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VAIO - Wikipedia

VAIO

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Vaio505EX オプションのサイドスピーカー装着タイプ
Vaio505EX オプションのサイドスピーカー装着タイプ

VAIO(バイオ)とは、ソニーが販売するPC/AT互換機に準拠しWindowsを搭載したパソコンのシリーズ名である。「Video Audio Integrated Operation」の頭字語とされ、AV機能を重視している。デスクトップパソコン型、ノートパソコン型、PDA型がある。

"VAIO"のロゴの意匠のうち、VAは正弦波(厳密には余弦波)でアナログを意味するとし、IOは10デジタルを意味しているという[1]。VAIOは「アナログとデジタルの融合」というスローガンを掲げている[1]。また、ノートパソコンの電源投入時に再生されるサウンドは、アメリカの電話(トーンダイヤル)でそれぞれV, A, I, Oに割り振られたキーを押下したときのプッシュトーン(DTMF、いわゆるピポパ音)をモチーフとしている。[1]

目次

[編集] 歴史

[編集] 第一世代 VAIO

Vaio505GX
Vaio505GX
初代Vaio C1
初代Vaio C1

初代VAIO NOTE 505は、筐体を銀色と薄紫色の二色で塗り分けた、薄型のB5サイズモバイルノートであった。紫という珍しい色を用いた理由には、「バイオ」という愛称の語感を"violet"と関連付けて名前と製品の特徴を覚えてもらうことと、基本機能では差別化が困難だったPC市場において、売り場で目立つようにすることが狙いだったともいわれている。 VAIO NOTE 505が最初の薄型ノートだと思われがちだが、DECのDigital HiNote Ultraの方が早い。

「デザインで差別化する」という手法で成功したことは、他社の製品にも影響を与え、それまでは「傷が目立つ」「コストが高くなる」(傷が目立つが故に傷がつきにくい強度の確保が必要)といった理由で地味な色使いが多かったノートパソコンのデザイントレンドに変化をもたらし、いわゆる「銀パソ」が広まるきっかけとなった。

また、VAIO C1などはワイド液晶と小型カメラを搭載していたことで話題になり、SONYのブランドイメージも手伝って、今もなお人気が高い。

デスクトップ製品ではAV機器としての機能を追求し、いわゆるテレビ機能を付加するなど他社との差別化を図り人気を博したが、現在では他社にも競合製品があり、また筐体デザインについても他社製品の間に埋没しがちであることから、店頭で「VAIO」のロゴを見ずに他社製品とVAIOを見分けることは困難になりつつある。

また、ノートパソコンにおいてソニーは「バイオノート [VAIONOTE]」と「バイオ [VAIO]」とでは区別して称していた。バイオノート***とする場合は通常のノートパソコンとして使用することを想定し、バイオとする場合は「カタチにとらわれない使い方を」としていた。

[編集] 第二世代 VAIO

2004年5月、ソニーはVAIOというブランドの第一段階は終えたとして、それまでの「まず目的があって、それをVAIOを用いて達成する」という位置づけから「様々な目的のためにVAIO自身が変化していく、VAIOする」というコンセプトへ変えた。これが、第二世代「Do VAIO」である。

残念ながら現在の所、ソニーグループ全体の勢いと同じく、VAIOの売上げ数も落ちており、VAIOのブランド価値もなくなっている。 

第二世代VAIOのCPUはほぼIntel製で、AMD製はほとんど存在しない。

[編集] アプリケーション

VAIOシリーズは全般的に、SONY独自のアプリケーション環境によって統一されたイメージやアイデンティティを構築しており、これには賛否の両論が存在するが、VAIOファンによればハードウェアとこれら「VAIOアプリ」の両輪によってVAIOをVAIOたらしめているとする見解もある。

以下に、ソニー純正のVAIO専用アプリケーションを列挙する。

  • PictureGear
初期のシリーズにプリインストールされていた静止画・動画・音声ブラウザソフト。画像のサイズおよびフォーマット変換、レタッチなどが可能だったが、その後登場した圧縮動画データやRAW形式の画像ファイルに対応できなかったことから、現在は静止画のみに機能を絞り、アルバム機能をメインに据えたPictureGearStudioへとバージョンアップをしている。
  • SonicStage
SonicStageを参照。
  • Giga Pocket
Giga Pocketはテレビ視聴または録画対応モデルにプリインストールされている、テレビ視聴・録画用ソフトである。また、内蔵の専用チューナーカードとも連携している。付属のテレビリモコンと連動しているため、リモコンからテレビの基本操作や本体のスタンバイを行える。V3.0以前のものは録画形式が特殊であり、使いまわしが難しい。
  • Do VAIO
Do VAIOは、専用リモコンにより誰でも手軽に、未来的なインターフェース上で、テレビ・DVD・音楽・フォト…などを視聴できる、マルチメディア統合ソフトである。
しかし、優れた点があると同時に、VAIOに対するユーザーの不評を増やす要因となってしまった。誰にでも使えるソフトを追求するあまり、中級者以上のユーザーにとっては、かえって使いづらくなってしまったのである。以下が、その理由である。
  • DVDレコーダー感覚を取り入れた「リモコン主体の操作法」であり、マウスでの操作性は軽視されている。
以下のような一例により、現在のメリットを残しながら、これらの不満点を解消する事が求められている。
  • ギガポケット、ソニックステージなどのソフトを、単体ソフトとして用意する。
  • リモコン操作用に、上記の単体ソフトを統合するために、Do VAIOを用意する。
  • マウス操作しやすいよう、メニューバーを用意する。
  • ※ GigaPocketからのデータ移行については、後にソフトウェアが提供された。

※これらの専用アプリは、VAIOのアイデンティティの一角とされながらも、古くWindows95/98/SE/Meの時代にはプリインストールされ自動的に起動されるVAIOアプリのみでPCのリソースを大方使い潰してしまい、VAIOは動作が不安定、VAIOは遅い、といった不評を招く元凶の一つにもなっていた。基本的なユーザビリティよりもブランドイメージの押しつけやユーザーの囲い込みを優先するといった立場を嫌気して不評を醸成する遠因となったともいわれる(VAIOが常にユーザビリティで劣るという意味ではなく、競合他社製品をよく研究し改善した商品も多く存在する)。リソース問題はWindows2000およびXPの時代に入ると実質的に解消することとなるが、実際的なユーザビリティよりもVAIOという「イメージの提供」を優先するSONYの姿勢は現在に至るまで本質的に変わららず、これを熱狂的に支持するファンも少なくない一方、VAIOというブランド名だけで眉を顰めるかつてのユーザーやアンチを生み出すことにも繋がった。

[編集] VAIOの販売不調

最近ソニーショックなどソニーの業績不振の一因としてVAIOの販売不調がクローズアップされている。 原因としては、大まかに以下の二つが挙げられる。

  • 今まで、マルチに活躍する多機能型パソコンをめざしてきたのを、2003年以降機能的に集約・統合をしたのだが、それがユーザーにとってバイオと他のパソコンとの差別化ができなくなり、商品としての魅力が希薄化してしまったこと。
  • 音楽の著作権を保護するために、OpenMG等に代表される著作権保護技術を採用したが、使い勝手が悪くなってしまい、パソコンに搭載されているソフトウエアも他メディアへの対応が遅れてしまったために、ユーザーが敬遠するようになってしまったこと。メモリースティック以外のメモリーカードおよびDVD-RAMや2層DVD-Rへの対応の遅れも原因となっている。

他にも、筐体デザインを優先するあまり強度や耐久性に疑問が残る製品の存在(いわゆるソニータイマーもこの系統の問題と言える)や、同様にデザインやイメージを優先するあまり基本的な扱いやすさ(ユーザビリティ)を二の次と考えているきらいのある商品展開などが、特にPCを酷使するヘビーユーザーなどを中心に警戒され避けられる要因となり、彼らによるVAIOの評判が次第に普及したことでVAIOを避けるユーザーが増加したといった見解や、2003年夏頃からAMD社CPU搭載機種を販売しなくなったことでローエンド機の価格が上昇し、売り上げ減少につながったとも言われている。

近年は直販サイト「ソニースタイル」や一部の量販店での出張カウンターでオーダーメイド(Built To Order,BTO)での注文を受け付けるようになった。ソニーではこのサービスをOWNER MADEと呼んでいる。


[編集] 対応の遅れについて

VAIOはメモリースティック以外のメモリーカードやDVD-RAMなどに対応が遅れていたが、これはソニーが自社規格(=ユーザの囲い込み)にこだわったためといわれている。

メモリースティック以外のメモリーカードについては、2006年9月時点ではあらゆるメモリーカードに対応するようになった機種が増えたものの、対応自体は他社よりも遅れていた。DVD-RAMも採用は2004年秋モデルからであり(しかしソニー製DVDレコーダーでは、DVD-RAMがつい最近まで録画はおろか再生すら使用不可能であったが、現在は再生のみ可能である)、それ以前はDVD±RWドライブやDVD-RWドライブなど、DVD-RAMが使用できないドライブしか搭載していなかった。

[編集] 最新ラインナップ

[編集] デスクトップ機

  • type H
type HXの後継。FeliCaポートを備え、よりホームユース向けのエントリーモデル。のちにデジタルチューナを搭載。ちなみにFeliCaSONYによって開発された。
  • type L
第一世代"W"、"P"や第二世代"M"の後継。奥行きを薄くし、ボードPCというコンセプトを実現。液晶のサイズにより19型と15.4型の2タイプが有り、15.4型はバッテリーを搭載しVAIO Pの後継機としての色を強めている。また19型の最新モデルはデジタルチューナを搭載している。
  • type R [RC]
第二世代のフラッグシップモデル。デジタルチューナやBlu-rayドライブをいち早く搭載。
  • type R Master [RM]
RCシリーズの後続版。VAIOハイエンドPCとしてワークステーションレベルのスペックを選択することも可能なマシンであり、これをベースとした業務用バージョンの計画もある。デジタルチューナやBlu-rayドライブを搭載。Core 2 Duo標準装備。OWNER MADEモデルでは、クアッドコアのCore 2 Extremeを搭載したり、専用の24型WUXGA液晶を選択することもできる。最大の特徴はPCI Expressをケーブルで引き回す斬新な発想で本体/ハードディスク部と光学ドライブ部/インタフェース部に筐体を分離したためセパレートで配置できること。横置きにも対応する。
  • type X Living
typeXの後継。HDMI端子やD3端子を搭載したTVにのみ接続でき、また横置きに対応した本体によりAV機器らしく進化し価格も手ごろになった。デザインを合わせた周辺機器、Xビデオステーションも存在する。

[編集] ノートブック機

  • type A [AR]
AV機能を重視した第二世代フラッグシップ。フルHDディスプレイとBlu-rayドライブを搭載し、贅を極めたモデル。
  • type BX
ビジネスモデル。PentiumMを搭載したスタンダードモデルとCoreDuoを搭載したハイスペックモデルの2ラインが存在する。
  • type F
ワイド&スリムのスタンダードモデル。新プラットフォームを採用している。
  • type F TV
地上アナログチューナを内蔵し、よりAV志向になったtypeF。
  • type F light
初心者向けに機能を絞り込んだエントリーモデル。
  • type S [SZ]
Core2Duoを搭載するハイエンドモバイルノート。GPUの使用・不使用をスイッチで切り替えることによって3D作画機能の向上と長時間駆動を両立させた。ソニーの通販サイト限定で天板にカーボン素材を使用、液晶のバックライトを蛍光管ではなく白色LEDにすることによって軽量化と駆動時間を1時間延長させた"プレミアムモデル"がある。
  • type T
"TR"の後継。AV関連の操作ボタンを搭載し、インスタントーモードを備える。"脱・仕事専用モバイル"としている。後に、FeliCaポートやX505で培った技術を導入したカーボン素材ボディを追加された。また、他社に先駆けてノートブック機に地上デジタル放送のワンセグチューナーを搭載した。(ワンセグチューナー付きモデルは当初、VAIO OWNER MADEモデルのみでの販売であった。)
  • type U [UX]
スライド式キーボードを搭載する小型PC。値段も性能も中途半端で第一世代において失敗したウルトラモバイルPCとは対象的に成功した。HDDの代替として16GB/32GBのフラッシュメモリを搭載した「ゼロスピンドル」モデルも販売している。
  • type G
ビジネスモバイル用途に開発された携帯ノート。落下耐性など各種の試験の結果を公表するなど、自らを市場にLet's noteのライバルとしてアピールしている。天板だけではなく底面にもカーボンを使用し軽さと耐久性を両立させている。505の後継機といえるかも知れない。
  • type C
カラーバリエーションを充実させたモデル。"カラフルを楽しむ、プライベートノート"としている。RIP SLYMEの"ING"でPVに広告として登場する。
  • type N
シンプルをコンセプトに、デザインや機能を必要最小限に抑えた低価格ローエンドモデル。主にメールやインターネットなどで利用といったライトユーザーをターゲットとしている。

[編集] VAIO 第一世代

[編集] デスクトップパソコン (PCV-***)

RZ 
RXシリーズの後継。タワー型。フラッグシップモデル。
HX 
HSシリーズの後継。テレビ機能付き省スペース型。
Wの後継。本体、ディスプレイ一体型。ワイヤレスキーボード、マウスとTVチューナー内蔵。
本体、液晶ディスプレイキーボード一体型折り畳みパソコン。一時期、Net MDデッキを搭載した機種もあった。
一体型。室内での移動を想定し移バッテリーが搭載されている。
RX 
Rシリーズの後継。機能重視なタワー型。
Sシリーズの後継、機能重視なタワー型。GigaPocketを初めて搭載し、AV機能を強化した。
Tシリーズの後継、別名「バイオ・マイクロタワー」。テレビ録画機能を備えた最初のモデル。
別名「バイオ・ミニタワー」デスクトップ型、もっとも古い。
HS 
LXシリーズの後継。ホームユース向きの省スペース型。中期からはペンタブレットが廃止された。
LX 
Lシリーズの後継。省スペース型。上位機種はペンタブレット液晶を搭載。
省スペース型。テンキーが無かった。
MX S
MXをモデルチェンジ。よりAV連携を強めた。
MX 
タワー型パソコン。ミニディスクFMチューナー、アンプを内蔵、本体前面にオーディオ機能の状態が表示された。
省スペースパソコン。オーディオ機能を重視。別名「バイオコンポ」
JX 
Jシリーズの後継ということになっている模様だが、JXは省スペースタイプと、Jシリーズとはプロポーションが大きく異なっている。
エントリーモデル。Rシリーズなどと同じくタワー型である。

[編集] ノートパソコン (PCG-***)

505 
VAIOの代名詞的なモデル。B5サイズ。
N505 
B5サイズ。505(無印)の後継機。
Z505 
B5ファイルサイズ。
R505 
B5ファイルサイズ。Z505の後継機。
GR 
XRの後継にあたるハイエンドモデル。MC後の後期シリーズより地上波アナログTV受信機能が追加された。
XR 
8**の後継にあたるハイエンドモデル。フラッシュサーフェイスデザイン等高品位なデザインは今でもなお通用する。
8**,7** 
ノートシリーズの全ての原型。A4ノート型で、8**はCPUにモバイルPentium(R)II、7**はCPUにMMX(R)が採用されている。
FR 
FRの後継となるエントリーモデル。
FX 
Fの後継。初期はIntelのCPUを搭載していたが、後にAMDのCPUを搭載したPCがメインとなった。
エントリーモデル。CDドライブ、FDDが内蔵されている。全プラスチックの筐体。
A4モバイルノート。光学ドライブ搭載で2.1kg、SXGA+表示の14.1型液晶。
TR 
C1とSRを統合したモデル。サブノート型、DVDドライブ、カメラを内蔵した。
SR 
505シリーズは大型化していったため、投入したサブノート型。MC後はワイヤレス機能付き。1スピンドルタイプのためCDドライブが外付け方式であった。
QR 
A4ファイルサイズノート。性能面からはエントリーモデル。
C1 
小型でワイド液晶でカメラ内蔵している。2000年秋以降製造された機種(VJシリーズ以降)からはTransmeta社製のCPUであるCrusoeを採用した。
C2 
C1とほぼ同じだが、カメラは非内蔵で代わりにハンディGPSレシーバーが付属している。
GT 
ビデオカメラを内蔵したモデル。
VAIOノートシリーズで最も小型。モバイル向け。
NV 
A4ノート。本体右側面に「エンタテインメントベイ」がある。
VX 
光学ドライブを廃したスリムA4ノート。無線LAN機能、バッテリー3.5~5.5時間駆動などモバイル性能を重視したモデル。
X505 (505 EXTREME) 
初代505のコンセプトを最新の技術で具現化したモデル。VAIO第一世代を締めくくった。

[編集] VAIO 第二世代

[編集] デスクトップパソコン (VGC-***)

type HX 
スタンダードモデル。第一世代後期の物と同型。
type X 
TV録画が付いたAVレコーディングサーバー。最大7つの番組を同時に録画する事ができ、一台で最大1.2TBHDD容量をもつ。オプションのデジタルチューナーを接続すれば、デジタルハイビジョンの録画も可能。
type R [RA]
第一世代"RZ"シリーズの後継。外付けデジタルチューナによりデジタル放送に対応するなど多機能であった。
type V 
TV機能を搭載したシリーズ。初期は第一世代と同型。ディスプレイのバリエーションが多く。後期はデジタルチューナも搭載した。

[編集] ノートパソコン (VGN-***)

type A 
"GR"シリーズの後継。AV機能を重視した第二世代フラッグシップであり、AVアンプ部にS-MASTERを搭載し高音質にこだわった設計をしていた。
type B 
ビジネスモデル。Zシリーズと似た特徴を持つ。
type E 
スタンダードモデル。液晶背面の種類が3色ある。
type K 
スタンダードモデル。第一世代"FR"シリーズの後継。デスクトップ用CPUを搭載して低価格を実現。
type 505 EXTREME 
前のモデルのままだが、第二世代としている。カーボン素材ボディ。
type Y 
企業向けモデル。サブノート型。
type S 
505シリーズの後継であるビジネスモバイルノート。高性能とワイド液晶が特徴。
type U 
第一世代"U"シリーズの後継。当時世界最小を謳った小型PC、キーボードレスでタッチパネルを採用していた。

[編集] 関連項目

[編集] 外部サイト

[編集] 注釈

  1. ^ a b c VAIOホームページInternet Archiveのバックアップデータ), The philosophy of VAIO「VAIO」の由来とフィロソフィー 2000年

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