警備隊 (保安庁)
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警備隊(けいびたい)とは、1952年(昭和27年)8月1日から1954年(昭和29年)6月30日まで存在した日本の保安庁管轄の海上警備機関である。海上保安庁の海上警備隊及び航路啓開隊の後身で、海上自衛隊の前身に当たる。
保安庁法(昭和27年法律第265号)第5条第2項では、警備隊とは「(保安庁)長官、次長、長官官房及び各局、第二幕僚監部並びに第二幕僚長の監督を受ける部隊その他の機関」を包含するものと規定されていた。
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[編集] 来歴
発足時の第二幕僚長は山崎小五郎警備監。第二幕僚監部は、総務部、警備部、航路啓開部、経理補給部、技術部からなっていた。部隊としては、太平洋側と日本海側にそれぞれ地方隊2隊(横須賀地方隊・舞鶴地方隊)が新編された。当時は、警備官の定員(2月以内の期間を定めて雇用される者、休職者及び非常勤の者を除く。)は、7590人とされた。
1953年(昭和28年)9月16日に、大規模な組織改編が行われた。まず、佐世保地方隊と大湊地方隊が新編された。その際に、各地方隊の航路啓開隊は廃止され、新たに基地隊等が置かれることとなった。
また、その後の10月16日には、第二幕僚監部に新たに第二幕僚副長及び調査部が置かれることとなったが、第二幕僚監部や地方総監部の航路啓開部等が廃止された。
1953年(昭和28年)6月28日-7月10日に、西日本の水害に対して警備隊初の災害派遣が行われた(下関・呉・大阪・佐世保各航路啓開隊)。この12日間の掃海船延べ41隻日の活動で、通信支援、航路障害物除去及び救援物資約338トン、人員20名の海上輸送の成果を挙げた。
また、7月18日-8月1日に和歌山県内の水害に対して災害派遣が行われた(第1船隊群、第16船隊、呉・大阪各航路啓開隊等)。この船舶延べ148隻日の活動で、人員輸送2,719名、救援物資輸送189トン、舟艇輸送57隻の成果を挙げた。
[編集] 装備
警備隊の発足時に保有していた船舶は、海上保安庁から所管換された掃海船等78隻に過ぎなかった(海上自衛隊の掃海船 (編入船)参照)。
そこで、日米船舶貸借協定によって1953年(昭和28年)1月1日から日本にパトロール・フリゲート(PF)や上陸支援艇(LSSL)が貸与され、「警備船」と呼称され、草花に由来する名前が付けられた。これらの艦船によって、1953年(昭和28年)1月に、第1船隊群などが編成された。
この艦船不足を解消するため、1953年度計画で国産艦艇新造計画が立案され、甲型警備艦(後のはるかぜ型護衛艦)2隻と乙型警備艦3隻(あけぼの・いかづち型護衛艦)の建造が決まった。
警備隊の艦船が掲揚した「警備隊旗」は、旧海軍軍艦旗や後の自衛艦旗とは異なる意匠であった。
[編集] 人事
操艦技術が必要なため、幹部警備官は旧海軍現役将校が中心となった。警備隊発足後は、幹部警備官は、保安大学校卒業者を中心に補充することが予定されていたが、結局保安大学校卒業者が出る前に警備隊が海上自衛隊に改組されてしまったため、実現しなかった。
警備官の階級は、保安官のそれに対応しており、原則として「保安」の部分を「警備」に入れ換えたのみの差であるのが原則だが、「保査」については「警査」と言い換えている。「警査」とは警察予備隊の警察官の階級名でもあった。
なお、警査は、陸上部隊の保査よりも、船舶の運用を担うためその養成に時間がかかることから、非任期制とされ、また3等警査という階級が設けられており階級面でも1つ多くなっていた。
また、昭和28年9月16日には術科教育のため、「警備隊術科学校」が設置された(後の海上自衛隊術科学校)。
分類 | 階級名 | 相当階級 | |||
---|---|---|---|---|---|
海上警備隊員 | 保安官 | 海上自衛官 | |||
幹部警備官 (士官) |
(将官) | 警備監 | 海上警備監 | 保安監 | 海将 |
警備監補 | 海上警備監補 | 保安監補 | 海将補 | ||
警備正 (佐官) |
1等警備正 | 1等海上警備正 | 1等保安正 | 1等海佐 | |
2等警備正 | 2等海上警備正 | 2等保安正 | 2等海佐 | ||
3等警備正 | 3等海上警備正 | 3等保安正 | 3等海佐 | ||
警備士 (尉官) |
1等警備士 | 1等海上警備士 | 1等保安士 | 1等海尉 | |
2等警備士 | 2等海上警備士 | 2等保安士 | 2等海尉 | ||
3等警備士 | 3等海上警備士 | 3等保安士 | 3等海尉 | ||
警備士補 (下士官) |
1等警備士補 | 1等海上警備士補 | 1等保安士補 | 1等海曹 | |
2等警備士補 | 2等海上警備士補 | 2等保安士補 | 2等海曹 | ||
3等警備士補 | 3等海上警備士補 | 3等保安士補 | 3等海曹 | ||
警査 (兵卒) |
警査長 | 海上警備員長 | 保査長 | 海士長 | |
1等警査 | 1等海上警備員 | 1等保査 | 1等海士 | ||
2等警査 | 2等海上警備員 | 2等保査 | 2等海士 | ||
3等警査 | 3等海上警備員 | なし | 3等海士 |
この表では、各改組に際して当然に移行するものとされた相当階級を示してあるのであって、必ずしも現在の海上自衛官の階級の全てに対応するものではない(准海尉、海曹長、3等海士に相当する警備官又は保安官の階級はない。)。
[編集] 関連項目
- 保安庁
- 保安隊
- 海上警備隊 → 警備隊 → 海上自衛隊
- 海上自衛隊の掃海船 (編入船)
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