JR貨物コキ200形貨車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コキ200形(こき200がた)とは、日本貨物鉄道(JR貨物)が各種海上コンテナ輸送用として2000年(平成12年)度から製作する貨車(コンテナ車)である。なお、同形車として鹿島臨海鉄道が所有する私鉄貨車コキ2000形についてもここで解説する。
目次 |
[編集] 概要
濃硫酸・カセイソーダ液などの化成品関連品目は、それぞれ専用のタンク車によって輸送されてきた。車両の構造上最高速度が75km/hにとどまり列車の速度向上に支障があること、車両自体の経年も取替えを検討する時期に達したものが増加したことから、JR貨物はこれらの貨車を順次ISO規格20フィート(20ft)コンテナで置き換える方式を荷主に提案・推進することとし、1996年(平成8年)よりISO規格タンクコンテナが順次投入された。
ISO20ftタンクコンテナの総重量は24tに達し、構造上これを1個しか積載できない従来のコンテナ車では積載効率に難があった。当初、ISO20ft(24t)コンテナ2個を積載可能とした低床式汎用コンテナ車コキ72形が1996年(平成8年)に試作されたが、後の建築限界調査で高さ9フィート6インチ(9ft6in)のハイキューブ(背高)コンテナ輸送に必ずしも低床車両を必要としないことが判明したため、コキ100系と共通の床面高さ1000mmでISO20ft(24t)コンテナ2個を積載可能とした車両が新たに開発された。
これがコキ200形で、私有貨車として計画された同形車コキ2000形とともに2000年(平成12年)に試作された。
コキ200形は翌2001年(平成13年)から量産が続き、化成品輸送のタンク車を順次コンテナに置き換えている。
[編集] 構造
台枠は従来のコンテナ車と同様な魚腹形側梁で、床面高さはコキ100系と同一の1000mmである。車体の一端に手すりとデッキ、昇降用ステップを有する。「突放禁止」扱いとされ、手ブレーキは留置専用であるが、コキ100系と異なり操作ハンドルはデッキ手すりにある。外部塗色は赤、台車は灰色である。
軽量化のため、車体長は20ftコンテナ2個が積載可能な極限まで短縮され、連結面間隔は15m級、自重は16.9tに抑えている。荷重は48.0tとされ、ISO20ft(24t)コンテナ2個が積載可能である。ほか、ISO20ft(30.48t)及びISO40ft(30.48t)は1個積載可能である。12ftコンテナは緊締装置がないため積載できない。高さ8ft6inまでのコンテナは全域で積載ができ、高さ9ft6inまでの背高コンテナも一部区間に限定して積載可能である。
台車は新形のFT3形で、コキ106形のFT2形を基本に軸距を拡大し、軸受を高荷重対応の大型のものに変更した。軸ゴムとシェブロンゴムの軸箱装置、コイルバネ2組の枕バネはFT2形と同様である。台枠強度を確保しつつ床面を下げるため、車輪径は810mmに小型化された。
ブレーキ装置はCLE方式(応荷重式電磁自動空気ブレーキ)で、荷重を感知する測重機構は従来の油圧式から空気式に変更された。基礎ブレーキ装置はユニットブレーキとされた。これは1991年(平成3年)製作のDMT試作車ワ100形で採用されたもので、日本国内で実用された貨車では初の採用である。最高速度は110km/hである。
[編集] 形式別概要
- コキ200形
![]()
コキ200-30 2006年1月4日 四日市駅にて
![]()
コキ200-72 2006年10月21日 水島臨海鉄道 弥生駅にて
|
- 2000年(平成12年)から2005年(平成17年)までに153両(1~153)が製作され、現在も製作が続いている。コキ200-1は量産先行車で、側梁の形状が異なる。
- 2001年(平成13年)以降製(45~)は、留置ブレーキ動作時に車側に表示板が突き出す手ブレーキ緊解表示装置が設置されている。
- コキ2000形
- JRとの連絡直通車として使用するため、2001年(平成13年)に私有貨車として2両が製作された。現時点での車籍は鹿島臨海鉄道にあり、コンテナ車では2006年現在唯一の例である。
- コキ200形とは基本仕様・積載設備は同仕様である。側梁の形状は2両とも異なり、1は量産先行車と同一、2は製造会社が異なるためさらに構造が異なる。
[編集] 関連商品
Nゲージ鉄道模型として、関水金属(KATO)・トミーテック(TOMIX)から発売されている。
[編集] 参考文献
- 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』2000年1月号 No.680 特集:貨物輸送
- 交友社『鉄道ファン』2002年7月号 No.495 特集:コンテナ特急
- 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2005年5月号 No.463 特集:鉄道貨物輸送の現状
[編集] 関連項目
カテゴリ: 鉄道関連のスタブ項目 | 日本の貨車 | 日本貨物鉄道 | 鹿島臨海鉄道