農学
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農学(のうがく、agricultural science)とは、農業・林業・水産業・畜産業などに関わる、応用的な学問。農産物の栽培・育種、生産技術の向上、生産物の加工技術などや、生産に関わる社会的な原理、環境の保全など、第一次産業に関わる幅広い事柄を研究し、産業の改良と発展を目指す。広義の自然科学に属し、化学、生物学、地学などを基礎とするが、社会科学も基盤の一部を成す。
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[編集] 歴史
国家財政に影響が大きい林学は封建時代に帝王学・官学の一部として体系化が進んでいたのに対し、農耕地を対象とする農学は一般民衆の学問として発達し、近代的科学の一分野としての農学が確立する以前にも、口頭伝承により農耕や狩猟の技術やノウハウが知識体系を形作っていた。記録に残る最古のものは紀元前19世紀にメソポタミアで発見された粘土板で、灌漑やネズミ対処に関するアドバイスが記されている。古代エジプトでも、ナイル川の洪水での作物に対する影響を小さく抑える方法などが書かれた書物が見つかっている。また、主食である作物などの栽培技術と別に、育種学、蔬菜栽培技術などの園芸学、発酵技術などはカトリック教会、日本の寺院など、封建時代の聖職者によって洗練されていた。
古代中国では、春秋時代に税制が広まるにつれて収穫をいかに上げるかという問題が関心を集め始め、後漢は実用的な農業研究と研究成果の宣布を推進した。北魏の賈思勰(かしきょう)編纂の『斉民要術』(せいみんようじゅつ、535年前後)は完全な形で現存する最古の農業書である。
近代的学問としての農学の確立は1840年代のドイツ、イギリス、フランスを中心に始まったと言われる。この頃からヨーロッパ各地に農業の専門学校が現れ始め、まず、農耕地生産に関わる諸分野が統合され、その後、林学や水産学などの生物生産に関連する分野を統合しつつ現代の農学の姿が形成されていった。
農学の発展過程で得られた知識に基づき、多くの理学分野、技術分野が派生した。例えば、遺伝を扱う育種学からは遺伝学が、生産効率に関わる複雑な要因を切り分ける生物測定学からは統計学と実験計画法が生まれている。
[編集] 農学の分野一覧
- 作物学
- 農業生物学
- 栽培学
- 園芸学
- 蔬菜学
- 花卉学
- 育種学
- 生物測定学
- 害虫学
- 養蚕学
- 応用昆虫学
- 雑草学
- 植物病理学
- 植物生理学
- 畜産学
- 酪農学
- 応用動物学
- 応用植物学
- 応用微生物学
- 応用生態学
- 生物資源学
- 農業経済学
- 食料経済学
- 農村社会学
- 農政学
- 農業経営学
- 農業史学
- 農業簿記学
- 農業評価学
- 緑地環境学
- 農業工学
- 農業土木学
- 農業機械学
- 農村計画学
- 農芸化学
- 肥料学
- 土壌学
- 醸造学
- 発酵学
- 森林科学
- 林学
- 林産学
- 水産学
[編集] 話題
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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