FM音源
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FM音源(エフエムおんげん)は、Frequency Modulation(周波数変調)を応用する音色合成方式を用いた音源で、減算式アナログシンセサイザーにはない複雑な倍音を持った金属的な響きを出す。
ジョン・チョウニング博士を中心としてスタンフォード大学で開発されたものを、ヤマハがライセンスを受け実用化した。
アナログシンセでいうオシレータとアンプEG(Amplitude Envelope Generator; 振幅制御器)を併せ持ったオペレータというブロックを2~6ブロック組み合わせて音色を合成する。このオペレータの組み合わせ方をアルゴリズムという。また、変調するオペレータをモジュレータ、変調されるオペレータをキャリアという。通常はオペレータからサイン波を出すが、TX81Zなどの後期のFM音源の機種やSY99などAFM音源の機種ではサイン波以外の波形を出して、変調可能なものもある。
1983年にヤマハから発売されたシンセサイザーDX7によって、FM音源のサウンドは広く知られるようになり、1980年代のパソコンやアーケードゲーム機、家庭用ゲーム機メガドライブの内蔵音源として大量に使われた。最近では携帯電話の着信メロディ再生用に使用されている。
1989年に発売されたヤマハのシンセサイザーSY77ではAFM音源とアップグレードされ、PCM音源を変調させることも可能となる。その完成形が91年に発売されたSY99と言える。
その後、1998年に登場したFS1Rではフォルマントシンギング音源と呼ばれる人の声をもシミュレートできる音源とハイブリッドとなり、オペレータもDX7の6機から8機と増え、変調させられる幅が広がった。
特にエレクトリックピアノの音色は秀逸で、PCM音源にサンプリングされ今でもよく使用されている。マリンバやオルガンの音などはPCM音源に負けないほどリアルな音が出せるが、アコースティックピアノの音のシミュレートは苦手であり、PCM音源に押されて、一時はシンセサイザー市場から消えかけたが、FM音源独自のベロシティによる音色のダイナミックな変化が見直され、ソフトウェアシンセサイザーのFM7やヤマハのDX200やPLG150-DXなど近年もFM音源の機種が発表されている。 また、近年は携帯機器用音源チップ(MAシリーズ)にも組み込まれ、KDDI(au)やSoftBank等の携帯電話に内蔵されている。
各種コンピュータのエミュレータソフトの流行と共に、PCM音源を使いソフトウェアで波形合成して再生するドライバが有志により開発されている。
[編集] FM音源チップ
- OPL系(2オペレータ)
- YM3526(OPL) 2オペレータ9chまたは6ch + リズム5ch
- Y8950(MSX-AUDIO) 2オペレータ9chまたは6ch + リズム5ch、ADPCM 1ch、MSXの拡張カートリッジで使用
- YM2413(OPLL) 2オペレータ9chまたは6ch + リズム5ch、ROM内蔵音色15種類+独自音色1種類、MSXの拡張カートリッジ(FMPAC)・マスターシステム・MSX2+で使用
- YM3812/FM1312(OPL II) 2オペレータ9chまたは6ch + リズム5ch、Sound Blasterで使用。YM3812はYM3526とハードウェアレベルで互換性があり、そのまま差し替えて使用することが可能。
- YMF262-M(OPL3) 2オペレータ18chまたは2オペレータ12ch + リズム10chまたは4オペレータ12ch + リズム10ch、Sound Blaster Pro2で使用
- YMF278B-F/YMF278B-S (OPL4)
- 2オペレータメロディ18音同時発音、または2オペレータメロディ15音+リズム5音同時発音
- 4オペレータメロディ6音+2オペレータメロディ6音同時発音または4オペレータメロディ6音+2オペレータメロディ3音+リズム5音同時発音
- PCM24音同時発音,最大512音色
- 音声出力データのサンプリング周波数 44.1KHz
- 波形データは8ビット、12ビット、16ビット構成を選択可能
- 各音声出力チャンネルは個別に16段階のパン設定が可能
- 外部メモリはROMまたはSRAMを接続可能、容量32Mビット
- 1Mビット、4Mビット、8Mビット、16Mビット用チップセレクト信号出力可能
- 音声出力6ch、YAC513(DAC)を接続泣こう
- エフェクターYSS225(EP)接続可能
- 80ピンQFP(YMF278B-F)または100ピンQFP(YMF278B-S)
- OPN系(4オペレータ)
- YM2203(OPN) 4オペレータ、3ch + PSG(SSG)3ch / FMの1chは効果音または音声合成モードとして使用可 + ノイズ1ch、PC-8800シリーズ・PC-9800シリーズ・MZ-2500・FM77AVなどで使用。AY-3-8910と同様の機能(音声出力機能だけでなく、8bit×2系統のI/Oポートも実装。レジスタの構造も互換を持たせている)を搭載。
- YM2608(OPNA) 4オペレータ、6chステレオ + リズム6chステレオ + SSG3ch + ADPCM1chステレオ + ノイズ1chステレオ、YM2203上位互換、PC-8800シリーズ・PC-9800シリーズなどで使用
- YMF288 4オペレータ、6chステレオ + リズム6chステレオ + PSG3ch + ノイズ1chステレオ、YM2608下位互換、PC-9821シリーズなどで使用
- YM2610(OPNB) 4オペレータ、4chステレオ + SSG3ch + ADPCM6+1chステレオ + ノイズ1chステレオ、YM2608下位互換、ネオジオで使用
- YM2612(OPN2)/YM3438(OPN2C) 4オペレータ、6chステレオ、YM2608下位互換、メガドライブ・FM TOWNSなどで使用
- OPM系(4オペレータ、OPNに対して音色のパラメータが増えている)
- OPZ系(4オペレータ)
- YM2414(OPZ) 4オペレータ、8chステレオ。ヤマハ製FM音源シンセサイザー「V2」ほか多数で使用。
- (OPZII) 4オペレータ、16chステレオ
- OPX系
- YMF271-F(OPX)
- 2オペレータ(4アルゴリズム),3オペレータ(8アルゴリズム),4オペレータ(16アルゴリズム)のいずれかに設定可能。
- FM演算用に7種類の内蔵プリセットデータまたは外部メモリのPCM波形データを使用可能。
- エフェクターLSI(YSS225)との8chインターフェイス内蔵。
- PCM同時12音。
- 波形データ用にROMまたはRAMを8MBリニアアクセスで接続可能。
- 波形データフォーマットは8ビットまたは12ビットリニア。
- PCMはループ機能とオルタネートループ機能によりデータを節約可能。
- スロット数は48。
- LFO内蔵で各スロット毎に波形、周波数、周波数変調、振幅変調の設定が可能。
- 音声出力サンプリングレートは44.1KHz(マスタークロック16.9344MHz時)。
- 音声出力は4ch出力可能で、各チャンネルごとにパンの設定可能。
- パッケージは128ピンQFP。
- YMF271-F(OPX)
- その他
- YMF292-F (SEGA 315-5687) SCSP(SEGA Custom Sound Processor) Model3、セガサターンおよびその互換機、ST-Vなどで使用。
- SCSPはセガサターンのバージョンにより、複数の型番(タイプ)がある。
- PCM再生データサンプリングレート:DC~44KHz
- PCMデータ:8ビットまたは16ビットリニア
- 32ch FMまたはPCM
- すべてFM 4オペレータで使用した場合、8ch FMサウンド出力
- すべてPCMとして使用する場合は32ch PCMサウンド出力
- 1スロットにつき1LFO割り当て可能、32chのLFO使用可能。
- 32ch エンベロープジェネレータ内蔵
- プリスケーラ内蔵8ビットデジタルタイマー内蔵
- デジタルミキサー内蔵
- ヤマハ製FH-1 DSP内蔵。各種サウンドエフェクト制御
- リバーブ(ホール、ルーム、ボーカル、プレートなど)
- 反響
- エコー/ディレイ(ステレオ、モノラル)
- ピッチシフタ(シングル、ダブル、トリプル)
- コーラス、フランジャー
- 交響曲サラウンド
- ボイスキャンセル、オートパン
- 位相、ひずみ
- フィルター
- パラメトリックイコライザ
- 4MビットDRAM接続可能(サウンドCPU 68EC000用プログラム、PCMサウンドデータ、DSP)
- DMA内蔵。SCSPとDRAM間のデータ転送に使用する。
- メインCPUインターフェイス:セガサターンの場合はSCUとSCSP間のインターフェイス(B-BUS)となる。
- サウンドCPUインターフェイス:68EC000とのインターフェイス。
- 割り込み出力(2ch):メインシステム用およびサウンドCPU用
- 外部割込み信号入力:3ch(サターンでは未使用)
- リセット入力:セガサターンの場合はSMPCから出力されるリセット信号を入力する。
- デジタルサウンド出力
- 外部デジタル入力(1ch)
- MIDIインターフェイス内蔵(入力1ch、出力1ch)
- YMU757(MA-1)
- 2オペレータ?FM4ch
- 4音同時発音
- YMU759(MA-2)
- 4オペレータFM8音(または2オペレータ16音)+4bitADPCM(4k/8khz)1音、ステレオ出力
- 同時発音数(チップ最大性能)16
- YMU762(MA-3)
- 4オペレータFM16音(または2オペレータ32音)+WaveTable音源8音+PCM/ADPCM(4~48kHz)2ストリーム、ステレオ出力
- 同時発音数(チップ最大性能)40
- YMU765(MA-5)
- FM音源部はMA-3と同じ。Wavetable発音数増、フォルマント発声音源(HV)および簡易アナログ音源(AL)を追加。
- 同時発音数(チップ最大性能)64
- YMU786/790/791(MA-7/7D/7i)
- MA-5をベースに、3Dエフェクトプロセッサ・リバーブプロセッサ等を追加。マルチファイル同時再生(4ファイル)およびアプリケーションからのリアルタイムMIDIINコントロールに対応。
- 同時発音数(チップ最大性能)128
- ベースチップYMU786にはアナログ出力ブロック(ミキサー、ヘッドフォンアンプ等)がインテグレートされている。
- YMU790はYMF786よりアナログ出力ブロックを取り除いたもの。
- YMU791はYMF786にADコンバータ、マイク入力、ライン入力、レシーバアンプ等を追加し入出力を集約化したもの。
[編集] 関連項目
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