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重戦機エルガイム - Wikipedia

重戦機エルガイム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

重戦機エルガイム』(じゅうせんき(ヘビーメタル)エルガイム、HEAVY METAL L-GAIM)は、1984年(昭和59年)2月4日から1985年(昭和60年)2月23日まで名古屋テレビ(現・メ~テレ)テレビ朝日系で毎週土曜日17:30 - 18:00で全54話が放映された、日本サンライズ(現サンライズ)制作のロボットアニメ

後にOVAや、渡辺由自によるノベライゼーション池原しげとによる漫画化作品および、白石琴似による再構成漫画『UNDER THE SUNS』が制作されている。


注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。


目次

[編集] 概要

富野由悠季監督により『聖戦士ダンバイン』の後番組として製作。「若手スタッフの育成」を主眼に置き、北爪宏幸や大森英敏といった20代を中心としたスタッフ編成がなされ、中でも当時23歳だった新人デザイナーの永野護は日本サンライズ制作のオリジナルロボットアニメとしては史上初のキャラクターとメカニックの両方のデザインを担当するという大抜擢を受けた。

物語の前半は主人公ダバ・マイロードの成長を軸に非常にノリの軽いコメディタッチで展開されており、優柔不断なダバを二人のヒロインが取り合うというラブコメ的要素の強い演出がなされていた。中盤、ダバが滅亡したカモン王朝の末裔であることが明かされ、カモン王朝を滅ぼした悪の支配者を打倒するという貴種流離譚的な展開となった。ダバらは苦難と激闘の末に敵を倒すが、ダバは新たな統治者となる道を選ばないという意外なエンディングを迎える。

本作品は同時間枠の前2作『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』で好評だった「主役メカ交代」のスタイルを踏襲しており、番組タイトルでもあるエルガイムが前半の主役メカ、後半はエルガイムMk-IIが主役メカとなる。

公式にはキャラクターデザイン及びメカニカルデザインのみを担当した永野護だが、実質的な物語の世界観の構築は彼の手によるものとされる。これはデザインを行うにあたりその文化的な背景を確立させる必要があったことから、永野自身が物語には表れないものを含め様々な設定を創作したためである。彼は後にアニメ雑誌ニュータイプ6月号(1985年)誌上の「バイストンウェル物語」特集において、エルガイムのストーリーは、エルガイムの前作である『聖戦士ダンバイン』に登場する妖精の長、ジャコバ・アオンが所有する水晶球内で展開されるおとぎ話であると発言している。しかしその一方で、(バイストンウェルの世界に登場する)妖精が存在することが理解できないとの発言もしている。この妖精フェラリオ達の棲む水の国「ウォ・ランドン」の上層には選ばれたものだけが入ることを許される「オージ」なる領域が存在し、エルガイムの物語に登場するオージもしくはオージェの名もその領域に由来するものと考えられる。この「オージ」のさらに上層にはバイストン・ウェルの宇宙といえるべきものが存在しており、その宇宙の果てにペンタゴナワールドやガンダムシリーズの世界が存在するとも一部のアニメ誌の記事にて明言している。

永野は本作品の世界観を構築する際に年表や過去の歴史など膨大な裏設定を起こしており、角川書店から発行されたムック本『重戦機エルガイムII』で独自のアイデアで再構成したストーリー『ファイブスター物語』を発表した。ファイブスターとは本作の舞台であるサンズ太陽系が5つの惑星で構成されていることによるものと思われる(ただしその内の1つは人間が生存できる環境ではなく物語には登場しない)。ストーリーは概ね放映のものを踏襲するが、結末が大きく違っている。アニメ版ではダバは義理の妹で許婚であるオリビーと共に人知れず生まれ故郷の惑星コアムに去っていくとなっているが、永野版でのダバはヒロインの一人であるアムと結婚しカモン王朝を復興させるものの、民衆はそのカモン王朝に対し反体制運動を起こし歴史は繰り返されることになる。

本作品終了後1年の期間をあけて永野は、『ファイブスター物語』を発表し、月刊ニュータイプ誌に連載を開始した。この物語はこの永野版エルガイムをベースにしていることで知られており、アニメのストーリーは当作品の第2部に相当する。そのため本作品と『ファイブスター物語』との間には類似性が各所に見られ、両作品がそれぞれの作品の裏設定として資料的価値の高いものとなっている。

監督主導という本来型の体制をあえて崩し、スタッフ主導という意欲的な体制で制作された本作品だったが、富野のエゴイスティックな人間ドラマと、シリーズ構成の渡邊由自による王道ストーリー、永野の作り上げた設定がお互いを刺激し合うという図式には至らず、どこかかみ合わせのずれたまま終わってしまった観が強く、物語としては今ひとつ弾みがつかなかった。作品の評価は今ひとつとなった本作品だが、永野が提示したメカの設定は後のリアルロボットに多大な影響を与えており、リアルロボットの新機軸としても永野の出世作としても記念碑的作品であると言える。

[編集] あらすじ

二重太陽サンズを中心に五つの惑星を擁するペンタゴナワールドは、絶対権力者オルドナ・ポセイダルの統治下にあった。そんなある日、惑星コアムの片田舎から主人公ダバ・マイロードと親友ミラウー・キャオはダバの父の形見であるヘビーメタル・エルガイムを携え風雲の志を胸に都会へと旅立つ。それは行方不明のダバの腹違いの妹クワサン・オリビーを探すための旅立ちでもあった。

突如現れそしてあっさり行き倒れた男から100万ギーンの手形をアマンダラ・カマンダラに届けるよう託されたダバは、元盗賊のファンネリア・アムや元正規軍人のガウ・ハ・レッシイを仲間に加え、盗賊や正規軍をエルガイムで退けるうちに、今の世の中は腐敗した正規軍による圧政の敷かれた世界だと知る。力による統治に反発するダバ達は、やがて正規軍と反ポセイダル勢力との戦乱に巻き込まれていく。

[編集] 登場人物

  • ダバ・マイロード(声:平松広和
  • ファンネリア・アム(声:本多知恵子
  • ミラウー・キャオ(声:大塚芳忠
  • リリス・ファウ(声:川村万梨阿
  • ガウ・ハ・レッシイ(声:川村万梨阿)
  • ミヤマ・リーリン(声:島津冴子
  • ハッシャ・モッシャ(声:戸谷公次
  • ギャブレット・ギャブレー(声:速水奨
  • クワサン・オリビー(声:木下由美)
  • アマンダラ・カマンダラ(声:豊田真司、堀部隆一)
  • オルドナ・ポセイダル(声:島津冴子)
  • ステラ・コバン(声:立沢雅人)
  • エイマン(声:佐藤正治
  • リーフ(声:山崎哲成)
  • アントン・ランドー(声:島田敏
  • ヘッケラー・マウザー(声:塩屋浩三
  • ダバ・ハッサー(声:池田勝
  • キャボット・ササ(声:佐藤正治)
  • フル・フラット(声:土井美加
  • イレーネ・イルス(声:神田和佳
  • バラ(声:戸谷公次
  • パメラ・ビロレッジ(声:藤井佳代子
  • ロンペ(声:塩屋浩三)
  • ボンサーンス(声:玄田哲章
  • ムト(声:島田敏)
  • アジーン(声:飛田展男
  • アロン(声:船戸健行)
  • タック(声:二又一成
  • クロソ(声:曽我部和恭
  • モーブ(声:広森伸吾)
  • ミヤマ・アスフィー(声:原えりこ
  • マルシェ(声:佐藤正治)
  • ドモ(声:広森伸吾)
  • メッシュ・メーカー(声:島田敏)
  • ニコマコス(声:山野史人
ポセイダル13人衆

EX13とも。しかし設立時のメンバーが13人だったということからの命名で、メンバーの定数は無い。

  • 第1席次:サイ・クォ・アダー(OVAフルメタル・ソルジャーに登場)
  • 第2席次:プレータ・クォイズ(OVAフルメタル・ソルジャーに登場)
  • 第3席次:ギワザ・ロワウ(声:西村知道
  • 第4席次:ネイ・モー・ハン(声:竹内久美)
  • 第5席次:ワザン・ルゥーン(声:堀部隆一)
  • 第6席次:チャイ・チャー(声:島田敏
  • 第7席次:テッド・デビラス
  • 第8席次:マフ・マクトミン(声:銀河万丈
  • 第9席次:リョクレイ・ロン(声:若本規夫
  • 第10席次:リィリィ・ハッシー(声:向殿あさみ
  • 第11席次:バーン・ガニア・キラーズ(声:高宮俊介
  • 第12席次:ハンス・アラハート(声:高宮俊介)
  • 第13席次:(ガウ・ハ・レッシィ)

メンバー、席次はOVAフルメタル・ソルジャーでのもの。尚、第6席次、第13席次は欠員のため推定

また、その後も数名欠員が出たため、ギャブレット・ギャブレー、アントン・ランドー、ヘッケラー・マウザーが登用されている。

[編集] ヘビーメタル

ヘビーメタルとは、アニメ『重戦機エルガイム』に登場するロボット兵器の一部呼称である。全長は約18メートル。このヘビーメタルという呼称は本編メカニックデザイナー永野護が音楽ファンであることから、その音楽ジャンルである「ヘヴィメタル」と、アメリカ陸軍重戦車の俗称として使用される「ヘビーメタル」もしくは「ヘビーアーマー」を掛けて命名されたといわれている。ただ、監督の富野由悠季は最初この名称を「恥ずかしい」と気に入っておらず、「フロッサーシルエット」という別の呼称が考えられていた。

その機体固有の名称においても「アトール」「アシュラテンプル」といった実在の音楽バンドの名称を冠するなど、永野の音楽好きが反映されたものとなっている。

本ロボットのデザインコンセプトは特徴的で、永野独特の世界観に依存するところが大きい。従来のロボットはリアルロボットというカテゴリのロボットでさえ、デザイン優先のあまり模型立体化すると人間のような自由度の高い関節の動きは不可能であったが、永野はデザイン性を損なうことなく例えば正座をさせることも可能なデザインを提案した。また、骨格と表皮(装甲)が一体化したモノコック構造だった従来とは違い、装甲と駆動機構を独立させたムーバルフレームや、360度全天リニアシートという新機軸の操縦システムの導入など、新しいアイディアを採用していた。これらのアイデアは、後番組の『機動戦士Ζガンダム』にも採用されるなどその後のアニメのロボットデザインに多大な影響を与えた。

その他、本作ではロボットの格付けという概念がある。それは「A級ヘビーメタル」「B級ヘビーメタル」「マシンナリィ」という同じロボット兵器であっても、前者になるほど戦闘力とデザイン性において優れている。中でも「A級ヘビーメタル」は作品中で希少性の高い機体として設定されている(A級ヘビーメタルの操縦者は「ヘッドライナー」と呼ばれる)。文明の後退が起こっているペンタゴナ・ワールドでは、ヘビーメタルの製造が難しくなっている。過去の戦争時に使用された機体が、「本物」のヘビーメタルであり、それと遜色ない部品を使い、性能がオリジナルに準ずるものが「A級ヘビーメタル」である。それを補完する為に製造されているのが入手しやすい代用部品を多用した「B級ヘビーメタル」であり、もっと単純な機械の「マシンナリィ」である(本来アローンなどB級はマシンナリィとしてデザインされたのだが、富野監督の意見で「B級」ヘビーメタル扱いとなった)。物語の後半では、A級ヘビーメタルの基となった「オリジナルヘビーメタル」(例・ガイラム)が登場する。

動力源は光エネルギー。装甲面が太陽エネルギーを変換し、さらに消費したエネルギーをジェネレータで再利用するという設定。隠密行動により太陽光線を十分に受けられず行動不能となる描写もあった。浮遊する機構を劇中では総称してフロッサーと呼ばれるが、フロッサーを装備したHMは飛行が可能となっている。またフロッサーによる滑走で走行よりも高速移動が可能である。

[編集] 主要登場兵器

[編集] 反乱軍

エルガイム
ダバ・マイロードの最初の愛機。失われたヤーマン族の遺産ともいえるHM。スパイラル・フローを首の付け根に収納することでコクピットとする。小型のランドブースターを背面に装備することで単体での飛行可能だが、長距離は大型のランドブースター、スピリッツを使用する。
頭頂高20.7m(ランドブースター装備時24.1m)、全備重量31.1t、本体重量19.1t。セイバー、ランサー、ハンドランチャー、パワーランチャー、Sマイン(シールドに装填)を装備。両腕の格納部にはセイバー、ランサー、ハンドランチャーをどれか1本ずつ収納可能。パワーランチャー接続口は3。ムーバルフレームはMサイズ。
ハンドメイドとされているが、実際はヤーマン王朝のHMのガイラムの改良機である。ダバ・マイロードの養父ダバ・ハッサーが、HMからマイロードの出自を推測されないためと、ヤーマン族復興の際に、戦力となるよう量産を容易にするため、敢えて構造の簡素化等のデ・チューンを施すという目的の改造がなされている。それでも、A級HMの中でも戦闘力は安定したレベルを保持している(戦闘力自体は決して突出しているわけではない)。もちろんA級HMの常として、オリジナルHMと遜色ない機能を発揮できるレベルの部品が使われている。英語表記はL-GAIM。番組企画初期時の名称は「アロン」。永野護はスタッフ間で使われる設定書にLガイムと記載することもあった。ヘッドライナーはダバ・マイロード、ファンネリア・アムなど。
Mk-II登場後は、すっかり影が薄くなっていたが、最終話ではダバが本物のポセイダル(アマンダラ)操るオージとの戦いでMk-IIを失った後、スパイラルフロー・ビュイを用いて再びエルガイムに搭乗して、戦域から離脱しようとしたギワザ・ロワウ搭乗のシャトルをMk-II用のバスターランチャーにて狙撃し、初代愛機として最後のケリをつける活躍を見せた。
スパイラル・フロー
普段は車両のように独立してホバー走行するエアバイクで、これが変形して収納されることにより、そのままコクピットとして機能するシステム。エルガイム用のスパイラル・フローはフリッカと呼ばれる。ヤーマン族独特の技術で、ポセイダル軍のHMには一切採用されていない。エルガイムの場合、首の付け根に収納スペースがあり、変形し収納されたフリッカの内側がスクリーンとなることで、高い視認性を確保する。収納されても常にフリッカは内部で浮遊しており、衝撃やGに対するパイロットへの負担を軽減している。スパイラル・フロー収納の際、パイロットは「ドッキングセンサー」と発声する。この発声が収納に不可欠なものかは不明であるが、必ず発声していたところから、ダバ・マイロードの音声登録が起動キーになっている可能性が高い(ただしキャオが「ドッキングセンサー」と言った場合も問題なく収納されていた)。本編でスパイラル・フローシステムを採用したHMは、エルガイム、エルガイムMk-II、ヌーベルディザード、そしてディザードの一部の機体の計4機種である。エルガイムには補助操縦システムも組み込まれており、フリッカ未収納でも簡易操縦は可能。またMk-II用のスパイラル・フロー・ビュイでも操縦は可能であるが、その際はビュイの前面カバーのみがモニターとして機能するため、視認性は極めて悪い(逆はサイズ的に収納できない)。
アモンデュール・スタック
ディザードをベースに設計されたHM。ポセイダルが基本設計を行い、ポセイダル軍技術者メッシュ・メーカーが開発した。ペンタゴナワールドにおいて、A級としては数百年ぶりに新設計されたHM。ポセイダルとヤーマンの技術の融合を図った上に、変形という今までのHMに無い機能を盛り込んだ野心的な機体であるが、スパイラル・フローシステムは採用されておらず、その目的は達成したとは言い難い。ミラウー・キャオは一目で、この機体にヤーマンの技術が導入されていることを見抜いた。初陣のヘッドライナーはギャブレット・ギャブレーであったが、運用方法のまずさから本来の性能を発揮できず、酷評していた。結局、ダバ一行に強奪され、彼らの改造によってエルガイムMk-IIとして生まれ変わり、技術の融合という当初の目的は達成されることになる。
高速移動時にはプローラーと呼ばれる飛行形態(ランドブースター)に変形する。
名称の由来はドイツのロックバンド「アモン・デュール」。
エルガイムMk-II
ダバ・マイロードの2代目の愛機。ヤーマン系の技術が採用されておりエルガイムの孫にあたるHM。元々はトライデトアルの正規軍のドヴァ空港の工場内にて開発された試作型A級HMのアモンデュール・スタック。ダバの一行のドヴァ襲撃時にキャオがどさくさ紛れに奪取した。奪取時に頭部を失ったが、キャオが発掘した、過去の戦火で失われたポセイダル軍のA級HMブラッドテンプルの3番機の頭部を取り付けられ、さらに強力な機体となった。
メッシュも技術者としての興味からスタックとともにダバの一行に加わり、その後の開発と整備を担当した。エルガイム同様スパイラルフローなどヤーマンの技術がより導入された。コクピットとしているスパイラルフロー(Mk-II用のものはビュイ)はフリッカの様に変形せず、そのままMk-IIの胸部に収納される。収納ブロックの内側全面がスクリーンとして表示され、エルガイム以上の360度の視認性を確保する。360度スクリーンは本来、ダバとキャオがエルガイムで実現しようとした機能であったが、多忙のため先送りになり、結局Mk-IIにて実現することとなった。続々と軍が繰り出してくる強力なA級HMに抗しきれなくなりつつあったエルガイムに代わり、反乱軍のシンボル的な機体として、A級HM相手でも互角以上の戦いができるようになった。ただし、バランスの取れたエルガイムと違い、それなりに腕に覚えのあるヘッドライナーでないと使いこなせない。
プローラー形態で肩装甲に他のHMがぶら下がるためのハンドルが追加された。全高29.9m、頭頂高23.4m、全備重量36.8t。セイバー、ランサー、ハンドランチャー、パワーランチャー、Sマイン、バスターランチャーを装備。ランチャー接続口は6。ヤーマンとポセイダルの技術の完全な融合という新世代のHMで、A級・B級という分類を超越するグレードだが、A級として分類されることが多い。英語表記はL-GAIM Mark-II。ヘッドライナーはダバ・マイロード。リリス・ファウもダバと共に搭乗することが多い。
ディザード
反乱軍がエルガイムをコピーして開発したB級HM(ただし、ガウ・ハ・レッシィ機の赤いディザードのみ、1号機ということもあり、パーツの精査や組み立ての精度が高いレベルで行われておりA級HMに匹敵する性能を持っている)。「コピー・エルガイム」とも呼ばれる。パーツの全体の約80パーセントがエルガイムと共通。初期型のA型、マスエルと呼ばれるB型、ターナで改良されたC型の3タイプが存在する。高出力の割にフロッサー(ペンタゴナでの浮上装置の総称)の出力が弱く、重力下での飛行には適さない。尚、初期型は生産人員の熟練不足や、設備の不備などからかなり欠陥品が多かったが、これは次第に改善されていき、B型、C型となると本来の性能を発揮するようになった。最初の機体は赤だった(レッシィ用)が、後に白い機体(一般兵用)も配備された。ベースがA級HMということもあり、これまでに反乱軍で使用されていたの他のB級HM(ゴロンゴ等)よりも性能は高く、極めて短期間に反乱軍の主戦力となった。短期間の量産・配備が可能であった要因として、もちろん反乱軍の技術者達の奮闘が挙げられるが、このことを予期して、予めエルガイムのデ・チューンを行っていたダバ・ハッサーの先見の明も注目すべきところである。セイバー、ランサー、ハンドランチャー、パワーランチャー、Sマインを装備。ランチャー接続口は3。3機が協力すればバスターランチャーも撃てる(ただし、発射の際の強力な負荷に耐えられず、機体は行動不能となる)。ムーバルフレームはMサイズ。英語表記はD-SEERD。量産機なので多くのパイロットが搭乗しているが、ダバ一行ではガウ・ハ・レッシィやファンネリア・アム、ミラウー・キャオが主に使用した。Mk-II入手後はアムがエルガイムに乗ったためキャオがメインパイロットとなる。
マスエル
リトル・セイで生産されたB型のディザード。設計者がマスエル・ランバートである事からマスエルと名付けられたと思われる。後に名前をディザードに統一される。
ヌーベル・ディザード(クルツ・テンプル)
ポセイダル軍とヤーマン王朝のHM技術の統合を意図した機体で、アモンデュール・スタックのプロトタイプ。本来はテンプルシリーズの一つで、その場合の名称はクルツ・テンプル。反乱軍に合流したレッシィがアマンダラから貸与されたHM。本来のコクピットはフロッサーシートだが、レッシィの機体はスパイラルフロー・フリッカで使用するよう改修されている。本来ランドブースター形態への変形が可能だが、劇中では全く変形しなかった(デザイナーである永野護が一切公表しなかったため)。盾であるバインダーを肩に直接マウントし、その先端にパワーランチャーを装備している。全高24.5m、頭長高19.8m、重量24.9t、セイバー、Sマイン、パワーランチャー装備。ただしエネルギー出力が弱い為、単独ではバスターランチャーは撃てない。(但し自機と宇宙船それぞれにエネルギーコードを接続して射撃している)ランチャー接続口は3。ムーバルフレームはMサイズ。A級HM。表記はNOUVELLE D-SEERD。ヌーベルはフランス語の「新しい」である。量産はされていない。ヘッドライナーはガウ・ハ・レッシィ。
ゴロンゴ
反乱軍が使用しているB級HMアローンで、ゴロンゴ・ゴーレンによる設計からその名がある。スペック的にはアローンと大差は無い。セイバー、レーザーガン、パワーランチャー装備。ムーバルフレームはMサイズで大量に生産配備されている。オリジナルのアローンと異なっているのは頭部のデザインのみであるがその理由は単に生産性を向上させる為である。ミズンのリトル・セイとトライデトアルのエロウ・バレイとで生産される。地上用と宇宙用(スペース・ゴロンゴ)の二種類が存在する。全高は地上用は15.7m、宇宙用は16.2m。重量29.5t。英語表記はGORONGO。
ワークス
ダバ・マイロードとミラウー・キャオが田舎からやって来た際に乗っていたHMキャリア。HMの整備を行なう工場であり、家であり交通手段でもある。トレーラーのように上部のキャリア部分にエルガイムを寝かせて、シートで覆って運搬していた。フロッサーでわずかに浮上して航行するため車輪は無い(エルガイム起動時はフリッカとのドッキングのため短時間だけ直立することが可能であった)。自衛用にパワーランチャーを装備している。
ターナ(正式名称:クウォート・ターナ)
物語後半からワークスにかわりダバ一行の家となった戦艦。中盤以降は反乱軍艦隊の旗艦となった。
ホエール
レッシィがアマンダラから譲り受けたソーラーヨット。レッシィの離反でまるごと反乱軍のものとなる。アマン商会にも同型艦が存在する。

[編集] ポセイダル軍

グライア
アローンの次に量産されたB級HM。その名は、ギリシャ神話の三身一眼の魔女グライアイに由来する。アローンと共にポセイダル軍の各基地に配備されている。初期型のグライア・ノーダやアローンに比べてセンサーが大きいのが特徴。全高17m、重量25.7t、セイバー、弱装式パワーランチャー装備。グレードはB級で、量産されている。英語表記はGREIA。設計者はグライア・ノーダ。
グライア・ノーダ
MK-Vまでの初期型グライア。武装、スペックはその後のグライアと変わらない。ただ、パラータ・スターのグライア・ノーダは改良されており、性能はバルブドに匹敵する。マスクをしたような顔が特徴。なお、パラータ・スターの機体は反乱軍に与した民衆に奪取され、反乱軍の僚機となった。色は緑系(ポセイダル軍)と黄色系(反乱軍)が存在。
スペース・グライア
フロッサーが宇宙用になり通常のパワーランチャーが撃てる。
バルブド
パーツの多くがA級HM用のものが使われており最もA級HMに近いB級HM。ポセイダル軍近衛兵にも配備された。また、13人衆のチャイ・チャーも専用塗装のバルブドに搭乗している。全高18.9m、重量28.7t、セイバー、パワーランチャー装備。ムーバルフレームはMサイズ。少数生産にとどまっているようだ。英語表記はBAL-BUD。設計者はバルブド・カワランガ。色は赤系(通常機)、黒系(近衛兵)、ダークブルー(第27話でギャブレット・ギャブレーが搭乗していた)と白(チャイ・チャー機)が存在。
バルブド・カイゼス
全高18.9m、アイセンサーは新型の物を搭載している。外見上の相違は頭部と両足のスタビライザーが取り外されている。メッタの少女隊と呼ばれる特務部隊で用いられている機体は、ピンクと黒で塗り分けられ、流星やハートマークといったファンシーで派手なマーキングが施されており、単に「カイゼス」と呼ばれる事も。英語表記はBAL-BUD KAYZESS。俗称はニケ。
バッシュ
量産型A級HMでもっとも成功した機体。オリジナル(本物のHM)は1機のみで現存しない。劇中登場した機体はレプリカ(十数体存在する)。しかし単体で飛行可能なスーパーフロッサーやバスターランチャーの使用が可能で能力は高い。ボディはオールラバー製。全高21.2m、頭長高20.7m、重量20t、ミサイル、セイバー(太刀セイバー)、スロウランサー、Sマイン、エネルギーボンバー、パワーランチャー装備。バスターランチャーはオプション。ランチャー接続口は3。ムーバルフレームはMサイズで、エルガイムMk-Iとほぼ同じ物。英語表記はBAT-SHU。主なヘッドライナーはギャブレット・ギャブレー、ヘッケラー・マウザーなど。レプリカ機の設計者はオルドナ・ポセイダル。
アトール
量産型A級HM。高出力の機体でスーパーフロッサーを装備しているため単体の飛行が可能。フロッガーと呼ばれる専用武器があり、鞭のように使用するセイバーである。パワーランチャーはウィンゲルバインダーと呼ばれる腕に装着されている盾に内蔵されている。セイバーも装備。全高27.5m、頭長高22.6m、重量不明。ムーバルフレームはMサイズ、エルガイムと。英語表記はA-TAUL。名前の由来はフランスのロックバンド「ATOLL」。主なヘッドライナーはギャブレット・ギャブレーなど。
アトールV・マクトミンビルド
13人衆の1人マフ・マクトミンのカスタムHM。アトールファイブと読む。右腕にオージェのラウンドバインダー、左腕にバッシュのバインダー、背部にアシュラテンプルのサーカスバインダー、手持ち武器にグルーンのロングスピアを装備(武装自体はすべてレプリカ)。バスターランチャーはオプション。ベースがアトールということでファイブと名乗っているらしい。また、マクトミン曰く背部にアモンデュール・スタック(エルガイムMk-II)用のブースターが装備されていたら完璧だったという。
グルーン
A級HMでは最も劇中に登場した。オリジナルのグルーンは過去の戦争でエンパーテンプルに破壊されており現存せず、レプリカが10機程度存在する。近接武器が豊富である。頭部には長い角があり武器もかねている。ロングスピアを標準で装備している。ネイ・モー・ハンの機体は改造機。ロングスピア内蔵のパワーランチャーは弱装タイプで、手から放しても撃つことができる。全高26m、頭長高20.7m、重量不明、セイバー、ランサー、ロングスピア、リバースボマー、チャフ、パワーランチャー装備。バスターランチャーは装備できない。ムーバルフレームはSサイズ。英語表記はG-ROON。名前の由来はKing Crimsonの楽曲。主なヘッドライナーはネイ・モー・ハン(第31話のみ)、リィリィ・ハッシーなど。
サロンズ
13人衆ネイ・モー・ハンのカスタムHMで彼女の本来搭乗していた機体。グルーンを武装強化、外観は機体のカラーリングを変更したくらいだが、その武装の他にチェーン・ハンマーを装備している。ムーバルフレームはSサイズ。OVA「フルメタル・ソルジャー」のみ登場。
アシュラ・テンプル
テンプル・シリーズのA級HM。劇中に登場している機体は、全てオリジナルヘビーメタル「アシュラテンプル」をレストアした機体のさらにレプリカであり、オリジナルのアシュラ・テンプルとはかなり異なっている。出力の高さから、標準で4基のパワーランチャーを扱える。2基のパワーランチャーは背部の副腕が持っている盾・サーカスバインダーに装備され、そのためあらゆる方位への攻撃ができる。初登場時に劇中最初のバスターランチャーを使用し、バスターランチャーの大火力の演出のためか発射後に動作不能に陥った。胸部には高速に高温の鉄球を無数に撃ち出すリバースボマーを装備する。頭長高22m、重量39.7t、セイバー、エネルギーボンバー、リバースボマー、パワーランチャー装備。ランチャー接続口は3。ムーバルフレームはLサイズ。英語表記はASHURA-TEMPLE。名前の由来はドイツのロックバンド「アシュ・ラ・テンペル」。主なヘッドライナーはギャブレット・ギャブレー、バーン・ガニア・キラーズなど。
カルバリー・テンプル
テンプルシリーズの名を冠したA級HM。海賊のアイパッチを模した立体視スコープを持ち、顔部マスクが左右非対称である。胸に折り畳み式のリフレクターを装備し、パワーランチャーをはね返すことができる。腕からはエネルギー・サッシュと呼ばれるエネルギー兵器を装備する。ポセイダルに洗脳を受けたダバ・マイロードの義理の妹であり婚約者だったクワサン・オリビーが搭乗した。クワサンの機体はカッパーイエローを主体としたカラーリングで、ヘルミーネというコードネームで呼ばれていた。この機体のみオリジナルで、他はレプリカのA級である。その他に黒い機体も数機登場している。頭長高23.1m、重量31.1t、セイバー、サッシュ、パワーランチャー装備。バスターランチャーはオプション。ランチャー接続口は3。ムーバルフレームはLサイズ。英語表記はCALVARY-TEMPLE。主なヘッドライナーはクワサン・オリビー、ハッシャ・モッシャ、マーハル・セヌーマ、ハンス・アラハートほか。
オージェ
ポセイダル家に伝わるMHで、プディンオージェと、もう1機の計2機が存在した。劇中に登場した機体はそのレプリカで、A級。MサイズのムーバルフレームにLサイズのジェネレータを搭載する高性能。13人衆ネイ・モー・ハンに貸与され、中盤までエルガイムを圧倒した。最大の特徴は両肩に装備した巨大なラウンドバインダー。自由に稼動し、その先にパワーランチャーを装備する。またバインダー内部に大量のセイバーやスロウランサーなど兵器を格納している(バインダー裏のセイバーを一斉に射出する機能も有しており撤退時など目くらまし代わりに作品内でも使用された)メインのセイバーは腰の装甲に装着している。バインダーをはじめ機体の各所には金が貼られている(バインダーはビーム攻撃を跳ね返すため金の部分は対ビームコーティングのような物である)非常に豪勢な王家のHM、その外見からタバ達反乱軍は「金ピカ」と呼称していた。頭長高20m、重量23.1t、セイバー、ランサー、スロウランサー、パワーランチャー装備。ランチャー接続口は3。ムーバルフレームはMサイズ。英語表記はAUGE。主なヘッドライナーはネイ・モー・ハン。
エルガイムと並び永野護が手を変え品を変え最も数多くリファインを公開している機体である。そのデザインは永野護の漫画ファイブスター物語に登場するMH(モーターヘッド)オージェ・アルスキュル、MM(マシンメサイア)オージェへと繋がっている。
オージ
別名オリジナル・オージェ、上半身はオージェのレプリカ。右肩がブラッドテンプル、下半身はプディン・オージェより流用し作製されたHM。本物のHMゆえA級B級といった区別はない。劇中ではオリジナル・オージェと呼ばれている。オージ、オリジナル・オージは本放送後の後付け設定ネーミング。バイオリレーションシステムによるバイオエネルギーと首都スヴェートの基地施設からエネルギー供給を受けるため出力は圧倒的で、至近距離からのエルガイムMk-IIの最大出力のパワーランチャーすら跳ね除ける。真のポセイダルが搭乗し、Mk-IIの頭部を切り落とすなど無敵の強さを誇っていたが、ポセイダルの影武者だったミアンの裏切りによりバイオリレーションシステムを止められた為、老化を止めていたポセイダルは一気に老弱して果てた。頭長高20m、重量不明、ハンドランチャー、セイバー、スロウランサー、パワーランチャー、バスターランチャー装備。英語表記はAUG。主なヘッドライナーは真のオルドナ・ポセイダル(アマンダラ・カマンダラ)、ミアン・クゥ・ハウ・アッシャー。
ちなみに永野護によれば着せ替えをしているだけで、基本的にはネイ・モー・ハンのオージェと同じ物であり、プディン・オージェとかいろいろ言われていても全部同じオージェだとのこと。デザインは市販のオージェのプラモデルを参考に、より稼動範囲をより大きくするようにデザインしたという。
最終回に登場したこのオージの作画は大森英敏。ダンバイン『ハイパージェリル』回の巨大レプラカーン作画も担当した彼の実力がこのオージでも十二分に発揮されている。ちなみにこのオージのセル彩色には「金色」と「銀色」のカラーが使われている。

[編集] その他

ゼッタ
マシンナリィと呼ばれる簡易機動兵器。マニピュレーターもありパワーランチャーも扱えるが、HMには分類されない。脚部がフロッサーのタイプで、高速装甲車のような運用をされる。ポセイダル軍が改造した軍用ゼッタも登場する。
リスタ
ゼッタと同じくマシンナリィと呼ばれる簡易機動兵器。ペンタゴナでは比較的入手しやすいらしく野盗も使っている。後に宇宙用のスペースリスタも登場した。なお、スペースリスタのみ、B級HMに分類される。
スペース・リスタ
B級HMデルマーグをベースに強化改良された全高11.2mのB級HM。ソーラージェネレーターを利用したプラズマジェットエンジンとスタビライザーにより宇宙空間における運動性は高いが、フロッサーシステムを持たない為、地上では運用不能。マシンナリィのリスタに外型が似ていた為、スペース・リスタの名称が定着した。
アローン(軍用)
ペンタゴナでは最も多く見られるHM。おそらく世界各地でライセンス生産されていると思われる。反乱軍はゴロンゴという名前で独自のアローンを使用している。いかにもやられメカといった風情である。様々なバリエーションが存在する。全高15.2m、重量29.9t、セイバー、レーザーガン、パワーランチャー装備。ムーバルフレームはMサイズ。B級で大量に生産されている。英語表記はALLONE。
民間用アローン
全高15.2m、重量21.1t
ミズン・アローン
全高15.2m、重量30.7t、ミズンで使用されている。両肩にパワーランチャー装備。エンパー・テンプルと同じコンセプトだが、威力は比較にならないほど低い。両腕は細く、三本指のマニピュレーターとなっているのは、肩のパワーランチャーにエネルギーをまわしているため。
スペース・アローン
全高16.2m、重量29.5t。劇中は専ら「S(エス)アローン」と略称されていた。
ガイラム
ミズン星のヤーマン王朝のオリジナルHM。エルガイムの母体となった機体で、A級B級の区別はない。かつてのペンタゴナでの第2次聖戦でポセイダル軍との決戦に備えてヤーマン王朝が改良を行っていた専守防衛に特化したHM。オリジナルHMとしては珍しく量産されている。ペンタゴナ・ワールドでの戦争の決着はHMでの一騎討ちとなる場合が多く、国力で劣るヤーマンであっても劣勢からの挽回が可能であった。無敵を誇ったテンプルナイツのブラッド・テンプルとも互角に戦ったとされる。頭長高22.2m、重量16.1t、パドルスピアー、パワーランチャー装備。ムーバルフレームはMサイズ。英語表記はGAYRAHM。ヤーマン王朝滅亡後、ポセイダル軍に捕獲され、サートスターに動態保存されていた。ヘッドライナーはフル・フラット、スー・アザンなど。そのうちの1機を王朝重臣であったダバ・ハッサーが、ヤーマン王朝王族の生き残りであるカモン(ダバ)・マイロードとともに密かに持ち出し、改良してエルガイムとして活躍することになる。本編での初登場は第42話。
ベアズ
サートスター自警団のアステロイドの運用に特化したHM。足が無いのにマシンナリーではなくB級HMである。尻尾を持つ宇宙空間専用機体。英語表記BEAS。
パードナ
マイロードを親の仇としてつけねらったミヤマ・アスフィーのB級HM。マシンナリィなのだが、戦闘力の高さによりHMに分類される。旧式に見えるが、有線ビーム砲である子パードナを使ってエルガイムと互角の戦いを繰り広げた。英語表記PERDDNER。
ゴンドラ
第50話でポセイダルの影武者、ミアンの記憶に出て来たオリジナル(と思われる)HM。劇中の世界より300年も前のHM。詳細不明。このミアンとポセイダル=アマンダラの登場シーンは、本編中ほぼ唯一の永野護当人の作画シーンであり、非常に美しい。
エンパー・テンプル(正式名称:エンペリアルテンプル)
51話でフル・フラットの持っていた写真の背景に脚部だけ写っていたオリジナルHM。詳細不明。
ブラッド・テンプル
ヤーマン王朝とポセイダル軍との戦争においてポセイダルの主力であったA級HM。フレームはL型。ポセイダルの近衛師団テンプルナイツにのみ与えられたHMで、頭部の形状がヘッドライナーごとに異なる。ペンタゴナ・ワールドで最強、無敵を誇ったが、一部の機体は戦火で失われている。残存しているブラッドテンプル23台は、オージェと共にエイプ内に封印、保存されていると言われるが真偽は不明。オージの右肩の一部が、ブラッドテンプルのものとされている。またエルガイムMk-IIの頭部は、戦火で放棄された同機体の3番機の頭部をミラウー・キャオが発掘して使用したもの。ヤラレメカにしかならないということでデザイナーの永野の愛着により登場させなかった。

※ゲーム『第4次スーパーロボット大戦(第4次Sを含む)』にてファンサービスとしてアマンダラの駆るブラッド・テンプルが登場し、ファンを驚かせた。デザイン的にはファイブスター物語に登場するLEDミラージュに近い物になっている(LEDミラージュはエルガイムのブラッドテンプルの設定を発展させた機体である)。ただし、この事で永野が怒ったという噂もある。

[編集] 補足

デザイナー・永野護による設定では、ヘビーメタルのコントロールのために生み出された人造人間で、有機コンピュータとなる「ファティマ」の存在がある。後の永野自身による漫画『ファイブスター物語』にも登場する。テレビ本編でもエルガイムMK-IIやオージの頭部トランサーバンカーのクリスタル状の窓から人間らしきシルエットがシンボライズドコンピュータとして登場している。後に「エルガイムの世界にファティマは存在しない」という富野由悠季監督による公式見解が示されたが、依然としてファティマの存在を信じているファンも存在する。

実は設定の準備段階で永野は、MARIAという名前の戦闘ロボットを制御する女性ロボットを提案していたが、富野由悠季監督に却下された。ちなみにMARIAは、当時から永野が交際していた現在の妻の芸名(川村万梨阿、万梨阿の命名は富野由悠季)のローマ字表記と一致する。このMARIAは、美しい人間の女性と変わりない顔を持つFSSのファティマと違い、いかにもロボット然とした顔を持つ。これは、技術的には人間と同じ顔を持たせることができたが、この世界の女性からの猛反発があったため、という設定。また、ファティマのような人造人間と違い、あくまで機械の体である。この言わば没設定を元に、永野が「お遊び」として挿入したのが、ファティマの設定である。

1985年版発行のザテレビジョン別冊のアニメムック「重戦機エルガイム2」には、『重戦機エルガイム』本編から時間軸を伸ばしたサイドストーリー、『ファイブスター物語』の星団暦年表とイメージイラストが掲載されていた。その設定によると、この「ファイブスター」はペンタゴナ太陽系の5惑星のことであり、エルガイムに搭載されているファティマはクローソー、エルガイムMK-IIはティータ、ディスティニー・テンプルはラキシスとなっている。また、TV版ポセイダル=アマンダラは、真のポセイダルの影武者であり、真のポセイダルはダバの勝利後ペンタゴナ太陽系を離れたとされている。これらのファティマがファイブスター物語の主要登場人物と重なることからも分かるように、『ファイブスター物語 1985年版』はファイブスター物語の初期設定と考えられる。一部のファンの間では今なお重戦機エルガイム本編と現在のファイブスター物語との混同を招いている。本編でのエルガイム(Mk-I)のファティマは永野護自身が存在を否定しており、永野設定の中でも『重戦機エルガイム』と、『ファイブスター物語 1985年版』の扱いが別となっている。ちなみに上述のアニメムック「重戦機エルガイム」のカバーを外した表紙部分には、装甲が外されたエルガイム(Mk-I)の頭部が永野により描かれており、その額部分には「Clotho」がいる。「2」も同様の趣向となっており、こちらはMk-IIで、額にいるのは「Teeta」となっている。

[編集] スタッフ

[編集] 主題歌

  • OP
    1. 『エルガイム-Time for L-GAIM-』
      (歌:MIO、作詞:売野雅勇、作曲:筒美京平、編曲:松下誠)※第1話~第25話まで
    2. 『風のノー・リプライ』
      (歌:鮎川麻弥、作詞:売野雅勇、作曲:筒美京平、編曲:戸塚修)※第26話~第54話まで
  • 挿入歌
    • 『傷ついたジェラシー』
      (歌:鮎川麻弥、作詞:井荻麟、作曲:筒美京平、編曲:戸塚修)
      ※第24話「アスフィー・ハート」のみ
  • ED
    • 『スターライトシャワー』
      (歌:MIO、作詞:売野雅勇、作曲:筒美京平、編曲:松下誠)※第1話~第54話まで

[編集] 放映リスト

  1. ドリーマーズ
  2. スキャンダル・P(プリャーモ)※ただしナレーション上では”プリャーモ・スキャンダル”と説明
  3. カミング・マン
  4. ザ・コネクション
  5. エスケープ・ラン
  6. シー・ジャック
  7. スクランブル
  8. ヤーマン・クラン
  9. アーミィ・ベース
  10. タイム・リミット
  11. ジェラシー・ゲーム
  12. ディコイ・ディコイ
  13. コンタクト
  14. レディ・ポセイダル
  15. プライド
  16. ブロークン・ハート
  17. ライム・ライト
  18. ガストガル・デモ
  19. ゴー アンド カム
  20. スター・ダスト
  21. ザ・テンション
  22. クワサン・オリビー
  23. ゼネラル・クロソ
  24. アスフィー・ハート
  25. ラブ・アゲイン
  26. サーチII
  27. ミステイク・ラブ
  28. ネイ・クライシス
  29. クロス・ポイント
  30. アワー・マスター
  31. キャッチ・ウォー
  32. フラッシング・ネイ
  33. マイ・アース
  34. レッシィ・マインド
  35. ペリル・ミッション
  36. オールド・ソルジャー
  37. オリビー・クライシス
  38. エスケープ・ギワザ
  39. ザ・オーメン
  40. フル・フラット
  41. スパイ・イン・スパイ
  42. ヤング・パッション
  43. レディ&ガール
  44. ピカレスク・ギワザ
  45. リリス・メモリー
  46. クワサン・ウェイブ
  47. ボーイズ・ボーイズ
  48. ファースト・アタック
  49. レディ・キラー
  50. エキサイト・アム
  51. マイ・ラブ
  52. ファイナル・タイム
  53. ザ・ディクテーター
  54. ドリマーズ・アゲン

[編集] OVA

  • 重戦機エルガイムI ペンタゴナ ウインドゥ+レディ ギャブレー
  • 重戦機エルガイムII フェアウェル マイ ラブリー+ペンタゴナ ドールズ
  • 重戦機エルガイムIII フルメタル・ソルジャー 1987年3月28日発売

[編集] 主題歌

  • 挿入歌「COOL」(作詞:只野菜摘 作曲:池毅 編曲:若草恵 歌:ひろえ純)
  • ED「せいいっぱいの微笑みを」(作詞:森田由実 作曲:瀬井広明 編曲:若草恵 歌:ひろえ純)

[編集] 関連作品

テレビ朝日土曜17時台後半
前番組 重戦機エルガイム 次番組
聖戦士ダンバイン 機動戦士Ζガンダム
他の言語

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