海賊放送
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
海賊放送(かいぞくほうそう)とは、正式な放送免許を持たず放送(ラジオが多い)を行うものである。また、船に送信機を積みアンテナを展開して出航、どこの政府の規制も受けない公海上から放送を行う行為も含まれる。
海賊放送のうち、運営に当たって対立国政府や組織から支援を受けて行うもの、放送団体や送信所の所在地を偽装しているものは地下放送とも呼ぶ。敵対する地域の反体制派を装い自らの政治的主張を行う(プロパガンダ)、暗号通信などの目的があり、政治的混乱や対立のある地域でみられる。戦争における戦術の一つとして、航空機を使って放送を行い、敵兵に投降を促すものなどもある(声の爆弾)。
昔のヨーロッパでは、国営放送しか認めないという国が多く、そのため市民が勝手に人気のある・聴きたい番組をつくって流す海賊局が盛んであった。これに対して政府は取り締まりを行ったが、いたちごっこで効果は上がらなかった。結果、現在でも多数海賊局は存在する。コマーシャルを流し事実上の民間放送となっている国も多い。また、今ではフランスなどの国で海賊局を法管理下に置き、免許も与え合法化した。これらは定義に当てはまらないが、昔の名残で海賊放送と呼ばれる事も多い。
日本では1970年代後半から1980年代前半にかけてミニFMブームが起こったが、一部の局では法定で定められた出力を大幅にオーバーして放送する局もあり、違法無線局として摘発された。中でも東京都八王子市にある御岳山の山頂から電波を発信した「FM西東京」(現存する同名のコミュニティFM局とは一切関係ない)、千葉県白子町から100Wの違法出力で電波を発信した「白子ビーチFM」はマニアの間では伝説となっている。