近鉄7000系電車
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7000系電車(7000けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道の通勤形電車である。
また、同系の増備車である7020系電車についても本項で記載する。
近鉄7000系電車 | |||
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編成 | 6両編成x9本(1989年~) | ||
起動加速度 | 3.0km/h/s | ||
減速度 | 3.5km/h/s (通常) 4.5km/h/s (非常) |
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営業最高速度 | 95km/h | ||
車両定員 | (Tc1・Tc2)125(39)人 (M1・T・M2・M3)135(45)人 |
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編成定員 | 790(258)人 | ||
車両長/全幅/全高 | 18,200mm(先頭車) 18,000mm(中間車)/ 2,900mm/ 3,745mm | ||
編成長 | 108,400mm (6両編成) | ||
車両重量 | (Tc1・Tc2)34.0t (M1・M2・M3)37.0t・(T)28.0t |
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編成重量 | 207.0t | ||
軌間 | 1435mm (標準軌) | ||
電気方式 | 直流750V第三軌条方式 | ||
制御装置 | GTO素子VVVFインバータ制御 | ||
編成出力 | 140kw×4機×3両=1,680kw | ||
歯車比 | |||
ブレーキ方式 | 回生ブレーキ併用 全電気指令式電磁直通空気ブレーキ |
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製造メーカー | 近畿車輛 | ||
備考 | 定員の括弧内は着席定員 ク7100はTc1、モ7200はM1、サ7300はT、 モ7400はM2、モ7500はM3、ク7600はTc2 で表している。 |
目次 |
[編集] 7000系
[編集] 概要
1986年(昭和61年)に登場したけいはんな線用(製造当時は東大阪線)の車両。大阪市営地下鉄中央線に乗り入れるため、集電方式は直流750Vの第三軌条方式となっている。車内放送装置には近鉄のワンマン運転に対応していない車両では初めて自動放送装置が搭載された。
車体は全普通鋼製、車体長は18m、車体幅は2,900mmと近鉄の車両の中でも最も大きい。五位堂検修車庫で検査を受けるため、他線区の車両限界を考慮して、側面とTc車前面は腰部から上部までが直線に傾斜しており、裾を1500Rの滑らかな曲線で大きく絞った独特なスタイルをしている。なお、回送の際には編成を分割、集電靴とドアステップが取り外され電動貨車に牽引される。コスモスクエア・長田寄りからク7100(Tc)-モ7200(M)-サ7300(T)-モ7400(M)-モ7500(M)-ク7600(Tc)、と6連を組成している。電算記号はHL。
1987年鉄道友の会ローレル賞受賞、1986年通商産業省(当時)グッドデザイン商品(当時)選定。鉄道車両がグッドデザイン商品に選定されたのはこれが初めてであった。
GTO素子使用のVVVFインバータ制御装置のメーカーが、末尾が奇数の編成は三菱電機製、偶数の編成は日立製作所製と異なる。なお、制御装置は1C2M(1台で主電動機2個を制御)で、1両の電動車に2台ある。主電動機出力はいずれも三菱電機製140kW×4である。
台車はKD-92形(筒形ゴムブッシュ軸箱案内方式)を採用。集電装置はTC-19形を採用し、M・T車の台車の一部に設置されている。Tc車にコンプレッサと補助電源装置として120kVAのサイリスタ発電装置を装備している。制動装置はHRDA-1形(回生制動連動の全電気指令電磁直通ブレーキ)を採用。冷房装置は両端屋根に設けたCU-78形(能力20,000kcal/h)のユニットクーラーからダクトを通してラインデリアを併用して送風している。
1984年7月にク7103-モ7503-モ7502-ク7602の4連が東大阪生駒電鉄の車両として先行試作され、完成部分の路線にて走行試験を行った。1986年の東大阪線開業時にはこの4両は近鉄に編入、その他量産車を含め7101F~7108Fの8本が用意された。1989年には7110Fが増備され、現在、6両編成9本(54両)が在籍する。第9編成は欠番となっている(増備車が日立製制御装置だったため、三菱製に割り当てる奇数番号の編成を飛ばしたことによる)。なお7101F~7105Fが軌道線、7106F~7108Fと7110Fが鉄道線所属とされている。
現在、HL04(7104F)が南都銀行の広告車両に、HL05(7105F)は大阪経済法科大学の広告車両「アートライナー」にそれぞれなっている。
京都市営地下鉄に乗り入れる奈良線・京都線の3200系もほぼ同時期に製造されている。
[編集] 改造
2006年3月27日のけいはんな線の開業に合わせて、2004年に増備用として次項で述べる7020系が登場した。それに併せて本系列も7020系に準じた内・外装の更新工事が進められ、全編成が完了した。
アートライナー 7104F (生駒駅にて)
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アートライナー 7105F (生駒駅にて)
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7000系の車内(学研奈良登美ヶ丘駅にて)
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[編集] 7020系
近鉄7020系電車 | |||
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編成 | 6両編成x4本(2004年~) | ||
制御装置 | 三菱製IGBT素子VVVFインバータ制御 | ||
編成出力 | 145kw×4機×3両=1,740kw | ||
歯車比 | 14:103(7.36) | ||
備考 | 主要諸元の7000系との共通事項は除外 |
2004年(平成16年)12月1日に営業運転を開始している。7000系は初期型のGTO素子によるVVVFインバータ制御を採用しているが、本系列ではIGBT素子によるVVVFインバータ装置を採用している。電動機出力は7000系の140kWから145kWに増強されている。
2006年(平成18年)3月27日のけいはんな線生駒-学研奈良登美ヶ丘間の開業に伴い、運行距離が伸びる分の車両の不足を補うために新製された。既存の7000系をベースに、バリアフリー設備の設置や細部の設計変更などを施している。
6両編成4本(24両)が製造された。コスモスクエア・長田寄りからク7120(Tc)-モ7220(M)-サ7320(T)-モ7420(M)-モ7520(M)-ク7620(Tc)の6連を組成している。ちなみに、7020系の4本と並行して、奈良線の9824F(EH24)も製造されている。
登場時は側窓形状(一段下降窓から左右一体の上下2分割式窓、上段は内側に開く)や行先表示器がLED式となり側面にも設置された事、側面帯内のKINTETSUのロゴが新しくなったこと、車両番号の字体が変更されたこと(シリーズ21などと同様のヘルベチカ)が7000系との差違であったが、7000系も本系列に合わせた内・外装の更新を行ったため、外観上の差異は前面のワイパーの取り付け位置が異なる程度である。内装の差異は7000系は客室蛍光灯がカバー付きの半間接照明であるのに対し、本系列は大邱地下鉄放火事件が契機となって2004年に難燃性基準が改正された影響で従来の樹脂製蛍光灯カバーが新製車には取り付けられなくなった事や、地下線内での照度確保の為にカバーを省略し、直接照明にした事である。なお、更新された7000系は、写真のように照明カバーを存置している。カバーの省略は2005年度以降に製造したシリーズ21にも反映されている。
7121F(HL21)は現在けいはんな線のPR列車として運用している。
[編集] 外部リンク
[編集] 関連項目
現有車両 |
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広軌線: 9820系・9020系, 9200系・9000系・8810系, 8800系・8600系・8400系・8000系(60番台~90番台), 5820系, 5800系, 5200系, 3220系, 3200系, 3000系, 2800系・2680系・2610系・2000系, 2430系・2410系, 1810系, 1620系・1430系・1420系, 2050系・1400系・1201系・1200系, 1230系・1220系・1020系, 1010系, 1000系 南大阪線: 6820系, 6620系・6400系, 6600系, 6200系・6020系 独立線区: 260系(内部・八王子線用), 620系・610系・600系(養老線用), 860系(伊賀線用), 7000系・7020系(けいはんな線-大阪市営地下鉄中央線乗入) 事業用: モト75形, モト90系, 五位堂・高安入替車, モワ24系電気検測車(はかるくん) |
過去の車両(近鉄による新造形式) |
8000系(20番台~50番台), 6800系, 6441系, 6411系, 6000系, 2600系, 2400系, 1800系・モ1650形・1600系, 2470系・1480系, 1470系, 1460系, 1450系, 920系, 900系, 880系, 820系, 800系 特急車格下げ車両: 2250系, 6421系, 6431系 |
過去の車両(合併各社よりの承継形式) |
大阪電気軌道・参宮急行電鉄: モ1000形, モ1100形, モ1200形, モ1300形, 2200系 大阪鉄道・吉野鉄道: モ5800形, モ6601形 伊勢電気鉄道・関西急行電鉄: モニ6201形, モニ6231形, モ6301形 奈良電気鉄道: 400系, 680系(旧京都線特急車), 683系(旧京都線予備特急車) その他: モ5251形 |