “Nous n'iron plus au bois” parce qu'il fait un temps insupportable)
- 『版画』第3曲「雨の庭」に改作された。
[編集] 管弦楽のための『映像』
各曲の作曲時期、楽器編成は異なる。組曲の体裁はとられているが、各曲は半ば独立した作品と見ることができる。以下の曲順は全曲の作曲後に決められたものであるが、この順に演奏する場合と、完成順に演奏する場合とがある。また、『イベリア』はしばしば単独で演奏される。
[編集] ジーグ(Gigues)
1909年から1911年にかけて作曲された。演奏時間は約7分。
[編集] 編成
ピッコロ2、フルート2、オーボエ2、オーボエ・ダモーレ、コーラングレ、クラリネット3、バス・クラリネット、ファゴット3、コントラファゴット、ホルン4、トランペット4、トロンボーン3、ティンパニ、小太鼓、シンバル、木琴、チェレスタ、ハープ2、弦五部
[編集] イベリア(Ibéria)
1905年から1908にかけて作曲された。これ自体が3曲からなる。演奏時間は約20分。
- 街の道と田舎の道(Par les rues et par les chemins)
- 夜の薫り(Les parfums de la nuit)
- 祭りの日の朝(Le matin d'un jour de fête)
[編集] 編成
ピッコロ、フルート3(持ち替えでピッコロ1)、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット3、ファゴット3、コントラファゴット、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ、小太鼓、シンバル、タンブリン、カスタネット、木琴、鐘、ハープ、弦五部
[編集] 春のロンド(Rondes de printemps)
1905から1909にかけて作曲された。アンドレ・カプレの手を借りてオーケストレーションが完成されたと言われる。演奏時間は約8分。
[編集] 編成
フルート3(持ち替えでピッコロ2)、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット3、ファゴット3、コントラファゴット、ホルン4、ティンパニ、小太鼓、シンバル、トライアングル、チェレスタ、ハープ2、弦五部