軍属
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
軍属(ぐんぞく)とは、軍人(武官または徴集された兵)以外で軍隊に所属する者のことをいう。正規職員としての文官から嘱託職員等までを広く含む。
一般に、以下に例示するような職務に従事する者が軍属である。
- 軍事行政や主計・法務などの事務的業務
- 国際公法関係の法務業務
- 通訳
- 技術部門の研究・開発
- 軍の学校・教育機関等の教官で一般教養科目や語学等を担当する者(軍事関係科目の教官は武官であることがほとんどであるので混同の無いよう注意が必要である)
- 車両・航空機や機械・資機材類の保守点検・整備
- 軍需物資の輸送業務
- 軍事施設の建設や維持管理
- 基地・駐屯地や艦艇内の売店や食堂等の営業
ただし、職務内容は国や時代による差異も大きく一概にその任務を定義することは困難である点には注意が必要である。 例えば、軍人であって技術部門の研究・開発に従事する者(技術士官)や車両・航空機や機械・資機材類の保守点検・整備を任務とする者(整備兵)等も存在する事に留意しなければならない。軍人である技術士官と軍属の技官が同時に存在するような場合も珍しくない。
あくまでも喩えであるが、警察組織を例とすると、警察官が軍人、警察事務官・警察技官が軍属と言えよう。
なお「軍属」という語は軍に所属する者の総称として使用されることがあるが、これは誤用であり正確には前述の通り「軍隊に所属する武官・兵卒以外の者」強いて言えば「軍隊に所属する文官及び雑夫」の意であるので注意が必要である。
軍属には軍刑法(自衛隊法・旧陸軍刑法・旧海軍刑法・その他外国における同様のもの)が適用され、国や時代によっては軍服に相当する制服等を着用する場合もある。
[編集] 参考例・大日本帝国海軍の軍属
大日本帝国海軍では、軍艦には、雇人(ようにん)と総称される理髪師や洗濯夫が搭乗していた。 彼らは艦内編制上「運用科」に所属し戦闘時は応急処置に動員された。 その他「歯科担当艦」とよばれた軍艦には歯科医が搭乗しており、「奏任官扱い」つまり士官に準じる身分・待遇で勤務していた。 なお、彼らは文官もしくは嘱託職員の身分であった。 その後太平洋戦争の激化に伴い、一部の軍属の文官から武官への転官が行われた。 法務官→法務士官、歯科医→歯科医官、技手(読み方は「ぎて」、技官・技術者のこと)→技術士官などである。
また軍属は戦闘には積極的には関与しないが、戦闘によって死亡すると戦死とされ靖国神社に合祀されるのは軍人と同様であり、特に著しい功績があった際には軍人同様金鵄勲章が授与されることもあった。 その他、軍人の物とは異なる独自の制服・制帽・階級章が制定されていた(これらの点は大日本帝国陸軍の軍属も同様である)。
[編集] 現在の日本の自衛隊の場合
自衛隊では、制服組と一般的に呼ばれる自衛官以外の背広組と呼ばれる防衛省・自衛隊職員が諸外国の軍隊および旧日本軍における軍属に相当するものと考えられる。 防衛大臣、防衛副大臣、防衛大臣政務官(以上の三役は国会議員、すなわち政治家であり、「職員」とは言い難いと考えられる)以外の防衛省・自衛隊の職員(事務官・技官・教官等)が全てこれに当たるとして差し支えないと思われる。
なお現在の日本の自衛隊においては、旧日本軍と異なり自衛官以外の防衛省・自衛隊職員に制服・階級章類は制定されていない。ただし職務の内容によっては自衛官の被服に準拠した作業服およびこれに類する被服が着用されることはある。
[編集] 関連項目
この「軍属」は、軍事に関連した書きかけ項目です。この項目を加筆・訂正などして下さる協力者を求めています。(関連: ウィキポータル 軍事/ウィキプロジェクト 軍事/ウィキプロジェクト 軍事史) |