煙害
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煙害(えんがい)は、煙によって発生する様々な不都合(主に社会問題)である。
[編集] 概要
煙害は、主に公害の一種である。煙の流れは風任せであるため、季節や天候・時間帯によって様々に変化する。大規模な山火事によっても発生しうる煙害ではあるが、大気の状態が安定した無風状態では、煙が留まるなどして、問題が悪化する。
卑近なレベルでは、煙によって洗濯物が汚れたり、あるいは建造物(歴史的建造物を含む)が汚損されるといった害が挙げられ、また燃焼ガスの臭いに対する苦情も発生する。
この煙と霧により発生するスモッグは、化石燃料の利用が進んだ産業革命以降に深刻化したが、これにより呼吸器疾患で死亡した事例も少なくない。ロンドンでは1952年12月に、スモッグでロンドン市民約1万人以上が死亡している。
また煙の浮遊粉塵はマイクロメートル単位と非常に粒子が細かく、長期間に渡って大気中を漂う。このため大規模な煙害では、太陽光の照射量が不足して、地域の植物生態系に深刻なダメージを与え、それらを食べる動物生態系にもダメージを与える。加えて寒冷化も懸念される。
大規模な煙害の可能性に関しては、核の冬が挙げられる。これは放射性降下物(死の灰)以前に、煙により日照が減り、地球規模の環境変動が予測されている。
[編集] 喫煙関連
主に広義の煙害では在るが、喫煙行為に絡んでも、受動喫煙の問題に絡んで、煙草の煙を煙害と表現する人もいる。
近年、煙草での煙害を特にスモークハラスメント又はスモハラと呼称する事もあるが、こちらは和製英語であり本来の意味では誤用となる。上司の同席時における喫煙を断れない、第三者から強要されるなどの行為はパワーハラスメントに類するものであり、本項目では記述しない。
他人のたばこ煙を吸わされることは受動喫煙と呼ばれ、肺がんや心臓病・気管支喘息といった、全ての喫煙リスクとされる諸症状の原因となる。また喫煙を好んで行わない向きには、特に不快感を催させる。これらを煙害と称する。
特に胎児・乳幼児、呼吸器疾患を持つ者にとって大きく悪影響を与えるものであり、閉鎖環境では喫煙しないことが賢明である。近年では社会的に分煙化も進んでいるものの、完全分煙設備のないところでは、設備的な問題から、図らずしも他人に迷惑を及ぼす可能性がある点も注意したい。