若菜
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若菜(わかな)は、
- 初春に採れる葉菜類のこと。
- 『源氏物語』五十四帖の巻名のひとつ。後述。
- 地唄、箏曲の楽曲。文化の頃に京都で活躍した盲人音楽家、松浦検校が作曲、八重崎検校により箏の手が付けられた。手事物で、歌詞では早春に乙女たちが野で若菜を摘む長閑な光景が詠われている。歌のひとつひとつの音節を長く伸ばした旋律に特徴があり、手事(器楽部)は華やかで、全体に明るい雰囲気の曲。一旦終止するかと思わせて再び曲が継続する終曲部分など、凝った作曲法で、京流手事物の佳曲。
- 狂言。若菜摘みの女が登場することによる。
- 1984年1月21日生まれのグラビアアイドル。
帖 | 名 | 帖 | 名 |
---|---|---|---|
1 | きりつほ | 28 | のわき |
2 | ははきき | 29 | みゆき |
3 | うつせみ | 30 | ふちはかま |
4 | ゆふかほ | 31 | まきはしら |
5 | わかむらさき | 32 | うめかえ |
6 | すゑつむはな | 33 | ふちのうらは |
7 | もみちのか | 34 | わかな(上下) |
8 | はなのえん | 35 | かしはき |
9 | あふひ | 36 | よこふえ |
10 | さかき | 37 | すすむし |
11 | はなちるさと | 38 | ゆふきり |
12 | すま | 39 | みのり |
13 | あかし | 40 | まほろし |
14 | みをつくし | 41 | くもかくれ |
15 | よもきふ | 42 | にほふみや |
16 | せきや | 43 | こうはい |
17 | ゑあはせ | 44 | たけかは |
18 | まつかせ | 45 | はしひめ |
19 | うすくも | 46 | しひかもと |
20 | あさかほ | 47 | あけまき |
21 | をとめ | 48 | さわらひ |
22 | たまかつら | 49 | やとりき |
23 | はつね | 50 | あすまや |
24 | こてふ | 51 | うきふね |
25 | ほたる | 52 | かけろふ |
26 | とこなつ | 53 | てならひ |
27 | かかりひ | 54 | ゆめのうきはし |
若菜(わかな)は、『源氏物語』五十四帖の巻名のひとつ。第34帖。作中最長の巻であり、本文の存在しない「雲隠」を除いて「若菜上(-じょう)」「若菜下(-げ)」としそれぞれ第34帖、第35帖とする向きもある。巻名は、光源氏の40歳の祝いの席に養女の玉鬘が若菜を差し出したことに因む。
目次 |
[編集] あらすじ
[編集] 若菜上
光源氏39歳十二月から41歳三月までの話。
源氏の兄朱雀院は病気を患い出家しようとするが、後見人の居ない愛娘女三宮の将来が心配で躊躇している。散々思い悩んだ末、源氏に託すことにする。動揺する紫の上だが、それを隠して女三宮を源氏の正妻として迎える準備をする。
年が明けて二十三日、源氏の四十の賀が盛大に行われる。 二月に女三宮が六条院に降嫁する。しかし、女三宮のあまりの幼さに源氏は失望してしまう。また、紫の上は思わぬ展開に悲しみを内に秘めて過ごすようになる。
翌年三月には明石の女御(源氏の娘)が東宮(後の帝)の男御子を出産。人生最大の栄華に喜ぶ明石の御方たちだが、明石の入道の消息文を読み涙を流す。
一方、かねて女三宮の降嫁を切望していた柏木(内大臣の息子)は、いまだ未練を残していた。三月末、六条院の蹴鞠の催しに訪れた柏木は、御簾から飛び出してきた唐猫の仕業で上がった御簾の奥にいる女三宮の姿を見てしまう。柏木はそれ以降ますます女三宮への思いを募らせていった。
[編集] 若菜下
光源氏41歳三月から47歳十二月までの話。
それから四年の年月が経ち冷泉帝から今上帝へ時代は移る。明石の女御腹の男御子が東宮に立つ。
翌年の朱雀院の五十の賀に向け、源氏は女三宮に琴を教える。年が明け正月に行われた六条院の女楽の後、37歳の厄年だった紫の上が突然倒れる。一度は絶命したが、かろうじて蘇生する。
一方、柏木は女三宮の姉女二宮(落葉の宮)と結婚するが満足できず、源氏が紫の上につきっきりの看病で手薄になっていた虚をついて、女三宮に逢う。後日、女三宮が懐妊。紫の上の病状も小康状態になった夏の末頃、見舞いにやって来た源氏は、偶然柏木からの恋文を見つけ事の真相に気付く。柏木はそのことを知り罪におののき病に臥す。
朱雀院の五十の賀は、暮れも押し迫った十二月の二十五日に行われた。