蝉しぐれ
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『蝉しぐれ』(せみしぐれ)は藤沢周平作の長篇時代小説。藤沢作品のなかでも代表的な小説のひとつである。1986年7月9日から1987年4月13日にかけて「山形新聞」夕刊で連載。1988年に文藝春秋社 から単行本刊行。1991年に文庫化(文春文庫。ISBN:416719225X。2005年現在まで43刷)。
目次 |
[編集] あらすじ
幕末時代の山形県庄内地方にある海坂藩を舞台に、政変に巻きこまれて父を失い、家禄を没収された少年牧文四郎の成長を描く。
小説の冒頭で文四郎は15歳。市中の剣術、道場と学塾に通い、ひとつ年上の小和田逸平や同い年の島崎与之助と仲がよく、また隣家の娘ふくに不思議と心を引かれ、すこしずつ大人になりつつある年頃である。やがて、学問に優れた与之助が修行のために江戸へ旅立ち、文四郎と逸平は空鈍流の稽古に熱をあげるようになる。ことに文四郎は道場でも期待の俊才だった。
平凡な日々がおだやかに過ぎてゆくなかで、お世継ぎをめぐって突如として藩内を二分する政争がおこり、文四郎の養父助左衛門(じつの叔父)がこれに巻きこまれて切腹を余儀なくされる。助左衛門は普請組につとめる寡黙な人物だが、常に百姓の生活を気にかける父の姿を文四郎はひそかに尊敬していた。最後の面会の日、文四郎は逸平にこう言って涙する。「親父のことを尊敬しているといいたかった。だがいえなかった……」。
当主の切腹、家禄没収というきびしい運命のなかで、文四郎はひたすらそれに耐え、鬱屈を晴らそうとするかのように剣術修行にあけくれる。その間に逸平は当主として城に勤めはじめ、おふくは江戸藩邸に奉公するために国許を去る。最後の別れにおとずれたおふくにかけちがって会えなかったことを文四郎は悔やむ。一方でその剣は長足の進歩を示し、奉納試合で難敵をやぶり、師から秘伝「村雨」をさずけられ、秘剣の授受をめぐって藩内に隠然たる勢力を持つ加治織部の面識を得る。加治は先年の政争の詳細を文四郎に伝え、彼をはげます。
やがて牧家に対する処分はやや減ぜられ、文四郎は当主として郷方に勤務するようになる。
[編集] 映画
2005年10月1日より全国東宝系にて公開。
[編集] スタッフ
- 原作:藤沢周平
- 監督・脚本 : 黒土三男
- 音楽 : 岩代太郎
- 美術 : 櫻木晶
- 製作委員会 : 電通、セディックインターナショナル、ケイセブン、ジェネオン エンタテインメント、東宝、テレビ朝日、朝日放送、メ~テレ、朝日新聞、東京都ASA連合
- イメージソング : 一青窈 「かざぐるま」
[編集] キャスト
- 牧文四郎 : 市川染五郎
- ふく : 木村佳乃
- 牧助左衛門 : 緒形拳
- 登世 : 原田美枝子
- 島崎与之助 : 今田耕司
- 小和田逸平 : ふかわりょう
- 文四郎・子役 : 石田卓也
- ふく・子役 : 佐津川愛美
- 磯谷主計:柄本明
[編集] 外部リンク
[編集] テレビドラマ
- 2003年NHK金曜時代劇として放送。全7回。 第44回モンテカルロ・テレビ祭フィクション部門最優秀作品賞等を受賞。
- 2006年10月2日・10月9日・10月16日(いずれも月曜)東北地方で午後10時(プレミアム10枠)に1週間2回分を再放送。
[編集] スタッフ
[編集] キャスト
- 牧文四郎 :内野聖陽
- 牧文四郎(子役) : 森脇史登
- ふく :水野真紀
- ふく(子役) : 伊藤未希
- 牧助左衛門 : 勝野洋
- 登世 : 竹下景子
- 島崎与之助 : 宮藤官九郎
- 小和田逸平 : 石橋保
- 布施鶴之助 : 海部剛史
- 里村左内 : 平幹二朗
- 横山又助 : 柄本明
- 語り : 草笛光子
[編集] 外部リンク
[編集] 舞台
1994年宝塚歌劇団星組本公演で、「若き日の唄は忘れじ」というタイトルで上演。
- なお脚色・演出を担当した大関弘政はこの作品限りで宝塚歌劇団を退職した。