FM TOWNS
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FM TOWNS(エフエムタウンズ)は富士通が1989年2月に発売を開始した独自アーキテクチャのパーソナルコンピュータである。
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[編集] 概要
FM-7(FM77AV)シリーズのオーディオ・ビジュアル(AV)機能の充実という流れを汲んだ後継機で、当時は珍しかったCD-ROMを搭載し、ビジネス向けのFMR-50シリーズと上位互換性を持っていた。名称はレーザーを発明したノーベル賞受賞者のチャールズ・タウンズ(C.H.Townes)博士から取ったとされていたが、後に当初予定していた"Town"の商標を他の家電メーカが先に登録しために止む無く"s"を付けたと明らかになる。
タウンズ、ウンズ等と略された。FMRシリーズと合わせて、FMR/TOWNSシリーズとも称されることもあった。
FM TOWNSは日本初のCD-ROM標準搭載パソコンである。(パソコン以外ではFM TOWNS以前にPCエンジン・CD-ROM²での採用例があるほか、1987年6月には富士通自身がCD-ROM標準装備のワープロ専用機OASYS 100GX-CDを発売している)
その高機能を生かして「ハイパーメディアパソコン」として展開するなど、さまざまな試みがなされていた。富士通は元々FMRシリーズなどで教育機関において一定のシェアを持っていたこともあり、マルチメディア機能を生かした、教育分野向けのソフトウェアや、ゲームソフトが充実していた。また、廉価版のマーティー(Marty)も発売された。
「FM-TOWNS」とFM-7のようにハイフン入りで表記されることもあるが、正しくはハイフンなしの「FM TOWNS」である。
[編集] FM TOWNS
CD-ROMと3.5インチFDD、電源スイッチ、音量のレベルメーターなどを正面に配した縦型のプラスチック成型の独特の筐体に、インテルの32ビットCPU80386を搭載し、マウスによるGUIと、ゲームパッドによる操作を基本とした。その他にもPCM音源ステレオ8音を標準搭載した。GUIを搭載したTownsOSが専用OSである。内容的にはMS-DOSをDOSエクステンダと呼ばれるモジュールで拡張し386プロテクトモードでの動作を可能にしたもので、各種マルチメディアAPIに対応していた。メモリ使用上の制約はMS-DOSより大幅に改善されたが、セグメントを跨ぐアクセスに関しては問題も多く後述のように論議の的となる。FMRシリーズとはメモリー・マッピングやBIOS等が異なったが、MS-DOSエミュレータで起動する事によりFMR用のアプリケーションやフリーウェアの多くが動作した。
筐体のサイドパネルはスライド式のロックを解除すると容易に外すことができ、メモリ(SIMM)の増設などが簡単に行えた。また、筐体上部にはキャリングハンドルとメモリカード(電池でバックアップされたSRAMディスク)用のICメモリカード(PCカード)スロットを装備していた。(MartyとSNを除くTOWNS/TOWNSII全機種でI/O用カードは使用不可)
他には、専用RGBモニタは主にトリニトロンを使用し、これはソニーのOEMだった。このモニタは複合同期や15/24/31kHzの3モード信号が入るなどの汎用性があり、マニアにも好まれた。
[編集] 他機種ユーザーとの論争
TOWNSが発売されると、モトローラの68000シリーズの搭載を期待していた旧来のFM-7ユーザーや、先行していたX68000のユーザーを中心として賛否両論が沸き起こった。当時のインテルのCPUには8086のセグメントやMS-DOSのイメージがあり、マニアからの評判はあまりよくなかった。また、本体同時発売のゲーム「アフターバーナー」の出来の悪さ(先行して発売されていたX68000版とよく比較された)をはじめとして、キーボードの別売の扱いや、CD-ROMの読み込み速度、スプライトの表示性能、初代機のメインメモリ/VRAMのウエイトの多さ(それぞれ3ウエイト、6ウエイト)、専用のテキストVRAMを持たない、F-BASIC386の使い勝手、などが槍玉に挙げられた。 なお、FM TOWNSに対する批判には、X68000に続く第二の和製Macを期待するユーザーや雑誌媒体による、単なる思い込みやフレーム合戦の類も多々あった事も事実である(当時の読み物的なPC雑誌は、特定機種のマニアや学生ライターの比率が非常に高く、思い込みや思い入れを基準にした、偏った記事が非常に多かった)。 (CD-ROMや80386が採用されたのはアスキーの西和彦氏の影響があったことが後年、Oh!FM TOWNS誌で明らかにされた。)
一方で、優秀なサードパーティーに恵まれたほかソフトコンテストを旺文社と共同で実施し、そのために本体と開発環境など一式を学校法人向けに「貸し出し」という名目で提供したほか、フリーソフトウェアをユーザーから集めてCD-ROMで実費配布する試みなどの営業が功を奏して、若年層やクリエイターを中心に根強いファンをつかむに至った。
[編集] 二代目以降
CD-ROMを取り出す際に停止せずに出てくるなどの欠点は1989年11月の二代目モデルで改良され、初代モデルでもメーカーによるBIOS ROMの交換サービスによりCD-ROMの速度が改良された。その一方では1990年10月の三代目10F/20Fシリーズで落ち着くまで本体の拡張スロットの構成を毎回変更するなどの不安要素もあった。メモリウエイトはI/Oの隠し操作で少なくできるようになっていた。TownsOSやF-BASIC386なども本体が発売されるたびに少しずつ改良された。(論争で最大の的となった「アフターバーナー」は後に、別物となった続編や、他ソフトと組み合わせた廉価版のパッケージが発売されたが、オリジナルの改良は最後までされなかった。)
[編集] FM TOWNS II
1991年11月、FM TOWNS IIと名称を変更。従来型筐体のCXではメモリウエイトの従来互換/高速モード(メインメモリのウエイトなし)のソフトによる切り替えがついた。また、トリニトロンモニタ一体型のモデル、UX(386SX-16MHz)を発売した。UXではソフトからの電源制御は削除され、CD-ROMドライブはフロントローディングタイプに変更した。メモリはノーウエイトで、速度的にはCXの互換モードとほぼ同じだった。(これはMartyへの布石にもなった。)
[編集] 486・横置き型化
1992年秋のHR(486SX-20MHz)/HG(386DXのカタログモデル)ではビデオデッキのような横置き筐体になり、CD-ROMはディスクはめこみ式のフロントローディングタイプに変更され、3.5インチ対応のドライブベイはMOなども使えるよう前面に配置され、フロッピーディスクドライブは1.44MBにも対応した。メンテナンスの容易なプラスチック成型の筐体構造は踏襲され、487SXやODPも専用カードで載せられるようになっていた。UX同様のモニタ一体型のUR(486SX)も1993年2月に発売された(URはODPには対応していない)。
[編集] 白TOWNS
1993年秋のMA(486SX-33MHz)/MX(486DX2-66MHz)/ME、1994年春のFM TOWNS発売5周年記念モデルMF/FreshではPC/AT互換機のモニタの流用を意識してHRの本体色を灰色から白に変更し、特に廉価版のME/MF/Freshシリーズでは15KHzのRGB出力を31kHzにコンバートするようになった(MX/MAでは隠しモード)ほか、コストダウンのために筐体が金属製となった。この通称白TOWNSと呼ばれる世代ではオーディオ周りのアナログ回路設計が見直され、音質が向上した(音の抜けは良くなったが、ノイズも同時に増え音色が全体的に硬質化したため、灰TOWNSで調整された従来のデータではバランスが崩れた)。CD-ROMドライブは倍速タイプになった。またRS-232Cには38400bps以上での取りこぼしをなくすFIFOがついた(OSレベルでは非対応)。チューナーカードのリモコン受信口は塞がれた。MX/MAではWSS相当の新PCMや1024×768のハイレゾ表示モードがつき、マイクロソフトから「MPC 2.0」の認定を受けている。
この頃からPC/AT互換機の流行を受けて、FMVの販売が開始されている。
1994年12月の486DX2機のHAとPentium搭載のHB、1995年2月のHCでもMA/MXの拡張仕様が受け継がれた。Hシリーズでは筐体が金属製となり、もう一つのHDD専用ドライブベイと、ステレオのスピーカーが用意された。
[編集] ノート機
TOWNSが発売された当時の液晶ディスプレイでは、FM TOWNSのアーキテクチャ全てを満たすことは不可能で、TOWNSは全期間を通じて、ノート・ラップトップ形態の本体は1機種しかない。
これはMacintoshにPowerBookが存在し、また新規ユーザをめぐっては少なからずPC-9800シリーズやその互換機であるEPSON PCシリーズとも対抗しなければならなかったFM TOWNSにとっては、マーケティング上の大きなハンデとなった。
1992年以降、富士通はWindows3.1を前提とした、TOWNSとも互換性を有し、ユーザーターゲットをTOWNSとラップさせたカラーノートパソコンをラインアップした。これらは前述の理由からTOWNSのアーキテクチャ全ては満たさず、その為「FMR50シリーズ」を名乗った。
1995年、唯一のノートパソコンモデルとして「FM TOWNSII model SN」が発売された。パソコンの爆発的な普及とそれに伴うシェア争奪戦激化により、ノートパソコン用カラー液晶ディスプレイの性能が飛躍的に向上し、また価格も大きく下がった為である。バッテリは搭載していない。この機種は教育市場向けモデルのため一般にはほとんど出回っていない。尚、SNではUXと同様、ソフトからの電源制御機能は削除されている。
[編集] FMV-TOWNS
1995年冬にはWindows95発売の影響でPC/AT互換機であるFMVのPCIスロットに専用拡張ボードを搭載したFMV-TOWNSという形態に変わった。動作モードを前面のスイッチで切りかえ、TOWNSモードはエミュレーションの形態で動作する。
AT互換機の汎用性を併せ持った反面、独自性が薄れることにもつながった。富士通専門誌「Oh!FM TOWNS」も、1996年2月号をもって休刊。代わって「FMVファミリー」が創刊され、2000年に休刊するまで刊行されたが、文面でのFM TOWNSの扱いは、あったとしても僅かなコーナーに限られた。このためTOWNSユーザーは情報源をニフティサーブのFTOWNSフォーラム・草の根BBSといったパソコン通信や、同じ1996年にFTOWNSを中心とした有志によって創刊された同人誌「Another TOWNS」に頼ることとなった。またユーザーはPC/AT互換機以外に、一部はMacintoshにも流れていった。
当初Fresh相当だった拡張ボードの機能は、モデルを追うごとにMシリーズ相当に近づいていくなどしたが、1997年夏のFMV-TOWNS モデルH20を最後に、TOWNSシリーズは終了した。
なお、PCIバス以外にも数本の信号線が必要で、拡張ボードだけを外して普通のPC/AT互換機に搭載しても、うまく動かない。チップセット構成がV-TOWNSと同様か、特定の機能を持ったチップセットを搭載したマザーボードであれば、マザーボード上に一部改造を施す事で動作可能。その手法で作られたAthlon搭載のV-TOWNSが存在する。
[編集] その他
IBMのOptions(純正オプション)としてPS/V VisionなどのPC/AT互換機で動作するISA用のTownsカード(本体から独立した386CPU+メモリ+グラフィックチップ)が1993年12月末に発売されており、CD-ROMドライブを準備するとTOWNSソフトを動作させることができた。
[編集] 販売・広告戦略
当時の16ビットパソコンでは、NECのPC-9800シリーズがパーソナル、ビジネス市場ともにほぼ独占状態のシェアを占めており、この状態を打破するのは困難だった。富士通は16ビットパーソナル機を持っておらず、ビジネス市場に特化していたFMRの販売では苦戦していた。
8ビットパソコンではFM77AVシリーズのマルチメディア機能と低価格が支持されていた。TOWNSはこの流れを汲み、強化したマルチメディア機能と32ビットCPUの処理能力という新機軸を武器に、パーソナル市場でのPC-9800のシェアを切り崩すことを目的に企画された。FM77AVの購買層の移行と取り込みを眼中に置き、TOWNSの発売とともにFM77AVはFM77AV40SXを最後に販売が打ち切られた。FM77AVのシステム価格帯は20万円台だったが、発表時の廉価モデルのシステム価格は40万円を越え、TOWNSの販売にFM77AV購買層を取り込んだ垂直立ち上げとシェアの確保は実現できなかった。
発売にあたっては広告戦略やイメージ戦略を重視し意図的に先行情報を流したため、NHKで『富士通が戦略的32ビットパソコンを開発中』と異例のニュースが報じられたり、週刊文春で『NECへの挑戦する富士通』との主旨の記事が掲載されたこともあり、消費者やマスコミの期待は発売前から高まった。発売後は東京ドームを貸切った当時は類を見ない大規模なイベント「電脳遊園地」が開催され話題となる。
イメージキャラクターは、南野陽子、宮沢りえ、観月ありさなど人気女性アイドルが代々起用されたことによりポスターやノベルティ類も好評で、商品名の浸透と拡販に貢献した。後期にはタッチおじさんとなった。コマーシャルの楽曲として、ストラヴィンスキーの『春の祭典』やデビュー間もないB'zの『BAD COMMUNICATION』が使用されたことも当時としては斬新で注目を集めた。
[編集] PC-9800シリーズへの影響
TOWNSはNEC PC-9800シリーズと商品コンセプトやマーケティング的にメインターゲットとするユーザ層が異なるため、PC-9800のシェアへの影響は少なく、両機のユーザ間で比較・ライバル視することは顕著ではなかった。
TOWNSはFMR用ソフトやハード資産との高い互換率を持たせ、人気実用ソフトの移植も積極的に推進する戦略をとったため、FMRの廉価版的位置付けでビジネス市場でも販売された。PC-9800の独占状態を大きく脅かすものではなかったが、マルチメディア関連や教育関連市場などではTOWNSの機能を活かして健闘し、NECの牙城を切り崩した。
NECは1991年に高度なグラフィックス能力を持ち、ハードディスクドライブやCD-ROMドライブを内蔵した「PC-98GS」を発売した。TOWNSが方向性を示したマルチメディアPC路線に追随するもので、価格は約70万円。廉価モデルとほぼ同価格で提供されていたTOWNSと市場的に対抗する商品ではなかったが、その後同社は低価格の「PC-9821シリーズ」を投入する。
[編集] 仕様
[編集] CPU
初代モデルからIntel 80386が搭載されていた。純正のオプションとして、FPUの80387も提供されていた。初代機はFPUをサブボードにさしこむ形態のためCPUがソケットになっているが他はPentium機とHA以外はマザーボード上にFPUソケットやODPスロットがあるため、CPUにソケットを使用していない。ただし2代目(1F/H,2F/H)は例外的にソケット仕様である。なお386/486機は、Intel以外の相当品の場合もある。
- 80386SX(16MHz) : UX,(Marty,MartyII,カーマーティー)
- 80386DX(16MHz) : 初代~CX
- 80386DX(20MHz) : HG,UG
- 80486SX(20MHz) : HR,UR
- 80486SX(25MHz) : ME
- 80486SX(33MHz) : MA,MF,Fresh,FreshTV,Fresh-T,EA
- 80486DX2(66MHz) : MX,Fresh-E,Fresh-ES,Fresh-ET,HA
- 486DX4(100MHz) : Fresh-FS,Fresh-FT
- Pentium(Socket4/60MHz) : HB
- Pentium(Socket5/90MHz) : HC
CPUの交換については、
- 初代機~CXの80386DX機でCPUをサイリックスなどの内部486・ピン386互換のものに交換しても動作にはBIOSへのパッチ当てが必要となる。なお3代目以降の機種についてはCPU直付仕様のため、交換には高度なハンダコテ技術を要した。
- UX/UG(一部)ではアセットコアのVIPERシリーズ(既存の386SX/DXの上からはめ込む形のアクセラレータ)に使用可能なものがある。
- 横置き型の486機はODPスロットへのカード挿入によりCPUをAm5x86-133MHzなどに拡張可能(サイリックスのものは不安定になり、Pentium ODPはCPUクーラーを外す必要があり実装困難)。
- HシリーズはCPUボード自体を交換可能な設計になっている(HA用にHB相当のPentiumカードをオプションで用意)。またHAはCPUソケットを使用している。
- Pentium機はCPU交換が可能で、市販のソケット変換アダプタも使用可能なものがある。
- 余談だが、初代機にFPUを取り付ける際には、神社で「お払い」を受けなければならないと言われる程、難しい(CPUが静電気などで壊れる)物であった。
[編集] グラフィック
[編集] 画面モード
(BIOSでサポートしている主なモード)
- 640ドット×480ライン / 768ドット×512ライン (1677万色中256色)
- 512ドット×480ライン / 512ドット×512ライン (32768色)
- 640ドット×480ライン / 768ドット×512ライン (4096色中16色 × 2画面) (※1)(※2)
- 320ドット×240ライン / 384ドット×256ライン (32768色 × 2画面) (※1)(※2)
- 640ドット×480ライン / 768ドット×512ライン (1677万色) (※3)
- 1024ドット×768ライン (256色) (※3)
- 1024ドット×768ライン (16色 × 2画面) (※1)(※3)
(※1) スクロール付きの独立した2画面を合成表示して使用可能。1画面をスプライト画面にすることも可能
(※2) 16色モードと32768色モードを1画面ずつ使うことも可能
(※3) 後期に発売されたMシリーズ・Hシリーズの高解像度・フルカラー対応モデルのみ
CRTCでは、2画面別々に、整数倍単位でのドットの拡大と、アスペクト比の切りかえの設定ができる。このためCRTCを直接操作すると、BIOSで設定できる、上記以外の画面モードを、ある程度自由に作ることができた。縦解像度を400/200ラインにすることも出来た。走査線(ラスタ)検出機能はあるが、これを割り込み要因とすることはできない、などの理由により、ハード的なラスタースクロールは出来ないとされていた。
VRAMはデュアルポートRAMとなっていて、メモリ空間とI/O空間それぞれに割り付けられ、同時にアクセスすることができる。容量は512KB(フルカラー対応機では1MB)。
また、16色モード時はFMR-50互換のRGBプレーンごとにVRAMにアクセスするモードがあった。FMR-50にあるテキストVRAMはなく、MS-DOSなどではグラフィック面にエミュレーションしてテキストを表示した。
[編集] スプライト
俗に「フレームバッファ方式」と呼ばれる、セガのアーケードゲームの大型筐体でも使われていたのと同様の方法で実装されていた。このため、MSXやX68000、ファミコンと違い、横方向への枚数制限がない。デビュー当時は、この方法について色々な議論があったが(「擬似スプライト」と呼ばれることもあった)、その後は家庭用ゲーム機でも(ポリゴン処理を拡張したうえで)主流になった。
- 解像度 : 256ドット×256ライン固定 (アスペクト比を横長にすることも可能)
- サイズ : 16ドット×16ライン/パターン
- 色 : 32768色 もしくは 32768色中16色 (カラーパレット数256個)
- グラフィック面が256色モードの場合はスプライトは使用できない
- 定義数 : 256パターン(32768色の場合) もしくは 1024パターン(32768色中16色の場合)
- 表示数 : 1024パターン (最大)
- 1/60秒(1フレーム)内に表示できるのは386機と互換モードでは200パターン程度(画面の80%相当を埋められる枚数)で、それ以上にすると、表示の更新自体がさらに1フレーム遅くなる。このため、スプライトをふんだんに使って擬似3D表示や多重スクロールをさせた一部のソフトでは、フレームスキップ(処理落ち)が発生していた。
- V-TOWNSではI/O操作で、この制限を650パターン程度にすることが可能。
- パターンRAM : 128KB
[編集] オーディオ
- FM音源 YM2612(またはCMOS版のYM3438) ステレオ6チャンネル
- 白TOWNSはYMF276-M(仕様は同じ)
- PCM音源 RF5C68 ステレオ8チャンネル、8ビット、周波数・音階可変 (波形メモリ 64KB)
- PCM音源 ステレオ48KHz 1チャンネル 、16ビット(WSSに相当/後期に発売されたモデルのみ。DMAで再生するため専用のメモリはない)
[編集] マウス・ジョイパッド・キーボード
ATARI仕様のポートが2つついている。ジョイパッドを2つ使う場合はマウスを外す。
マウスはFM77AVのものと同仕様で、MSXのものと互換性がある。添付されるマウスは本体と同色で、デザインは丸型(初代)、角型(1F/2F)、卵型(10F/20F~)と、毎年のように変更された。Hシリーズ以降に付属の最終版は、初期のFMV付属のものと同様の形状で、旧バージョンのOSを高速モードで動作させたときのマウスカーソルの挙動が改善されている。またペンタブレット(ワコムのOEM)もオプションで用意された。
FMR仕様のマウスポートがついているキーボードもあるが、対応ソフトは限られる。
ジョイパッドはATARI仕様に準拠しているが、上下・左右の入力を同時ONにすることで実装したTOWNS独自の「RUN」「SELECT」がついている他、ポートの一部の出力が可変などの違いがあり、初期のゲームタイトルでは他機種向けのパッドが動作しないものもある。灰色のTOWNS/TOWNS IIシリーズと白のTOWNS IIシリーズのものではデザインが違い、灰色の方はボタンが固い・斜めに入れにくいなどの問題があったが、白の方は問題が解決されてはるかに使いやすくなっている。他にも対戦格闘ゲーム向けに6ボタンパッドが発売された。Marty向けのパッドは白のTOWNS IIシリーズのものに似ているが、ZOOMボタンが追加されていて、画面をハードで拡大表示するモードのために使われた。
キーボードはJIS配列・親指シフト配列が用意され、2キーロールオーバーのものとnキーロールオーバーのもの、テンキーのあるものとないものが用意された。白TOWNSからはデザインが変更された。Marty向けのキーボード(106キーボード形状)もあり、TOWNSシリーズでも使用できた。
[編集] 拡張性、オプションなど
[編集] 拡張スロット
背面の拡張スロットは、初代ではSCSIカード・モデムカード・ビデオカード、2代目はモデムカード・MIDIカード・ビデオカードのそれぞれ専用の3スロット構成だった。SCSIは2代目から内蔵された(フルピッチ、SCSI-1相当)。初代機には、FMRシリーズと同じ信号(カードサイズは大きい)の汎用拡張スロット増設ボックス用のコネクタが、本体カバーの中にあった。
3代目からはその汎用拡張スロット2基(HR/MA/MXなどでは3基)と、ビデオカード/チュナーカード専用スロット1基という構成になった。モデム・MIDIカードは汎用スロットに接続するタイプが用意された。
Hシリーズではグラフィックアクセラレータ専用のスロットも用意された。
[編集] 拡張カード
初代から用意されたビデオカードはTOWNS最大の特徴と言われ、ビデオ入力端子(またはS端子)から動画の取り込みが行えた。MIDIカードは後にGS互換音源を搭載したものもあった。LANカードも存在した。Windowsで使用可能なグラフィックアクセラレータもある。
[編集] コネクタ
初代機からモニタ(D-Sub15pin)、RS-232C (D-Sub25pin)、プリンタ、増設フロッピィディスクのコネクタがあった。
[編集] TownsOS
基本ソフトウェアには32ビットシングルタスクオペレーティングシステムであるTownsOSを採用し、(発売当時はほとんど利用されていなかった)386の32ビットモードで動作した。TownsOSには大きく分けて初代からのV1.1、TOWNS IIから付属したV2.1のバージョンがあった。V1.1にはL10~L30、V2.1にはL10~L50、L51のマイナーバージョン(Lはレベル)があり、毎年のようにアップデートされていた(旧バージョンからの更新は期間限定の特別価格で可能)。
TownsOSの基本構造は、ROM化して本体に内蔵されたMS-DOS 3.1(とCD-ROMドライバMSCDEX.EXE)、および32ビットプロテクトモードでアプリケーションを起動させる「386|DOS-Extender」(RUN386.EXE)を組み合わせたものだった。また、BIOSや各種デバイスドライバに相当する「TBIOS」により、グラフィック系機能、サウンド機能、CD-ROMアクセス/CD音再生機能、マウス/ジョイスティックなどFM TOWNSのハードウェアまわりの機能が利用できた(32ビット実行ファイルの拡張子は.EXP。よく誤解されるが、.EXPはFM TOWNS独自のファイル形式ではない。386|DOS-Extender自体米PharLap Software社が開発したもので、元々はPC/AT互換機用である。)。また、ゲームソフトの組み込み用として、TBIOSの下位互換の「VINGBIOS」(ビングが開発。TBIOSを自社のゲーム向けに最適化・高速化したもの)などがあった。
なおROMで内蔵のMS-DOSには画面を表示する機能がなく、コマンドプロンプトなどを使用するにはDISK版のMS-DOSを購入するか、TownsOSやF-BASIC386などに付属するコンソール表示ソフト、もしくはフリーソフトを使用する必要があった。
TownsOSにはTownsMENUと呼ばれるファイラとランチャを兼ね備えたメニューアプリケーションが搭載され、ここからアプリケーションの起動やシステムの設定などの多くの操作を行うことができた。TownsMENUから本体の電源を自動的に切断することも可能。当初のV1.1ではドライブごとに分かれたタブ型のメニューだったが、V2.1ではマルチウィンドウタイプに大きく変更され、またL30からはTownsSHELLによりノンプリエンプティブなマルチタスクにも対応した(マルチタスクアプリの拡張子は.EXG)。
TownsOSは一部の機能(システムの設定など)を省いたサブセット版が、アプリケーションなどのCD-ROMに組み込まれていることが多かった。この場合、CD-ROMから直接TownsOSの起動ができるため、フロッピーディスクやハードディスクなしでアプリケーションの利用が可能だった(なお、一部のMacintoshもCD-ROMから直接起動が可能である)。
TownsOS V2.1のL40以降では、HDDにインストールしたMS-DOS 6.2(別売)をTownsOSのベースとすることが可能になった。これにより、圧縮ドライブなどの機能も利用できるようになった。
TownsMENUやアプリケーションなどの操作環境の多くはGUIだった。初期の段階では、アプリケーションごとのGUI仕様は統一されておらず開発者任せであったが、後に標準的なGUIの仕様ができ、純正のGUIライブラリも発売された。
[編集] TOWNSシステムソフトウェア
TownsOSと、管理ユーティリティ、アプリケーションなどからなる基本的なセットは、TOWNSシステムソフトウェアという形態で販売または本体に添付されていた。ほぼすべてのユーティリティやアプリケーションは統一されたGUIで構成されており、マウスを使ったわかりやすい操作を行うことが可能。日本語入力にはOAK(オアシスかな漢字変換システム)というFEPが付属した。
付属しているアプリケーションは、TOWNSシステムソフトウェアのバージョンによって異なった。
[編集] 主な添付ユーティリティ
- ディスクの初期化・複写・名前変更
- フロッピーディスクのヘッドクリーニング
- ハードディスクのバックアップ
- ハードディスクの区画設定
- ディスクの表面検査
[編集] 主な添付アプリケーション
- TownsGEAR - 画面(ページと呼ぶ)にボタンやテキスト、ピクチャなどの部品を配置していくだけの簡単な操作で、様々な用途に利用することができるオーサリングツール。古いMacintoshに標準搭載されていたHyperCardによく似ている。GearBASICというプログラミング言語を搭載しており、これを用いて複雑な動作をさせることも可能。
- テキスト編集 - テキストエディタ。複数ファイルの編集や、操作キーの変更などの詳細なカスタマイズに対応している。
- TownsSTAFF - EPWING形式のCD-ROM辞書の検索、テキストファイル・イメージファイル・オンラインマニュアルの印刷、予定表、電卓のツールで構成されている。
- アイコン編集 - TownsMENUで使用するアイコンの作成・編集ができる。
- フォント編集 - フォントや外字の作成・編集ができる。
- スプライト編集 - F-BASIC386で使用するスプライトパターンの作成ができる。
- Macデータコンバータ - Machintoshのテキストファイル・画像ファイル・音声ファイルの形式を、FM TOWNSで標準的に使われている形式に変換できる。また、Machintoshフォーマットのフロッピーディスクを読めるようになる設定もできる。
- ファイル比較 - テキストファイル・バイナリファイルの内容を比較し、相違点の表示ができる。
- ファイルダンプ - バイナリファイルの内容表示・編集ができる。
- プリントスプーラ - プリンタ印刷のジョブを溜め込んで、順番に処理させることができる。
[編集] 各種OS
TownsOSやMS-DOSのほかに、FM TOWNS専用のWindows 3.0/3.1も発売されていた。CPUに486やPentiumを搭載した白色のモデルでは、TownsOSのほかにWindows 3.1もプリインストールしたモデルも登場した。
Linuxの日本語環境への移植もいちはやく行われている。
店頭販売はされず、通信販売のみでの発売だったが486以上の白TOWNS II用(HRでも動作は一応可能)にWindows 95(OSR1相当)の移植もされた。但し「Microsoft Plus! for Windows 95」は販売されなかった。
[編集] 機種
- 1989年2月28日 - FM TOWNS 1/2/1S/2S 発表
- 1989年11月7日 - FM TOWNS 1F/2F/1H/2H
- 1990年10月30日 - FM TOWNS 10F/20F/40H/80H
- 1991年11月5日 - FM TOWNSII CX/UX(CRT一体型386SX TOWNS)
- 1992年2月 - FM TOWNSII UX40
- 1992年11月4日 - FM TOWNSII HR/HG/UG(486 横型TOWNS)
- 1993年2月15日 - FM TOWNSII UR(486 一体型TOWNS)
- 1993年2月16日 - FM TOWNS マーティー
- 1993年11月9日 - FM TOWNSII MX/MA/ME(ハイレゾ対応/白TOWNS)
- 1994年2月14日 - FM TOWNSII MF、Fresh(ソフト/CRTセット)
- 1994年4月 - カーマーティー
- 1994年6月18日 - FM TOWNSII Fresh・TV(TVチューナー搭載)
- 1994年10月30日 - FM TOWNSII EA、Fresh-E/T
- 1994年11月 - カーマーティーII
- 1994年12月 - FM TOWNSII HA/HB(Pentium搭載)
- 1995年2月8日 - FM TOWNSII HC/Fresh-ES/ET
- 1995年夏 - FM TOWNSII Fresh-FS/FT
- 1995年冬 - FMV-TOWNS モデルH、Fresh-GS/GT
- 1996年夏 - FMV-TOWNS モデルH2、Fresh-GE/GM
- 1997年夏 - FMV-TOWNS モデルH20
この他、一般向けモデルをベースにした(一部を除く)、教育市場向けのモデルが存在した。基本的にはシステム販売のみの取り扱いであったが、ごく一部が一般市場に流通した。
[編集] 歴代イメージキャラクター
[編集] 累計出荷台数の推移
- 1989年3月末 - 1.2万台
- 1989年6月末 - 2.1万台
- 1989年12月末 - 5万台突破
- 1990年12月末 - 11万台突破
- 1992年4月 - 21万台突破
- 1992年12月末 - 28万台
- 1993年11月 - 35万台
- 1995年 - 50万台突破
[編集] マスコット
- パピー(犬)
- FM TOWNSの起動画面や、富士通Habitatのコマンドパネル等に表示された。「Tom Snyder's Puppy Love」(パピー・ラブ)という犬の調教ゲームのキャラクターでもある。
[編集] 開発環境
- F-BASIC386インタプリタ/コンパイラ
- High C386
- 386ASM
- GNU C Compiler
[編集] 実用ソフトなど
- EUPHONY - 内蔵音源・MIDIに対応したサウンドツールで、TOWNS標準のEUP形式を作成する。
- HEat - Oh!FMTOWNS誌で公開された、テキストエディタ兼EUP作成ソフト。TaroPYON(現・taro)が開発したフリーソフトウェア(=フリーウェア)。
- HEwin - HEatの後継にあたるマルチウィンドウ対応のソフト。
- EASTRAY(エストレイ) - レイトレーシング画像作成ツール。EASTが開発したフリーソフトウェア。Oh!FM1990年9月号初出。
- MopTerm(モップターム) - TownsOS上で動作するフリーソフトウェアの通信ソフト。「猫の手スクロール」を特徴とする。モップが開発したフリーソフトウェア。
- Super Shooting Towns(スーパーシューティングタウンズ) - アモルフォスが発売した縦横2Dシューティングゲームのコンストラクションツールで、前作「シューティングタウンズ」の全面改良版。略称はSST。スプライトを多用して、背景を4重スクロールまで作成できた。TOWNS IIの高速モードには対応しない。
- Hyper Planet(ハイパープラネット) - ダットジャパンの発売した天体観測シミュレーター。
- EIN(TM)プロジェクト(アインプロジェクト) - 晩年に起こった、Towns Shell用の自作EXG形式アプリケーションを独自に標準化するプロジェクト。富士通内部の有志から始まったと言われている。EIN(TM)とは再帰的頭字語による命名であり、Ein Is Not Towns Menuの略である。
- TEO -もうひとつの地球- - 仮想生物フィンフィンと対話するソフト。Windows用も発売された。
- フリーソフトウェアコレクション(フリコレ、FSWC) - TOWNSで動作するフリーソフトウェアをまとめて実費配布したオムニバスCD-ROM。No.11まで作られ、その他フリコレMARTYとフリコレSSSがある。No.1~3は「フリーウェアコレクション」(FWC)だったがNo.4以降名称変更された(名称変更の理由は「フリーウェア」が商標登録されたためと言われている)。No.1は市販されず、富士通のアンケートに答えた人とEYE-COMの読者プレゼントで配布された。フリコレSSSは秀和システム発行の書籍「FMTOWNSフリーソフトウェア入門キット」に添付されたCD-ROM。
- High C Compiler - MetaWare社のCコンパイラに、FM TOWNS固有のAPIライブラリを組み合わせた純正開発環境。実質上、コマンドライン環境が必須。x86汎用の16ビット版とRUN386必須の32ビット版のコンパイラが同梱されている。GUIキットやアセンブラ環境は含まれない(従って、自前のライブラリなどは作れない)。
- ASM/Toolkit386 - 純正のアセンブラ環境。実質上、High-Cとの併用を前提としていながら定価8万円(税抜)と非常に高価であり、この価格設定がFM TOWNSのフリーソフトの発展をスポイルしたと言う者は多い。
- Linux
- やみなべDX - TOWNSユーザ有志の手によって企画されたFMTOWNS専用のディスクマガジン。創刊号は3.5inchFD2枚で、ソフトベンダーTAKERUや横浜国際展示場(パシフィコ横浜)で開催されたパソコン通信関係のイベント「Networkers Japan'96 おふらいんまつり」に出展したニフティサーブのユーザーズフォーラムFTOWNS(当時の正式名称は、FMTOWNSマルチメディアフォーラム)ブースで販売。創刊号に続く「やみなべDX廃刊~愛は止まらない~号」は、フリコレの制作がNo.11で打ち切られた後のユーザ主導のフリコレ的な作品集として、「全員参加」を目標にFTOWNS(当時の正式名称は、FMTOWNSフォーラム)などで収録作品を募集し、CD-ROMの形で制作された。商品は、「Networkers Japan'97 おふらいんまつり」FTOWNSブースで予約受付されたほか、一部のFMTOWNS取扱店への持込や個別対応の形で販売された(現在も、個別対応は可能とのこと)。フリコレ同様、実用ツールや本格的ゲームが豊富に収録されているとはいえ、全身黒タイツ姿の「ひとし君」をメインキャラクタに設定しており、フリコレとは異なる雰囲気を持つものとなっている。収録作品のほとんどは、Windows用TOWNSエミュレータ「うんづ」でも動作する。
[編集] ソフトメーカー
- CSK総合研究所→現CRI・ミドルウェア
- データウエスト - DAPS
- 電脳商会
- ビング
[編集] 関連項目
- FM TOWNS マーティー
- Oh!FM(→1991年10月号よりOh!FMTOWNS)
- Category:FM TOWNS用ゲームソフト
- 電光超人グリッドマン(劇中にFM TOWNSが登場)
- 矢野健太郎 (漫画家)(Oh!FMTOWNSに記事を連載)
[編集] 外部リンク
- FM TOWNS/MARTYエミュレータ うんづ
- うんづ
- FM TOWNS ROOM
- FM TOWNS WORLD ※ @niftyのFMTOWNSフォーラム(FTOWNS)の後継HP
- TOWNS辞典
- うんず&窓の林アーカイヴ
- TOWNS
- 似非うんずぺーじ
- うんずのお部屋
- FM TOWNS用ソフトウェア(ほしけんのWEB頁)
- FMTOWNS 研究所
- TOWNS DATA倶楽部
- うに
- T.Shimojoのホームページ
- 中古の楽園 FM TOWNS 年表
- FM TOWNS II SJ
- うんず君に鞭を入れたコ~ナ~
- RUMSTORM OFFICIAL HOMEPAGE
- 富士通よ「親指シフト」戦略を再構築せよ