白石安男
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白石安男(しらいし やすお、1958年8月21日 - )は、東京都荒川区南千住出身の古武術研究家、医学博士(順天堂大学)、東京理科大学准教授。
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[編集] 経歴
- 東京理科大学理工学部数学科卒(昭和59年)。埼玉県で教職(数学・中学校)に就いた後、中京大学体育学部修士課程にてスポーツと健康の疫学を専攻。妊産婦の水中運動と出生体重の関連について調査、研究。原著論文「母親のスポーツ歴と児の出生時体重との関連性についての疫学的研究」にて体育学修士を授与される(平成3年)。
- 平成3年、順天堂大学医学研究科博士課程に入学。同大衛生学講座にて稲葉裕教授の指導の下、慢性疾患の疫学を研究テーマとする。数学科出身であり、理論疫学に関しては医学部出身の教授や教室員からも一目置かれる存在であった。当時、まだ医学分野の研究にはまだ用いられることが少なかった共分散構造分析(構造方程式)といった統計学的分析手法を用い、生活習慣病や難病患者のQOL評価に応用。原著論文「網膜色素変性患者のQOL評価の解析」に対し学位授与された(平成7年)。
- 数学-体育学-医学という一見脈絡の無さそうな研究歴は、理論疫学-スポーツによる健康づくり-疫学と置き換えると、学問体系構築上の一貫性がわかりやすいであろう。現在この分野の研究者としては彼のようにバランスの取れたバックグランドの知識を有するものは稀である。
- そのことは彼の受け持つ講義内容から窺い知ることができる。某大学の白石が担当する講義シラバスによると「狭義のセルフディフェンスと疾病の予防や環境の保護、国際協調および人間関係、集団組織での個の保持などのかなり広範な広義のセルフディフェンスと健康の保持増進、他人への救命救急までの講義を行い、実技は武士の身体操作(現代に通じるもの)と日常動作を含めた“動き”の基本動作、対敵動作(1対1および1対多などの兵法哲学に基づく対処法)の具体的な技を身体感覚で理解するような内容であるが、空手道や合気道、各種武器法、古流武術および中国・韓国の武道術技や行法を含めた総合危機管理学実習ともいえるような総合武道術科内容を皆で実践し体得して行く。“柔能制剛”の基本精神に沿ったうえで“他人への思いやり”を持ち、宮本武蔵の『五輪書』を現代のセルフディフェンスに生かす内容である。」とある。
[編集] 教育活動
- 東京理科大学、立教大学などいわゆる有名大学において健康科学、スポーツ科学の講義や実習(スキー、ゴルフ、ソフトボールなど)を担当している。また順天堂大学医学部において保健統計学の講義を10年以上にわたり担当している。講義の内容は臨床医学の実践の場において必要なエビデンス・ベースド・メディスン(Evidence-based medicine, EBM)の理解を深めるために必要な基礎知識の習得であり、医学教育の中でもコアな位置を占めるものである。
[編集] 研究活動
- 疾患と危険因子の関連を探ることにとどまった従来の疫学の概念を、健康事象とその要因の解明といったより広い領域へ展開した研究を行っている。近年では順天堂大学スポーツ健康科学部鈴木大地准教授(ソウルオリンピック・水泳金メダリスト)との共同研究において、スポーツのみならず食生活やストレスといった健康に関連する多くの要因を取り入れた因果モデルを共分散構造分析にて構築し、水泳や水中運動の健康づくりに対する寄与度を分析するなど、彼の編み出した手法の有用性が認められている。
- その他、医学の領域でシステマティック・レビューの標準手法として提唱されてきたメタ分析といった統計学的手法を、スポーツ科学に応用(サッカーのメタ分析)するなど、数学・スポーツ科学・医学を修得した彼ならではの学際的業績が目立つ。
- 漫画「バガボンド」の武術に関する考証について担当している。
- 日本養生学会理事、日本疫学会評議員
[編集] 著書
- 銃剣道術科教本 棒体操(術)から銃剣道へ 国際武道学会学術刊行会
- 保健衛生とフィットネス Health & Fittness 篠原出版 (鈴木大地共著)
- 保健衛生と健康スポーツ科学 篠原出版新社
- 合気道入門 北欧社
- 多変量解析実例ハンドブック 朝倉書店
[編集] 関連人物
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