電子国土
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
電子国土(でんしこくど)とは、国土地理院が1999年ごろに提唱した概念であり、現実の国土の電子版(サイバースペース)を指す。 電子国土では、縮尺の概念がなく、複数のデータセットがコンピュータ・ネットワークを通して繋がることを想定している。
国土交通大臣が測量法の規定により定めなければならないとされている、基本測量長期計画の直近の計画である第6次基本測量長期計画(平成16年国土交通省告示第769号)においては、この理念を踏まえ、『行政機関が所有する地理情報を始め、過去から現在及び将来にわたるあらゆる地理情報を、いつでも、どこでも、だれでも容易に共有できる環境を構築することが必要である』と謳っている。
なお、この「電子国土」という言葉自体は、関連する「CYBERJAPAN/サイバージャパン」と併せ、国土地理院によって商標登録(電子国土:第4762045号、CYBERJAPAN/サイバージャパン:第4767455号)がなされている。
目次 |
[編集] 電子国土事務局
電子国土に関する共通の規約/仕様の決定や、電子国土の普及促進のために国土地理院が中心となって設立した組織であり、現時点では国土地理院が運営している。
[編集] 電子国土ポータル
場所・位置に関する様々な情報の提供者と利用者を繋ぎ、当該情報を相互に利用しあう場として、電子国土事務局が2003年7月にインターネット上に開設した“電子国土の入り口”の一つである(URL: http://cyberjapan.jp/ )。
電子国土ポータルでは、誰もが自由に利活用できる場所・位置に関する情報(重ね合わせ情報)を登録・検索できる機能を提供している。
また、現在国土地理院からは、電子国土の理念を具現化するツールの一つとして「電子国土Webシステム」が国土地理院技術資料 (E1-No.311) として提供されているほか、“情報提供者の一機関”として、場所・位置に関する様々な情報発信のために誰もが無償で利活用可能な、全国の2万5千分1地形図に相当する背景地図情報や、電子国土の理念に賛同した地方公共団体等から預かり受けた、都市計画基図(都市計画法(昭和43年法律第100号)第6条に規定する基礎調査を行うに当たって必要となる基図)や砂防基盤図(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第4条第1項に規定する基礎調査を行うに当たって必要となる基図)のディジタルマッピングデータ等を常時配信している。
[編集] 電子国土Webシステム
電子国土の理念を具現化するツールの一つとして、国土地理院から提供されているソフトウェア。Webブラウザのプラグインとしてインストールされる。このソフトウェアは、地図記号発生型・トポロジ暗示型データによる地図情報システム」(特許第3702444号)に基づく技術を用いて構成されている。すなわち、サーバから配信される唯一の地理情報から、クライアント側において異なる地図表現がなされた地図情報を生成できる機能を有している。実際この機能を用いて、触地図の原稿となるべき情報を国土地理院から配信されてきた背景地図情報から自動的に生成するソフトウェア「触地図原稿作成システム」を国土地理院から試験的に提供している。
電子国土Webシステムのもう一つの特徴的な機能として、地理的・ネットワーク的に分散した複数の電子国土サイトから重ね合わせ情報を取得し、クライアント側で動的に当該情報を参照することが可能である点が挙げられる。また重ね合わせ情報は静的に存在している必要はなく、その都度CGIなどで動的に生成したものを参照することも可能である。
電子国土ポータル開設当初は、電子国土Webシステム周辺の関連技術情報の提供は、試験運用という位置付けで行政機関、教育機関、NPO等に限られていたが、2006年6月末には本運用とし、民間企業や個人でも自由に技術情報を参照できるようになった。
[編集] 電子国土サイト
電子国土Webシステムの機能を用いてインターネット上で利活用できるように構築された、場所・位置に関する様々な情報を発信しているウェブサイト。
通常は電子国土サイトの閲覧者がWebブラウザを通じてその場で発信している情報を確認できるように、人間が可読なWebページを付随させることが多いが、情報の発信それ自体はHTTPでアクセスできるURIを明示すれば足りるので、機械可読性のみが措置されたウェブサイト構築も可能であり、そのようなウェブサイトも広義の意味で電子国土サイトと呼ぶことができる。
主な電子国土サイトのリストは、電子国土ポータルの「電子国土サイト一覧」から参照することができる。