琉球独立運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中立的な観点:この記事は、中立的な観点に基づく疑問が提出されているか、あるいは議論中です。そのため、偏った観点によって記事が構成されている可能性があります。詳しくは、この記事のノートを参照してください。 |
記事の正確さ:この記事の正確さについては疑問が提出されているか、あるいは議論中です。詳しくは、この記事のノートを参照してください。 |
琉球独立運動(りゅうきゅうどくりつうんどう)は、1945年の太平洋戦争終結後に、沖縄県の帰属が不明なったとの主張を受け、新たな帰属先を論議するなかで、アメリカ合衆国への編入や日本への復帰ではなく、琉球の国家としての独立を求めて始められた運動。
目次 |
沿革
琉球独立運動では、日琉同祖論に倣い琉球民族が日本民族の傍系であるとは認めつつも、琉球民族は歴史的に独自の発展を遂げて独立した民族になったと主張し、明治時代より強引に同化政策を施されはしたが、日本の敗戦により再び琉球人になり、アメリカ信託統治を経て独立国家になるだろう、と予測した。本土では、戦後沖縄人連盟などが結成され、当初独立への主張がなされていた。また、戦後日本共産党(沖縄民族の独立を祝うメッセージ)や日本社会党は琉球民族が大日本帝国に抑圧されていたと規定し、表面上、沖縄独立支持を表明した。
- 日本共産党はソビエト連邦の影響下、反米工作として支援したのであり、その最終目的は旧琉球領域からのアメリカ勢力の排除であった。そのため、非合法組織としての奄美共産党(奄美大島社会民主党)、次いで沖縄共産党(沖縄人民党)が結成された。その後、党の方針が転換され、また住民の多くは日本への復帰を望んでいため、独立から復帰へと目標が変更された。そして沖縄・奄美の両共産党は、それぞれの地域の日本復帰後に日本共産党に合流した。このことでソ連の影響下から離れ独自路線を歩むことになるが、反米の方針は変わっていない。また奄美諸島の復帰運動で、中心的役割も果たした奄美共産党の初期目標には「奄美人民共和国」の建国があった。
現状
独立を指向する言論の中には、1972年の復帰時にも米軍基地の多くが返還されぬまま残されため、日本政府に対して「本土並み」を期待した沖縄県民の落胆は大きいとし、米軍基地の返還交渉を自由に行なうための主権獲得が、独立のメリットとする主張もある。1995年に、沖縄県で米軍基地に対する反対運動が起こったときなどに、琉球独立論が取り上げられた。
2005年に、琉球大学法文学部助教授の林泉忠(香港籍中国人)が、沖縄県民意識調査を実施(電話帳から、無作為抽出して電話をかける方法で、18歳以上の沖縄県民を対象に実施。1029人から有効回答を得た)。結果、沖縄県民の内、自らが日本人ではなく沖縄人(琉球人)であると答えた人は40.6%、沖縄が独立すべきだと答えた人は24.9%であったとされる。
また、本土には200万人以上の沖縄・奄美関係者(婚姻相手及び子孫)が居住し、沖縄・奄美には十万人に満たない、本土出身者が居住している。
将来への展望
現在全国的に導入が論議されている道州制と結びつけ、沖縄を単独の道州とすることで大幅な自治権を獲得する案も議論されている。内閣総理大臣の諮問機関である地方制度調査会が2006年に発表した答申[1]に示された道州制区割り案では、いずれも沖縄を単独の道州としている。ただし、そのことが独立論に直接に結びつく訳ではない。
現在、琉球独立運動は一般の沖縄県民の支持を得るに至っていない。これは琉球独立運動家による主張の実現可能性が低いことも関係している。たとえば、琉球独立の支持者や賛同する市民団体のなかには、琉球共和国及び地域の名称として沖縄特別自治省、元首(首長)の役職として沖縄省主席を主張している。また民主党の「一国二制度」論などもこれに含まれる。もちろん、これらが実現不可能であると断ずることはできないが、決して実現可能性が高いとは受け止められていない。 かつて川満信一が発表した「琉球共和社会憲法C私(試)案」[2]では、「軍備の廃止」のみならず、「司法機関(警察・検察・裁判所)の廃止」「私有財産の否定」「情報の統制」「商行為の禁止」も謳うなど、理念先行という印象を与え、現実を見据えた自立(独立)に向けた政策の研究が見られないことも独立論の実現可能性に疑問符がつく原因となっている。
脚注
- ^ 道州制のあり方に関する答申について (PDF)
- ^ 『新沖縄文学』沖縄タイムス社、1981年6号
参考文献
- 大山朝常『沖縄独立宣言 ヤマトは帰るべき「祖国」ではなかった』、現代書林、1997年4月。ISBN 4-87620-935-9
- 小熊英二『〈日本人〉の境界 沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮植民地支配から復帰運動まで』、新曜社、1998年7月。ISBN 4-7885-0648-3
- 竹中労『琉球共和国 汝、花を武器とせよ!』(『ちくま文庫』)、筑摩書房、2002年6月。ISBN 4-480-03712-8
- 比嘉康文『「沖縄独立」の系譜 琉球国を夢見た6人』、琉球新報社、2004年6月。ISBN 4-89742-059-8
- 川満信一『新沖縄文学』、沖縄タイムス社、1981年6号
- 大原社会問題研究所雑誌509号「沖縄・奄美非合法共産党文書」、2001年4月、
関連項目
外部リンク
- 琉球独立党
- 沖縄自治研究会
- 沖縄独立運動地下本舗
- 法政大学大原社会問題研究所
- 沖縄の振興(平成19年度税制改正要望)