CH-47 (航空機)
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CH-47チヌーク(Chinook)は、アメリカのボーイング・バートル社で開発された、タンデムローター式の大型輸送ヘリコプターである。
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[編集] 概要
アメリカ陸軍では、有事の際に空中機動作戦を実施するにあたり、地上からの火力支援のために155mm砲を運搬できる大型ヘリを必要としていた。バートルが1956年に開発を開始し、YHC-1Aを提案したが、エンジン出力などが要求を下回ったために採用を見送られた。そこで、エンジン出力を増強してキャビンを拡大、さらには最大12,700kgの貨物を機体下面のフックに吊り下げて移動することも可能としたYCH-47Aを開発、1961年9月21日に原型機が初飛行し、アメリカ陸軍は1962年にCH-47Aとして採用した。CH-47AはM198 155mm榴弾砲と、砲の運用に必要な兵員と弾薬を丸ごと移動できる能力を持っていた。
1965年からのベトナム戦争で大量に投入され、機体の優秀さを世界に見せつけた。さまざまな改良を受け現在でもアメリカ陸軍、イギリス陸軍、イラン陸軍(革命前に輸出)、オーストラリア陸軍などで使用されている。イギリス空軍ではフォークランド戦争で、アメリカ軍も湾岸戦争で能力を再び発揮した。特に、イラク領内に侵攻した陸軍第18空挺軍団の活動にはCH-47が欠かせないものであった。
日本国内では阪神淡路大震災、中越大地震などの大規模災害の他にスマトラ島大津波の緊急援助で派遣された実績を持つ。
[編集] 派生型
- CH-47A:初期生産型
- CH-47B:後部ローター、エンジン、胴体を改良した、改良型
- CH-47C:エンジン強化型
- CH-47D:C型以前に大幅な改良を施した型
- CH-47F:D型の改良型。液晶コックピットを採用。ローターを改装。最新型。
- MH-47E:D型に特殊作戦用の改造を施したタイプ
- MH-47G:F型に特殊作戦用の改造を施したタイプ
- CH-47J:D型の日本向け仕様
- CH-47JA:J型の燃料タンクを拡大し、航続距離を伸ばしたタイプ。日本国内開発。
- CH-47J LR:CH-47JAの航空自衛隊バージョン。後部脚に油圧による姿勢制御機能を持つ。日本国内開発。
- CH-147:C型のカナダ空軍仕様
- ACH-47A:ベトナム戦争時に提案された、CH-47を武装してガンシップにしたタイプ(運用はしていたが墜落事故が起きたためその後の運用は中止)。ガンシップとしての性能は目を見張ったが、輸送機としてCH-47が一機でも欲しかったためにその後の開発はなかった。愛称(非公認)は「ガンズ・ア・ゴーゴー」。
[編集] 自衛隊
日本ではKV-107IIが長く現役だった為、CH-47の導入は世界より遅く1986年(昭和61)からで、CH-47Dの日本向けCH-47Jを川崎重工業がライセンス生産し、陸上自衛隊と航空自衛隊が輸送機として採用した。航空自衛隊では20機以上が導入され、現在も少数ながら調達を続けている。航空救難団ヘリコプター空輸隊(三沢・入間・春日・那覇)に配備され、主にレーダーサイトへの物資補給に使われている。なお、後期型は機内燃料タンクが大型化された。
陸上自衛隊では1995年(平成7)まで34機を導入し、同年製の35号機からはCH-47JAの調達となった。JA型は大型燃料バルジを搭載して航続距離を1,037kmに伸ばし、GPSと気象レーダーを持つ川崎の改良型で、2005年(平成17)までに18機を導入した。これらは第12旅団、第1混成団、第1ヘリコプター団、西部方面ヘリコプター隊などに配備されている。
- 配備駐屯地 陸上自衛隊
- 霞ヶ浦駐屯地:航空学校 霞ヶ浦分校
- 明野駐屯地:航空学校 教育支援飛行隊
- 木更津駐屯地:第1ヘリコプター団 第1ヘリコプター隊・第2ヘリコプター隊
- 相馬原駐屯地:第12師団 第12ヘリコプター隊 第2飛行隊
- 高遊原分屯地:西部方面航空隊 西部方面ヘリコプター隊
- 那覇駐屯地:第1混成団 第101飛行隊
- 配備基地 航空自衛隊
[編集] スペック
- 乗員:2名 (操縦士、副操縦士)
- 就役: 1963年
- 全長:30.1 m (胴体長15.54m)
- 胴体幅:3.87m
- 全高:5.7 m (18 ft 8 in)
- 回転翼直径:18.3 m (60 ft 0 in)
- 空虚重量:10,185 kg (22,450 lb)
- 満載重量:12,100 kg (26,680 lb)
- 最大離陸重量:22,680 kg (50,000 lb)
- 積載能力:兵員30名、または担架24と衛生兵2名。
- 貨物室:900x230x200cm
- 動力:ライカミング T55-L-714 ターボシャフトエンジン × 2
- 出力:3,750 hp (2,800 kW) × 2
- 最大速度:295 km/h (183 mph)
- 巡航速度:260-270 km/h (165 mph)
- 航続距離:2,060 km (1,280 miles)
- 上昇限度:2,590 m (8,500 ft)
- 上昇率:605 m/min (1,980 ft/min)
[編集] 登場作品
- 戦国自衛隊1549 - 映画版の主人公の回想で、CH-47JAが登場。
- 続・戦国自衛隊
- 宣戦布告
- ガメラ2 レギオン襲来
- ガメラ 大怪獣空中決戦
- ゴジラvsメカゴジラ- 国連Gフォース仕様のCH-47が登場。
- ゴジラ (1984) - 陸自のCH-47Dが登場。
- 機動警察パトレイバー - 初期OVAに登場。又、その後の劇場版(『機動警察パトレイバー 2 the Movie』他)にはCH-47<改>が登場。
- 太陽の黙示録
- 日本沈没(2006)-避難民輸送などで登場。
- メダロット - ロボロボ団が隊員輸送に使用した。