透明人間
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透明人間(とうめいにんげん、Invisible Man)
- H・G・ウェルズの小説 The Invisible Man(日本語訳『透明人間』)のタイトルロールの登場人物。または、類似のフィクションにおいて、肉体が透明である架空の人間(本稿で詳述)。
- 比喩として、存在感の薄い人間を指す。ラルフ・エリソンの作品『見えない人間』(Invisible Man 、1953年)など。
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[編集] 透明人間の定義
透明人間は体が全く見えず、その体を透かして向こう側の景色を見ることができる。そこにいてもわからないが、感触では確認できる。
SFや怪奇小説などで繰り返し用いられているテーマである。その特殊性から悪役として登場する事が多いが、主人公や正義の味方として活躍する作品もある。透明であることを隠すため、包帯で顔をぐるぐる巻きにしている(しばしば目にはサングラスをかけている)というのが、もっとも典型的な姿である。
H.G.ウエルズの透明人間は、薬を飲んで透明になった。また、タバコを吸えば、煙が気管を通るのが見えたという。これは、どうやら肉体が変化して空気と屈折率が等しくなった状態であると推測される。しかし肉体が完全に透明になると、眼球の水晶体や網膜なども透明となる。理論上は眼から入る光が網膜上に像を結ぶことが不可能になるため、透明人間は視覚が全く無いと考察されている。それを考慮してか作中では透明になった後、鏡で姿を確認したところ目があった部分に虹色の「物体」が浮かんでいるとされている。
不可視化する技法として現実に研究されているのは、体表面での反射を工夫し存在感を隠す光学迷彩という手法である。
[編集] 比喩としての「透明人間」
英語の「Invisible Man」や「透明人間」は、転じて比喩的に影の薄い人を指す言葉として用いられることもある。ラルフ・エリソン作『見えない人間』(Invisible Man)などの文学では、白人から存在を無視され続けるアメリカ黒人青年のアイデンティティを扱っている。
[編集] 現実の関連技術
[編集] 軍事関連
近年、アメリカ軍が未来の軍隊に装備させるためにナノテクノロジーを応用した透明になる兵隊服をマサチューセッツ工科大学(MIT)に依頼した。
[編集] 日本での開発
2003年に東京大学において、背後の風景を投射することで光学迷彩を実現するコートを発表した。光学迷彩の項目を参照。
[編集] 透明人間をテーマとした主な作品
[編集] 小説
- 『透明人間』 The Invisible Man (ハーバート・ジョージ・ウェルズ、1897年)
- 『透明人間の告白』 Memoirs of an Invisible Man (H・F・セイント、1987年)
[編集] 映画
- 『透明人間』(THE INVISIBLE MAN:1933年、ジェイムズ・ホエール)
- 『透明人間現わる』(1949年、大映、安達伸生・円谷英二特撮)
- 『透明人間』(1954年、東宝、小田基義・円谷英二特撮)
- 『透明人間と蝿男』(1957年、大映、村山三男・的場徹特撮)
- 『透明人間』(THE INVISIBLE MAN:1975年、ロバート・マイケル・ルイス)
- 『透明人間』(MEMOIRS OF AN INVISIBLE MAN:1992年、ジョン・カーペンター)
- 『インビジブル』(HOLLOW MAN:2000年、ポール・バーホーベン)
- 『インビジブル2』(HOLLOW MAN2:2006年、ポール・バーホーベン)
[編集] テレビドラマ
[編集] 漫画
[編集] 楽曲
- 『透明人間』(ピンクレディー)
- 『透明人間』(東京事変)
- 『とうめいにんげんなんだけど』(作詞:五味太郎、作曲:乾裕樹、『おかあさんといっしょ』1988年1月の「今月の歌」)
- 『INVISIBLE MAN』(コブクロ)